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2010/04/15

散った花びらは夢の…

 それは、路上などを枯れ葉が這って行く、カサコソ、という乾いた擦過音。路面に擦り付けられ、磨り減り、あるいはぶつかる無数の音があちこちから聞えてくる。枯れ葉の悲鳴? タイヤに踏み潰され、路上に轢死体となってへばりついてしまう直前の断末魔の喘ぎの叫び?

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(前略)桜の花びらは、ただ敢え無く散るばかりである。
 路肩に、玄関先に、庭先に、電柱の根元に、歩道の柵に、自転車やバイク、車のボディや車輪の周りに、花びらたちが吹き溜まっている。花びらは散るまでが命ということなのだろうか。散ってしまった花びらは、ただのゴミなのだろうか。見ていると、歩道の花びらを踏まないようにと、殊更、足元に気をつける人もいない。
 やはり、地に落ちた花びらは、美しさもその命もその役目さえも地に落ちてしまったというわけだ。

 一度咲いた命は散るのだ、この世から、視界から消え去るのが、潔いというわけか。桜は平和の象徴ではなく、武を象徴する花だということが、つくづくと思い知らされる寂しい現実。
 誰も花を花として愛してなどいない。散った花びらは踏みつけにされる。ゴミ扱いにされる。路上を汚す邪魔者に過ぎない。誰かが余儀なく掃き集め一塊に纏め、そうしてゴミ収集車に乗せられ、夢の島へでも運ばれていく。

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 桜吹雪という束の間の華やぐようであり何処か寂しげでもある束の間の時が過ぎると、葉桜の季節がやってくる。小生は、桜の花びらを愛でるのもいいけれど、葉桜の景色も好きである。
 落ち着きがある。花の散るのを見ていると、ハラハラするというのも大袈裟だけれど、それでもどうしても心は穏やかではない。
 それが、花びらの落ち尽くし、最初は小さかった桜の木々の葉っぱが、どんどん大きくなり立派になり、やがて、桜並木の道だったことをさえ、ともすると忘れさせてしまうようになる。
 まるで花びらがなければ桜ではないかのように、葉桜の並木を通り過ぎていく。まあ、炎天下の都会にあって日陰を恵んでくれていることをたまに感謝する程度なのかもしれない。
 そうした葉桜も秋の深まりと共に、葉っぱが枯れ風に吹かれるままに千切れ飛ばされ路上にカサッという音が鳴るような鳴らないような、かそけき曖昧な風情の中に踏みつけにされ、やがて掃き溜めに集まり、回収され、消え去っていく。

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 そうだ、ツツジの花々の枯れ萎れてしまった哀れな末期を見ていて…だったかもしれない。つい先週までは赤紫色の、あるいはクリームっぽい淡き白色の花を咲き誇らせていたのに。桜は咲きかけも満開の時も、散り際までもが愛でられるというのに、ツツジにしても他の花々同様、萎れてしまったら見向きもされない。
 尤も、皆が愛でる桜(ソメイヨシノ)にしても、散って路上に這ってしまった花びらたちは、ただただ踏みつけにされるばかりである。花(桜)を愛でるというのなら、最後の最後まで行末を見守るべきではないのか。それとも、散り果てた花びらなど見向きもされないという、非情さまでを含めて花(桜)が愛されているというのだろうか。
 散る光景が潔くて美しいなどと愛でておき、花(桜)を愛しているといいながら、実際には、散り果てた花びらは路上に舞い、踏みつけにされ、埃に塗れ、腐っていくのをうざったく邪魔臭いモノと煩がられてしまうだけ。
 散ってしまった花をせめて心の中で手向けの思いを寄せてみる…そんな同好の士がいたらな、と思う。葉桜を愛でるのもいいのだけど。

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 一旦は路上に臥した枯れ葉も、都会ではゆっくりすることは許されない。車が途切れることなく走っているからだ。タイヤが鳴り、ゴムが磨り減り、エンジンの低いが響く音に煽られ、路上の葉っぱたちは、さあ、もうひと踊りだとばかりに舞い上げられて、さらに散在していく。

 あるいは、舞い上がる気力のなかった葉っぱたちは、タイヤに踏み潰され、僅かに葉っぱの中に残っていたのか、樹液の滓(かす)が無理にも搾り出され、葉っぱの繊維だけという無慙な姿になり、路上にへばりつかされる。哀れな末路である。
 まあ、そうでなくとも、路肩に吹き溜まった枯れ葉たちも、掻き集められ、燃やされるか燃料か何かに使われるか、いずれにしても、アスファルトの下の土との邂逅は叶わぬ夢なのである。

                            (10/04/14 編)

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