ラジオから西田佐知子さんのことへ
今日は歌手の西田佐知子さんの誕生日だとか。
最近、雪に悩まされつつ、車での仕事の日々を送っている。
車ならではの便利さもあれば不便もあったりする。
← 「西田佐知子 ベスト10 」(ユニバーサル) 「竹内まりや」が好きなのは、あるいは西田佐知子の面影をつい思い浮かべてしまうから…?
便利というか、嬉しいのはラジオを(細切れになってしまうが)聴けること。
何と言っても音楽(歌)を聴けるのが嬉しいのだ。
ポップスも聴けるし、歌謡曲も。
小生が聴取する時間帯が真夜中過ぎだからだろうか、若い人向けの曲より、年輩向け、あるいはトラックなどの運送業のファン向けの曲が多いようだ。
自宅では歌謡曲に限らずポピュラーな曲を楽しむ機会が滅多にないので、車中での束の間の音楽タイムを楽しみにしている。
歌謡曲が好きと言いながら、歌謡曲(に限らず音楽全般についてもだが)関連する文章はあまり書いたことがない。
まあ、(小中高生時代の授業での嫌な体験などがあって)音楽が苦手ってことも大きい。
聴いて楽しむが、音楽について語る(書く)のはつい憚られてしまうのである。
それでも、幾つかは書いたことがある。
西田佐知子さんについても!
(以下、転記する文中で、西田佐知子さんの旦那さんである関口宏氏について失礼なことを書いている。二人の結婚当時の複雑な事情や、結婚に際して乗り越えなければならなかった高いハードルなど何も知らない奴の、半ば嫉妬心からの戯言と読み流してほしい。文中、敬称を略しているのも、敬愛の念を籠めてのことである。失礼の段は予めお詫びしておく。)
(以上、10/01/08 作)
歌謡曲って何だろう。何か今では古びた、時代遅れの音楽って受け止め方が普通なのかもしれない。
でも、仮に歌謡曲をその時代に一番受けている音楽って性格付けをしたなら、流行の音楽は全部、ジャンルに関わらず歌謡曲ってことになる。
遠い昔、後白河法皇が撰述した『梁塵秘抄』だって「今様」の集めたもので、「今様」の意味するところは、その時代に流行った歌謡のことなのである。
今様は多くは当時の女芸人が宴席で歌ったものとされていて、それが次第に広まったものらしい。後白河法皇はその今様の大ファンで、ガキの頃から身辺に女芸人を次々に召し寄せては今様を習得し、やがては「自らが今様界の第一人者と仰がれるほどの歌唱力を身に付けた」という(『新潮日本古典集成 梁塵秘抄』の解説を参照した)。
無類の権謀術数家で平家の世から源氏の世まで巧みに生き延びた後白河法皇は、また無類の歌舞音曲好きであり、かつ女好きでもあった(孫娘をも褥の中で寵愛したほどである)。
ま、とにかく小生としては歌謡曲をもっと評価したいし、きっと21世紀に数多くの所謂歌謡曲が残るものと信じているのである。
→ 「西田佐知子エッセンシャル・ベスト」
さて、小生の少年時代に遡ると(小生は1954年の生れ)、それまでザ・ピーナッツを初め、数多くの歌謡曲・演歌に既に親しんできたが、やはり思春期の頃の音楽が一番印象深いのは自然といえば自然なのだろう。
その代表格は、何といっても西田佐知子である。最近、井上揚水のカバーでヒットしている『コーヒー・ルンバ』(以前、荻野目洋子だったかがカバーしたことがあったはずだ)や『アカシアの雨がやむとき』そして『女の意地』など数々の名曲がある。そう、『赤坂の夜は更けて』『涙のかわくまで』『東京ブルース』などなど。
『アカシアの雨がやむとき』は'60安保のテーマソングだったという話もあるが、実際にヒットしたのは62年で、翌年その頃の通例で流行った曲を題名に使った映画も封切られている。結構、評判のいい映画だったらしいが、小生は残念ながら見ていない。
西田佐知子が一般に知られるようになったのは、62年の初頭に『コーヒー・ルンバ』がヒットチャートの上位にランクされることによってらしい。
が、小生の感じやすい心に沁みたのは、やはり極め付きの『アカシアの雨がやむとき』である。
西田佐知子の決して力まない歌いぶり、にもかかわらずハスキーな鼻声が小生の胸の奥から浸透してくるようで、小生は生意気にも惚れてしまったのである。実際には腰をも揺さぶってくれた(意味は察して欲しい)。今でも女性で理想の人をと問われたなら密かに西田佐知子と答えるだろう。但し、小生にとって西田佐知子は大切な胸の奥の人なので、実際には別の無難な名前を挙げるだろうけれど。
けだるいような、けれど何処か理知的な大人の女という感じがたまらなかったのである。
だからであろうか御多分に漏れず小生も巨乳の女には目を惹かれるのだけれど、惚れるのは何処となく病を押し隠しているような痩せ気味の、髪の長めの、そして肌の白い女性に限られたようである。
小生は、しかし、そんな理想の女性には一生めぐり合えないだろうと、西田佐知子を見て思い込んでいた。実際、そうだったけれど、それは単に運に恵まれなかったということではなく、もっと幼い頃からの鬱屈した性癖の故だったのだと自分なりに納得している。
それはその2年後だったかに発売され、翌年に大ヒットした加山雄三の歌(の世界)に対しても同様なのである。
つまりは、小生のような根性の曲がった人間にはまともな人生はありえないと、幼い頃、恐らく物心付いた頃に思い込んでしまっていたからだ。
← 「西田佐知子歌謡大全集」
加山雄三の『君といつまでも』『夜空の星』『銀色の雨』『旅人よ』など、どれをも密かに胸の中で歌っていたが、それは遠い世界を、近づくことはありえない憧憬の世界を空想の中でのみ希求する世界を開放する意味で、自分が歌うことを許していたのである。あまりに加山雄三の世界は健康的で開放的で、つまりは自分的ではなかったのだ。
やや違った座標軸の上でだが、西田佐知子の世界も小生には遠い世界だった。何も小生がまだ小学校の終りくらいで、幼すぎたからという意味ではない。自分には女性との相思相愛の仲というのが全く現実味を感じられなかったからである。
けれど、それでも、出来そこないの小生でも、西田佐知子の大人の女ならありのままの自分を受け入れてくれるのではないか、という幻想までも拒否することはできなかった。
が、ある日、西田佐知子は結婚してしまった。それも関口宏氏とである。全く納得できなかった。承服し難い気分だった。よりによってあんな奴と(失礼、これはガキの頃の正直な気持ちを綴っている。実際には小生は関口宏氏という人物をテレビを通して以外、知る由もない)!
小生は落胆したのである。惚れた女が、何であんな男につかまってしまったのか…(これまた失礼。実際には西田佐知子が関口宏氏に惚れたのかもしれないし、小生にホントの事情が分かるわけもない)。
というわけで、関口宏氏と結婚して引退した西田佐知子は最早、スポットライトの前で歌うことはなくなってしまった。最後は惚れた女に愛想尽かしをされたような形になったが、彼女の歌は小生の胸に一生、残ることは間違いないだろう。
(01/06/30 作)
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コメント
あ、「コーヒールンバ」を歌っていた
ひとなんですねえ!<おいおい
--------
ふふ、話はちと違うのですが、いまの
おやじにとって気をもむのは
(どっちかというお父さんの気持ちで)
「安めぐみ」さんが、つまらん芸能界男と
結婚しないかどうかです!!\(^o^)/
凡人おやじの分際で、ご本人にも
大変失礼とはおもいますが、しかし、
NHKのサイエンスZeroとかで
知り合った理系科学者の奥さんに
なってほしいかと。\(^o^)/
って、10歳以上年上のさえない
老人教授とかだったらもっとショックか?\(^o^)/
い、いかん、
不吉な言霊をとばしてしまった<おいおい
し、しつれいしやした~m(__)m
投稿: Kimball | 2010/01/10 08:16
Kimball さん
そう、「コーヒールンバ」を歌っていた人です。
ちょっと鼻に架かったような、ハスキー(で色気のある)な声の女性。
小生の(ガキの頃の…今も…)タイプです。
…ここだけの話ですが、「安めぐみ」さんもタイプです。
ずっと年上の(小生のような)小父さんは、彼女、論外でしょうね(← 当然、という声が凄い)!
でも、美女には意想外の相手と結ばれるってジンクス(?)もあるので、Kimball さんの懸念も当たっているかも?!
ただ、その場合でも、我輩ってことは、ありえないようです。
グシュン。
NHKのサイエンスZeroは、彼女を見たくて、録画して見てます(彼女の場面だけ、後は早回し)!
うーむ。これだけ書くと、言霊を超えて事だなー。
投稿: やいっち | 2010/01/10 16:17
全面激しく同意。殆ど初恋。今見ても、そそられる。
黒沢年男とも噂があったが、不本意だった。
尤も、こちらは後年好感を持った。
結婚するまでに、他にもいろいろあったんだろうなあ。
関口親子は、大嫌い。
安も、大嫌い。
蛯原、翔子、益若、堀北、綾瀬、がいいなあ。
投稿: | 2011/02/17 00:52
名無しさん コメント ありがとう!
西田佐知子さん いいですねー。
ガキの小生を魅了した、大人の女性でした。
声がハスキー(なのに、歌声は力強い)で色っぽかった。
黒沢年男とうわさがあったなんて、初耳です。
ちょっと不釣合いかな。
それにしても、事情はいろいろあるにしても、歌手・西田佐知子を引退に追い込んだ旦那は、当時も今も(!)許せない気持ちでいっぱいです。
投稿: やいっち | 2011/02/17 20:48