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2010/01/22

いろんな意味での可視化・透明化を ? !

 四方田犬彦著の『白土三平論』(作品社)を読んだ。
 白土三平の漫画は、ほかのどんな本や自らの体験より自分に影響を与えたような気がする。
 井の中の蛙(かわず)状態の中高生の小生に、広い世界への窓を齎した方でもあった。

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 せっかくなので、この労作を読んでの感想文を書こうかと思ったが、自分がいかに白土三平という巨峰のほんの一端をしか知らなかった(読まなかった)かを思い知らされ、断念。
 小生の中では白土三平は伝説の人だったが、現在『カムイ伝 第三部』を構想中と、現役バリバリであることも判明して、自分の不明を愧ずるばかりである。
 尤も、「白土三平 - Wikipedia」を覗いてみても、一定の世代のものなら多くのものが読み漁った範囲の情報しか載っていない。
 確かに、「『忍者武芸帳』に世界観を学び『カムイ伝』に自己同一化した60年代」ってのが、白土三平の世間の中での日向時代ではあるが、彼の画業はそれだけに留まらないのだと思い知らされた。
(決して瑣末なことではないはずだが、作画にしても、白土三平だけではなく、時代によって、弟の鉄二をはじめ、小島剛夕、小山春夫、楠勝平らが担ったりしている!「赤目プロ」参照)

 ということで、今日は、日頃、やや内向的なことばかり日記に綴ってきた小生だが、政治も含め社会問題にも関心を持っていることを示す意味でも、若干、毛色の違う日記に仕立ててみた。

小沢氏、23日任意聴取 東京地検、4億円の説明求める」(asahi.com(朝日新聞社): - 社会)といったニュースがマスコミで踊っている:

小沢一郎・民主党幹事長の資金管理団体「陸山会」をめぐる政治資金規正法違反事件で、小沢氏が23日に東京地検特捜部の任意の事情聴取を受けることがわかった。小沢氏側の関係者が21日、明らかにした。特捜部は、小沢氏の指示で始まったとされる土地取引への関与や、原資不明の約4億円について説明を求める方針。

 思うに民主党の発想、あるいは時代が求める要請として、いっそのこと、聴取の光景をガラス張りの形で行なったらどうだろう。
 裁判員制度、事業仕分け、尋問の可視化、税制調査会での税制論議の透明化、政務官の複数登用による各役所での予算決定過程の公開、などなど、一般国民の参加が直接間接で求められる時代なのだ。
 小沢一郎氏も、当然ながら東京地検特捜部も、互いに自らに自信があるのだろうから、実際の聴取の場所がいずれであれ、事業仕分けの模様が公開されたように、マスコミの取材のもと、場合によっては、民間人の傍聴のもと、小沢氏も堂々と聴取に応じ、地検特捜部も粛々と聴取したらどうだろう。
 今週の土曜日(23日)にも、行なわれるという聴取の光景をマスコミを通じ、テレビなどで放映されたら、小沢氏側が潔白なら、それが世に示せるだろうし、地検特捜部側も、一部で特捜部の暴走かと懸念されている暗雲を一気に晴らせる…可能性があるのでは。

米車初のエコカー補助対象は「ジープ」 2月発売」(asahi.com(朝日新聞社): ビジネス・経済):

補助金を受けるには、これまでその車種が型式指定を取得していることが必要だった。米国からの輸入車は台数が少ないため取得しない場合も多く、補助金の対象車種はなかった。政府は米国からの批判を受け、19日に型式指定を条件からはずしたが、この「ジープ・パトリオット」はすでに型式指定を得ていた。

 この車、「ガソリン1リットルで10.6km走れ、国内の「型式指定」も取得した」というが、あくまでアメリカ(の基準や方法)で測定した燃費で、日本で測ったら低くなり、補助対象からは外れるはず、という。
 アメリカの圧力に屈した? 譲歩した? 江戸の仇(かたき)がこんな形で払われることになった?
 アメリカも一応は民主主義国で平等公平を謳っているのなら、ちゃんと燃費のいい車を作ればいいじゃん!
 理不尽だぞ、アメリカさん!


原発の耐震指針に日本の基準」(NHKニュース):

IAEA=国際原子力機関は、日本の原子力発電所の耐震性の基準を取り入れた新しい指針をまとめ、世界で原発建設が加速するなか、加盟国の耐震基準のモデルとなりそうです。

 素晴らしい!
 久々にお目出度いニュース!
 だけど、常々述べていることだけど、そもそも、原子力発電で副産物(?)として生み出される放射能汚染物質って、人間が生み出す最悪の環境汚染物質なんじゃないの?
 どこがクリーンなの?
 理解不能!


 東京でタクシー稼業に従事していた。
 その間で環境面に関して特筆すべきことに、東京都を筆頭にして、ディーゼルエンジンの排気ガス規制の強化があった。
 御陰で、バスやトラックの黒煙濛々たる排気ガスに悩まされることはなくなった。
 表に干した洗濯物に黒い埃(土埃もあるがススがほとんど)が被ったりすることも格段に減ったし、例えば梅雨時などに車を一日走らせていると、車体にススが一杯かぶっている、なんてことも減った。
 確かに環境面で一歩、前進に思えた。
 でも、それは見かけ上のことだった。
 実は、基準に掛からない微細な粒子は反って野放しになってしまった。
 見かけ上、排気ガスが、結果として空気が綺麗になったように見えて、排気ガス(規制)やそのもたらす悪影響への関心が減ってしまった。
 健康面への影響といえば、規制に掛かる相対的に大きなススより、ナノレベルの微細な排気物質(浮遊物質)のほうが大きい。
ディーゼル排気中のナノ粒子は,酸素と二酸化炭素との交換を行う肺胞に沈着する割合が高いこと,沈着したナノ粒子は毛細血管に入り全身に影響を及ぼす可能性があること,重量に対して表面積が大きいため毒性が強くなる可能性があること,燃焼を介して出てくる粒子であることから反応性の高い化学物質を含んでいる可能性が大きいことなどが考えられ,ナノ粒子が健康に及ぼす影響について心配が生じてい」るのである。

 まあ、それでも、対策(というより研究)は幾分なりとも進んではいる…ようである。
 というか、「ナノ粒子はどのようなときにどれくらい生じてくるのか,化学的,物理的性質はどのようなものか,人の健康や環境中の生物にどのような影響を及ぼすのかなどについて,わからないことが非常に多い粒子」だなんて暢気なことじゃ困るわけで、対策の早急な実施を切実に期待している:
国立環境研究所ニュース 24(3)ナノ粒子健康影響実験棟 国立環境研究所
(関連拙稿に「黄砂に吹かれて」がある。)

                               (10/01/21 作)

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コメント

盛り沢山ですね。米国の自動車事情は違いますからね。仕方ないのかもしれませんね。

取り調べの可視化は、プライヴェートな事になると医療の現場と同じで、守秘義務等難しい事もあるでしょうね。やはり被疑者や被害者の人権保護が大切でしょう。もちろん公人となると公共性が優先されますが。

「死の灰」は今こちらでも大きな政治問題になってますが、到底経済性に合わないということだけでも先ずは予告しておきましょう。

「カムイ伝」は劇画の原点のような印象を持っているのですが、どうなのでしょう。

投稿: pfaelzerwein | 2010/01/22 03:28

pfaelzerwein さん

まあ、白土三平論を読んで、彼の仕事が現在進行形なのを知ってびっくり。
『サスケ』や『カムイ伝』『忍者武芸帳』なんてほんの一部(時代と重なってピークだし、劇画の原点ではあるけれど。ただ本書を読んで、彼の前に手塚漫画という巨峰が源流にあると知りました。それから貸し本文化という前史のあることも)。
簡単には感想文も書けないと愕然としました。

なので、今日のブログは、急な予定の変更で、苦し紛れの拙稿です。

取調べの可視化は仮題山積ですね。
小沢一郎氏の聴取がされるというので、何でも透明化が好きな民主党だし、いっそのこと、小沢さんが率先して可視化に協力したらどうなのって、揶揄してみただけです。


原子力発電は、施設の安全性やクリーンさとは裏腹に、副産物(ほとんど主産物か)の放射能汚染物質という、とんでもなく危険な物質が不可視化されて、まさに臭いものに蓋式に地下に埋められようとしている。

遠くない将来、人類のとんでもない蛮行、負の遺産と、嘆かれること必定なのではないでしょうか。

投稿: やいっち | 2010/01/22 10:36

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