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2010/01/16

「ごぶる」じゃなく「ごぼる」ながけ?

 またまた雪にちなむ話題。
 しつこく雪が降り続いているので、小生も意地になって雪絡みの話を持ち出すことにする。
 どっちのネタが尽きるか、勝負だ! って、我輩が負けるに決まっているか。

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→ 雪は今日も小止みなく降り続く。ちょっとでも寒気が緩むと、屋根の雪がドサッと落ちてくるから大変。

 富山は雪国を実感する日々である。
 この数年は、雪国富山を標榜するのはやや躊躇われたが、今年に限っては久しぶりに堂々と(?)雪国を自称できる。
 全然、嬉しくないけれど。
 

 富山で雪が降ると、うっすら雪化粧とか、数センチ程度とかじゃなく、軽く十数センチは当たり前に降る。
 昨日などは一晩で三十センチ以上、降り積もり、昨夜から今日にかけても、性懲りもなく降りやがる。
 今日の午後には平野部の少ないところでも五十センチを超えた。
 
 当然ながら、昨日今日の雪は新雪である。
 屋根の庇の下など、日陰の一部には、前回の寒波の雪が溶け残って、ザラメ状態になっていて、その上に新たに積雪となるのだが、ほとんどのところは新雪ばかりが降り積もっている。

 そんな新雪の中を踏み分けて歩かざるを得ない因果な仕事をやっている。

 決して好きでそんな粉雪の積もった、誰の足あともない雪の野をごぶりながら歩いているわけじゃない。
 誰だって、誰かがつけた足あとの上をなぞるように歩きたいのだが、夜明け前、未明ともなると、家の敷地内というのは、新雪ばかりである。
 道路にしても、新雪の御陰で辺り一面、真新しい純白の真綿の敷き詰められた世界になっている。

 白銀の世界、なんて洒落ている余裕など、皆無である。

 ところで、話が滑ってしまって、通り過ぎてしまったが、今、小生は「ごぶりながら」歩いて…と書いた。
 この「ごぶる」は、富山など北陸(の一部)の方言のようである。
 ネットを武器に、この言葉を知っている方はいるでしょうかと訊ねたら、「ごぼる」なら知っているという返事を我が富山の方から戴いた。
「ごぼる」は、小生は初耳である。
 
 しかし、もしかして「ごぶる」は小生の勘違いで、「ごぼる」の方こそが正しいのではと、ふと疑念が湧いた。
 自分の生まれ育った地の方言なのだ、使ってきたんだろうし、自信を持てば、とも思うが、何せ、18歳で富山を離れてしまって、盆や正月に帰省する生活をその後、数十年、続けてきた小生である。
 方言を忘れてしまった気味が多分にある。
 一昨年、帰郷して、あれこれお喋りする機会が増えたが、生憎というべきか、幸いにもというべきか、「ごぶる」(乃至「ごぼる」)なる言葉を使う場面に遭遇しないできた。
 この数日の一気のドカ雪で、初めて「ごぼる」なる言葉を使いたくなる状況に嫌というほど見舞われているわけである。
 
「ごぶる」(乃至「ごぼる」)とは如何なる意味か。
 どんな状況で使うのか。
 
 これは小生の理解だが(なので、数十年前に雪が少なくとも一メートルは降り積もるのが当たり前だった頃に使いまくった経験からの解釈なのだが)、数十センチの一面の新雪の道を、しかも(ほとんど)誰も足あとが付いていない道を歩かざるをえず、慎重に一歩一歩、踏み分け進む際、どうしても、新雪に足が(長靴が)ゴボッと埋もれるように沈み込んでしまう状態、あるいはその感覚を指す。
 この際、あくまで新雪ってのがポイントで、しかも、富山特有の湿ったような雪じゃなく、サラサラとしたスキー場なら歓迎されるような雪の原での体験であるほうが実感が持てる。

 と、今、何気なくサラッと「ゴボッと埋もれるように沈み込んでしまう状態、あるいはその感覚」なんて書いたが、小生、思わずドキッとしてしまった。
 ギクッ!
 やはり、「ごぶる」じゃなく、「ごぼる」なのか…。

 困ったときの辞書頼み、困ったときの「笑説 越中語大辞典」頼みである。
 
 若干、ドキドキしながら、「ごぶる」を探すが…、ない!
 では、「ごぼる」は、どうか…。
 あった!
 ああ、そうなのか、「ごぼる」が正解なのか。
 小生、ガッカリである。
 また、自分の記憶力への信頼を失墜する仕儀に至ってしまった。

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← 新雪に足がごぼって大変ながやちゃ!

笑説 越中語大辞典~こ」の「ごぼる」の項には、以下のような説明が施されている:

 雪道などで足が沈んで「ごぼりと浸かる」。北陸では使う。例:「たんぼでごぼってしもうて抜けんようになった」(たんぼで足がごぼごぼと浸かってしまって足が抜けなくなった)。

 そうなのか、小生が思うように、新雪の道ばかりじゃなく、田圃でも「足がごぼごぼと浸かってしまって足が抜けなくなった」状態の際には使うのか。
 そういえば、そうだったような曖昧な記憶が(自信がない)…。

 さらにネット検索すると、「富山弁ゼミナール 【ごぼる】」をヒットした。
 以下のような説明を読むと、もう、二の句もない:

この動詞は、富山県、石川県、福井県の三県で用いられている。北陸特有のしめった雪の中に、長靴がはまり込む音はもちろんのこと、雪の感触までも伝わってくるような感じがする語である。さすがに北陸向きの動詞であり、擬音語が見事に動詞となったのがこの「ごぼる」である。

 うーむ。「ごぶる」って、我輩の周辺だけの方言ってことないのかな、なんて、未だ言ってる。

                              (10/01/15 作)

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コメント

 毎日雪よかしごくろうさまです(私には、「雪かき」より「雪よかし」の方がなじむ言い方です)。遅くなりましたが、今年もよろしくお願いいたします。
 上記の話題ですが、あれっ?と思いました。哲学者のやいっちさんがなぜ、「ごぶる」「ごぼる」のどちらが正しいかという、正解を求められようとするのか不思議に思いました。政府の国語審議会ならいざ知らず「正しい方言の使い方」などということは不要かと思うのです。口ごもりがちの北陸のことばを、“文字にして”「ぼ」なのか「ぶ」なのかというのは決め難いところかと思いますし、決める必要のないことかと愚考するのですが、いかがでしょう。
 ちなみに私の身についている言い方を強いて文字にすれば「ごぶる」かと思います。(愚ローカル?なコメントをすれば、私とやいっちさんに共通の田畑米田周辺は、母音「う」に近いのかも知れませんね。)
“北陸特有のしめった雪の中に、長靴がはまり込む音はもちろんのこと、雪の感触までも伝わってくるような感じがする語である。”うまいこといいますね。

投稿: かぐら川 | 2010/01/16 01:31

富山は雪大変なのですね。
こちら千葉は寒いですが毎日晴天が続いています。
分けてあげたくなります。
北海道育ちの私も大雪は経験済み。大変でした。
「雪かき」は「雪はね」と言ってました。
新雪のなかを長靴で歩くときは、「雪を漕ぐ」と言いました。「ごぶる」「ごぼる」というのですね。
雰囲気はよくわかります。
雪国ならではの言い方、真実がこもっているように思います。
北海道の雪はパウダースノウ、軽やかに船を漕いで行く雰囲気がありますし、本州のウエットスノウは、歩くと穴があくほど重い雰囲気が伝わります。
毎日大変でしょうが、来週になると暖かくなるようですので、どうぞ、頑張ってください。

投稿: さと | 2010/01/16 14:20

かぐら川さん

本年もどうぞ、よろしくお願いいたします。
今年こそ、金沢など少し遠方へ足を運びたいものです。

「雪よかし」なんて表現があるんですね。
小生は雪掻きって、愛想のない表現しか知らないけど、我が地元でも何か方言か変わった言い方があるのかどうか、知りたいものです。

「ごぶる」と「ごぼる」。
要は、小生の記憶の曖昧さ、覚束なさにあります。
小生は本文にも書いたように、18才で郷里を離れたので、自分の記憶の中では「ごぶる」だったはずだけど、自分の記憶違いなのかなと、つい思われてしまったわけです。

で、ネットでは「ごぼる」が圧倒的だった(「ごぶる」の使用は見つからなかった!)ので、つい、「ごぼる」ながけって、折れてしまったんですね。

軟弱な自分が実に情けない。

実は、今日、我が地元(近所の人)に訊ねたら、少なくとも我が近隣では、「ごぶる」という表現(発音)が普通のようです。

きっと場所(地域)によって「ごぶる」に近かったり、「ごぼる」になっていたりするのでしょうね。
国語学者などは、地理的分布など調べたりすると面白いかも。

ということで、自分自身の記憶を信じて、改めて、「北陸特有のしめった雪の中に、長靴がはまり込む音はもちろんのこと、雪の感触までも伝わってくるような感じがする語」として「ごぶる」を使っていきたいと考えています。
但し、他の地では「ごぼる」も大いにありえるってことは言うまでもないこととして!

ご指摘、ありがとうございました。

投稿: やいっち | 2010/01/16 16:25

さとさん

体のほう、もう大丈夫なのかな。

雪、もう、うんざりです。
ガキの頃なら、大雪は大歓迎だったけど、今は見るのもいや。

今日は晴れ間もあって、積もることはないのですが、寒いので、晴れても雪解けはあまり望めなかった。
朝方は凍結して、車を運転していても、怖かったくらいで、日中もあまり気温が上がらなかったんです。

「雪かき」は「雪はね」と言う!
北海道特有の表現なのかなー。
小生は「雪掻き」って無粋な表現しか知らない。

それにしても、新雪のなかを長靴で歩くときは、「雪を漕ぐ」と言うってのも、リアルで凄い表現ですね。
もう歩くって次元を超えてしまっているんですね。
新潟の一部など、積雪が3メートルに達したというから、ここまでくると、「雪の中を潜る」とか「くぐる」とかって表現するのでしょうか。

パウダースノー。魅惑的な。
富山は北海道ほど寒くないし、湿度が高いので、湿った雪。
でも、この数日の雪は、気温が低かったこともあり、少なくとも真夜中から朝方にかけては(小生が仕事している時間帯!)まさにパウダースノーでした。
スキー場なら、滑りまくり。
おっと、受験生には禁句かな。

投稿: やいっち | 2010/01/16 16:32

はじめまして
2年前の記事ですがコメントさせてください

「ごぶる」という言葉を検索していてこの記事にたどり着きました。
私は四国の愛媛県在住のものです。実家は高知県に近い宇和島市というところに有ります。その実家で「ごぶる」を使っていました。

多分ごく限られた地域でしか使っていなかったようで、少し離れたところに行くと通じませんでした。
実際、伊予弁で検索しても「ぞぶる」しか出てきません。


そちらと違って雪が積もることがない為か水に対して使っていました。
「川にごぶってくる」とか「水溜りにごぶって遊んだ」とかそんな感じですが意味合いは雪の場合と似た感じだと思います。

膝下くらいの水に足が浸かってる感じかなぁ・・・


遠く離れてても同じ意味合いの方言があることに驚きを感じました。

投稿: かめちゅう | 2012/01/18 23:52

かめちゅうさん

古い記事(といっても、まだ2年前ですが)にコメントをいただき、ありがとうございます。
久しぶりに読む機会をいただきました。

この頃は、父母も健在で、小生は新聞配達をしていました。
雪の中、せっせと頑張っていた。
「ごぶる」という言葉に拘ったのも、そんな実感があったからです。


方言は味がありますね。
「ごぶる」という言葉、好きです。
感覚的に、雪(それも深雪)の中を歩くギュッギュッという感じを実に上手く表現してくれる。

その「ごぶる」が「そちらと違って雪が積もることがない為か水に対して使っていました。
「川にごぶってくる」とか「水溜りにごぶって遊んだ」とかそんな感じですが意味合いは雪の場合と似た感じだと思います」ってのは、ちょっと驚きだし、とても面白く感じました。

似て非なる、非なれども似ている、言葉の妙ですね。

投稿: やいっち | 2012/01/20 04:38

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