中国大使館のある麻布界隈を走り回ったっけ
皇居や中国大使館界隈などが厳戒態勢だという。
まあ、その理由は、天皇陛下と中国の習近平国家副主席との会見が行われたが、その設定に当たっての民主党政権の対応に、「皇室の政治利用」ではないかと、一部のものが騒いでいるからのようだ:
「皇居周辺、中国大使館など都心厳戒 - 速報:@niftyニュース」
→ 東京の…、日本の…シンボル、「東京タワー」 「東京タワー…沸騰都市東京のシンボル(前篇)」参照。
まあ、ここでは、政治利用に当たるのかどうかといった論議には立ち入らない。
ただ、上掲の記事に載る「日中両国の国旗がはためく中、警備が強化された外務省前」といった写真を見て、東京在住時代、しばしばそんな光景に際会したことなどが思い出されたのである。
ロシア大使館やアメリカ大使館、問題が生じればフランス大使館やオーストラリア大使館なども、警察当局の判断なのだろうが、警備が強化されるし、デモ行進などの光景を垣間見ることがある。
東京在住時代の最後の12年余りはタクシードライバーで、新宿や赤坂、渋谷、大森、青山、三田、高輪、白金、六本木などを拠点に営業した。
三田、白金、芝、青山と来ると、麻布もその界隈で、小生はこれら港区の街をどれほど走り回ったことか。
お客さんを乗せて麻布近辺を走ると、麻布は、昔はタヌキが出たってのが、往々にして話の接ぎ穂に出て来たものだ。
自分から切り出すこともあるし、お客さんからそんな話を持ち出したりする。
というのも、今の麻布を見て、タヌキなど想像も付かないからで、車窓を流れ行く都会を実感させる光景に今昔の感を抱かされるからでもあろうか。
(但し、「走れ!銀座まで! BD-1で自転車通勤 走れ!タヌキ(再び)」なんて日記があるくらいだから、今もタヌキが出るのかもしれない。)
麻布に限らないが、東京の山の手の街はまさに山の手だったわけで、草深い森の山を切り開いて、高級マンションや瀟洒な邸宅などの建ち並ぶ、東京を象徴する光景を現出している。
実際、麻布山善福寺なんて有名なお寺もある。
大概、車で走るから、それと気付かないが、とにかく何処を走っても緩急は千差万別としても坂が続く。しかも、昔から必ずしも計画性を持たずに開発されたからか、坂が多く、しかも、坂の道がとにかく曲がりくねっている。
麻布十番と六本木など、今は綺麗過ぎるほど整備されてしまったが、昔は、それぞれの町が上下に交差しているようで、車で麻布十番から六本木へ行こうとしても、知らない人だと、すぐそこに六本木の町が見えるのに、どうやっても辿り着けず、裏道へ迂回させられ、あるいは大通りに出ても右左折が限定されていて、思いっきり回り道してやっと、目当ての地へ、という経験をさせられる。
タクシードライバーとして、しかも、麻布や青山、赤坂、六本木などを根城に営業していてさえも、裏道の全てを知り尽くした、路地の全てを踏破したとは言えないほど、港区の街路は入り組んでいる。
ある意味、だからこそ、お金持が都会にあって隠れ家的な感覚で自宅を持てるわけだ。
多くの車が走る道から、ひょいと脇道に逸れ、何度か曲がったり、あるいは道なりに走っていくと、不意に高級なマンションのエントランスに出会う。
が、道をよく知らないと、一人では、同じ道を走っているはずなのに、ちょっと一本道を間違えたばっかりに、とんでもない路地に迷い込んだり、突き当たりで立ち往生したりする羽目になる。
中国大使館は、決して迷路の果てに位置しているわけではなく、むしろ、比較的分かりやすい場所にあるとさえ言える。
ただ、出発する場所(駅)によっては、地図を頼りに当たり前の道を走ると、渋滞に嵌まるのは必定となる。
まして、デモがあったり、警備が厳戒態勢にあると、尚のこと、車列の長さにうんざりすることになる。
中国大使館は、麻布の山の一番高いところにあるのだが、他にも巨大なマンションも小高い丘に君臨するかのごとくに聳えていたりする。
麻布に限らず港区には大使館が多い。昔は、大名屋敷が多かったから、その跡地が公的な機関に割り当てられていったのだろうか。
遠目にはその威容が目にはっきりと見えている、なのに車でいよいよ近づいていくと、道が複雑で、もう着いていていいはずなのに、辿り着けない、そんなもどかしさの感を覚える。
まるで、港区は麻布や六本木という大都会にあってカフカの『城』の感覚が一瞬、脳裏を過ぎったりする…、いや、実際、そんな経験を何度となくさせられたものだった。
都会の迷路…。分かってしまえば、道も大したことはなく、すんなり走り抜けられるのだが、ちょっと走ったもの、たまたま通りかかったものには、、余所者、貧乏人を寄せ付けない、迷路そのものと化してしまうのだ。
しかし、そこはそれ、タクシードライバーとして中国大使館への裏道を知っているので、信号に架からず、渋滞に気が遠くなる思いをさせられることなく、呆気ないほど、スーと現地に向かってしまう。
「皇居周辺、中国大使館など都心厳戒 」なんてニュースから、ちょっと麻布界隈を走り回った頃のことで思い出すことがあったので、雑談してみた。
参照:
「DEEP AZABU-麻布・むかし、むかし」
「麻布十番周辺の坂」
「麻布界隈」
関連拙稿:
「東京タワー…沸騰都市東京のシンボル(前篇)」
(09/12/15 作)
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コメント
こんにちは。
面白い時に面白いところへ行ってきましたね!
しばらく右翼がうるさいでしょうね。
投稿: シゲ | 2009/12/16 12:41
シゲさん
東京在住時代の話ですし、週に三日は週日、営業で走り回っていたから、デモ行進や街宣に困った経験は数多あります。
>しばらく右翼がうるさいでしょうね。
右翼も出番ですね。
活動の口実を与えてしまったような。
投稿: やいっち | 2009/12/16 21:16