走れないメロス
今日はちょっとだけ感傷的な、少し虚構も交えたモノローグを書きおろしてみる。
小生の作品の中では、妄想エッセイのジャンルに当たるかもしれない。
← 真暗な中、街灯が並ぶ道に出ると、ホッとする。多くは、僅かに軒明かりだけが頼りだったりするから。ちょっとだけ、「窓辺の影」など、覗いてみる?
闇の中を夜毎、這い回っている。
日によっては同業の者と擦れ違うことも間々あるのだが、逆に全くといっていいほど、人の影と遭遇しないこともある。
そんな夜は、不思議なもので、ネコの姿さえ、滅多に見かけない。
まさに孤独な所業である。
→ 昨日の南天の画像は鮮明ではなかったので、実がはっきり映る写真を載せてみる。真っ赤。多くの木の実が鳥たちに啄ばまれるのに、どうして南天の実はほとんど無傷なんだろう。毒がある? それとも、実の位置が鳥には啄ばみにくい?
そんな人気のない闇の世界で決められたルートに従って走り続けていると、自分だけがとんでもない筋違いな営為に耽っているのではないか、そんな疑念に囚われる一瞬がある。
ホントは、誰も他のやつはこんなことなどやっていない。
自分だけ、バカみたいに、機械的に、道を踏み外すのが怖さに、闇の中の不可視の細い筋道に沿って移動している、のではと思えてくるのだ。
← 雪を被っていた植物たちも、数日の寒気の緩みで顔を覗かせてきた。山茶花の花も多くの花を落としつつも、まだ健在である。
性質(たち)の悪いゲーム。
カクレンボ遊びをして、みんなとっくに家路を急いでいるというのに、一人、何処かの物陰にずっと隠れて、鬼に見つけられないよう、息を潜めている。
そうでなかったら、みんな自分を置き去りにして、他の遊びに心変わりしていったというのに、一人、鬼役の自分だけ、壁に向かってバカみたいに数を数えている…。
もう、放棄されたゲームだというのに!
→ 積雪に道を阻まれ、近づけなかったミカンの木。今日、雪掻きついでに接近してみたら、多くのミカンの実が被害に遭っていた。多分、鳥たちに食い荒らされたのだろう。…悔しくもあるが、鳥たちの餌になったのなら、ま、いっか。
でも、脈絡もなく走れメロスなどを思い出したりする。
自分に課せられた役目を果たす…。
誰も期待していなくても、とにかく最後まで遣り通す。
遣り通した挙句、あれ、まだそんなことやってたの? それ、もう、意味なくなったんだよ! なんてあっさり言われるのだとしても、とにかく自分は最後まで遣り通すのだ。
自分にあるのは、その意地の念、執念の思いがあるだけなのだ。
…尤も、自分は決して走らない。
夜道は暗いから、怖くて走れないのだ!
(09/12/29 作)
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