我がタクシードライバー時代の事件簿(6)
以下の小文は、一昨年、某SNS日記にてメモ書きしたもの(「ピンクで始まりピンクで終った夜でした」にて、ブログに再掲済み)。
(いつも以上に)舌足らずな表現なのは、徹夜でのタクシー仕事から帰宅した直後に、眠れないままに書いたからのようだ。
→ 昨日、所用があって、自転車を駆ってデイサービスのある病院へ。その帰り、冠雪し始めた立山連峰が目に清かだったので、自転車を走らせたまま撮影。目に映る印象通りの写真は撮れない。電線の多いこと!
タクシーの車内での忘れ物は、お客さんから連絡があれば(あるいは届け先が分かれば)、帰庫する前に、忘れ物を届け、あとは通常通りの業務に戻るだけだが、そうでないと、会社に持って帰ることになる。
所定の書面に事情などを書いて、事務所(員)に渡して、一応は役目は終わる。
ただ、忘れ物に(ついても)煩い会社だったから、所長から、忘れ物があっちゃ、いかんなー、とお小言を頂戴する。
さて、今回は、日中、トイレ休憩からタクシーに戻る途中、路上に凄く立派な財布、しかも、分厚い財布を拾ってしまった<事件>の顛末である。
財布を拾うってのは、なんとなく、嫌なものだ。
(以上、09/11/25 記)
「財布を拾ってしまった!」
昨日の営業中、午後の三時頃だったか、財布を拾った(お客さんの忘れ物ではない)。
公園のトイレから出てきたら、歩道上に存在感溢れる何かが落ちている。
まさか、財布…?!
近づくと財布だ。
人通りも少なくない道なのだが、たまたま前後を見渡しても小生一人。
小生がトイレに向った際は、歩行中の人影が何人も居たはず。
ほんの一分か二分の間に通りかかった誰かが落としたのだろう。
その折畳みの財布、分厚い!
表面的な柄からしたら女性物っぽい。
お札がびっしり入っている?
小生、悪いことをするわけじゃないのに、何故か歩道の前後を見渡す。誰も見ていない(見ていたからって何が困るわけじゃないんだけど)。
小生、拾う!
拾って車に乗り込む。
中は見ない。
拾うのも面倒に巻き込まれそうで嫌なのだが、そこは性分で見過ごしにできない。
車に乗り込んだら、「空車」表示を「回送」に変え、近くの交番へ。
事情があって、ちょっと関わりのある交番(でも当時のお巡りさんとは違うお巡りさんに代わっている)である。
交番の中にはお巡りさんが二人居た。
いぶかしげに見るお巡りさん。
「あの、落し物です」
「あの、タクシーだったら、落し物の処理の仕方って会社で決まってるんじゃないの?」
「いえ、車内での忘れ物じゃなくって、トイレに立ち寄った帰り、路上で見つけて拾ったんです」
「あっ、なるほど!」
ということで、拾得物の手続きが始まる。
← この<事件>のあった日の前日(07年10月1日)の夜、芝公園にて曇天の夜空にピンクに萌える東京タワーに遭遇! こんな色にライトアップされた東京タワーは初めてだった。芝公園にある増上寺近くにタクシーの休憩所があり、トイレもあり、都心の一角に位置するのに静かだし眺めもいいので、しばしばこの場所で仮眠を取ったものだった。時には近くの歩道橋に登り、東京タワーを撮影したりしたっけ。
驚いたのは、財布、どう見たって女性物と思っていたのだが、お巡りさん立会いのもとで中を見てみたら、男物。学生(無論、大学名や名前は秘す)。
プリクラ写真が数枚、カードが一杯。
でも、おカネは少々(額も秘す。まあ、数千円)。
財布の柄、女性モノと思ったが、よく見たらミッキーマウスの絵が大小プリントされている。
拾得物の返礼として5%から2割が権利として主張できますが、どうしますかとお巡りさん。
小生、断った。
数千円の1割で数百円。2割でも千円。
カードのお礼は幾ら。
学生さんだし、何処かの料理屋さんの利用券が数枚入っていることからも、つつましい生活ぶりが垣間見える。
それとお礼を貰うなんて、面倒。
そういえば、小生、Gショックの時計とか、鍵束とか、いろいろ交番に届けたけど、あとはどうなったんだろう。
Gショックの腕時計など、欲しかったな(小生、もう5年以上は腕時計をしていない)。
(余談だけど、Gショックを間違って、これ、Gスポットなんだぞと、自慢げに彼女に講釈している若い男がいたっけ)
返礼の権利は放棄した。一応、小生の連絡先(電話番号のみ)はメモしてお巡りさんに。
さて、月曜日の営業を終えて、朝の六時半頃、帰宅。
すると、留守電が入っている。
再生してみると、その男性のお礼のメッセージが入っていた!
うん、それだけで世は満足じゃ。
おカネもだけど、カードが無事でよかったね!
(交番では、お巡りさんが、所轄の警察署から本人に連絡を取ると言っていた。警察からの連絡が来る前に、当人から警察に落し物をしたという届け(問い合わせ)があったのかもしれない。)
(2007/10/02 作)
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