月影のワルツ?
昨夜…というべきか今朝未明といったほうがいいのか、丑三つ時を少し回った頃、仕事のため台所にある勝手口から外に出た。
出た瞬間、気付いたのはこの時間にしてはただならぬ明るさである。
空には星がいっぱい見える。
→ 悲しいかな、今朝未明の月影を撮ることは叶わなかった。これは、昨日の夜の月影。この雲が一掃されて、晴れ渡った空になった。ただ、寒波がきつかった。
が、星明りでこんなに明るいわけがない。
きっと、月のせいだ!
月を探した。
明るいほうを探せばいい。
すると、やはり満月。
月齢上でいった際に正しく満月なのかどうか、確かめてはいないが、目で見る限りほぼ満月に思える。
真夜中の外仕事だけに、月の位置や空模様などに非常に敏感だし、気に掛けていることは一ヶ月前にも書いている。
月光の眩しさにも感激したが、夜の中を裏から表のほうへ回るため、足元を見て驚いた。
足元が明るい。
明るいだけじゃなく、建物や木の影が濃い。
月光の当たる辺りと影になる部分との境目がハッキリしている。
地上世界のすべてのものの輪郭が鮮やかなのだ。
月影…。
こんな時、月影という表現の持つ意味、古の人々が月影に籠めた意味合いを分かったような気になる。
月影には、「月の光」という意味あるが、「月」自体を指すこともある。
何故なのだろう。
ちゃんとした理由は知らない。
調べたら分かるのかもしれない。
ただ、丑三つ時に足元の明るさ、地上世界の木々などのの影、もっと直下を見ると、角度によっては自分の影さえもはっきり地上に刻まれているかのような、そんな光と影の世界、思いがけない影絵の世界を垣間見て、月影とは、月が地上世界に影を齎すから、闇の世界にあってモノたちにシルエットを与えるから、そんな<魔力>を有しているから、だからこその「月影」なのだろうと直感してしまった。
何も、自分の直感が正しいと言い張るつもりなどない。
ただ、月の織り成す地上の影絵の世界を見せ付けられて、そう思ったというに過ぎない。
この影絵の世界にあっては、自分さえ、観客ではなく登場人物の一人として加わっている…、そう月影が教え諭している、そう思わせてくれたのだ。
← 今夜の月はもう朧な月に成り代わっている。これは昨年の十一月の月影。
月は物に影を与える。輪郭を呉れる。
惨めなほどに存在感のなさに苦しむ者にさえ、影を呉れる。シルエットが地上に描きこまれる。
そのシルエットは自分の動きと共に動いていく。
月光によって、たんなる肉体の塊だったものが、地にあって命を与えられ、形を与えられ、動きさえ有していることを確認させてくれる。
だからこその月影という表現なのではないか。
夜空の雲も、月光に照らされ、真っ白。
白く輝いているように見える。
昨日来の寒波の襲来で、北アルプス…立山連峰も冠雪している。
真夜中の明るい空だと、連峰の峰峰の輪郭が黒く綺麗に見えることがあるが、そうじゃなく、輪郭どころか、山の頂の辺りの雪化粧した一帯の白さも浮かび上がっているのだ。
小生は月光の凄まじい夜、月明かりが屋根瓦に反射して、まるで屋根に光の細波が揺れているように見える光景が好きである。
昨日の雨に瓦が磨きこまれ、艶々(つやつや)になっている。
そこに、ちょうど満月の光が当たって、キラキラ輝いているのだ。
無論、真夜中だから家に窓明かりなどほとんどない。
軒先の明かりさえ、とっくに消されている。
世界のすべてが寝静まっている。
そんな中だからこそ、屋根瓦の上の千々(ちぢ)の光の波が一層際立って眩いのであろう。
立派な屋根のある家の影の向こうに透明すぎる夜。星々の煌き。真上よりやや傾いた角度にある月。視線を動かしてみると黒地に白く斑(まだら)模様となった山並み…。
こんな月影の織り成す無音のワルツを楽しみながら働ける人間は幸せだ。
…ただ、やたらと寒かった!
星屑に小道をたどる孤影かな (や)
関連(?)拙稿:
「愚人薄明」
「猫と扇風機の思い出」
「真冬の満月と霄壤の差と」
「真冬の月と物質的恍惚と」
「真冬の明け初めの小さな旅」
(09/11/04 作)
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