我がタクシードライバー時代の事件簿(2)
昨日、書いた小文は、酩酊を通り越して昏睡状態に陥っていた乗客の話だった。
今日、紹介する出来事も、ある意味、酔漢に関係する。
但し、乗客が酔っ払っているのではなく、乗り込もうとする(潜在的には客ではあるが)二十代半ばから三十前後の男が酔っ払っていたのである。
→ 「タクシードライバー スペシャル・エディション」(マーティン・スコセッシ監督 ロバート・デ・ニーロ主演) 小生は、このロバート・デ・ニーロが男優としては好き。めったに一人では映画館に足を運ばない小生だが、彼の映画だけは数少ない例外。 (画像は、「タクシードライバー スペシャル・エディション-ロバート・デ・ニーロ - TSUTAYA オンラインショッピング - DVD」より)
1998年5月2日に、ロックバンド「X JAPAN」のメンバーだった「HIDE」さんが、自殺(あるいは事故死)した事件があった。
ワイドショーか何かで聞きかじったのかどうか今では定かではないが、記憶に間違いがなければ、彼の住所は南麻布にあったのではなかったか。
「X JAPAN」のファンでもなんでもない小生が、この事件が印象深いかというと、やはり、この事件の直前、南麻布でちょっとしたトラブルがあったからである。
自殺(あるいは事故死)のニュースをテレビで(それとも、最初はラジオでだったか)知った時、自宅が南麻布と聞いて、ああ、あのトラブルがあった場所の近くなんだ、と述懐されたのである。
そのトラブルというのは、実際には、トラブルと呼ぶのも大袈裟な出来事である。
この頃は、タクシー業界が(前年の八月以来の不況で)全般的に最悪期にあった。
それでも、この日は、週末だったせいもあって、夜になるとさすがに繁忙の極を迎えていた。
南麻布(97年から98年当時、小生は、麻布、白金、青山、六本木、渋谷、高輪、三田、芝などを営業の拠点にしていた)の古川橋の交差点を明治通りへと曲がっていったところで、何人もの客が通りのあちこちに立って、タクシーを捕まえようとしている。
← 自転車を駆って、市街地へ。その途中、街中のとある特設ギャラリーで見かけた絵。厚塗りの絵の質感や現物の迫力は、この画像からは窺い知れない。題名や作者名はメモできなかった。
仕事が終わり、飲み会へと誰もが先を急いでいて、タクシーは大忙しで、なかなか空車のタクシーが捕まらない。
ベテランのタクシードライバーなら、上客(長距離のお客さん)を物色するのだろうが、小生は、バカ正直に、手前に立っていた二人連れの若い女性客を乗せた。
そして、ドアを閉め、走り出そうとしたら、白金のほうから若い男性が走ってくる。我がタクシーを掴まえようとする。
まだ締め切っていないドアの端を持って、乗せろと言い募る。
小生は、後を振り返って、今、お客さんが乗っておられるので、と断っても、諦めない。
見ると、足元がふらつくほどではないが、もう、既に出来上がっている。
ドアを叩いて、何事か怒鳴っている。
大声を張り上げられても、こちらとしては、どうしようもない。
ドアを何とか閉め、車を走らせようとした。
その瞬間である、車を走らせ始めたら、後ろでドスンという音、響き。
バックミラーで後を見たら、その男が我が車のトランクを蹴飛ばしている!
クソッと思ったが、女性客が乗っていることだし、降りて喧嘩するわけにもいかない。
若い二人連れの女性達は怖がって、後を振り向こうともせず、体を寄せ合って、リアシートで小さくなっている。
車を蹴飛ばすなんて、酔っ払いめ! と思いつつも、酔っ払いに絡まれるのもいやだし、時間が惜しいので、そのまま走らせた。
あとで、車を見たら、さすがにへこんではいなかったが、靴跡がしっかり残っていた!
→ 同じギャラリーで見かけた絵。夢幻的でいい雰囲気。慌しい滞在で、じっくり鑑賞する時間を取れなかったのが惜しい。やはり、題名や作者名をメモしていない。
「我がタクシードライバー時代の事件簿(序)」
「我がタクシードライバー時代の事件簿(1)」
(09/11/14(16) 作)
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