レンズの汚れは傷む心の現われか
← アルバイト先からの帰宅の途上、東の空を撮ってみた。晴れるような、曇りがちの一日になりそうな。
相変わらず、堀 秀道【著】の『宮沢賢治はなぜ石が好きになったのか』(どうぶつ社)を読んでいる。
どうも、以前、この本を読んだことがあるなと思ったら、案の定、刊行されて間もない06年、既に(やはり図書館から借り出してだが)読んでいた!
著者の堀 秀道氏は、テレビ東京の番組「開運! なんでも鑑定団」をご覧になる方なら、鉱物の特集の際のゲスト(鑑定家)として馴染みになっているかもしれない。
小生がこの手の本を見逃すはずがないのだ!
自分の記憶力の悪さに、今更ながら愕然とする。
って、もう最近は慣れっこだ。
再読であっても、『宮沢賢治はなぜ石が好きになったのか』は楽しめるんだから、それでいいのだ?!
実際、どの頁を開いて見ても、つい想像の翼を羽ばたかせてみたくなる記述に遭遇するので、つい読む手が止まってしまう。
→ 父母と小生の三人の揃う茶の間からこの光景を眺めるのも、あと数日? …ところで、画面の中のやや黒ずんだ点(染み)は、レンズの汚れらしい。
ところで、今日も、本書を読んでいて、(個人的に)興味深い記述に出合った。
当該の箇所を一部、転記してみる:
歴代の中国皇帝は幾度も西域に派兵したが、その真の目的は玉の確保にあった。
シルクロードの地図を眺めてみると、西方にラピスラズリの産地があり、東端に中国、中間に玉の産地がある。つまり、この古代のハイウエーは、ほんとうは玉とラピスラズリの道なのであり、「シルク」ロードという名前は、その道を運ばれた商品の一つをとって後からつけられたものにすぎない。このことは、道の出発点が「玉門関」であり、中国側の終点がカシュガルであることから明らかである。カシュは、古代語で玉を意味していた。
(中略…略した部分には、「ひすい」についての言及がある。堀氏は、越後や越中・越前の「越」という地名は、「ひすい」の産地として古来より大陸でも有名な場所であり、「カシュ」、つまり「玉」の意味と無縁ではないと考えておられる!)人類の歴史上、最古にして最長の時間はいわゆる石器時代である。石器時代は旧石器時代と新石器時代に区分されているが、考古学や年代学的な規定ではなく、石の側から見ると「旧」と「新」には明瞭な違いがある。
旧石器ないしそれと称するものは、すべてありきたりの岩石だが、新石器は黒曜石のような特定の岩石、あるいは玉、水晶、ジャスパー、めのうのような特定の鉱物が登場し、特定の意味のある使われ方がなされている。

← 堀 秀道【著】『宮沢賢治はなぜ石が好きになったのか』(どうぶつ社)
中国(の歴代皇帝)の関心が影響しているのかどうかは別にして、「玉」への思い入れは少なくとも古代のある時期までは、われわれ現代の多種多様な宝石を見慣れたものには想像も付かないほどのものがあった。
勾玉にしても、古代(あるいはさらにそれ以前の人たち)は、どんな思い入れをしていたのか、今度、そういった考古の遺物を眺める機会があったら、じっくり古代(人)へ思いを致してみたい。
関連拙稿:
「石が私に語りかけてくる」
「宮沢賢治…若き日も春と修羅との旅にあり」
「色のことまさぐるほどに奥深し」
「地中の鉱石だったとき」
「モーツァルト…石の道辿ってみれば前史より」
(09/09/05 作)
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