疲弊するトンボを路上に置き去りに
今月になってからの繁忙で、読書どころではないが、先月末、最近のヒットと言える本を読んだ。
それは、アドリアン・J.デズモンド著の『ダーウィンが信じた道―進化論に隠されたメッセージ』(矢野 真千子 野下 祥子【訳】 日本放送出版協会 (2009/06/30 出版))という本。
とても、感想文など書く力も余裕もないが、秀逸といっていい本。
→ 昨日の日記には、ゴーヤなどが見事すぎるくらいに育ってくれて、右側の窓が完璧以上に緑の葉っぱで蔽われている様子を見てもらった。この写真は、右側の出窓の様子も収めてみたもの。さすがにゴーヤもここまでは手が届かないが、その分、ヘチマが張り切ってくれている。葉っぱが大きくて、ネット(網)が重く、垂れ下がっていたので、今日、アメリカシロヒトリ駆除のための薬剤を噴霧器で撒布したついでに、ネットをシュロ縄で窓の桟の上の横板に打ち付けてある釘に引っ掛けてみた。なんだか、緑の涎掛けみたい? いやいや、緑の花綵(はなづな)だ!
「この理論が生み出された陰には、いったい何があったのか?キリスト教社会に背いて研究を続けるほど、ダーウィンを駆り立てた熱い思いとは?新たに見直された若き日の草稿、書簡、自筆ノートから、ある強い信念があぶり出される」とあるが、小生がほとんど衝撃といっていいほど初めて知ったダーウィンの進化論を切り拓く原動力に黒人奴隷制度への徹底した嫌悪があった。欧米世界はアメリカを筆頭に、奴隷制が当たり前の世であり、常識でもあった。黒人は、人間とは種が違う。サルに近い存在。自分ではまともな暮らしを営めない存在。人間(ヒト)が哀れみをかけ、守る(奴隷として酷使する)のが正しいという信念。そういった宗教的な背景さえともなう常識を徹底して打ち破るには、誰にも反論のできない、徹底した実証が必要だった。
← アドリアン・J.デズモンド著の『ダーウィンが信じた道―進化論に隠されたメッセージ』(矢野 真千子 野下 祥子【訳】 日本放送出版協会 (2009/06/30 出版)) 「本年はダーウィン生誕200年、名著『種の起源』出版150年の記念の年である」、そういった年に相応しい絶好の本である。
ダーウィン自身は論争を避ける、大人しいタイプの人間。自分の信念に基づく理論を公表するに際しては、病気になってしまうほど、脅えてしまう、戦いの嫌いな人間なのだった。
それでも、黒人を(東洋人も!)を人間の仲間とは看做さない、学者連中などの<理論>を断固、打破するため、戦いの渦中へ飛び込んでいく…。
正直、ダーウィンの理論はともかく、彼がとても地味で面白みのない人間と思い込んでいたが、とんでもなかった!
「ダーウィンが信じた道 紀伊國屋書店BookWeb」の目次を読むだけでも、ドラマチックであることが推測されるだろう。
大部の本だが、中味が濃く、それでいて内容の割りに値段が安い(小生には手が出ないので、図書館で借りて読んだが、いつかは所有して読み返したいと思わせる本でもあった)。
→ 母の看護や容態を見てもらうため、定期的に来てもらっているナースの方(たち)。その約一時間の間は、安心して外出できるので、急いで自転車を駆り、スーパーへ。所定の位置に自転車を止めようとしたら、壁際の路上に何やら赤いものが。見ると、トンボ。赤トンボだろうか? 自転車をトンボを避けるようにして、止め、急いで常備しているデジカメで撮影。しばらくは、トンボ、全く動かない。大人になり切っていないようなトンボ? それとも弱っているの? 時折、羽が微妙に動くようだが、風で揺れているだけなのか。死んでいるわけではない。時折、動こうと試みる風なのである。羽を透かす薄い影がはかなさを感じさせる。路面を見ても、トンボの餌になりそうなものは何もない。やはり、弱っているか、それとも、傷を負っているのかもしれない。そうでないと、ただのコンクリートの路面に留まったままなんてありえないはず。ジッと見ていると、とにかく、この場を去りたい! という本能的な衝動が微動しているように感じられてくる。いっそのこと、何処かへ避難させてやりたいけど、スーパーの建物の回りは、数十台分の駐車場で、立ち木など、ありはしない。とりあえず、自転車の車輪の陰(影)で、赤っぽいトンボを他の不注意な自転車の車輪に踏み潰されないよう、覆っておいて、店内へ。昼食や晩のための食材を買ったりして、戻ってきたら、まだ同じ場所でグズグズしている。帰宅してからも用事があれこれ待っている。心残りなまま、スーパーを後にした。帰り道、せめて、もっと壁際へ、そっと押しやるべきだったのだろうか、なんて後悔めいた思いが胸裏を過(よ)ぎった。
優しさも風まかせかと夏の影
(09/08/12 作)
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コメント
んん・・・気になりますね!こんな時。
先日、玄関前で元気に飛び回っていたキイロスズメバチが、玄関掃除を終えて家に入ろうとすると、階段のところでひっくり返って、苦しんでいました。
どうしたのかな?と、気になって、急病かしらと暫く、ハチの様子を眺めていました。たとえスズメバチだろうと可哀想な気がしました。
その後トンボは如何に・・・
投稿: ピッピ | 2009/08/13 23:59
ピッピさん
トンボの行く末、気になりますね。
さすがに翌日、スーパーへ行った時には何もありませんでした。
…でも、考えてみると、夏も半ばを過ぎると、トンボに限らず、バッタやセミなど、路上に、道端に、数知れず、倒れているのを見かけます。
セミは特に多い。
ある意味、地上での成虫の時期の終焉の頃を迎えているのかもしれません。
路上に散在する昆虫たちの骸、あるいは死に掛かった命。
風前の灯なのでしょうが、命あるモノの運命なのかな、とも思ったりします。
この発想、冷たい?
投稿: やいっち | 2009/08/14 13:19