受賞の夢で目覚める
今朝、嫌な夢、というか妙な夢で眼が覚めた。
→ 朝の五時頃、そろそろ夜明けという刻限。アルバイトの真っ最中。ちょっと気になる深い森を水田越しに眺める。携帯で撮ったので、画像が粗く雰囲気が伝わりにくいが、妙に惹かれる光景なのである。画面には見えないだろうが、森の影の右上に下弦の月影が。
今朝といっても、小生の場合、バイトのため、未明の2時過ぎに外出し、仕事を終えて帰宅するのが6時過ぎ。
それから、父母らが起き出してくる8時頃まで、仮眠の時間である。
できるなら、目覚まし時計のアラームで起きるのではなく、多少はまとまった時間、眠りたいが、現下の事情にあっては、細切れな仮眠を二度、三度と取るのがせいぜいなのだ。
それが、目覚ましが鳴る前に目覚めたのだけど、こんな妙な夢で目覚めるなんて、皮肉だ。
[以下、夢の記述]
嫌な夢で眼が覚めたのは、朝の7時半頃だった。
帰宅し、片付けをし顔など洗って、トロトロでも寝入ったのが、6時半過ぎだとして、一時間も寝たのかどうか。
オレは、ある受賞パーティに出席している。
受賞者の一人として!
一人ひとり、壇上に呼ばれ表彰され、記念品などをもらって、引き下がる。
会場は広くはないが、それでも数十人が出席している。
なぜか、全員、犇(ひしめ)くようにして立っている。
やがて、その中の一人のオレも呼ばれた。
受賞の理由は、オレが書いて公表した小説(多分、…いや断固『フェイド・アウト』(文芸社)である)を評価されてのこと。
オレの胸中では、自分の仕事が世間に認められたのか…、やっとだ、という思いと、安堵の念とが交錯していた。
オレの本は、いままで読まれた(購入された)数はというと、片手の指もあれば足りる。
それが今になって思いがけず、認められた!
嬉しかったのは紛れもない事実である。
壇上へ。
が、それは奇妙な壇だった。
なんだか、草野球のマウンドのような、雨で泥濘んだ地面が、足あとも生々しく残ったままに乾いて固まったような。
やや小高くはあるが、足元の覚束ない立ち位置。
何人もの人の足あとが付いていて、まともに立つこともできない。
(我が部屋の畳を連想させる。歪んでいて、油断すると畳の面の傾斜(ゆがみ)に体勢が崩れそうになる!)
腰で必死にバランスを取りながら、顔だけは懸命に済ました風を装っていた。
不意に妙な予感。
後で誰かが、「そんなー」と呟く。その呟きはオレにも会場の誰にも聞こえている。
受賞そのものが取り消しになったわけじゃなかった。
ただ、賞を与えた後、記念品を与えられるべきはずが、オレだけ、何もないのだ。
というか、急にないことに事情が変わったと、係員か、それともプレゼンターの方が残念そうに、申訳なさそうに、会場のみんなの前で言う。
「そんなの今更、ねー」なんて声が背後から聞こえる。
異議を唱える人も会場には居るのだ。
オレは、賞状と何かの切れっ端のようなものを貰って、すごすごと引き下がる。
飴玉を目の前に突きつけ、さて、口にしようとして、舐めたものは苦い、得体の知れないモノ。
元の場所に戻りながら、他の受賞者らの記念品(副賞品)を窃視(せっし)した。
それは、何かの生地、反物か布地のようなものだった。
なのにオレは、新聞の折り込みチラシのような、あるいは商品を説明するパンフレットのような紙切れだけ。
屈辱だった。
公衆の面前で、突然の降格。ぬか喜び。
けれど、正直なところ、曲がりなりにも世間の評価を一時でも得られたことで、オレもまだやれるじゃないか、という思いも過(よ)ぎっていたことは間違いない(あるいは、おちょくられただけなのか…という疑念も湧かなかったわけじゃないが)。
屈辱感一方ならともかく、妙な自負感のようなものも混ざり合った、自分でも嫌な夢と決め付けられない、不思議な夢で、宙ぶらりんのままに、眼が覚めてからもしばし、呆然としていた。
(09/08/19 作)
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コメント
細切れ睡眠で悪夢を見るなんて、最悪ですね(笑)
私だったら、きっと華々しく記念品も受け取り、天狗になったあとでハッと目が覚め、「クソッ、夢か!!」と悔しがるパターンだなと思いました。
それにしても、本当に奇妙な壇でしたね。
投稿: 砂希 | 2009/08/20 20:21
砂希さん
細切れ睡眠は、忙しくなくても、睡眠障害を抱える小生の場合は普通のこと。
熟睡は、多分、十歳の頃から一度か二度、あるだけです。
なので、夢さえ、滅多に見ない。
夢を見れるほど深くは眠れないからだろうと思います。
それだけに、奇妙な夢に翻弄された思いがしてます。
投稿: やいっち | 2009/08/21 11:28