今日は「谷崎忌」…『細雪』の頃
今日は、小説家・谷崎潤一郎の命日(忌日)だという。
1965(昭和40)年に亡くなった。
その頃はさすがに読んではいない。
高校時代、性愛の世界をひめやかに楽しみたいと、幾つかの作品を読んだっけ。
→ 29日の夕焼け。夕食の片付けを済ませ、自転車を駆って急いで公園へ。日没には間に合わなかったけれど、まずまずの夕景に出会えた。月影も拝めた。
学生時代になって、濫読時代を迎え、彼の代表作を(文庫本に入っているものを中心に)読んだ。
彼の隠微(?)で独特な耽美の世界を少しは楽しめたのかどうか。
やはり、ある程度、年輪を重ねると彼の世界は一層、愉しめるものらしい。
一番、彼の作品とじっくり向き合えたのは、サラリーマン時代の最後の頃、二度、それぞれ約一ヶ月の入院生活を送ったことがある、その長い病院のベッドでのこと。
そろそろ四十歳になろうかという頃。
そして、会社を首になる直前でもあった(退院して会社に戻った日に首を申し渡された)。
手術の前後は気忙しかったりするが、それ以外の時は、点滴や検査などを除くと、ひたすら退屈な時間があるだけ。
なので、せっかくなので、読みたいと思っても、なかなか手が出ない、長編小説を敢えて選んで読み倒していった。
← 今日は雨上がりなので、草むしり。せっせと二時間。その前に、ヒマワリを少しでも太陽のほうに向けようと、植え替え。でも、根っ子が絡み合っていて、分離できす、あちら立てればこちら立たずで、結局、2輪ともに中途半端な向きにするしかなかった。なんだか、どちらも、拗ねているみたい。ショボンとしないで、明日、晴れたら、満面の笑顔で咲いてほしい。
印象に残っているのは、樋口一葉(ちくま日本文学全集、筑摩書房刊)とか、いろいろあるが、中でも谷崎潤一郎の『細雪』(中公文庫)の世界にどっぷり浸かれたのは、病院という閉鎖空間だったからだろう。
『痴人の愛 』とか『卍 』とか『瘋癲老人日記』、『陰翳禮讚 』、『蓼喰ふ虫』、『春琴抄』、『さらには『文章読本 』なども、文庫本でサッと読めるが、『細雪』となると、大部で、やはり多少の気合が要る。
(『春琴抄』は、一度、読んで嫌になった。理由は分からないのだが。高校の教科書で読んで、うんざりしたのは覚えているのだが。)
けれど、読み出してしまうと、谷崎の文章力で、むしろ途中で読むのを中断とは、なかなかいかない。
病院は当然、夜の九時には消灯となる。
四人部屋だったが、カーテンで仕切られていることをいいことに、枕もとの電気スタンドの灯りを灯して、看護婦さん(当時は看護婦さん!)が見回りに来て注意されるまで、読み続けた。
→ 甕から葉っぱが溢れ出そう。もっと広い池にでも移してやりたい。池を掘るのは、手間じゃないけど、我が家は池は鬼門になっていて、ご法度なのである! 幼児用のビニールのプールを池にするかな。
時には、部屋を抜け出して、何処かの照明を求めてうろうろして、何かの施設の部屋に忍び込んだり、読み場所を求め、あれこれ足掻いたりした。
まあ、一番、いいのは、早起きすることだと、退院する頃には悟るわけだったが。
第一、日中はずっと暇なのである。点滴されていて、身動きが取れないのだから、テレビがあるわけもなく、窓の外を眺めるのも悪くはないが、やはり、新聞を読むか、読書なのだ。
看護婦さんウオッチという楽しみもあったが、思い通りには行かない。
病院でも日記(手帳)は付けていたが、どんな感想を持ったのか、覚えていない。
← 今日(29日)の緑のカーテンの状態。ゴーヤには右側の出窓は遠すぎるみたい。ヘチマや朝顔の伸びに期待。
ただ、「松子夫人とその妹たち四姉妹との生活を題材にした大作」である『細雪』は、(谷崎作品に限らず)どんなエロ小説より、エロチック(官能的)に感じられてならなかったことは覚えている。
谷崎は心底、女(性)が好きなんだとも感じた。
個人的には三島文学より、よほど『細雪』を筆頭とする谷崎作品のほうがノーベル文学賞に値すると思ったのだが。
…なんて、徒然に書いてきたら、また谷崎ワールドに浸りたくなってしまった。
(09/07/29 作)
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