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2009/04/30

声はすれども姿は見えず

 ずっと声はすれども姿は見えずだった、我が家の庭で鳴くウグイスの姿をやっと今日、しかとこの目で見ることができた。

 一ヶ月ほど前だったか、ウグイスの鳴く声が喧しいので、台所の出窓の磨りガラス窓をそっと開けて左手にある杉の木を見遣ってみたら、こんもり繁る杉の木の枝葉の陰に小鳥の姿を見かけたことはある。

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→ 最初、ウグイスを発見した時は、こんな風。保護色というのがピッタリの体毛の色だ。

 写真も撮った。
 でも、繁る枝葉の中の小鳥は、ただでさえ保護色の鳥だし、しかとウグイスだとは言えなかった。
 写真の画像を見ても、判然としない。

 しかし、今日は間違いなくウグイスだった。

 昨日の日記にあるように、ニコヨン作業を今日も続けているのだが、今日の三時間ほどの作業でとりあえず目途だけは立って、ホッとしていたら、ウグイスのホーホケキョという鳴き声。

 ウグイスはホーホケキョと鳴くものだと教え込まれているせいか、そのようにしか耳に聞こえない。
 仮に、初めてウグイスに遭遇し、そんな風な擬音の表記を教えられていなかったら、一体、どんな風に聞こえて、どんな風に表記しようとするだろう。
 ちょっと想像が付かないほどに、ウグイスというと、ホーホケキョ、ケキョケキョである。
 時折、チャッチャッとか、チャッとか、強くひと鳴きするだけの時もある。
 
 ホーホケキョと鳴くのはオスのほうだとか。

 囀(さえず)りという表現は似合いそうにない、ウグイスの鳴き声である。
 
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← これじゃ、鳴かずば姿は、まず見つけられないだろう。

 小生の孤独な作業にも、とりあえず見通しが立ったこと、一応は遣り切ったことを愛でるかのようなウグイスの鳴き声、姿。
 見たい見たいと三月…あるいはその以前から鳴き声を耳にするたび、ずっと思い続けてきた。
 朝、八時ごろに起きると、もうウグイスは一羽なのか二羽なのか分からないけど、鳴き声の饗宴だったりする。
 煩いほど、とは思わないが、姿を見れないがゆえにだろうか、ジリジリする時もあったりする。

 ニコヨンの作業を終え、作業服を下着ごと洗濯し、干し、シャワーも浴びて髪も洗った。
 さっぱりした気分になって、所用があって外出し、帰宅したら、ウグイスの空気を引き裂くような声が聞こえる。
 今日こそは姿を見る。ウグイスを見つけて、あわよくば写真も撮る。
 なんて、思って、そのたび、庭の立ち木の枝葉を目を凝らして眺め渡すのだが、見つからなかった。
 今日だって、ウグイスの鳴き声に翻弄されて、こっちの木か、違う。あっちかと、方々の木の枝を凝視したのだ。
 今日もダメかと思ったら、ウグイスの鳴き声が今までとはまるで違う臨場感。
 近い! 間近だ。
 すぐそこにいるはずだ。
 
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→ そのうち、ウグイス君は、我輩を見くびっているのか、それとも、動かざること弥一の如しという異名をとる(?)我輩の泰然自若ぶりに感銘を受けたのか、棕櫚の葉っぱの上に立って、姿を堂々と見せるようになった。

 で、庭先で凍りついたようになって、自分の気配を殺す。
 息を潜める。
 我が家の庭なのに、泥棒でもするような妙な緊張感。
 忍びの者の特集を一昨日、見たし(伊賀上野の特集)、今日も関連の特集をする。
 自分がお庭番になったような気分だ。
 
 と、チラッと動く気配。
 何かが視線を過(よ)ぎった。 
 小鳥の影に間違いない。

 目をさらに凝らす。
 小さな目をもっと細くして影の過ぎ去った先の木に見入る。

 鳴き声がする。

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← こんなに平然としていていいのか。それとも、我輩が追いかけても、全く問題ないと思ってしまったのか。えーえ、確かに我輩は重たいですよっ、だ。

 …いた!
 見つけた!

 やっと拝顔の栄を賜ったウグイスである。
 生憎、左手に書面を持っていて、塞がっている。
 しかし、せっかくの機会を逃すわけにいかない。
 右手をズボンの右ポケットに突っこんで、デジカメを取り出す。
 そう、デジカメは家の外では無論だが、家の中にいても常に携帯しているのだ。
 チャンスは逃さない。同じチャンスは決して来ない。
 似たようなチャンスはあっても、一期一会の人生に同じものの再現はありえない。

 だから、目で見、耳で聞き、体で感じ、余裕があればデジカメで撮る。

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→ せっかくのチャンスだったのに、カメラを持つ手が震えて、画像がボケている。ボケているのは我輩なのか。そういえば、サンバパレードでダンサーさんが目の前でポーズを決めてくれた時も、嬉しさのあまり感激で手が震えて撮影に失敗したことが数知れず。メーカーがカメラの性能をどれだけアップさせてくれても、我が手ぶれだけは直らない ? !

 今日は不思議なくらい、ウグイスは庭先の数本の木々を行き来するばかりだった。
 なので、右方の木から左方の木へ移ることはあっても、姿を完全に見失うことはないのだった。
 目は老眼だが、幸い、数メートル先の物体は識別できる。
 というより、読書には老眼鏡は不可欠だが、やや離れた場所にあるものは今も比較的よく見えるのである。

 だから、風景画も風景写真も好きなのだ。
 綺麗な人も遠くからは一層、綺麗だ。
 間近だったらもっと綺麗かもしれないが、赤の他人をジロジロ眺めるわけにいかない。
 
 おっと脱線。

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← 我輩の万感を他所に、清ましてポーズを決めるウグイス。

 とにかく十分ほど数メートル先のウグイス(やがて他の小鳥もやってきた)を眺め続けることができた。
 ウグイスは我輩のことに気づいているのだろうか。
 それとも、怖るるに足りずと見くびって、無視しているのか。
 枝から枝へ飛び移る際、我輩が見ているとも知らず(?)平気でウンチする。
 
 ちなみに、ウグイス「の糞には豊富に酵素が含まれ、顔面に塗布する事で角質層が柔らかくなって、小皺が取れたり肌のキメが細かくなる・肌のくすみが取れて色白になる事から、古くから美顔洗顔料として人気がある」だって!
 しかも、「ウグイスは大量飼育が難しく、得られる糞も少量であることから、市販の「ウグイスの糞」と称する商品は、ほとんどがソウシチョウを飼育し得られた糞を原料に使用している」だというから、大変な貴重品なのだ。

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→ そのうち、この小鳥クンもやってきて、庭の餌を啄ばんでいた。そうか、小鳥を撮りたかったら、最初から我輩が座ってじっと待っていればいいわけだ。思うに、人間の存在に気づいていないはずがないので、ここまで堂々と餌を啄ばむのは、庭先の作業で、庭を掘り返し、下のほうの土をこの鳥が出没した辺りに撒いたからなのかもしれない。泥の中で休んでいた虫の類いが一杯、見つかるのかもしれない、などと思った。

 いっそのこと、落ちたフンを拾って売っちゃおうか、なんて。

 
 いずれにしても、可能な限り気配を殺しておくに越したことはない。
 左手の書面を、そうっとポケットに突っ込む。
 で、デジカメを両手で持って、本格的に撮影の構えに入る。
 右手だけでも何枚かは撮ったのだが、もともと撮影技術の未熟さでは定評のある(?)我輩である。
 両手で持って撮影するほうがいいに決まっている。

 ただでさえ、買ったのも数年前で、性能からして最新鋭とは言いかねるカメラなのだ。

 そのうち、我輩は庭のコンクリートの駐車場に腰を下ろした。

 ウグイスをじっくり腰を据えて取りたくて。

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← じっくり撮影しようと、我輩が腰を下ろした瞬間、地響きに驚いたのか、ウグイスが飛び去ってしまった。ウグイスとの逢瀬は、こうして儚く終わった。

 ゆっくり座ればよかったものを、どっかりとコンクリートの地べたに座り込んでしまったらしい。

 不穏な気配を察知したのだろうか、途端、ウグイスは飛び去ってしまった。
 我輩のお尻が重くて、地響きでもしたのだろうか。

 ウグイスとの逢瀬は、こうして儚く終わった。

                                      (09/04/29 作)

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コメント

ウグイスって、姿を見せないものなのかと思っていました。
貴重な画像ですね~!
フンはもっと貴重なのかもしれませんが…。
あまり欲しいとは思いませ~ん(笑)

投稿: 砂希 | 2009/04/30 18:37

砂希さん

ウグイス、なかなか姿を見せてくれませんでした。

画像からも察せられるように、やっと姿を見つけたけど、ウグイスまでの距離は10m以上はあったかも。
だから、あるいは小生の存在に気が付かなかったのかも。

おかしいもので、昨日、初めて姿を見たなと思ったら、今日も午後、ニコヨン作業を終え、着替えて作業場を見て回ろうとしたら、ウグイスの鳴き声。
鳴き声のほうに目をやると、数分もしないうちに発見。

どうやら、保護色のウグイスを見つけ出すのに馴れたのかも?

フン、結構、需要があるようですね。
でも、小生も要らないけどね。

投稿: やいっち | 2009/04/30 20:26

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