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2009/04/18

郷里の出来たばかりの公園を散歩した

 昨日の日記に書いたように、母に続いて父もベッドを使うことになった。昨日、発注したレンタルのベッドが、今日の午後、早速届き、寝室に設置された。
 寝室では父母二人それぞれのベッドを利用することになるわけである。
 尤も、父母共に寝たきりというわけではない。食事のために茶の間に出てくるし、トイレも自分でいける。
 ただ、寝起きとかに体力を消耗するのを避けたいという考えでのベッドの導入なのだ。

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 思えば、ほんの数年前まではみんなそれぞれ歩いていたし、みんなで近所の公園へ散歩に行ったこともある。
 否、昨年だって、母は車椅子を使ってだが、家族で植物園内を散策したこともある
 今年、父母らに伴っての桜見物を考えないではなかったが、介添え役が自分ひとりでは心もとなくて、父の体調が思わしくなかったことを口実に、実現に踏み切れなかった。

 桜の季節は終わった。
 行かなかったことを後悔することになる…ような気もするし、来年こそは、とも思う。

 ふと、みんなで公園を散歩した思い出を綴った小文があったなと探してみた。
 僅か数年前の話である。
 この数年の変化の大きさを思い知らされる。

出来たばかりの郷里の公園を散歩した」              


 午前中は、狭いながらも我が家の田圃で田植え。晴天どころか、フェーン現象が生じて、27度を越し、何でも七月頃の陽気なのだという。耕運機の操作を間違えてしまって、余計な苦労をしたもんだから、一通りの作業が終わった頃には、疲労困憊だった。
 実は、最初は耕運機での田植えが不調なのが操作ミスだとは気づかないでいた。それで渾身の力を篭めて何とか苗が植わるように頑張っていたのだ。
 しかし、数往復もしないうちに草臥れ果ててしまい、こんなに疲れるのは、やっぱり、3月から4月に掛けてお腹の不調を抱えるようになり、碌に食事も取れない日々が続いた上、4月の上旬から中旬に掛けては、数年振りに風邪を引いてしまって、お腹の不調を更に拗らせてしまった。この間、会社を二週間ほども休む羽目にもなってしまった。

Unga

→ 「無数の蛍たちが不意に出現したような錯覚を一瞬、覚えた」(本文より)。 …。数年前、東京の某運河にて。運河の夜景を見ながら寝入るのが楽しみだった。


 4月の半ば頃からは体調も回復に向かい、その後、リハビリというほど大袈裟ではないが、例年やっている5月の田植えという作業に耐えうる体力を養おうと、心掛けてはきた。それでも、全般的な体力低下は否めない…。
 それが、自分のドジでしなくてもいいはずの苦労をしていたのであって、耕運機のちょっとした摘みの位置の選択をミスったせいで、苦労をしていたのであって、それに気づいてからは、それまでとは雲泥の差の楽チンさで、作業がスムーズに進んだのだった。そうか、別に体力の衰えのせいじゃなかったんだ…。
 それでも、基本的な作業が終り昼食を取った後は、疲れがドッと出て、奥の部屋に引っ込んで、バタンキュウであった。

 幾分は眠ったのだろうか、起き上がって居間に戻ると、家族一同が揃ってテレビを見ながら談笑している。
 もっとも、聞くところによると、それぞれに疲れていて、てんでに横になって寝入ったりしていて、ようやくみんな、起き出して集まったところなのだという。
 その中で、足の怪我もあり、また、高齢でもある母は、あまり手伝いはできなかったこともあり、比較的元気なのだった。お昼だったか、お茶を飲みながらの一服の際、運河の周辺がとても綺麗に整備されたから、私たち(姉夫婦)は、よく仕事の後、夕方などに散歩する、あとで一緒に散歩しないかという話に乗り気だったのである。
 みんなが疲れから回復して茶の間に集まった時、テレビに興じている中、母はその話を持ち出した。行きたいという気持ちで一杯なのだった。姉夫婦は別に異論はない。小生も、ようやく散歩する元気が出てきたところだった。それに整備された公園とやらを一度は見ておきたい。

 一服したあと、五時過ぎ、姉夫妻と母と小生(と愛犬)とで、かなり整備された駅裏の公園へ。公園といっても、中島閘門から牛島閘門へと繋がる、延長5.1キロの運河沿いの大規模な公園なのだ。公園として整備されているのは、中島閘門までだが、運河そのものは岩瀬の港まで繋がっている。
 一昨年辺り、ほんの一部、数百メートルを残して、ほぼ完成に近づき、一般の方の散歩やジョギング、昼寝、デートにと解放されている。随所に花が植え込まれ、堤沿いには桜並木が整備され、運河の途中に、ビルでいえば5から6階ほどの高さの展望台がある。
 高いところの嫌いでない我が家の母、姉、小生は、愛犬と一緒に登って、遠望を楽しんだ。

 運河のあるこの辺り一帯は、ほんの数年前までは、生活排水などに因る溝(ドブ)特有の分厚い悪臭と、木場を兼ねてもいたので、汚水をタップリ吸い込んだ木材から発する黴臭い臭気とが混ざって、近寄り難い雰囲気を醸し出していた。
 その鼻どころか目をも背けたくなるような臭気は、せいぜい工場しかなく、人気のまるでない、まさに駅裏の、そのまた更に外れに過ぎない一角を澱んだ雰囲気のものにしていたのだった。

 運河は、有刺鉄線などで囲まれ、運河を取り巻く土手や資材置き場などは雑草が深く生い茂っていた。そんな運河なのだけれど、遠い昔、小生がガキの頃は、時折、友達と連れ立って、どこか場末っぽいこの<人外地>にわざわざ遊びに来たことがなかったわけではない。
 運河近くの雑草が人の背をも超えるほどに高く生い茂った中に人の足で踏み固められたような細い道があった。
 子供の気まぐれで分け入っていくと、不意に藪の中から人影が現れてきた。
 運河の水で何度も洗って破れ、地の白もすっかり茶褐色に染まったランニングシャツと半ズボンの、我々と似たような年頃の子供、さらにその親と思われる大人。
 その姿を見て踵を返したかどうかは覚えていないが、二度とその辺りに足を踏み入れなかったことは事実だったと思う。

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← 「富山県富岩運河環水公園」の夕景。(画像は、「帰郷して初めて散歩した(1)」より)

 さて、県は、汚泥のたっぷり堆積した運河の底の土を懸命に浚渫し、更に巨大なポンプを使って、何年も掛けて運河の水を浄化した。その成果が近年、ようやく出たということなのであろう。今も、運河の水は濁っていて、透明度はまるでない。ただ、散歩して歩いた夕刻も、依然として生暖かい風が吹き抜けるのだったが、少しも不快な匂いは感じられなかった。むしろ爽やかでさえあった。

 実は、2000年に富山で国体=国民体育大会が開催された。その、県としての一大イベントに間に合うよう、タイムリミットの設定される中で、懸命の作業が、膨大な予算を計上されて行われたのである。
 尤も、だからこそ、この富岩運河公園(仮称:小生が勝手に命名した。正式名称を亡失してしまった(下記注))が一般に開放されたのだろうけれど。

 当然のことながら、運河を巡る公園ということで、公園の何処からでも立山連峰が望める。
 ただ、立山連峰の眺めそのものは、富山市の市街地の何処からでも堪能できるのが、富山の素晴らしいところだ。それこそ、富山湾の浜辺にいながらにしてでも、白く輝く巨大な天然の屏風が浮かび上がり、富山というスタジアムを覆わんとするような雄勁な感じを楽しむことが出来るのである。

 昨日は、日中、七月下旬の陽気ということで、夕方になっても、風は冷たくは無く、散歩を楽しむには最高にコンディションがよかったのである。
 夕方のニュースで知ったのだが、この日は、魚津で蜃気楼という現象も生じたのだとか。まさに、そうした現象の起きる絶好の気象条件でもあったのだ。

 やがて六時を回った頃なのだろうか、かすかに宵闇の気配が漂い始めた頃、それこそ無数にある街路灯や、展望台や展望橋を照らし出すスポットライトや、さらに運河や噴水などの水とのハーモニーを意図したライトなどが一斉に、ポッと光り始めた。
 無数の蛍たちが不意に出現したような錯覚を一瞬、覚えた。
 無粋な小生も、この時ばかりは、誰か素敵な人と二人で散歩したいものだと思ったものだった。

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→ 「富山県富岩運河環水公園」の夕景。(画像は、「帰郷して初めて散歩した(2)」より)


 我が家からも歩いて十数分ほどなので、もし、いつか小生が帰郷したなら、その頃には植えられたばかりの、まだ痩せ気味の木々の緑も豊かに育っていることだろうし、毎日のようにこの公園に散歩しに来るに違いない。
 そんな日を早く実現したいと思わせる、散歩と散策のための憩いの公園なのだった。

                                   (02/05/05記)

註:富山県富岩運河環水公園

関連拙稿:
水辺へ、そして夕焼け
帰郷して初めて散歩した(1)
帰郷して初めて散歩した(2)
バナナは木ではなく草である:日記篇

                                   (09/04/17編集)

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