「深山ねこ岳修行」…猫の王
先日、アップした「少年マガジンとボクの黄金時代」の中で、「死霊と語る夜」やら「深山ねこ岳修行」、「地底のねずみ浄土」あるいは、「土蔵の中の密議」や「火煙できつね落とし」などなど、民俗学などの文献に当たって調べてみたくなるような話を採り上げている。
← 子猫の円らな目。興味を惹く対象には常に真っ直ぐ。 (画像などは、「今日は外出三昧? ! 「猫! そして幻のポインセチア」篇」参照)
いずれも、もう少し掘り下げておきたい興味深い話である。
そのうち、「地底のねずみ浄土」については、既に簡単にだが採り上げてみた:
「「ねずみ浄土」の周辺」
今回は、やはり気になる「深山ねこ岳修行」について、その周辺を怖々覗いてみたい。
まあ、ネズミを採り上げてネコを扱わないのはバランスが悪いようだし ? !
「少年マガジンとボクの黄金時代」の中で、、『少年マガジンの黄金時代 特集・記事と大伴昌司の世界』(編者: 週刊少年マガジン編集部 講談社)からとして、画像と共に以下のト書きを転記している:
人跡未踏の深山の、妖気ただよう岩山に、月の夜数万のねこが、体重一貫目をこすと、超能力をそなえるといわれている。それは、各地の「ねこ岳」で修行してくるからだ。
ねこは、一貫目をこすと、人間の知らない「ねこ岳」に行く。ここで山伏のような修行をし、神通力をさずかって、飼い主のもとに帰ってくるのだ。むかしの人は、半年もゆくえ不明のねこが、げっそりとやせて帰ると、一人まえのねこになった祝いに赤飯をたいた。
ねこ岳に人間が行くときは、やまいぬの絵をかいた秩父三峰神社のおふだを持っていくという。(ねこ岳伝説の分布地=秋田県鹿角郡猫山一帯の農村。熊本県根子岳付近。そのほか、山口県、宮城県など)。
小生自身は、これに類するような話など見聞きしたことがない(正確には、覚えていない、忘れてしまった…というべきか)。
→ 「深山ねこ岳修行」 (画像などは、「少年マガジンとボクの黄金時代」参照)
ネット検索したら、下記のサイトが見つかった:
「栗太郎本舗(猫) 猫たちが修行する聖なる山 熊本県 根子岳(猫岳)」
この頁によると、「熊本県阿蘇山系にある根子岳は猫岳とも書かれ、地元ではこの山に猫の王が住んでいると語り継がれています」として、幾つかの伝承が示されている:
伝承その一
毎年除夜(節分の夜という説もあり)には、阿蘇郡内の猫達を招集して「御前会議」が開かれます。 その頃になると阿蘇山のいたるところで猫の鳴き声が聞こえ、猫達の行列を見ることがあるとか。 根子岳に登った猫は出世(なんの出世じゃ?)して、気性も荒々しくなるそうです。
伝承その二
根子岳に登るのは特定の日に限ったものではなく、7歳になった猫が登るそうです。
伝承その三
体重が一貫目(3.75kg)以上になった猫が修行(なんの修行じゃ?)のために登る。 だから、大きな猫が姿を見せなくなると、阿蘇の根子岳に修行に行ったのだと思われた。
伝承その四
根子岳にいる猫の大王は、修行に来た猫達に三日三晩稽古をつけてくれる。(だからなんの稽古じゃ?) 免許皆伝(なんの免許じゃ?)となると、そのしるしに耳たぶを噛み割るという。
伝承その五
猫たちの中には、そのまま根子岳に残るものもいるが、暮らしていた元の土地に戻るものもいる。 修行から戻ってきた猫は、猫の仲間の中でも「親方」(なんの親方じゃ?)とみなされ、ネズミも恐れて寄り付かないとか。
「肥後の民話と伝説 根子岳の猫伝説」にも、この根子岳に纏わる伝説が載っている。
ここには冒頭の一節だけ転記する。あとはサイトでどうぞ:
阿蘇の宮地(現在の阿蘇市一宮町宮地)に住む男が、南阿蘇の高森(現在の高森町)まで行くことになりました。宮地から高森へ行くには、日ノ尾峠を越えるのが近道で、その道を急ぐことに。しかし、どういうことか山道を迷っていまい、だんだん日も暮れてきます。仕方なく、辺りで野宿でもしようと場所を捜すことに。ところが森の中に家の灯りが見えるではないか。近寄ってみると大きなお屋敷。「こんな山の中に家が?」と不思議には思ったものの、「野宿するよりは」と、宿をお願いすることにします。
「現在は「根子岳」と書きますが、昔は「猫岳」と書いた」とか。
但し、ネコのような形じゃなく、ネコの耳の形に似ているから、という話である(「根子岳の猫伝説 九州から、風の便り」参照。ネコの耳の形に似ているという「根子岳」の様子については、「根 子 岳 紹 介」などがいい)。
この話は、「まんが日本昔ばなし」にも所収となっているようで、漫画(静止画)でも漫画(動画)でも楽しむことが出来る:
「ねこ岳の怪(1)」(静止画)
「YouTube - まんが日本昔ばなし「ねこ岳の怪」 」(動画)
…そういえば、昔、「まんが日本昔ばなし」をテレビでよく見たものだった。何故か見入ってしまうのだった。
どうして「根子岳」には猫伝説(伝承)がこのように多いのだろうか。
昔は「猫岳」という名前だったというから、その「ネコ」という名称に関係があるのだろうか。
さらにしつこくネット検索したら、下記のようなサイトが浮上してきた:
「Psychic Lab. - 猫の王」
猫の王は世襲制ではないので、次期王は妖怪であったり、精霊であったりその時々で様々である。根子岳に住む野良猫は日本の屋外で見かける野良猫のサイズと比べ、かなり大きく、中型犬を越える猫が沢山いる。大正時代には2.4mの全長を誇る猫が目撃されたという記録も残っているそうだ。2.4mといえば、トラサイズをも越えているであろう。普通に人間も襲われるのでわ。阿蘇郡誌に「虎のような猫の王が猫岳の山の中に住んでいて、毎年除夜の晩に郡内の猫たちを召集して御前会議をした。猫の王が住んでいたので猫岳と名づけたという。」と記録が残されている。熊本県では大きな猫が姿を消すと、阿蘇山に修行に行ってしまったとされ、飼い主も諦めるようだ。猫岳で修行を積んだ猫は口が耳まで裂け、目はつり上がり、尻尾は二つに分かれるという。こういった文献が残っているのを考えると、根子岳は猫又の群生地なのかもしれない。また猫の王位は現在空位であるとされている。
うーむ。キャットばかりに驚くような話である。
ここまで来ると、眉に唾どころか、全身を嘗め回さないと、ネットの夜道で途方に暮れてしまいそう。
← まだ子どもの黒猫。そんなにマジマジ見つめられると…。 (画像などは、「今日は外出三昧? ! 「猫! そして幻のポインセチア」篇」参照)
上掲のト書きに、「ねこ岳伝説の分布地=秋田県鹿角郡猫山一帯の農村。熊本県根子岳付近。そのほか、山口県、宮城県など」とある。
本稿では、「熊本県根子岳付近」だけを採り上げたが、他の地域に付いては、例えば下記:
「猫の覗き見 猫の修行」
猫岳や猫屋敷、化け猫とか、猫は物語になりやすいってことも、伝説の豊富さに繋がっているのだろう。
犬も好きだが、猫も好きな小生、猫の話題となると、止め処がなくなる。
猫の悪口は書いていないつもりだが、祟りがあっても困るし、今回はこれでやめておく。
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