今年最初の読書拾遺
今月になって(というか今年になって)読書拾遺的な記事を書いていない。
前回、書いたのは「正月を迎える準備は万端 ? !」で、これは大晦日の日記だ。
ってことは、二週間以上、間が空いてしまった。
感想文までは書けないが、ここらで読んだ本のメモだけしておきたい。
→ 寒波が襲来する前夜、月光値千金だった。
上掲の日記で現在、読んでいる最中の本として以下を挙げている:
『ボードレール全集 2』 (シャルル・ボードレール 著 , 阿部 良雄 翻訳 筑摩書房)
池内紀著『ひとつとなりの山』(光文社新書)
『ボードレール全集 2』 は、ボードレールの手になるエドガー・アラン・ポーの評伝や評論を読みたくて借り出したのだが、彼の評論があまりに面白くて、とうとう一冊まるごと読んでしまった。
久しぶりにまとまった形でボードレールの評論を読む機会を得て、あれこれ刺激を受けた。
池内紀著の『ひとつとなりの山』は、正直、ちょっとガッカリ。
読んでいて退屈してしまった。
山(登り)の本は嫌いじゃないし、同氏のドイツ文学関係の本は楽しんで読めたんだけど、本書がどうしてつまらなかったのか。
同氏の翻訳した本には随分とお世話になっているのだが…。
数十頁ほど読んだところで放棄してしまった。
但し、本書などの池内節を絶賛する人もいるから、人それぞれだろう。
…それとも、単にバイオリズムが合わなかったのかなー。
今度、違う気分の時、再度、チャレンジしてるか。
冒頭の日記で、次に読む予定の本として以下を示している:
『明治日本の面影 小泉八雲名作選集』(小泉 八雲 (著), 平川 祐弘 (編集) 講談社学術文庫)
これは一気に読んでしまった。
来日当初は日本を美化し過ぎていたのが、軍国主義や富国強兵主義に突っ走る現実の日本の人々の姿に幻滅する八雲の文章も読める。
恐らくは美しい日本も利権や戦争熱に浮かれる日本も、両方共にあっての日本なのだろう。
それはそれとして、八雲の文章は素晴らしい。
同じようなもの・題材を扱っても他の人が書いたら退屈してしまうはずなのに、彼の文章は読ませる。飽きさせない。
中でも一つ、宝石のように輝く一文があったので、書き写したいとさえ思った。
でも、返却期限が来てしまって果たせなかった。
もう一度、借りるか…さて。
← 月に歌いたいような気分も束の間のこと。あっという間に降り積もって、庭の夾竹桃などが雪で折れてしまった。湿っぽい雪なので重い!
同じく冒頭の日記で、借りたはいいけど、読めそうにない本として下記を掲げている:
エルンスト・ブロッホ著『ナチズム 地獄と神々の黄昏』(池田 浩士/藤原 辰史/本庄 史明訳 水声社)
不本意ながら、ホントにほとんど読めなかった。
ナチズム・ファシズムの色彩が濃くなるドイツにあって、「ヒトラー政権下の日常を同時代の現場から批判し、瞞着者たちの暴力と野蛮をあばきだす」ブロッホの勇気ある言論活動。
日本が今、右傾化していると即断するつもりはないが、政界や経済界(あるいは教育界も?)などを見れば一目瞭然だろうが、少なくとも出世できるのは、二世・三世に限られつつあるという現実が一層、歴然たるものになっていることだ。
政治的な保守化とか右傾化というより、日本の政治や経済・社会の閉塞感を感じてしまうのは、小生だけなのか。
閉塞感を感じるのは、特に若い人が政治志向や(それがいいというわけではないが)閉塞状況を打破するヴァイタリティに欠けるように感じられること。
ある意味、若い人たちも多くが中途半端に裕福(でなければ、そこそこに生活できるような)家庭環境に育って、擬似的な二世・三世的な微温状況に浸かりすぎてしまっているからなのか。
この本、ほとんど読めないままに返却したが、機会があったら再度、借りて読んでみたい。
→ ジョセフ・メイザー著『数学と論理をめぐる不思議な冒険』(松浦俊輔訳 日経BP社)
文学系等の本を読み続けたので、生理的に(?)何かサイエンスか理系の本を読みたいと感じてしまう。
年初に借りるに相応しい本ということで、図書館でサックスの『タングステンおじさん』を探したが見つからず、ガッカリ。
とりあえず予約。
書棚を物色して、面白そうな本を発見:
ジョセフ・メイザー著『数学と論理をめぐる不思議な冒険』(松浦俊輔訳 日経BP社)
「ユークリッドからカントール、ゲーデルまで、数理論理学に関わった数学者を中心とした話題を提供する読み物で」、「幾何学、解析学、代数学、確率、などの幅広い分野に題材を取り、それらと数理論理学との関わりを通して、数学のさまざまな分野の魅力を知らしめる啓蒙書」といった本。
高校レベルの知識で読める(小生は高校三年の夏休みまでは大学受験は物理学科を志望していたから、辛うじて資格はある ? !)というし、書き手がまた教えるのが上手な方。
感想など書けないが、数学的センスがあったらなーと、今更ながらに思ったりして。
ルイス・キャロルの本が好きな人なら楽しめるはず。
他にも三冊、今週、借り出して読んでいるのだが、これらについては長くなるので、稿を改める。
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