沢田研二『我が窮状』のこと
ジュリーこと沢田研二氏の『我が窮状』が一部の間で静かな話題となっている(以下、敬称は敬愛の念を籠め、略させていただく)。
その一部というのは、(少なくとも当初は)主に「市民社会フォーラムのMLや『大都留公彦のブログ』などの護憲派の間」だったようである(「カナダde日本語 沢田研二の『我が窮状』を広めて九条を守ろうよ」参照)。
← 沢田研二『ROCK’N ROLL MARCH』(ココロ・コーポレーション) 「我が窮状」などを収録。
小生などはそういった方面の消息に通じているわけではないし、テレビの歌番組はあまり見ない(聞かない)し、我が家では読売新聞を購読していることもあって、今頃になってこの歌(を巡る話題)を知った次第である。
芸能の消息にも芸能人の活動に詳しくないものにも、彼のこの曲(の歌詞)が話題になりつつあるということなのか。
まずは、曲(歌詞)を知っておきたい。
「<映像で伝える熱唱>沢田研二 「我が窮状」【NHK総合 SONGSから】 |どこへ行く、日本。(安倍、福田と二連続投げ出しの後は麻生が継いだ。投げ出す間もなくすぐにお払い箱かと思ったら…)」より:
「我が窮状」/作詞:沢田 研二,作曲:大野 克夫麗しの国 日本に生まれ 誇りも感じているが
忌まわしい時代に 遡るのは 賢明じゃない
英霊の涙に変えて授かった宝だ
この窮状 救うために 声なき声よ集え
我が窮状 守りきれたら 残す未来輝くよ麗しの国 日本の核が 歯車を狂わせたんだ
老いたるは無力を気骨に変えて 礎石となろうぜ
諦めは取り返せない 過ちを招くだけ
この窮状 救いたいよ 声に集め歌おう
我が窮状 守れないなら 真の平和ありえないこの窮状 救えるのは静かに通る言葉
我が窮状 守りきりたい 許し合い 信じよう
無論、「YouTube」などで視聴することができる:
「YouTube - 我が窮状」
沢田研二は、相変わらずクリアーは発音で丁寧に歌っているなと感じた。
世界の情勢が大変貌を遂げつつあり、荒波に舞い込み揉まれる木の葉のような日本という国。
今まで通り、アメリカ一辺倒で、その前提の上で中国などアジア各国や世界に対処していくのか、何処かで立ち位置を変えていくのか、岐路に立ちつつあるように、政治オンチな小生でさえ感じている。
イギリスのような、時に二枚舌外交と揶揄されつつも、深謀遠慮の世界戦略を打ち立てる、したたかな外交戦略を打ち出す能もありそうにない。
下手に自分の頭で外交をやりだすと、すぐ勢いでとんでもない方向へ走り出してしまう、単細胞的な思考(性向)を突破しえる潜在力が我国(の政治家や官僚や在野の論者や)にあるとも思えない。
あるいは、小生が知らないだけで、テレビなどで論陣を張っている、知名の論者でない誰かが瞠目すべき議論を展開しているのだろうか。
いずれにしても、不安心理が募ると、呆気なく一つの戦略の中に絡め込まれてしまいそう。
今…というより、今世紀に入って一層、危機的状況にある。
小泉元首相のような人がヒステリックに、世論を扇動したら、何処かで(そんなに遠くない将来)現今の憲法を変えてしまえ、という短慮が世論の大勢を占めてしまうのではないか。
粘り強い思考の欠如。特に政治に付いては、今後の世界の変化を読む洞察・展望と熟慮が必要だろうが。
選挙管理内閣も現実味を帯びつつあるような…。気のせい? 経済対策で合意はともあく、創憲でも合意とか?
ドサクサに紛れてとんでもない政治的現実が生れてしまうのでは?
余談はさておいて。
この歌は、【ROCK'N ROLL MARCH】 というアルバムの中の一曲で、『朝日新聞』の「ひと」欄で「還暦に憲法への思いを歌う」として彼の考えが紹介されたこともあり、ヒットというわけではないのだが、静かな共感を呼んでいるようだ(当然ながら(?)、反感もある)。
朝日新聞での記事の内容も、上掲のブログ「<映像で伝える熱唱>沢田研二 「我が窮状」【NHK総合 SONGSから】 |どこへ行く、日本。(安倍、福田と二連続投げ出しの後は麻生が継いだ。投げ出す間もなくすぐにお払い箱かと思ったら…)」などにて知ることができる(多数のサイトで採り上げられている)。
ここでは一言だけ、彼の言葉を示しておく:
60歳になったら、言いたいことをコソッと言うのもいいかな、と。いま憲法は、改憲の動きの前でまさに『窮状』にあるでしょう。言葉に出さないが9条を守りたいと願っている人たちに、私も同じ願いですよというサインを送りたい。
「新しもの好きの還暦road 沢田研二 on 朝日新聞「ひと」」にて、記事のコピー画像を見ることができる(全文を読める)。
9月の17日(多分)には、彼のこの歌をNHK総合でも聴くことができたらしい。
ネットでも容易に聴くことができる。
80曲6時間ライブを敢行したという:
「 asahi.com(朝日新聞社):還暦ジュリー9条賛歌 80曲6時間ライブ - 文化」
この記事によると、「休憩を挟んだ第2部の9曲目に、最新アルバムに収録されている自作詞の憲法9条賛歌「我が窮状」を披露。スタンドに1100人のバックコーラスを従える演出で、「我が窮状 守りきりたい」と歌い上げ、ファンも合唱した」という!
尚、「「人間60年 ジュリー祭り」ライブが下記の日程で放送」という:
12月27日(土) NHK総合 22:00~22:43
12月28日(日) NHKBSハイビジョン 22:30~23:59
09年1月9日(金) NHKBS-2 21:00~22:29
「沢田研二 オフィシャル」
「大津留公彦のブログ2 この曲の登場で「我が窮状」は救える!」
「お玉おばさんでもわかる 政治のお話 沢田研二さんの 我が窮状 が朝日新聞で紹介されました(^_^)」
「asahi.com(朝日新聞社):派手にパフォーマンスの裏側は…沢田研二インタビュー - 音楽 - 映画・音楽・芸能」
「酔流亭日乗 ジュリー(沢田研二)の歌う『我が窮状(9条)』」
(08/12/11作)
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コメント
沢田研二がこんな歌を作詞し歌うとは、意外でしたね。でも、幾許かの影響力を持つ人物が憲法九条に対する自分の思いを明確に示すのは、すぐに右傾化しかねないこの底の浅い情けない国にとっては良いことだと思う。彼を見直しましたね、僕は。
投稿: ゲイリー | 2008/12/11 17:39
今晩は。
やいっちさん、ご両親の介護で大変ですね。
お気持ち、よ~くわかります。
1人で頑張りすぎないで、なるべく若い方と接する機会を持たなければエネルギー吸い取られるよ。
介護の認定をされているのでしょうか、いろいろな人に助けてもらって、発散しなければ。
今日のブログ、沢田研二のことは同じ世代だからか、昔から彼はこんな考え方だと知っていました。
朝日の記事も見たことありました。
彼のような方が窮状(九条)をこうした唄で発信するのはまことによいことだと思っています。
最近の日本は筆舌尽くしがたい状況です。何とか頑張っていきましょう。
投稿: さと | 2008/12/11 23:08
うちは東京新聞ですから、おなじみ「こちら特報部」で、いち早くこの話題取り上げてましたね。
沢田研二と政治とは結びつきにくいですが。
ところでお母様麺にむせるとか。
小さく切り刻むのが一番いいのでは。
味噌汁とか飲み物はむせないのですか?
むせるようならとろみをつけるとか考えられたほうがいいですね。
母のホームでしょっちゅう面会にきていた人が最近みえないから、職員にきいたら死亡したと。けどそのことは、ホームにいる奥さんには内緒なんですって、奥さんは旦那さんをまちつづけているわけで、それが幸せとは思えない僕です。
投稿: Oki | 2008/12/12 00:09
ゲイリーさん
>沢田研二がこんな歌を作詞し歌うとは、意外でしたね。
小生にとっても意外でした。
でも、単に彼のことをまるで知らなかったってことですが。
芸能人、しかも、トップを極めてた人気者がこういった考えを明確にするってのは、勇気が要ると思う。
場合によっては、芸能界の一部からはシカトされちゃうだろうし。
それでも敢えて彼は思想や立ち位置を明確にしたわけで、小生も彼を尊敬します。
投稿: やいっち | 2008/12/12 03:05
さとさん
いつも来訪、そして暖かなメッセージ、ありがとう。
小生、介護だなんてものじゃなく、父(母)の雑用係のようなもの。
父が母を面倒みやすいよう、多少のことをやるだけです。
あまり根をつめてやると切羽詰ってしまうし、神経(も体も)参るよって忠告はいろんな方から戴きます。
でも、無器用なので、うまく息抜きをするってのは小生には至難の業。
まあ、追々、何かしら楽しみを見つけていきます…見つけたいです。
沢田研二のこういった考え方って、何処かしらで表明されていたのかな。
小生は全く知らなかった。
芸能界のことに(も)疎いので、こういった人間も芸能界にいるんだよって、喝を入れられたような気持ちです。
こういった明確な立場を示すと、場合によっては芸能活動の上で不利に働くかもしれないのに、敢えてメッセージ性の強い歌を歌う彼を尊敬します。
賛否はあっても、その姿勢は買いたいものですね。
投稿: やいっち | 2008/12/12 03:12
Okiさん 東京新聞を購読している!
珍しい…なんて言うと東京新聞に失礼か。
小生、遠い昔、ホンの一時期、取っていたことがあるけど。
上京して間もない頃だったような。…懐かしい。
>沢田研二と政治とは結びつきにくいですが。
そう、一時はトップスターだったし、今もトップの一人であることに変わりはない。
そんな彼が不都合も覚悟の上だろうけど、敢えて自分の考えを明確に示す、その上で歌っていくってのは大変だろうと思うけど、頑張ってほしいものです。
>ところでお母様麺にむせるとか。
そう、麺類をズルズルやる、嚥下するのが年齢的にきついのかなって。
もう少し、食べ物に工夫しないといけないですね。
ホームには、いろんなドラマがあるのでしょうね。
たまに覗きに行くと、眩暈がしそう。
小生も近い将来、仲間入りなんだろうな(入れるかどうか、分からないかも)。
投稿: やいっち | 2008/12/12 03:18
やいっちさん、ジュリーの続きですが
だいぶ前ですが友人たちとジュリーの窮状について話し合ったことがありました。
ジュリーは私と同じ団塊の世代で、この世代は、小学校以来、社会科で平和憲法のことを一貫して教えられた世代です。
彼は京都の名門高校で、非常にリベラルな教育を受けていたと思われます。
それで、彼はいまだにこの教育を受け継いで、自分なりの考えを歌詞にしたのではないかと?
お母様が麺類をむせるとのこと、私の母も同じで、食べているときに調理鋏で切って食べさせていました。
投稿: さと | 2008/12/12 19:14
さとさん
団塊の世代で、小学校以来、社会科で平和憲法のことを一貫して教えられた世代、且つ、リベラルな教育を受けていた!
教育は大切ですね。小生の生まれ育った富山は、保守王国で真宗王国。
確か、小学校の時から高校まで、学校での何かの儀式というと、君が代や国旗掲揚は当たり前で、全員が起立。
裕福というのか、男性に付いては、お山の大将的な、上げ膳据え膳的育ち方をしてきたものがおおい。
視野が狭く、料簡(度量)が小さい。
殻に閉じ篭りがち(それでも生活できる人が多いから)。
他人の意見に耳を傾けるなんて、そんな融通性には欠けている。
富山では日教組の力も小さい…というか、我が母校ではそもそも組合員自体、一人だったかな。
別に日教組の組合員が多ければいいってことじゃなく、多様な思想や信条の持主が少ないわけです(特に教師や公務員などには)。
ある意味、そういった風土に反発してきたという面が自分にはありそう。
そんな古臭い、事なかれ主義的体質がイタイイタイ病を、その発生・被害の規模を増幅させたのではと、(少なくとも)若い頃は思ったっけ。
そういった現実は、富山だけじゃないけどね。
自分自身、視野が狭いな、常識の土壌が貧困だなって、つくづく感じてきました。
今も、なお、その感を深めつつある(← 自分については特に)。
沢田研二さんがどんな教育を受けたにしろ、芸能界に若くして飛び込み、成功し、トップに上りつめた、そんな中で彼にしても、自分の思想や信条が試される場面が多かったろうと思います。
多分、常人(小生のような凡人)には想像も付かないほど、悩みも深かったのでは。
旧態依然たる思想というか、風土が芸能界には暗然と残っている中、今、敢えて(一部の反発を覚悟の上で)自分のメッセージを発する、その姿勢にひたすら尊敬の念を抱きます。
何より勇気を感じます!!
特に政治性の気味を感じさせるメッセージを発する(持っている)タレントってのは、欧米では尊敬され、格・評価が高いようだけど、日本では、今風に言うと、ウザイわけで、歌手なんてのは、当たり障りのない、どうとでも解釈しえる、一般的な世界を、聞き手に無難な心地よい雰囲気で伝えてくれたらそれでいいってわけですね。
>お母様が麺類をむせるとのこと、私の母も同じで、食べているときに調理鋏で切って食べさせていました。
アドバイス、ありがとうございます。
いろいろ試してみないとね。
お粥とか(今朝のように)お茶漬けとか。
細かく刻んだ果物とか。
麺類も、なるほど、短く切って、というのはポイントのようですね。
投稿: やいっち | 2008/12/13 10:18
うーん、ジュリーは森光子さんと同じ超進学校・鴨沂高等学校出身だけど、硬派のDQN(不良)です。時の過ぎゆくままにの頃に暴力事件起こしてるのも、根がまっすぐだからです。いまの芸能界のことなかれ主義の風潮に反するロッカーです←わが窮状。
でも、ジュリーの本質はミックジャガーを越える歌なわけで、政治的に利用されるのは、「なんだかなーー~」です。
動画サイトにupされている「わが窮状」、完全にNHKからのコピーで違法です。
それをもって紹介するのは、「なんだかな~」だと思うものです。
投稿: ぬこ好き太郎 | 2008/12/14 00:36
ぬこ好き太郎さん
沢田研二さんは、中学では野球部に、高校では空手部に所属、確かに硬派ですね。
暴力事件も若さのゆえだったのでしょうか。事情は分かりません。
その後、転落事故や離婚も経験されて転機となったとか。
渡辺プロから独立し、自立の道を選んで久しい彼。
彼の本質がどのようなものであるかどうか、それは小生には分かりません。
ただ、『我が窮状』を含め、より幅広い芸域と人間味を持った歌手となっていくような予感を持っています。
体験を積み重ねてきた彼のこと、十二分に大人ですから、政治的に利用される、なんてことは余計な心配のように思いますよ。
投稿: やいっち | 2008/12/14 00:58
「ROCK'N ROLL MARCH」CDを買いました。
5軒くらいショップを回ってやっとありました。
(なんとなくネットで買うのでなく手でとって
買いたかった)
このアルバムは丁寧につくられているし、タイ
トルに違わずロックしてますし、非常に良いと
思います。(ラスト2曲は自分的には好みでな
かったけど1〜9の流れは、コンセプトアルバ
ムみたい)
とCD評になってしまいましたが。
みなさんも是非聞いてみてください。
※ロックも九条と同じように窮状なんです。
投稿: music master | 2008/12/17 14:32
>(当然ながら(?)、反感もある)。
ですね、まあ色々な意見があること自体はいいこと
と思いますが。
あるブログでは、昔のジュリーの曲「サムライ」
を持ち出して、「ナチスでしかもサムライだぞ。
冷や水あびせてやる。」と、、、
でもそこにはられてるyoutubeのクリップ。ナチス
風のミリタリー調の衣装をもろはだけて着てるん
ですよ。かってのナチスの軍人が見たら怒る着方
ですよ。あるいは国旗をさかさまに掲げるような
もんです。(上下逆さにしても見分けつかない国
旗もありますが)
言葉の表層でしか理解しようとしてないじゃない
かと思いました。そのブログ書いた人。
「ジュリーはナチス+サムライな人間だぞ。」
って言いたかったんだと思うけど。そもそもその
2つをステージでカップリングしてしまう事自
体、批評精神さえ感じられる行為なような気もす
るんですけど。当時ジュリーがそうした背景であ
えてしたかは分かりませんが。
投稿: kawa | 2008/12/17 16:29
music masterさん
コメント、ありがとう。
「ROCK'N ROLL MARCH」CDを探し出し買って、聴いての感想、聞けてうれしいです。
ロックの魂。
アマゾンでの感想も絶賛でしたね:
(By ぴょん吉)
ベルベット生地をなめらかになぞっていくような声の伸び、艶。時に翳りを帯び、切なく語りかけ、なまめかしい吐息を放つ。
絞った時の2重・3重に響く独特の声、語尾の母音の伸びの色っぽさ、明確に発音される一つ一つのはっきりした歌詞の美しさ。
誰とも似ていない、ジュリーでしかない、ジュリーにしかない、これぞジュリー!の声と歌い方。
充実の作家陣による、元気なロックから切ないバラードまでのさまざまなタイプの曲に、今年還暦を迎える沢田研二=ジュリーがその変幻自在な稀有の歌声をもって応えています。
若い頃の甘くハスキーで伸びやかな声に、年齢と経験を重ねた重厚さと熟成が加わり、このアルバムでのジュリーの声は、59歳のこの期に及んで、むしろ近年より若返り、みずみずしさを増したように思えます。
全11曲。タイトル曲「ROCK'N ROLL MARCH」-図太くて繊細で迷い迷わず、現実を受け入れながら抗い続ける。沢田のおっちゃんが皆に元気をくれます。さあ腕を突き上げご一緒に。ギターかっこいい。「風に押されぼくは」-甘く柔らかな囁きが、一転、愛に苦しむ男の激しい叫びに変わる。その表現の変化の見事さ。「神々たちよ護れ」-軽快かつ明快なロック。殺伐たる当世にあっても自分を見失わず生きようと叫ぶ本人作の歌詞に、つややかな声とシャウトが冴え渡る。「海にむけて」-メロディそのものに海を感じさせる。かけがえのないパートナーとの別れ、人生の後半に向き合う世代に贈られた曲。「Beloved」-ギター1本で歌うアコースティックナンバー。都会の喧騒から遠く離れ、初夏の緑あふれる中にたたずむような言葉と声の広がりが詩的な美しさ。「ロマンスブルー」-のんびりと歌われる、静かな日常、穏やかな愛情・・・なのに声の切なさ色っぽさは全曲中随一!「やわらかな後悔」-せつなく苦しい恋をブレス音も生々しく歌い上げる。「TOMO=DACHI」-いくつになっても同世代の友達ができるのは嬉しい!関西のオッサンの嬉し恥ずかし?な友情賛歌のロックナンバー。友達とは本人と同じく頑固親父な大阪のあの人です。ロックシンガー・ジュリーのかっこよさを堪能できます。「我が窮状」-格調高い、クラシカルな美しい曲。柔らかに伸びるジュリーの深みのある声はこの曲のメッセージを聴く人の心に沁み入るように伝えています(メッセージそのものについては賛否両論あると思いますがネ)。「Long Good-by」-歌詞の「僕らはきれいな大人になれたかな・・・」というつぶやきは、先の見えない世界で先駆者として幾つもの壁にぶち当たりつつ闘いつづけてきた中で、今日まで常に自問自答していたところのものでしょう。優しいメロディーとコーラス、会えない友への想いを訥々と語る歌詞が非常に切ない曲です。「護られているI love you」-歌い出しから愛・生・死の悠大な世界観へいきなり引き込まれ曲の終わりまで帰してもらえません。後半部のたたみかけるような展開がスケールが大きく素晴らしい。泰輝さんは前アルバムの「そっとくちづけを」といいこの曲といい、ドラマティックで心を揺さぶる曲を書かれますね。
個々の曲の完成度が高く、何度も何度もリピートしてしまう中毒性のあるアルバムに仕上がっています。これまで毎年欠かさずアルバムを発表し続けてきたジュリーですが、このアルバムは還暦記念盤にふさわしい大傑作だと思います。
たくさんの人に、このジュリーの声と歌を聴いて欲しい。そしてまた、ジュリーの真骨頂であるライブにもどんどん足を運んでもらいたいと思います。今年のライブツアーでは往年のヒット曲とともにこのアルバムの曲を全曲歌っていますが、CD上でも十分魅力的な曲たちが、舞台上で表現者・ジュリーの刻々と変化する表情と声、練られたパフォーマンスを与えられて更なる完成品へと磨き上げられていく瞬間をぜひ目の当たりにしてみてください。
(転記終わり)
投稿: やいっち | 2008/12/17 23:51
kawaさん
「サムライ」の頃のジュリーは、男の色気たっぷりで、同性であっても嫉妬を超えて、溜め息が出るほどでした。
あの恰好で歌うのは大いに誤解の余地があって、歌うにしても勇気が必要だったろうと思います。
でも、彼は敢えてしっかり歌っていました。
途中からは、あのナチス風の戦闘服も脱ぎ捨てる。
但し、脱ぎ捨てて、恋に走るんじゃなく、何らかの自らの主義(あるいは美学)に己を駆り立てていく。
あの時代は、井上揚水の「傘がない」やかぐや姫、吉田拓郎などのように、デモなど政治的行動より、主義主張より私生活が大事、勇気や男気より恋が、私情が何より大事って歌がメインだった。
それはそれでいい面もあったと思うけど。
その風潮に逆らう、反発する詞であり演出だったように感じられます。
あるいはそれこそがロックなのかもしれないけど(小生にはロックを語る資格はないので疑問符で終えておきます)。
片手にピストル
心に花束
唇に火の酒
背中に人生を
ありがとう ジェニー
お前はいい女だった
はんぱなワインより酔わせてくれたよ
だけど ジェニー あばよ ジェニー
俺は行かなくちゃいけないんだよ
『我が窮状』で分かったことは、今もジュリーは、「サムライ」の心で、何処かへ「行かなくちゃいけないんだよ」って思ってるってことですね。
投稿: やいっち | 2008/12/18 00:06