篤姫・和宮らと立山信仰
11月26日(水)だったと思うが、NHKテレビ(ニュース)の「アクセスリポート」というコーナーで、「篤姫たちを支えた 立山信仰 」といった特集が組まれていた:
「NHKニュース 篤姫 立山信仰寄進の文書発見」
→ 「立山」 (3,015m。「立山(たてやま)は、富山県・飛騨山脈(北アルプス)にある山地。複数の山の総称であるため、別名立山連峰とも言う。日本三名山・日本百名山の一つ。また日本の古くからの山岳信仰の山として、日本三霊山の一つともされる」。画像は、「立山 - Wikipedia」より。)
この日は、なぜか同じこの特集を二度も見てしまった。
といっても、食事の準備か最中か片付けの作業中だったりで、テレビをジッと見ていたと言うわけではない。
なので、ニュース(特集)の中でどのようなコメントがあったのか、ほとんどが右の耳から左の耳へ…どころか、断片的にしか耳にも目にも届いていない。
それでも、篤姫の手紙(古文書)がテレビ画面一杯に映っていたのは、チラッとだが観ることができた。
文書そのものは二年前に発見されているから、研究者の間では既に知られている事実なのだろう。
富山以外の方には、あまり強くは関心を惹かないかもしれない。
宮崎あおい主演の大河ドラマ「篤姫」(宮尾登美子原作)が高視聴率を得ているし(内緒だが、小生は録画などでほぼ毎回、見ている!)、そろそろ終わりの時を迎えつつある中、富山の者としては、少しでもその人気にあやかりたいわけである。
富山は江戸にも京都にも鹿児島(薩摩)にも遠い(但し、富山藩にしても、諜報戦には真剣だったわけで、そのことは例えば拙稿「「富山の薬売りと薩摩藩」の周辺」などで言及している)。
ドラマの中で富山が関連することは(多分)ないし、なかったはず。
だからこそ、「NHKニュース 篤姫 立山信仰寄進の文書発見」といったニュースには飛びついてしまうわけである。
← 「経田の大徳寺に保管されている-立山曼陀羅」 (画像は、「立山曼陀羅」より。「江戸時代には多数の立山曼陀羅が製作されたが、 現在、 全国に四十点余りが現存するに過ぎない貴重な資料である」という。是非、クリックして拡大画像で見て欲しい。篤姫が見たのは、どのような立山曼陀羅だったのだろう。)
篤姫・和宮らも関わった「立山信仰」については下記のサイトが詳しい:
「立山芦峅寺衆徒の「立山信仰」ビジネス」
―特に江戸での天璋院篤姫・静寛院和宮・江戸幕府
第14代将軍徳川家茂との関係も交えながら―
富山県立山博物館 主任・学芸員 福江 充」
一部を転記させてもらう:
立山山麓の芦峅寺と岩峅寺の宿坊衆徒のうち、芦峅寺衆徒は、例えば江戸や大坂・尾張国・信濃国など、日本各地に縄張りを決めて檀那場を形成し、毎年農閑期になると各自の檀那場に赴き、立山信仰を布教しながら護符や経帷子を頒布して回りました。
(中略)
芦峅寺衆徒は毎年、講元の庄屋宅や江戸の檀家に宿泊した際、近隣の村人を集め(江戸では各家単位で実施)立山曼荼羅を掛けて絵解きしました。曼荼羅の画面から、立山開山縁起や立山地獄と立山浄土、女人禁制にまつわる伝説、布橋大灌頂法会などの内容を順々に引き出し、また時には、特定の内容だけを、話芸を駆使し、身振り手振りもまじえて物語ったといいます。
(中略)
江戸時代後期以降、立山信仰が江戸の町民社会はもとより、江戸城や新吉原などの特殊な社会のなかでも受容されていたことがわかってきました。今年の大河ドラマの主役天璋院篤姫や静寛院和宮、そして将軍徳川家茂や幕閣大名なども、立山信仰と意外なかかわりをもっています。
富山にとっての(一応は)全国的なニュースなので、当該のニュースも、消滅(削除)される前に、一部なりとも転記しておく。
「NHKニュース 篤姫 立山信仰寄進の文書発見」(11月26日):
幕末から明治にかけて波乱の生涯を送った天璋院篤姫が、北アルプスの立山連峰に古くから伝わる山岳宗教「立山信仰」に寄進して祈とうを依頼していたことを示す古文書が富山県で見つかり、研究者は、幕末の政情が不安定だった時期に篤姫が信仰に心を寄せようとしていたものとみて注目しています。この古文書は、立山連峰のふもとにある富山県立山町の民家で、おととし蔵を取り壊した際に見つかり、立山博物館の研究者が文字の復元などの作業を進めています。古くから聖地として信仰の対象となっていた立山の僧りょは、江戸時代、全国を回って盛んに布教活動を行っていましたが、古文書には、大政奉還の6年前の文久元年に、僧りょが江戸城の本丸を訪ねたという記録が残されています。また、その翌年に篤姫が祈とうを依頼するために寄進を行ったことを示す記述もあります。さらに寄進者の一覧には、14代将軍・家茂の妻、和宮の名前も書かれていました。立山博物館では「当時、女性は山に入ることが許されなかったが、立山信仰は、代わって祈とうを行う宗教となっていた。篤姫は、幕末の動乱期に何かにすがりたいという思いで信仰に心を寄せたのではないか」と話しています。

→ 「剱岳(2005年6月)」 (2999m。画像は、「剱岳 - Wikipedia」より。「剱岳(つるぎだけ)は、飛騨山脈(北アルプス)の立山連峰にある標高2999mの山。富山県の上市町と立山町にまたがる。日本百名山の一つ」!)
参考:
「大河ドラマ 篤姫」
「AOI MIYAZAKI official web - 宮﨑あおい」
「飛越地震から150年」
(篤姫や井伊直弼らが活躍していた時代に起きた地震を扱っている。)
「「富山の薬売りと薩摩藩」の周辺」
(富山藩の薬売りを使っての諜報戦など。)
「立山信仰と立山曼荼羅の解説」
(篤姫らが見た立山曼陀羅とは。)
「剱岳(劔岳)点の記コーナー」
(宮崎あおいも出演者の一人である、来年公開予定の、映画『劔岳 点の記』(木村大作監督作品 音楽 池辺晋一郎)についての情報をパンフレットから。)
「宝泉寺蔵地獄極楽図から我が地獄の夢へ」
「富山……佐伯有頼そして立山」
「善知鳥と立山と」
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コメント
■NHK「篤姫」視聴率、自己最高の29・2%-なぜ高視聴率なのか?
こんにちは。篤姫、幕末ものはヒットしないというジンクスを破って高視聴率を獲得していますね。私は、この視聴率の背後には、多くの人たちの改革への期待があるのではないかと思います。現状の社会の閉塞感を打ち破る明治維新のような大改革を無意識のうちに求めているのではないかと思います。そうして、私は本当に閉塞感を打ち破る方法はあると思います。それは、明治時代の先達が西欧から本格的に導入することをしわすれた、あるシステムを導入することだと思いす。良い悪いは別にして、まずこれをしなければ、今の日本の閉塞感に満ちた状況はなかなか打ち破ることはできないと思います。詳細は、是非私のブログをご覧になってください。
投稿: yutakarlson | 2008/12/02 13:17
yutakarlsonさん
ブログ、なかなかの力作ですね。
明治維新政府やその後の政府などが西欧などから様々なものを時代の変化につれ導入してきたようですね。
功罪もあったようですし、日本的な制度に変貌したものもあったような。
これからの日本の課題は様々あって、仰られるように、NPOの事業もその一つだろうと思います。
小生には難しいことは分かりませんが、民間の中にも、NPOの事業に理解をもつ人が少なからずいるとも聞きます。
問題は資金などを援助(寄付)しようとしても、そのおカネに税が掛かってしまうこと。
まずは、寄付金は、所得税から差し引くなどして寄付しやすい制度を作ることも一策かなと思います。
欧米では既にそうした税制面での工夫がされていると聞きますし、日本も早くそうなればいいなって感じています。
投稿: やいっち | 2008/12/03 09:29