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2008/10/26

梅の木に見守られ…読書・音楽拾遺(後篇)

[本稿は、「自転車を駆っていそいそと…読書・音楽拾遺(前篇)」に続くものです。内容的には独立しているけど。 (08/10/26 記)]

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→ 我が家の庭先にある梅の木。外出するときも、帰宅するときにもこの樹齢約150年の梅の木にご挨拶。行ってきま~すとか、ただいま~とか。我が家を五代に渡って見守ってきた木。家が全焼した空襲の際にも焼け落ちることはなかったのだが、世話を怠ったばっかりに今や朽ちなんとしている…。

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← 原武史 著『〈出雲〉という思想』(講談社学術文庫)

 原武史 著『〈出雲〉という思想』(講談社学術文庫)は手付かず。「内容情報」によると、「明治国家における「国体」「近代天皇制」の確立は、“伊勢”=国家神道の勝利であった。その陰で闇に葬られたもう一つの神道・“出雲”。スサノヲやオホクニヌシを主宰神とするこの神学は、復古神道の流れに属しながら、なぜ抹殺されたのか。気鋭の学者が“出雲”という場所をとおし、近代日本のもう一つの思想史を大胆に描く意欲作」だとか。
 面白そう。今夜から読み始められるか。
(…この記事を書き上げた夜半過ぎ、就寝時から読み始めることができた。まだ冒頭の十頁ほどを読んだだけなのだが、「古事記」や「日本書紀」、特に「日本書紀」の「一書にいわく」の重要性について、蒙を啓かれる思いがしている。 これは、「日本書紀」を本文だけじゃなく注記も含めて読み返す必要があるのかもしれない。(08/10/25 追記))

 二十日、読了した本や期限の来たCDを返却に。
 でも、CDだけは絶やしたくないので、即座に他のCDを物色。

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→ 上松美香『mika agematsu』 (画像は、「【楽天市場】上松美香/mika agematsu:アサヒレコード」より。)

 図書館のAVの書架を渉猟していたら、懐かしい名前が。
 アルパ奏者の上松美香
上松美香ホームページ

 久しぶりに生きのいい音楽を、ということで、彼女のCDを手に取った。
 借りたのは、「上松美香/mika agematsu 」である。
 彼女のこのCDを聴くのは大概、朝一番、目覚めに。
 彼女の生きのいい演奏で気合を入れてもらう!

 就寝前に聴くCDということで、このところ無性に往年の映画音楽が聞きたくなっているので、また、「決定版 永遠の映画音楽」を借りてきた。
 残念ながらこのCDの画像は見つからなかった。ただ、曲目は「決定版 永遠の映画音楽【CD】-音楽-HMV」と全く同じ。ジャケットは、スティーブ・マックイーンが主演した映画「大脱走」の一場面が使われている。

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← メンデルスゾーン 『無言歌 (全曲) 』(ダニエル・アドニ:演奏 EMIミュージック・ジャパン) 「アドニが国際的に頭角を表わしはじめた頃の録音。各々性格の際立つ小品を,巧みなピアノの語り分けで一気に聴かせてしまう磁力がある」だって。「無言歌集」については、「無言歌集 (メンデルスゾーン) - Wikipedia」や「メンデルスゾーン - 無言歌集 第4巻 Mendelssohn, Felix - Lieder ohne Worte Heft 4  ~ピティナ・ピアノ曲事典 Encyclopaedia of Piano Music~」、あるいは「日々雑録 または 魔法の竪琴 メンデルスゾーン 無言歌 田部京子」などを参照。今すぐ聴きたい人は、「☆メンデルスゾーン無言歌集☆」などをどうぞ。


 CD(音楽)でちょっとした発見があった。
 発見と言ってもクラシックファンなら常識に属するというより、何を今更なのだろうが、小生にとっては発見であり出会いだった。
 それは、フェリックス・メンデルスゾーン(Jakob Ludwig Felix Mendelssohn Bartholdy, 1809年2月3日 ハンブルク - 1847年11月4日)の「無言歌」(ピアノ演奏は、ダニエル・アドニ)である。
 どうやら「無言歌集」は、ピアノ学習者にはおなじみの、練習曲であり課題曲だったりするようだが、小生は(多分)初めて聴く。
 新鮮でもある。
 メンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲は小生にとって懐かしい曲。
 めったにレコードなど買わない学生だった小生だが、大学に入って間もない頃、当時創刊されて間もない月刊の音楽冊子を揃えていった。
 その冊子はB3版ほどのもので、大きな写真が多数入っており、説明も簡潔だったのだが、付録として、毎号にレコードが付いて来るのだった。
 バッハがあり、ブラームスがあったはずだが、とりわけメンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲に降参してしまった。
 というより、小生が(ポピュラー化された曲以外で)クラシックの曲で初めて感動した曲だったのである。

 クラシックには高校時代から友人宅で親しんでいた。
 友人宅に行くと、必ずモーツァルトやベートーベンのLPを聞かせてもらう。
 フルトヴェングラーやらカラヤンやらワルターなどなどの指揮者の名も耳にした。

 でも、高校時代は、まあ、聞かせてくれるから聴いている(あるいは、友人が聞きたいから流す、それをBGM風にお喋りの際に聞き、あるいは話のネタにする)だけのことだった。
 大学生になった最初の年、メンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲に出会い、遅まきながらクラシックの世界に目覚め、それからはブラームスへバッハへ、というわけだった。

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→ アントニオ・ネグリ(著)の『野生のアノマリー』( 杉村昌昭/信友建志訳 作品社)

 二十日は、手元に読み止しの本があることだし、本は借りるつもりはなかったのだが、でも、せっかくだからと新刊コーナーへ。
 すると、一冊の本が小生を手招き(?)している。小生の目を釘付けにしたのである。
 それは、 アントニオ・ネグリ(著)の『野生のアノマリー』( 杉村昌昭/信友建志訳 作品社)である。
 副題が、「スピノザにおける力能と権力」で、刊行が10月(20日)。
 つまり、ホントの新刊だ。
 どうしてこんな本が書架にあるのか。
 一体、誰がどういう尺度・基準で限られた乏しい予算の中で新刊を選ぶのだろう。
 でも、ありがたい。
 スピノザについての本というと、手が伸びてしまう。
 約10年ほど前には、イルミヤフ・ヨベル著の『スピノザ 異端の系譜』(小岸昭/E・ヨリッセン/細見和之訳、人文書院)を読んだことがあり、一昨年だったか、再読もした(小生は未読だが、訳者の一人である小岸昭の手になる『マラーノの系譜』(みすず書房)が出ている。スピノザ理解について、一般向けという点では、『野生のアノマリー』よりは『スピノザ 異端の系譜』が、そして多分『マラーノの系譜』のほうが読みやすいかもしれない)。

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← イルミヤフ・ヨベル著『スピノザ 異端の系譜』(小岸昭/E・ヨリッセン/細見和之訳、人文書院) 「内容紹介」によると、「『エチカ』で知られるスピノザの内在の哲学、その起源には14世紀に始った改宗ユダヤ人《マラーノ》の葛藤状況が存在していた!――異端審問時代のスペイン・ポルトガルにおいて密かに育まれた内在の思想が彼の思索生活のなかでどの様に体系化されていったかを検証するとともに、その哲学がカント、ヘーゲル、ヘス、マルクス、ニーチェ、フロイトらに与えた多大な影響を考察する」だって。確かに面白かった。スピノザの存在感が近年、ますます重みを増しているような気がする。「松岡正剛の千夜千冊『エチカ』上・下 バルーフ・スピノザ」など参照。

 本書は、スピノザを現代に生きる思想家・実践家としてリアルな政治や宗教の緊張のもとに捉えなおし賦活させる…とか(未だ読んでいないので、曖昧な表現)。
 冤罪で監獄に囚われの身だった時(予防拘禁)に著者は本書を書きおろしたという曰くつきの本である。
 この辺り、やはり、「松岡正剛の千夜千冊『構成的権力』アントニオ・ネグリ」が詳しい:

(前略)1978年、「赤い旅団」による元イタリア首相モロの誘拐暗殺事件が勃発した。ネグリは「赤い旅団」の"最高幹部"として暗殺事件にかかわったとみなされ、4月に逮捕される。さらにモロ殺害容疑、国家に対する武装蜂起容疑、国家転覆罪容疑で起訴された。
(中略)
 逮捕されてからは、4年半にわたって裁判が開かれぬまま最重要警備獄舎に"幽閉"された。予防拘禁である。そのあいだ、ネグリはスピノザ論として『野生のアノマリー』を著作したかとおもえば、1985年には突如として獄中から国会議員に立候補して、当選をはたしてしまった。これで議員特権による釈放を勝ちえたので、世間はその法を抜ける手法に喝采をおくったのだが、敵もさるもの、3カ月後にはすかさず議員特権を剥奪した。しかしその逮捕のために官憲が来る直前に(数時間前らしい)、ネグリはスクーターでまんまと逃走、さらに船に乗り換えて行方をくらました。まるでティモシー・リアリーだ。

 アントニオ・ネグリって奴はとんでもない奴なのだ。
 
 …というわけで、二十日はCD三枚と本書をビニール袋に詰め、自転車の籠に収め、いそいそと帰宅の途についたのだった(でも、途中、スーパーに寄って買物をしたのは言うまでもない。籠から荷物が溢れそうで、手で押さえながら自転車を駆って帰ったのである)。

                          (08/10/24 雨の夜に記す)

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