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2008/10/10

消えゆく蒟蒻畑を惜しみつつ

 先ごろ、下記のニュースが飛び込んできた。

Tky200809300203

← 「死亡事故と同じ「蒟蒻畑 マンゴー味」の容器=国民生活センター提供」 (画像は、「asahi.com(朝日新聞社):こんにゃくゼリー、また幼児死亡 対策取られず17人目 - 社会」より。)

asahi.com(朝日新聞社):こんにゃくゼリー、また幼児死亡 対策取られず17人目 - 社会」(文中の太字は小生の手になる):

 国民生活センターは30日、兵庫県の男児(当時1歳9カ月)がこんにゃく入りゼリーをのどに詰まらせる事故が7月にあり、9月20日に死亡したと発表した。こんにゃくゼリーは子どもや高齢者には窒息の危険があるとされ、95年以来の死者はわかっているだけで17人となった。規制する法的な枠組みがないとして抜本的対策がとられず、被害が広がっている。

 センターによると、事故のあった製品は業界最大手「マンナンライフ」(群馬県富岡市)の「蒟蒻畑 マンゴー味」。凍らせたものを7月29日に祖母が与えたという。
(中略)
 マンナンライフの話 これまでの事故を受けて、業界団体で協議し、商品に警告マークをつけてきた。表示を大きくするなど、消費者にさらにわかりやすく改良したい。製造を中止する考えは今のところない。

 佐野真理子・主婦連合会事務局長の話 これだけ多くの方が亡くなり、「行政のすき間」の商品として問題となっていたのに、行政が何もせず放置してきた結果、また1人亡くなった。警告マークをつけて済む問題ではないことが明らかになったし、そもそも高齢者や子どもが食べてはいけないお菓子が流通していること自体おかしい。早急に消費者庁を設置して、規制すべきだ。


Mango1

→ 「蒟蒻畑 マンゴー味」(メーカーは、「マンナンライフ」)

 この<事故>については、下記のサイト記事が参考になる:
「こんにゃく入りゼリー」よりものどに詰まって死亡した件数が多い危険な食べ物ベスト10 - GIGAZINE
 本稿もほとんどその丸写し(抜粋)である。

 この記事によると、「食品による窒息事故に関する研究結果等について」という資料がある。
「この調査は2008年1月から3月にかけて行われたもので、2006年1月1日からの1年間、消防本部および救命救急センターを対象として事故事例を調べたもの」だとか。
 以下、上掲の記事には、当該期間において死亡例が「2件よりも多いものを列挙」してある。

「この両方(消防本部および救命救急センターで集計された事例)を足した結果、明らかになった「こんにゃく入りゼリー」よりものどに詰まって死亡した件数が多い危険な食べ物ベスト10は以下の通り。意味がないような気もしますが、こんにゃく入りゼリーの2例と比較して何例かを計算し、何倍危険かも示してあります」として、以下の表が作成されている:

1位:もち(168例、「こんにゃく入りゼリー」の84倍危険)
2位:パン(90例、「こんにゃく入りゼリー」の45倍危険)
3位:ご飯(89例、「こんにゃく入りゼリー」の44.5倍危険)
4位:すし(41例、「こんにゃく入りゼリー」の20.5倍危険)
5位:あめ(28例、「こんにゃく入りゼリー」の14倍危険)
6位:だんご(23例、「こんにゃく入りゼリー」の11.5倍危険)
7位:おかゆ(22例、「こんにゃく入りゼリー」の11倍危険)
8位:流動食(21例、「こんにゃく入りゼリー」の10.5倍危険)
9位:カップ入りゼリー(11例、「こんにゃく入りゼリー」の5.5倍危険)
10位:ゼリー&しらたき(それぞれ4例、「こんにゃく入りゼリー」の2倍危険)
(中略)
つまり、「65歳以上の老人と1歳~4歳の乳幼児にもち・パン・ご飯・すし・あめ・だんご・おかゆ・流動食・カップ入りゼリー・ゼリー・しらたきを食べさせると窒息死する可能性が高い」ということをより周知徹底することが先決であり、「マンナンライフ」に圧力をかけて「蒟蒻畑」を発売禁止にするのはお門違いです。「こんにゃく入りゼリー」を発売禁止にしても何も問題は解決しません。

 小生も同上の意見に賛同している。
「こんにゃくゼリーは通常のゼリーより硬く、弾力性が強いため、のどに詰まらせやすい」というが、冒頭に転記して示した記事にあるように、「凍らせたものを7月29日に祖母が与えたという」ではないか!
 そりゃ、(過失だとしても)ほとんど殺人じゃないのか?
 商品のせいに、メーカーのせいにするなんて、責任転嫁じゃないの?

この危険度順位については、統計の取り方の上での問題点があるという指摘があった。その指摘については、本稿に寄せられたコメントを参照してもらいたい。
 要は、「もち」や「パン」、「ご飯」、「だんご」等々は、「蒟蒻ゼリー菓子」よりずっと多く(多分、回数も量も)食する機会があるわけで、それを単純にそれぞれの食材に関係する事故の件数で比較し、危険度を忖度するのは、理屈からして成立しない議論なのだ、ということだ(加えるにお菓子として不完全なのではないか、という指摘もある)。
 指摘そのものは真っ当であろう。
 なので危険度順位はやや笑止に近いやもしれない。
 が、その上でも、実際に問題なのは事故率とか危険度ということではなく、実際に発生する事故の件数自体が問題なのではなかろうか。
 つまり事故の相対的な件数ではなく、発生した絶対数そのものが問題のはずと考えるべきではないか。
「もち」や「パン」に起因する、乃至は関係する事故の件数が多いとしたら、それこそが問題のはずなのである。
 蒟蒻ゼリー菓子に問題があったとして、凍らせて食べさせるといった間違った食べ方をしたら、原理的にどんな食品であっても、危険度が高まるのは当然のはずであろう。
 よって、今度の事件を契機に、事故の発生件数の多い「もち」などの事例を鑑み、(鉄は熱いうちに打て、ではないが)それぞれの食品について食べ方に注意しましょう、といった注意喚起の試みが当局によって、あるいはマスコミなどによって為されてしかるべきだったように思う。
 が、現実問題として、「もち」や「パン」など事故の件数の多い食品については、あまりに一般に馴染み生活に溶け込んだものなので、今更、消費者庁などの当局が口を挟むのは難しい。
 せいぜい、お年寄りの方や小さなお子さん(をお持ちの方)は、食べ方に気をつけてくださいと注意を喚起するくらいのものなのである。
 一方、蒟蒻畑ゼリー菓子の類は、新参者のお菓子なので、出る杭は打たれるの類で、完全に一般に馴染みの食品になる前に世の中から消し去っても、少なくとも当局は、そして多くの未だこのお菓子を食べたことのない方々は一向、痛痒を覚えないわけである。
 また、蒟蒻ゼリーのお菓子を食べて事故が発生した以上、従前なかった食品に関連する事故(事件)である以上は、食品の性質その他に問題があったのではと追求・指弾されるのも当然のことでもある。
 どうしても、蒟蒻畑(ゼリー菓子)を食べてもらいたい、メーカーとして売りたいのなら、 危険性の全くない状態(それが可能なのかどうか分からない。…なぜなら、「ご飯」や「おかゆ」「流動食」ですら事故例が相当程度あるのだ。ゼリー菓子をトロトロの流動状態の形で売り出しても、事故は絶対発生しないとは言えないだろう。誰かが凍らせた状態で子供かお年寄りに食べさせて、一件でも事故が発生したら、理由の如何を問わず、それみたことかと今度はそれこそメーカーは袋叩きとなるだろう!)にして、捲土重来を期すべしということなのだろう。
(08/10/12 追記)]

こんにゃくゼリー窒息死:業者に再発防止要請--野田・消費者行政担当相」:

 兵庫県の幼児がこんにゃくゼリーを食べて窒息死した事故で、野田聖子消費者行政担当相は2日、製造元のマンナンライフ(本社・群馬県)の鶴田征男会長らを内閣府に呼び、再発防止策の徹底を要請した。
(中略)
 野田氏は、既に流通している製品の自主回収や、のどに詰まりやすい製品の形状見直しを促した。鶴田会長は、事故が相次いだミニカップ型のこんにゃくゼリーについて「この商品はいつかは消える運命にある」と述べ、将来の製造中止の可能性にも触れた。

 これって、政治家による民間メーカーへの脅しじゃないの?
 あるいは、野田聖子消費者行政担当相のパフォーマンスでは?
 張り切るのはいいけど、やり方が穏当とは思えない。

「こんにゃく入りゼリー」よりものどに詰まって死亡した件数が多い危険な食べ物ベスト10 - GIGAZINE」は、関心ある方は是非、全文、目を通してもらいたい。

                             (以上、08/10/09夜に記す)

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コメント

私見を述べさせていただくなら、蒟蒻ゼリーは不完全かつきわめて危険な食品だと思いますよ。
このメーカーは(あるいは他の二番手以下のメーカーも)、過去に何度も痛ましい事件が起こっているにもかかわらず、商品の抜本的な改善をまったく行っていません。サイズを少少変えたり、警告文を記載しただけでは話にならないのでは。
(今回は凍らせたゼリーということで、ちょっと違うケースですが)

それに、「危険な食べ物ベスト10」の統計はおかしいですよ。たとえば「もち」がなぜ蒟蒻ゼリーの84倍危険と言えるのか。分母、すなわち摂食者の数がまったく違いますからね。ご飯やパンに至っては言うまでもありません。

たとえば口中に投じた時点でバラバラの小粒になるとか、空気穴が一杯空いていて窒息したくてもできない構造になっているとかでないと、蒟蒻ゼリーは売るべきじゃないと思いますね。それが社会的存在である企業の良心であり、最低限の義務・責任なのではないでしょうか。

投稿: 石清水ゲイリー | 2008/10/10 13:19

石清水ゲイリー さん

統計の詐術や分母の件も含め、石清水ゲイリーさんの意見が真っ当に思えます。

むしろ、行政の対応が遅すぎたってことか。

蒟蒻ゼリーのお菓子製品については、工夫の余地や改善の時間が大いにあったはずなのでしょうね。

いろんな意見があるはずと思うけど、案外とコメントが少ない。
もう、終わった問題なのかな。

投稿: やいっち | 2008/10/10 16:30

事故が起こって、幼い子供が命を落としたことは不運としか言いようがないです。同じように食べても何も起きないことの方が多いですからね。ただ、ずっと以前から亡くなる人が後を絶たなかったのは、企業側の危機意識、最初に事故が起こった時、二度と起きてはならないからじゃあ、どうするかという詰めの甘さがありました。企業側が努力するという事は、開発の責任者がやはり自分の愛する者を失ったらという仮定を想像し、消費者が納得する改善策を打ち出すことが早急に必要だったと思います。私はこの商品のファンなのでまとめて買ったりしてました。しかし、おでんや煮物、田楽だと事故が起きないのに、何故、お菓子にすると事故につながったのでしょう。甘みにより喉越しが良くなって、口に頬張りたくなるんですね。こんにゃくは普通こんなに美味しくないので、口いっぱいに頬張って、一挙に飲み込むことはしませんよね。その違いなんじゃないかと思います。

投稿: ピッピ | 2008/10/10 21:00

ピッピ さん

やはり、メーカーに対する風当たりは厳しいようですね。
結果を見たら当然なのかな。

ただ、小生が奇妙に思うのは、これまでも何度も当局として関与する機会があったのに、「凍らせたものを与えたという」事例で当局(野田氏)が関与したという点です。

過去の事例はまさか「凍らせたものを与えたという」事例じゃないだろうと思うので、せめて数例でも出た時点で何らかの対策が打てたのではということ。
野田氏の登場を待たないと、手を下せなったのでしょうか。

メーカー側の善処を待っていた…善処に期待しすぎたということなのかな。
規制する法律もなかったこともあるのでしょう。

おでんのコンニャクも好きだけど、熱いからなかなか一気には食べられないのでしょうね(推測だけど)。

お菓子は通常の温度だから、美味しければお年寄りの方でも、子どもにしても口にほうばってそのまま飲み込むことも可能なのでしょう。

ユニークなお菓子だっただけに、メーカーも対処をもっと早く適切に行なえば結果も違っていたし、何らかの形でコンニャクゼリー菓子が残ったのでしょうね。

投稿: やいっち | 2008/10/11 03:04

本稿に追記しました。
本文の後半部分の、[]内(太字)を御覧ください。

投稿: やいっち | 2008/10/12 16:08

食す人の状況によって違いますから、事故の発生件数については。。ん~~と思います。
流動食なら日頃大丈夫な方でも詰まる時もあるし、高齢者がごはんやパンを詰める事もよくあります。
また乳幼児健診(へ行っていれば)では蒟蒻ゼリーは食べさせないように指導があります。
喉を詰める可能性は確かに、いかなる時もありますが
この事故が問題なのは、食べさせる側のせいばかりじゃないからですよね。
作る側が「幼児のお菓子と紛らわしい形にしない」とか。
売り場だって普通のお菓子やゼリーと並んでますよ。
真摯な対応が見えないんですよねぇ。。

投稿: ちゃり | 2008/10/12 17:43

ちゃりさん
コメント、ありがとう。
きっと主婦としての代表的な意見なのかなと思いつつ、読ませてもらいました。

いろいろ意見を拝見していくと、食べ物としての蒟蒻ゼリーの退場を惜しみつつも(← 少数意見?)、メーカー側の責任の重さを指弾する方が多いようですね。

子を、あるいは年老いた親を持たれる方は特に、食べるものの性質には神経を払っておられるのでしょう。
小生にしても、日々、神経を尖らせています。
小生は、親にはこのお菓子は食べさせない。

蒟蒻ゼリー菓子については、徹底した改良が見られない限り、市場から消えていくのでしょう。
カロリーの少ない貴重な商品として、何か全く別の形態を考えるしかない。

いずれにしても、当該の商品の退場は(多分)決定しているようですから、蒟蒻ゼリー菓子問題の今後の問題の発生という点については終わった問題なのでしょう。

消費者の立場に立った商品作り、メーカーとしての最低限のルールなのは言うまでもない。
ただ、凍らせた蒟蒻ゼリーを食べさせた時に当局が関与するってのが理解できなかった。
そのつもりならもっと以前に対処できたはずなのに。

投稿: やいっち | 2008/10/13 01:23

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世界中で食料の安全性が大きな社会問題となっている。そしてその危機管理こそに、その社会の質が見えるととする記事が載っている。 欧州や北米ではBSE騒動を経てそうした危機管理の社会システムが構築されたが、中国でのスキャンダル振りのみならず、先頃のソウルでの今更ながらの米牛肉輸入解放への若者の反対行動に、― 智恵遅れとは流石に書かないが ― 社会の未熟な機構を指摘している。 そもそもEUの中立機関Efsa(Earopean Food Safety Authority)が採用した危機管理の方式は、米国発... [続きを読む]

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