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2008/08/26

風船爆弾から風船エコ発電へ

 過日、テレビで風船爆弾のことが特集されていて、折りしもオリンピック期間中だったが、ついこの悲劇の歴史的事実の場面に見入ってしまった。
「風船爆弾」とは、「太平洋戦争において日本陸軍が用いた兵器で」、「和紙で作られた気球に水素を詰め、大気高層のジェット気流に乗せてアメリカを攻撃しようとする兵器であ」った。

Japanese_fire_balloon_moffet

→ 「風船爆弾」 (画像は、「風船爆弾 - Wikipedia」より。)

 小生がこの兵器の存在を知ったのは、多分、子供の頃、何かの漫画の本でのことではなかったか。
 その時は、そんな漫画みたいな兵器があるはずがない、現実離れしている、あっても効果などあるはずがないと小ばかにしていた。
 戦況の悪化で追い詰められていたとはいえ、「「ふ号兵器」という秘匿名称で呼ばれていた」真面目で必死な作戦を非現実的と勝手に断ずるなんて、今思うと忸怩たる思いがするばかりである。
 その後、テレビや雑誌などでも何度なく特集が組まれ、何度となく見聞きしてきた。

 戦争の負の歴史であり、細々と語られていたものが、戦争を実際に体験する人が減り、記憶が劣化する中、むしろ、こうした悲しい歴史の現実こそが語り継がれていくべきなのだろう。
 
 今日は、「風船爆弾」について若干、触れると同時に、「風船」の平和利用のアイデア(?)をメモしておく。

第二次世界大戦で用いられた兵器の到達距離としては最長であり、史上初めて大陸間を跨いで使用された兵器となった」という。
 アメリカ本土が直接、攻撃されたのはこの兵器によってだった(真珠湾はアメリカへの攻撃だが、アメリカ本土ではなかった)。

「生産個数はおよそ1万発。このうち9300発が放球された。アメリカ合衆国で確認されたのは361発であるが、未確認のものもあるため実数は不明である。1000発程度が到達したとする推計もある」とのことで一定の成果は上がっていたのだが、この戦果は、「米軍は、日本からの気球兵器の到達に関して、厳重な報道管制を敷いた」こともあり、日本側は一切、知ることがなかった。
 このことも、この作戦の中止の理由の一つのようだ。

「風船爆弾」は、「日本の高層気象台(現・つくば市)の台長だった大石和三郎らに発見されていたジェット気流(偏西風の流れ)を利用[1]し、爆弾を気球に乗せ、日本本土から直接アメリカ本土空襲を行うもので」、気流の気圧などで風船の高度が低くなったりすることもありえるため、特殊な高度調整装置(自動的に高度を維持する装置)を手作りで作ったという。
 精巧だがメカニズムや原理は簡単だという。
「無誘導の兵器であったが、自動的に高度を維持する装置は必須であった。これにはアネロイド気圧計の原理を応用した高度保持装置が考案された。発射されると気球からは徐々に水素ガスが抜け、気球の高度は低下する。高度が低下すると気圧の変化で「空盒」と呼ばれる部品が縮み電熱線に電流が流される。バラスト嚢[9]を吊している麻紐が焼き切られると、気球は軽くなりふたたび高度を上げた。これを50時間、約二昼夜くり返して落下するしくみであった」!

オレゴン州には風船爆弾による六人の死亡者の記念碑が建ってい」るという。
「不発弾に触れた民間人が爆死した例」で、「このときは、ピクニック中の女性1人と子供5人が爆死した」(テレビでの特集によると、女性というのは、牧師の奥さん)のだった。

 この悲劇の歴史を銘記すべきだろう。

Waterwheel

← 「黒澤明「夢 (映画)」の撮影に使われた大王わさび園水車小屋」 (画像は、「水車小屋 - Wikipedia」より。)
 
 風船や気球というのは、独特な存在感・手触り感のようなものがあって、高度な機械の活躍する現代にあっても貴重な存在であり続けていると思う。
 小生などは、何年か前、仕事の最中、東京の埋立地で風力発電のための巨大な羽を見たとき、強い印象を受けた。
 その後、風力発電の特集をテレビで見る機会に恵まれた。
 風頼みの発電。エコではあるが安定感に欠ける憾みがある。

 そこで、パッと閃いたのは、風船(気球)を利用したらどうか、というアイデアだった。
 要は、地上に巨大な(大小は用途や立地次第)風船を浮べる。但し、空に向けて飛ばすのではない。
 地上に繋げておき、その浮力を利用しようということである。

 風船は軽いので浮ぼうとする(中に水素かヘリウムなどを注入しておく)。
 当然、浮力で浮びあがろうとする。
 が、繋がっているので飛べない。

 繋ぎ目の部分に発生する浮力が眼目である。それがパワー(エネルギー)の源となるわけである。
 繋ぎ目にギアなど一定の機構を組み込んでおいて、電力などに変換するのだ。

 風力発電で風によって羽が回るパワーを電力に変換する、あるいは水車小屋などで水力で小屋の水車を回し、パワーの源にしているようなものだ。
 風船が浮んでいて(浮ぼうとしていて)風が吹けば、それで移動なり振動なりさせられそうになる、そのパワーも当然、風力発電なので使える。
 風がなくても、注入してある気体(水素乃至ヘリウムなど軽い気体)の浮き上がるパワーは常時、働き続けている。
 よって、安定的なエネルギー(電力)源となりうるというわけである。

 結構、現実的なアイデアではなかろうか。

 平和を希求する時代なのだ。過去の悲しい歴史は歴史として、風船の宣伝や遊覧・遊戯以外の新たな活用法ということで、ちょっとメモってみた。
 
Windpower

→ 「風力発電所(竜飛ウィンドファーム)」 (画像は、「風力発電 - Wikipedia」より。)


 
参考:
「風船爆弾」については、「風船爆弾 - Wikipedia」のほか、下記が詳しいし画像が豊富である:
風船爆弾

関連拙稿:
風力発電というドン・キホーテ

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コメント

↓ ここで風船発電のアイデアがこき下ろされています:
http://oshiete1.goo.ne.jp/qa4333781.html

要は風船爆弾という悲しい歴史を風化させないことと、風船の平和利用をという稿なのですが、まあ、話題になればいいってことにしておきます。
 

投稿: やいっち | 2008/09/21 12:44

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