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2008/08/19

長谷川春草…独り居の夏になりゆく灯影かな

 今日8月19日は、俳人の長谷川春草(はせがわ しゅんそう)が生まれた日
 せっかくなので、現今にあって、彼の存在や句がどれほどのものなのか、ネットでちょっと調べてみた。
 すると、想像以上(失礼!)に彼の句が愛されていることを知った。
 
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← 作家・田川未明さんの手になるメッセージ入りフォト(田川未明さんのOfficialWeb:「mi:media」)

 長谷川春草とはいかなる人物であり俳人なのか。
 まずは、「私立PDD図書館」を参照し、簡単に紹介しておく:

1889. 8.19(明治22)
1934. 7.11(昭和 9)
◇俳人。本名は金太郎、通称は金之助。

 より詳しくは後述する。

 俳人なのである。とにかく句の数々を楽しんでもらおう。
 いずれも滋味溢れる佳句である。今も忘れられた存在でないわけだ。
 ある程度、年を重ねたほうが彼の世界に馴染みやすいかもしれない。
(リンクのURLは、句を見つけたサイトを示す。が、大概の句は複数のサイトで引用されていた。人気ぶりを示すものといえるのでは。)

いとし子のうもれてまろき蒲団かな     長谷川 春草


ねむさうにむけるみかんが匂ふなり     長谷川春草


繭玉やそよろと影もさだまらず   長谷川春草


かげ口に淋しきものや水羊羹     長谷川春草


小寒や枯草に舞ふうすほこり    長谷川春草


うつむけば人妻も夏めけるもの    長谷川春草


独り居の夏になりゆく灯影かな   長谷川春草(「句の舞台となるのは銀座出雲橋」)

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→ 作家・田川未明さんの手になるメッセージ入りフォト(田川未明さんのOfficialWeb:「mi:media」)

人かげも灯かげも宵や松かざり    長谷川春草


初雀ひとつあそべる青木かな    長谷川春草


舟着きも靄の佃の初巳かな    長谷川春草


枯芝のそこらも夜となりにけり     長谷川春草


花の昼夫婦はものの淋しけれ   長谷川春草


沙魚焼くや深川晴れて川ばかり   長谷川 春草(「沙魚(はぜ)」は「鯊」と表記してある事例も


飛ぶ雲や仲夏の夜半の薄明り    長谷川春草


ひとつひとつゑんどう落つる胃のしづか    長谷川春草


ねむさうにむけるみかんが匂ふなり    長谷川春草


吊りて干す魚の尾ほそき冬至かな     長谷川春草


枯芝のそこらも夜となりにけり     長谷川春草


窓しめて雪空遠き助炭かな    長谷川春草(「助炭(じょたん)」とは)


吊りて干す魚の尾ほそき冬至かな    長谷川春草


すずしさやいのりを聞けり指の先    長谷川春草辞世の句

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← 稲穂の海越しに北アルプスを望む。不穏な空。これは小生の手になる撮影。メッセージなどありません。

 さて、改めて長谷川春草のこと。
はせ川雑記 水上滝太郎」にエピソードが書いてある。
 「はせ川」主人が長谷川春草である。長谷川春草は俳人で、久保田戯曲「鴎」のモデル。


2004年8月9日(月)六道は古書の道かと思いつき」に長谷川春草のことが紹介されている。

 一部、転記させてもらう:

 「はせ川」のことが出ていないかと永井龍男の『東門居句手帖文壇句会今昔』(文藝春秋、一九七二年)を繰ってみる。開店を昭和二年と誤っているが、長谷川春草について《たしか籾山梓月の経営する俳書堂に勤めていたのを、なにかのいきさつから退職後、夫婦二人切りの前垂れがけでこの店をはじめたばかり、梓月も春草も共に新潮社の日本文学辞典に名をとどめている俳人だが》《如才なく見えながら云い出したら枉げぬという、かたくなさを蔵した下町育ちであった》云々とある。春草は明治二十二年生まれ、昭和九年歿。『春草句帖』(素商書店、一九二九年/「素商」というのは季語で「秋」の別名)、『長谷川春草句集』(さつき発行所、一九三六年)がある。

「【長谷川春草】『水のふるさと』1924/文行社」があるようだが、確認できなかった。

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