熱帯夜ファンの風浴び夢心地
熱帯夜を日々体験している。
暑い盛りだから当然?
エアコンのない、西日の当たる、窓外にはコンクリート舗装された道の走る部屋での熱帯夜なのである。
話を先に進める前に、「熱帯夜」の定義(?)を示しておくと、「最低気温が25度以上の夜のこと」を指すという(「熱帯夜 - Wikipedia」参照)。
→ 相変わらず日中は草むしりの日々。二日を費やして、やっと冬瓜(とうがん)の全貌が見えてきた。
ちなみに、「一日(0~24時)の最低気温が25℃以上の日」については「特別な名称はない」のだとか。
誰かうまいネーミングを考え出したなら、アイデアを捻った人の名前が、「熱帯夜」という名称を発案した「気象エッセイスト・倉嶋厚」同様、記録に残る可能性が大かもしれない。
熱帯夜は、「俳句においては夏の季語。近代気象学を前提とする語であるため、伝統的俳諧や明治など近代初年の俳句においては作例をもたない」という。
どんな句の作例があるのだろう。
熱帯夜オイラはゆっくり寝たいやー、じゃ、川柳でさえもない。
小生は今冬の末頃から富山県富山市に居住している。
その富山市、熱帯夜に関して記録を持っている。
富山市で2000年7月31日に30.1℃を記録していて、一日のうちで「最低気温が30℃以上を観測した地点」としては「日本国内では唯一の観測例」なのである(アメダス観測でならもっと高い気温が記録されている)。
「風が山肌にあたり、その風が山越えをして下降気流として降りてくる暖かくて乾いた風によってその付近の気温が上がる現象」だという、フェーン現象の影響もあるのだろうか。
フェーン現象…。暑くてフェーンと悲鳴を上げたくなるから、こういう名称というわけではないようだ。
← 冬瓜と雑草が絡み合うようになっているので、選り分けつつ草むしりするのが大変。ところで、これって冬瓜(とうがん)だよね?
小生がガキの頃、あるいは学生時代やフリーター時代はともかく、サラリーマンになってからはエアコンのある部屋に住むことができた。
ただ、サラリーマン時代は八階建ての集合住宅の八階に住んでいて、眼下の国道に面する窓を大きく開け(カーテンもオープンし)、通路に面するドアもロックを掛けた上で半開きにして夏を過ごすのが小生流の夏の過ごし方だった。
窓やドアを開けておくと、風が小気味いいほどに吹き抜けていく。
その部屋の中で、トランクス一丁で生活していたのだった。
それでも、夕方や夜となると、目の前の我が団地より巨大な都営団地から見下される位置関係にあるし、何より蚊などの虫が入り放題になるので、やむなく窓を閉める仕儀となる(カーテンも仕方なく閉める)。
なので、風は当然ながら入らない。
となると、出番は扇風機である。
決してエアコンではない。
狭いワンルームだったので、冬なら暖かい空気が、夏なら冷たい空気が小生を直撃する。
噴出しの風の方向を調整すれば済むのだが、小生の生来のへそ曲がりな性分もあり、人工的な空気(温度)が嫌なこともあって(電気代の節約が一番の理由だったが)、エアコンを意地でも使わないのだった。
とにかく、団扇(うちわ)と扇風機に頼るのである。
→ これだけ草むしりに懸命になっても、この土地は所詮、他人の土地。我が家が何年前、手放したのだ。管理だけ任されている。奥の雑草の野には南瓜(かぼちゃ)が埋もれている。
熱帯夜。
とにかく、都会のど真ん中(当時は高輪)に暮らしていたので、アスファルトやコンクリートやプラスチックやスチールやガラスなどに取り囲まれた生活をしている。
夜、窓を開けても段々吹き込む風が熱っぽくなるし、それではと閉じると、やっぱり暑い!
真夜中をどう遣り過ごすか。
結局は、小生の中途半端な性格の故なのだろうが、窓を若干(十センチほど)開け(カーテンは閉めておく)、通路へのドアも半開きにし、蚊取り線香を使い、そうして扇風機をタイマーを掛けて回しっ放しにして寝るのだった。
但し、扇風機の風の強さを弱にするとはいえ、寝ている間、ずっと当たっていると体に悪いだろうから、扇風機を首振りさせ、且つ、風を箪笥や天井や壁などにぶつけ、反射してくる風が体にやんわり当たるように工夫しておいた。
実は、やがて隣の部屋の猫が一晩中、半開きのままのベランダ側の窓や玄関のドアを利用するようになり、そこに小さなドラマが生じることになるのだが、その話は「猫と扇風機の思い出」にやや詳しく書いたので、宜しければ読んでもらいたい。
やがて、高輪から大森へ引っ越す。18年前のことである。
新居にもエアコンがついている。
新居では夏はエアコンを使ったかどうか(冬は一貫して電気ストーブである! 今も!)。
寄る年並みなのか、六月の声を聞く頃になると、早々にエアコンを使うようになってしまった。軟弱になってしまったのである。
← 管理を任されている…と言いつつ、近所の人たちがそれぞれに野菜畑にしている。僅かにこの一角だけ、我が家が畑作用にと確保してあるのだが、この有様。
冷気には弱いので(喉が弱い。鼻呼吸ができないので、冷たい風を口から吸い込む)、除湿に設定してのエアコンの利用だが、大森での長い夏のエアコン暮らしで、もう、エアコンのない夏の過ごし方はありえなくなった。
仕事もタクシー業務だったので、エアコンを年中使っていた。
そんなエアコン体質となった小生なのだが、今冬の終わりごろ、帰郷することと相成った。
春先から梅雨の終わりごろまでは、冷房など不要だったが、七月の半ば過ぎからは熱帯夜がこれでもかというほどに小生を責める(責められているのは小生だけじゃないが)。
が、我輩は貧乏なのでエアコンが買えない。
六月には冷蔵庫が故障して買い換えたばかりである。カネなど鼻水ほどもない。
それに、我が家のテレビも本来はカラーテレビなのだが、最近はほとんど白黒テレビ状態である。時折、紫っぽいようなピンクっぽいような色調のカラー状態になったりする。
あるいは思い出したようにカラーが表示されるのだが、ブラウン管の画面自体がやたらと暗い。
目を凝らしていないと、ドラマものなどで部屋の中の設定だと、暗闇の中で蝋燭の灯りを頼りに演じられているようで、役者さんらの動きがよく分からない。
映る場面がアウトドア(無論、日中)だと、まあ、なんとか登場人物たちや動物や植物も見分けられる。
まあ、とにかく、テレビも寿命を迎えつつある。家の中で補修しないといけない箇所も何箇所もある。洗濯機も怖々使っている。茶の間のエアコンも、最近は挙動不審である。
シャワーも七月からは水シャワー。食器類を洗うのも給湯器のお湯は使わない(ガス代の節約である)。
そんなこんなで、到底、我が部屋にエアコンなど夢のまた夢、叶わないと思うしかないのだ。
→ 剥き出しになった冬瓜。どうしたものだろう。よそ様が植えたもの。雑草を刈ったら、あとは手出しは無用なのだ。
熱帯夜。
熱帯夜のただ中を日々過ごしている。実感し体験している。
アナウンサーなどが熱帯夜ですね、暑いですねーなんて言っていても、どうせお宅らは夜はエアコンの効いている部屋で過ごすんだろう。
外が雨だろうが熱帯夜だろうが関係ないじゃないか。
その点、我輩は身をもって熱帯夜と付き合っている。向き合っている。もう、きつくきつく抱き合っている。一晩中、雁字搦めになっている。絡み合っている…(← しつこい!)。
無論、実際には扇風機のお世話になっている。
日中から夜に掛けて縁側や台所や我が部屋の窓などを開放して換気をしているのだが、生憎、外から入り込む風が熱いので、換気などしないほうがいいのかもしれないという重大な疑惑の念を抱いている始末である。
扇風機を回しても、部屋の中(家の中)の生暖かい風が我が体に当たるだけなのである。
それでも、何も風がないよりはずっとましである。
なので、熱帯夜の日々、扇風機と友だち…どころか抱きあう仲である。
父母は寝室も居間(茶の間)も共にエアコンの効いている部屋で過ごしている。
というか、その二つの部屋を往復している。特にお袋は体の具合からも、それら二つ以外の場所…トイレなどへ行くのはかなり億劫なようだ。
さすがにそこまではエアコンの冷気も及ばないのである。
なので、家には使わなくなった扇風機が埃を被っている。
扇風機を手放せないのは家では小生一人なのである。
← この一角の草むしりを終えるのに、あと三日は掛かりそう。その間に、庭や他の畑が草茫々になっちゃう! 庭木も生い茂って他人の庭や電線を脅かす! 野菜も花も植えない場所は除草剤を散布しているのだけど。
小生は帰郷しての四ヶ月余りで十キロほど痩せた。
体重が減ったのは家事三昧の故なのか、草むしりなど外仕事のせいなのか(連日、真昼間に草むしりや枝打ちなどをやっている)、それとも、熱帯夜を扇風機の風を頼りに寝ているからなのか、恋窶れなのか、自分でも分からない。
あるいは、食の細くなった父母と同じメニューの食事のせいなのかもしれない(量だけ調整している)。
夏の終わりにはもっと痩せているかもしれない。
それとも、一晩中、暑いので、冷たい麦茶をがぶ飲みし、逆に水太りし始める可能性も否定できない。
結果は夏の終わりに出る。
扇風機と昵懇の熱帯夜の日々を遣り過ごせたとして、小生はどんな体型になっているか、今から楽しみである(こんな結論を導くつもりではなかったのだが…)。
熱帯夜ファンの風浴び夢心地 (や)
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