お盆のこと 「おしょらい」のこと
13日、墓参りに行ってきた。
お墓は、我が家からゆっくり歩いても数分の場所にある。
昔は田圃の原の外れにあった。近くには我が家の田圃の一部もあったらしいが、記憶があやふやである。
お寺の境内にあるわけでもなく、野晒しの一角が墓地となっている。
← 先週末のうちにお墓の掃除に行って来た。バケツにチリトリ、鎌、マイナスドライバー、2リットルのペットボトル2本、箒、ゴミ袋などなど。マイナスドライバーは何に使うか? お墓の古い蝋(多分、昨年の墓参りの時の名残り)や、お墓にこびり付いた苔や、コンクリートの透き間や境目から生えている雑草を根元から引っこ抜く。
墓地。
お墓が幾つも並んでいるから墓地。
区画整理されたような最近の墓場とは様子が違う。
地元に代々住む人たちの先祖が、どういう経緯(いきさつ)かは分からないが、あの広いとは言えない一角を墓を立てる場所として定め守ってきたのだろう。
小生が子供の頃は、お盆には家族全員で墓所に向かい、墓を掃除し、蝋燭を立て、菊の花を花立に生け、墓の頭などから水を架け流し、最後にはお招来をした。
今、つい、「おしょうらい」を「お招来」と安易に漢字変換してしまったが、「お招来」と表記すべきか、「お聖霊」なのか、小生はそんなことも知らない。
そもそも、「おしょうらい」ではなく、「おしょらい」と言っていたような気がする。
多分、「お聖霊」が正解のようだ。
おしょらいの火で13日にご先祖様をお迎えするわけである。
→ ある方の墓所に立つ木。凄い偏屈な恰好に感激。
「おしょらい おしょらい」と言いながら、藁束のような棒状のもの(あるいは竹の棒に藁を巻いたもの)を燃やす。
当時は大概、夕方だったので、夕闇に炎が鮮やかだし、火の粉が飛んだりするので、子供たちは結構、「おしょらい」が楽しかったりした。
その日の夜は仕事だったので、小生(ら)は雨の心配もあり(実際、昼下がりにザーと雨が降った)、午後の四時過ぎに墓参りに行った。
当然ながら、子供はいないし、目の前に住宅が建ち並んでいることもあって、「おしょらい」はしない。
その代わり、仕事の都合で富山市の中心部で車に乗って客待ちをしていたら、近くの「いたち川」の橋の袂(たもと)などで「おしょらい」をしている家族連れの光景を目にすることがあった。
幅にして十メートルほどの屋形船も走る川なので、土手もあるし、その川に架かる橋の上でなら、「おしょらい」で炎が幾分なりとも出ても、危険はないように感じる。
あるいはお巡りさんも公認(黙認)なのか。
← お墓の目の前を流れる用水路。昔は、こんなコンクリートで護岸されていなかった。草茫々。この川に向って家族が並び、「おしょらい おしょらい」と、先っぽが燃え盛る「おしょらい棒」を振り回したのである。今回は風が強いし、雨が降ってきたので、蝋燭さえ、立てなかった。線香も火を点けず。ご先祖様はガッカリしなさったろうて。
思わぬところで、懐かしい「おしょらい」の光景を目にすることができて、ちょっと嬉しかったし、懐かしかった。
この「いたち川」では、「燈籠流し」もやる(「富山市・中心街通信 富山市 いたち川 の 燈籠流し」の記事や画像を参照)。
とはいっても、思い出せないこともある。
当時、「おしょらい おしょらい」とだけ言っていたのか、それともそこに何か文言が続いたのか…。
まあ、白川淑という方の「おしょらいとんぼ」という詩の言葉ではなかったようだが。
お盆の頃には、我が家の近くにある地蔵堂(観音堂)で「盂蘭盆会(うらぼんえ)の祭りがある。
ホントに地元の人、近所の人たちだけの小さな祭りである。
子供の頃は、お餅やら駄菓子やら、普段はなかなか食べることのできないものを食べられて楽しみだった。
大人はお酒なのだろう。
→ 14日の夕方、家の裏庭にて。お墓にはこんな花を手向けたら、ご先祖様も喜ぶのでは。
盂蘭盆会の頃は、東京暮らしの小生は富山に居らず、そんな懐かしい祭りにも高校時代以来(高校のときは気恥ずかしくて無視を決め込んでいたかもしれない)、36年は縁が切れていた。
(オートバイで帰省する小生、お盆の頃を避けていた。親戚の者に顔を合わせたくなかった ? !)
そもそもその小さな地元の祭り(というより飲み食いする寄り合い)も、この数年、途切れていたとも聞く。
というのも、そんな祭りも誰かが骨身を惜しまず世話をしないと開けない。
その世話役をお袋が引き受けていたが、体調を崩してからは、その代わりを引き受ける人が居らず、途切れたままだったとか。
でも、今年はある…らしい。
だから、今年はその気になれば、小さな輪に加わることもできるのか。
仕事に向うしかないだろうけど。
この地蔵堂(観音堂)のことなどについては、既に大よそのことは書いた:
「お地蔵さん……ん?(前篇)」
「お地蔵さん……ん?(後篇)」
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