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2008/07/09

「短夜」のエピソード

 梅雨もそろそろ終わりに近付いているのだろうか、昨夜はことのほか雨が激しく降った。
 しかも、夜半を過ぎてからは雷鳴も長く轟き続けた。
 小生が就寝しようとしたのは、そろそろ一時を過ぎようという頃。
 明かりを消して真っ暗な中、寝入ろうとしたのだが、間もなくゴロゴロというかドンドンというのか、なんだか胸騒ぎのするような音が喧しい。
 もしかして遠からぬ場所にある(化学)薬品工場がまた何かの爆発事故を起こしたのか…。
 そんな悪い懸念もあったりする。

08_07081

← 撮影が下手で、これでは雷雨の光景だとは分からない(文末を参照)

 小生が小学四年生の時、夏の終わりというか初秋と呼ぶには早い頃、実際に薬品が大量に漏れ出す事故があったのである
 塩素系の強烈な匂いが地域一体に蔓延し、病院に担ぎ込まれた人も少なからずいた。
 当時は富山では大きな事件・事故であった。多分、全国に報道されたに違いない。
 小生も喉が塩素ガスにやられ呼吸が苦しくなったものだった。
 病院嫌い(というより怖い)だし、シャイな人間なので喉の苦しさをただ我慢していた。

 その悪夢の再現かと思った。
 そのうち、救急車や消防車、パトカーのサイレンが鳴り出すに違いない。
 いっそのこと、起き出して、テレビを見ようか。NHKなら臨時ニュースもあるだろう…。

 耳を澄ますと、雨の音が。
 そのうち耳を塞いでも聞こえてくるような雨音に。
 雨が激しく降っているのだ。数日来の極端な湿気。やはり来るべきものが来たのだ。

 やがて音の正体が分かってきた。
 時折、ピカッと光る。そして、音。
 となると、雷鳴・稲妻と理解するしかない。

 音も次第に大きくなってきた。同時に、稲光も凄まじい。音と光の間隔も狭まってくる。
 雨が激しいし真っ暗なはずなのに、ピカッと光った瞬間は、ほんの一瞬だが、真昼間の明るさ。ただ、色合いが、昼間の天然色に比して、真っ青の光。
 そう、強烈な蛍光色で地域全体が瞬時、ライトアップ…というか、天から照らされるのだからライトダウンというべきか(そんな言葉はないと思うが)、とにかく青白い眩い光の海に浸ってしまう。
 
「短夜」というのは、「日国.NET 短夜」によると、夏の夜の短さ儚さを惜しむ気持ちの篭った夏の季語だという。
短夜」についてのもろもろのことは、他のサイトに委ねる。

 夜が短くなってきたことは、小生のように夜の仕事をしていると実感する。
 以前は、タクシードライバーをやっていて、前日の午前から翌日の未明に掛けてが営業時間だった。

 今は週に数回、他の仕事をやっているが、夕方過ぎから営業が始まって、終わるのは丑三つ時過ぎ。
 仕事が終わるとサッサと帰宅する。
 家の中の片付け(照明や戸締りチェック、茶碗などの洗い物、親が朝に呑む薬の準備などなど)を済ませ、ネットを軽く一覧し、就寝するのは早くて三時半、時には寝床で軽く本を読んだりするから、小生の部屋の消灯は四時頃となる。

 ほんの一ヶ月か二ヶ月前までは四時だと真っ暗だった。
 それが、先月の後半辺りからは、様子が明らかに違ってきている。ともすると、四時前後だと、決して外が明るくなっているわけではないが、真っ暗闇の闇に透明感のようなものを感じられたりする。
 朝の到来が近い。
 となると、焦ってしまう。早く寝ないと翌日(既に当日だが)が辛いだろうと懸念されるのだ。

 さて、昨日は仕事がなかった。だから夜は自宅でのんびりしていたのだが、夜来の雨である。
 しかも、雷雨となった。
 富山では大雨警報が出るほどの雨。
 これが晩秋の嵐なら、「鰤(ぶり)起こし」と呼ぶのだろう。
 仕事の日だったら、小生、雷鳴に怯えて、車中で蒼白になっていただろう。

 そんな中での雷鳴や稲妻は、たださえ不安の念を掻き立てるのだが、昨日の雷はやたらと長かった。遥か遠くから鳴っているのが聞こえ、光と音が相次いで聞こえるようになり、やがてまた光のあとの音が喧しく聞こえ、ついには音ばかりがドーンドーンと聞こえ、執拗に神経を甚振り続ける。
 病みがちだったり体調が優れない父母など殊に不安だったようで、とうとう明け方まで寝入れなかったとぼやいていた。
 気持ちの上では雷雨の退散と同時に夜明けが来てしまったという感じのようだった。
 夜が明けてしまってからだと、なかなか寝付けないし、寝てもすぐに朝が来てしまうように感じられるらしいのである。
 さもありなん。

 と言いつつ、小生、父母の愚痴を聞きながら、やや内心忸怩たるものがある。
 というのも、小生、雷や地震や台風が好き(被害は別)。
 要は地球の表面のちょっとした微動であり、地球が生きている証左だと感じられるからである。

 で、小生は、稲光が立て続けに襲来すると見るや、デジカメを手にした。
 稲妻で家の周囲が蛍光色に染め上がる光景をカメラに収めようと思ったのである。
 雷雨の中、縁側に立ち、カーテンを開けて(さすがに風雨が激しいので戸は開けなかったが)ガラス窓越しに稲光は無理でも(家の前の蔵や木々、近くの民家などが撮影の邪魔になる)、怯え震え上がって蒼白になっている庭の光景を写し取ろうと懸命になっていたからだ。

 父母の思いも知らずに!

 親不孝な小生の心が天に見透かされたのか、撮影はことごとく失敗に終わった。
 たださえ、夜の撮影には弱い我がデジカメの本領発揮で、真っ暗なだけの得体の知れない画像ばかりが記録されたのだった(冒頭の写真がやっと)。

08_07082

→ 翌朝の庭の様子。春雷かブリ起こしのような雷雨があったとは知らぬげな庭。梅雨の雨が降るばかり。

 以下、「日国.NET 短夜」から「短夜」という季語の織り込まれた句を転記する:

短夜や浪打際の捨篝(すてかがり)   与謝蕪村
短夜やまだ濡れ色の洗い髪   三宅嘯山
短夜や空と分るゝ海の色   高井几菫
短夜のあけゆく水の匂ひかな   久保田万太郎
蜑(あま)の子や沖に短き一夜寝て   山口誓子
短夜の看とり給ふも縁かな   石橋秀野

 最後に、島崎藤村に「短夜の頃」というエッセイのあることをメモしておく。

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コメント

先日の夜は、我が在所も烈しい雨。久しぶりの雷も。
僕も颱風は好きでしたね。今でもわくわくします。幼い頃、父が颱風に備えて天窓に蒲鉾板を打ち付けていた図を、ふと想いだしました。
藤村の随筆、なんだか面白い書きようですね。気に入りました。

投稿: 石清水ゲイリー | 2008/07/09 10:51

石清水ゲイリーさん

過日の夜の雷雨は全国的に激しいものだったようですね。
東京の大田区でも、富山でも人的被害があった(両方に縁のある小生は、他人事じゃない)とか。

台風とか稲光って興奮させるものがある。大雨も。

子供の頃、台風などで大雨になると、今はもう無くなった土間の脇の農機具を出し入れする小屋に佇み、裏庭の雨の水嵩がドンドン高まっていくのをずっと眺めていた。
もう少し降れ! もっと降れ! いっそ、洪水になるくらいにって、悪天候を応援(?)していたものです。

大人になると、そんな暢気なことも言ってられない。
ちょっと寂しいね。

投稿: やいっち | 2008/07/09 13:20

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