髑髏の色は「白」を意味する…
「白」というのは、白川静氏の説に拠ると、「頭蓋骨の象形」なのだとか。
→ 「人間の頭蓋骨」 (画像は、「頭蓋骨 - Wikipedia」より。)
象形説では、「骨」という字は上部は胸骨より上の骨の象形、下部は肉を表しており、「白」という字は頭蓋骨(ずがいこつ)の形で、その白骨化したもの(髑髏)の象徴であり、白骨化しているから「しろい」という意味を持つようになった(白川静説) (中略)その解釈には諸説あり、同じ象形説でも、親指の爪の部分の形(郭沫若く説)。柏(漢音 :ハク。訓読み :かしわ、かい )類の樹木のどんぐり状の木の実の形で、顔料をとるのに用いたという木の実のしろい中みを示すという(藤堂明保説)などがある。
今日は、というわけで、意味もなく、気になる話をメモするだけ。
「象形説では、「骨」という字は上部は胸骨より上の骨の象形」ということから白の意へ。
頭蓋骨、つまりは、髑髏(どくろ、されこうべ、しゃれこうべ)の色だということか。
天然自然の中で真っ白なものに遭遇する機会は、雪国ならば雪や氷など、当たり前に目にすることができる。
が、雪のない日常の中で、となると、どうだろう。
いきなり、頭蓋骨、髑髏ってのも、あんまりなようだが、戦(いくさ)に明け暮れた戦国の世にあって、戦場の露と散った死骸は、親族や仲間に葬られることもなく、雨ざらしになり、獣や小さな虫に食われ、やがては土へと還っていく。
しかし、骨と(髪の)毛だけはなかなか風化しない。毛髪は腐敗や風化はしないだろうが、風に飛ばされて、行方は知れなくなる(象形説を勝手に敷衍すると、肉片が削げ落ちた頭蓋の色が白の意味を持つようになったのだとしたら、最後まで頭蓋にこびり付き、絡み付いていただろう髪(遺髪)の色が黒の意味を持つようになっていいような気がする。まあ、東洋人などに限定の説になるが)。
一方、骨は草葉に埋もれたままだったのだろう。
風雨と容赦ない日光とに晒されて、やがて骨は眩しいほどの白さを示すようになる。
その白さは、元が人間のものだっただけに、印象に強烈に残る。
小生に白川説の妥当性を云々する能はないが、戦乱に明け暮れた人間の歴史を髣髴とさせるという意味で、一定のリアリティがありそうな気はする。
と思ったら、偶然、下記のサイトに遭遇した:
「The Beach Mar. 1999 b」(ホームページ:「浅草十二階計画とその浜辺」):
大抵の人は、まず自分の名前はどうかと思われるでしょう。字の印象は気になるものです。私ならば、白という字はどうか。これは髑髏、されこうべです。甲骨の中に人頭刻字というのがあって、これに字を刻り、美しい朱が入れてある。多分、敵方の英雄・勇者といわれた者の頭骨が、そのすぐれた呪力のゆえに、鄭重に保存されているのでしょう。いわゆる伯(は)者です。
(「文字遊心」白川静 p460)
さすが、白川静氏だけあって、「多分、敵方の英雄・勇者といわれた者の頭骨が、そのすぐれた呪力のゆえに、鄭重に保存されているのでしょう」と、着眼点が違う。
英雄譚好みの人にはこの説が納得なのだろう。
卑賤の民としての小生などは、朽ち果て草葉の露と化した名もなき戦士の躯(むくろ)を茫漠たる思いで想像してしまうのだが。
それにしても、疑問なのは、そもそも何故、頭蓋骨に限らず、骨は白いのかということ。色素がない…、つまりは、骨に色素を使うような無駄なマネは天は行なわないということなのか。
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「おどる骸骨」
[拙稿など、色関連記事]
「色のことまさぐるほどに奥深し」(2006/12/28)
「春光・色の話」(2005/03/09)
「「漱石の白くない白百合」の色話」(2007/08/17)
「白 - Wikipedia」
「黌門客 [ことばへの誘い]「白」という字は…」
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