イカロスの夢へ限りなく…
鳥のように舞うってのは、ささやかな夢。
本音では多分、決して小さな夢じゃなく、心の奥底に深く根差した夢…というより本能的な欲動・衝動なのだと、根拠なく、しかし断固(!)思い込んでいる。
→ 世界最小のヘリコプター (画像は、「Ace Craft USA - GEN H-4 - One Man Helicopter」より)
飛びたいという欲動の尤もらしい心理分析は今はさて置く。
人間は鳥のように自由に空を舞うという夢に一歩でも近付いたのか。
イカロス (Ikaros)たらんとすること。ダ・ヴィンチの夢を叶えること。
今日の朝刊(読売)に、「世界最小 ヘリ」という見出しの記事が載っていた。
「ニュース速報++ 【画像】世界最小のヘリができましたよ」によると:
松本市笹賀の「GENコーポレーション」(柳沢源内社長)が開発した一人乗りのヘリコプター「GEN H-4」が、世界最小のヘリコプターとしてギネスブックに認定された。柳沢さん(75)らは近くイタリアを訪れ、ヘリコプターの原型のデッサンを残したレオナルド・ダビンチの故郷で飛ばす計画。「ギネスブックによる認定を欧州に売り込む足掛かりにしたい」と意気込んでいる。
(中略)
ヘリは高さが2・5メートル、重さは約70キロ。10馬力のガソリンエンジン4基で長さ4メートルのローター2枚を回転させる。エンジンはローターの直下にある。連続飛行時間は30分、時速約90キロの性能があるという。操縦者は座った姿勢でエンジン部分から下に延びる操縦かんを両手で操作する。農業や災害救助での利用を想定している。価格は約400万円。
朝刊(読売)には、「高度約10㍍を最高時速50㌔で飛べる」とあったが。
朝刊(読売)によると、今月25日、ヘリコプターの原型のデッサンを残したレオナルド・ダビンチの故郷イタリア・ビンチ市でデモ飛行を披露するとか:
後部座席なしでどう機体を旋回させるかが課題だったが、回転翼2組の合計回転数を一定に保ちながら、2組の回転数に差をつけることで解決。98年、試験飛行に成功した。改良を重ね、国内で5機、海外で2機を販売。
さすが、海外のサイトでも話題になっている:
「Ace Craft USA - GEN H-4 - One Man Helicopter」
← 「¦¦FUSIONMAN¦¦」 (画像は、「JET-MAN.COM Actuel -- jetman, jet-man, yves rossy,rossy,yves-rossy,flying man,flyingman,flying-man,skyflyers,pilote,suisse」より)
この話題に触れて間もない昨日、今度はテレビで下記のニュースが:
「鳥か?飛行機か?スイス人冒険家がジェットの「翼」で飛行に成功」(「国際ニュース AFPBB News」より)
太陽に向かって飛び、近づきすぎたために燃えて地に落ちたイカロス(Icarus)・・・しかし現代のスイス人冒険家は、ジェットの「翼」でテスト飛行に成功し、無事着陸した。自称「フュージョンマン」ことYves Rossyさん(48)は14日、スイス西部の小さな町ベー(Bex)の上空2500メートルで、新しいカーボン製の翼を装着して飛行機から飛び立った。5分間飛行した後、パラシュートを開いて着陸した。
Rossyさんは2004年、初めて「翼」の構想を明らかにした。「翼」は直径2.5メートル。小型ジェットを4機搭載しており、飛ぶ直前に点火する。最高時速300キロメートルでの飛行が可能だが、燃料容量が小さいため最長10分までしか空中にとどまれない。
ロッシーさんは元空軍パイロットで、現在はスイス・インターナショナル・エアラインズ(Swiss International Air Lines)に勤務する。(c)AFP
「¦¦FUSIONMAN¦¦」
ロッシー(Yves Rossy)氏は、元スイスの空軍パイロットで「inventor and aviation enthusiast」!
→ ピーテル・ブリューゲル「イカロスの失墜」(1558) (画像は、「イーカロス - Wikipedia」より) この題名にも関わらず(? あるいはだからこそ?)、この絵画を見て「イカロスの失墜」の場面を即座に見つけ出そうとしても、大概の人はあれれと焦るだろう。「調子に乗ったイカロスは父の警告を忘れ高く飛びすぎて、太陽の熱で蝋を溶かされ墜落死した」のだが、そんな神への挑戦にも似た不遜な、あるいは見果てぬ夢への挑戦の企図(の失敗)など知ったことかと、農民たちは日々の労働に勤しむ…、そんなことをブリューゲルは告げているのか。現代にあっても、鳥のように空を舞う夢への挑戦は続いている。そして続いていくのだろう。が、現実はというと、地震に台風に洪水に金融・投機の嵐に病気に政治の混迷に環境の激変に多くの人は日々を生きるのがやっと…。いつか誰かが夢を叶えても、その恩恵を享受しえるのはホンの一部の人たちで、多くの人は地を這いずり回る…。思えば鳥だって自由に舞っているわけじゃないのかもしれない。進化の果てに空に活路を見出しただけだと、空を鳥を見上げて羨む我々に歎いて見せるやもしれない。空を鳥のように舞う、という夢は、実は既に地にあって現実のものとなっているのかもしれない。空だろうが地だろうが海の中だろうが、そこには風が吹いている。抵抗・圧力という風が。
飛行船、飛行機(プロペラ式からジェットまで)、ヘリコプター、人工衛星、宇宙船…。エンジンなどの機械を使わないタイプも気球、ハンググライダーといろいろある。
改めて問うてみる。
鳥のように舞うという夢に近付いたのか。「蝋(ろう)で鳥の羽根を固めて翼をつくり、空を飛ん」だイカロス (Ikaros)に迫ったのか。
今ここにいて、思いついたら、パッと舞い上がれ、風を読み、風と友になり、風に乗り、漂い、滑空し、目指す場所に近付いたら、あるいは気を惹く何かを見つけたら、即、ターゲット目掛けてフワッと舞い降りる。
仮に機械・器具を使うとしても(何かしら使わないわけにいかない)、出来るだけ目立たない、音の出ない、体にフィットするものがいい。
しかも常時装着していても、普段着のようでファッショナブルなもの。
それにしても、夢は夢である間こそ愉しいと思えてならないのは、小生が地上世界にへばりつきすぎて根性までヘタッテ仕舞ったのだろうか。
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コメント
小型ヘリコプターの市場なんてどれぐらいあるのでしょうかね?と言うのは近所でもハンググライダーにエンジンをつけて飛んでいる人がいます。小さな飛行場は要りますが。しかし、価格は半分以下でしょう。
そうしたものは何時かは壊れて墜落する可能性が高いのですが、価格が安ければ適当に償却出来ますからね。
災害利用となると結構厳しい条件が課されるのも問題でしょうね。
投稿: pfaelzerwein | 2008/05/16 14:08
pfaelzerweinさん
記事で話題にしているものは、用途としては限られているでしょうね。
人間が鳥のように自由に空を飛ぶってのは、実際には(可能だとしても)ずっと先のことのようです。
本稿の主旨は、ピーテル・ブリューゲル「イカロスの失墜」の画像に付したコメントにあるのです。
投稿: やいっち | 2008/05/16 19:55