バスク人はクロマニヨン人の正統な後継者?
晴耕雨読の日々である。
夜は(毎日ではないが)バイトへ行く。
朝から夜にかけては家事と家の雑用(特に今は、晴天の日に限るが、生え放題の雑草の対策がメイン)。
合間を縫うように、それこそ時間を削り取るようにして、細切れな気分的にはやや慌しい読書の時間を持っている。
→ 「ラスコー洞窟の壁画」 (画像は、「ラスコー洞窟 - Wikipedia」より)
机に向って…というかロッキングチェアーに体を沈めて今はレオナルド・サスキンド著の『宇宙のランドスケープ--宇宙の謎にひも理論が答えを出す』(林田陽子訳、日経BP社)などを、寝床では横山 祐之著の『芸術の起源を探る』(朝日選書)を、それこそ就寝前に軽くワイングラスを傾けるように(?)少しずつ読み進めている。
どちらも読み止しなのだが、横山 祐之著の『芸術の起源を探る』を読んでいて興味深い記述に出会ったのでちょっとメモしておく。
(実は既に第5回「開高健ノンフィクション賞」受賞作である、志治美世子著の『ねじれ ―医療の光と影を越えて』(集英社)を連休中に読了したのだが、身につまされるものがあり感想を書くのに苦慮している。)
本書は、「クロマニヨン人は何のためにつくり、そして、どこへ行ったのか?遺跡年代測定の権威が謎に挑む。洞穴壁画の謎を追う」といった謳い文句の本なのだが(本の表題は、「芸術の起源を探る」なのに…。それとも、クロマニヨン人こそが芸術の起源に深く関わっている…からこそクロマニヨン人にこだわる?)、いかんせん、「1992/01」の発売と、決して新しいとは言えない。
新刊は(本は)買えないので旧蔵の本を読み返しているのだから仕方がない。
それでも面白さは細部にあり! なのか、こんなことが書いてあったっけという連続である。
(本書に付いて、例えば「横山祐之、『芸術の起源を探る』 - 存生記」なるブログの評が洞窟と芸術という切り口も含め面白かった。「洞窟壁画 - Wikipedia」参照。)
← 「洞窟壁画の手形。画像はフランス、ペシュメルル洞窟」 (画像は、「洞窟壁画 - Wikipedia」より)
さて、「横山 祐之著の『芸術の起源を探る』を読んでいて興味深い記述に出会った」というのは、「バスク人は、(中略)クロマニヨン人の正統な後継者なのであろう」という点。
本書が刊行されてから既に16年を経過しているので、研究が今どれほど進んでいるのか、バスク人はクロマニヨン人の正統な後継者だという見解(説)が裏書きされているのかどうか、小生は知らない。
この背景には、クロマニヨン人の行方が(少なくとも本書の刊行当時は未だ)よく分かっていなかったことがある。
バスク人については小生は以前、「バスク人のこと」を書いたことがあるし、やはりバスク人の一人であるフランシスコ・ザビエルを「ザビエルや死して大分走らせし」のなかで話題の俎上に載せたこともある。
「バスク人はクロマニヨン人の正統な後継者」なんて書いてあったりすると、素通りはできない。
バスク人じゃなくバスク語については、「Cogito Ergo Sum ドリンク談議~本の紹介 其の十四」によると、下記のようである:
バスク語の系統については詳しいことが分かっておらず、周辺のラテン系言語やゲルマン系言語とは系統関係がありません。現在までのところ、バスク語の起源については大きく2つの説が出されています。ひとつは、能格構文を持つなどの文法構造上の類型的な類似と、一部に類似した語彙があることなどを根拠としてバスク語とコーカサス諸語との間に類縁関係があるとする「バスク・コーカサス語族説」。もう一方は、考古学的発見を根拠に、印欧語民族がヨーロッパに流入する以前からヨーロッパに住んでいたバスク人こそがクロマニヨン人の直系の子孫で、バスク語は元から他のどの言語とも親縁関係がない、系統不明の言語であるとする説です。
これを読むと、「考古学的発見を根拠に、印欧語民族がヨーロッパに流入する以前からヨーロッパに住んでいたバスク人こそがクロマニヨン人の直系の子孫」という説は今日も一定の有効性を持つようである(あるいは定説?)。
→ 「バスク・ナショナル・フラッグ」 (画像は、「バスク」より)
また、「バスク」(ホームページ不明)によると、ここでも以下のように書いてある:
バスク人の起源については、イベリア系、カフカス系、ベルベル系など諸説があり、定説はないが、体型(前後に長い長頭)、古説などからみて、バスク人の一部は、クロマニヨン人の末裔であるとの説が提唱されている。
但し、「バスク人 - Wikipedia」によると:
頭蓋骨の特徴や、孤立した言語、また地域的なことからクロマニョン人の唯一の末裔とする説を唱えた研究者もいたが、現在はやや懐疑的である。バスク人と周辺民族は混血しており、クロマニョン人の血はバスク人以外にも流れていると考えられていることも理由である。
どうやら未だ謎が多いようだ:
バスク人は、バスク地方を中心に居住し、現在のヨーロッパでは唯一、系統不明の言語であるバスク語を使用する人々である。← レオナルド・サスキンド著『宇宙のランドスケープ--宇宙の謎にひも理論が答えを出す』(林田陽子訳、日経BP社) (「日経BP書店|商品詳細 - 宇宙のランドスケープ」や「今週の本棚:海部宣男・評 『宇宙のランドスケープ…』=レオナルド・サスキンド著 - 毎日jp(毎日新聞)」参照)
彼らの言語がどこから来たのかについては、さまざまな憶測がなされているが、どれも決定的なものではない。現在最も有力な仮説とされているのは、イベリア半島における現生人類の第一居住民とされるイベリア人(イベリア語)集団がローマ化されないままに現在のバスク地方に残り、彼らの話していた言語が語彙的に周辺のオック語やカスティーリャ語などの影響を受けたのではないかという説である。
ではクロマニョン人の行方は?
「クロマニョン人 - Wikipedia」によると:
精密な石器・骨器などの道具を製作し、優れた洞窟壁画や彫刻を残した。又、死者を丁重に埋葬し、呪術を行なった証拠もあるなど、きわめて進んだ文化を持っていたが、狩猟採取生活に依存し、イヌ以外の家畜を持たず、農耕も知らず、そのため野ウマ・ヤギュウ・マンモス等の大動物が減少、絶滅すると共に彼らも滅亡したとする学者もいる。しかし主流派の学説ではクロマニョン人はそのまま現代人へと遺伝的に繋がっているとしている。精巧な石器や骨器を作り、動物を描いた洞窟壁画(ラスコー、アルタミラ、その他多数)や動物・人物の彫刻を残す。
やはり、細心の研究成果に触れないと。もどかしい!
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