飛越地震から150年
今年は、「飛越地震(ひえつじしん)」があった年から150年目に当たる。
発生したのは、1858年4月9日(旧暦:安政5年2月26日)で、「跡津川断層(富山県~岐阜県)を震源に発生した大地震」である。
「安政5年に発生したことから、「安政飛越地震(あんせいひえつじしん)」と呼ぶこともある」という。
→ 「立山大鳶山抜図」(画像は、「日本地震学会:なゐふる:vol.29 (5-8) 絵図から情報を汲む 第4回 飛越地震と大鳶崩れ」より)
「飛越地震 - Wikipedia」によると:
北陸地方(福井県、石川県、富山県)を中心に、中部地方北部の広域で甚大な被害を齎した。マグニチュードはM6~7を記録したとされている。家屋の倒壊も著しく、200~300人もの死者が出る大惨事となった。また、富山県の立山連峰では、日本三大山岳崩壊ともいわれている鳶山崩れが発生し、鳶山の一部だった大鳶山と小鳶山が消滅、立山カルデラに大量の土砂が流れ込むこととなった。現在でも、大量の土砂が立山カルデラに残っており、流出してしまうと富山平野が土砂で埋没するという(砂防工事が行われているため、すぐに土砂が流出することはない)。
「200~300人もの死者」など近年の大震災に比べたら大したことはないと思われそうだが、震源地が山岳だったために他ならない。
何より、「富山県の立山連峰では、日本三大山岳崩壊ともいわれている鳶山崩れが発生し」、「現在でも、大量の土砂が立山カルデラに残っており、流出してしまうと富山平野が土砂で埋没するという」ほどの地震だったのである。
150年前の地震の後遺症が現在に到るも潜在的脅威を残している!
「リポート08 大地震、油断は大敵」(「asahi.com」より)によると、震源地は山岳だったが、「家屋倒壊や土石流の被害のほか、富山市四方の浜では約20メートルも波が引き、高波で4人が犠牲になったとの記録も残る」という。
さらに、上掲の頁には、「富山は全国的にも有感地震は少ないが、実は「いつ地震が起きてもおかしくない場所」と専門家」とも書いてある。
小生は、「飛越地震…「地震」は遭っても「なゐ」とはこれ如何」などで取り上げているが、HPに載せた記事をブログに転載する。
併せて、関連する小文「稲作…自然…櫛」から一部、抜粋しておく。
「稲作…自然…櫛」より:
小生などは、ヲロチを単純に河川の洪水などによる氾濫を、凶暴で獰猛な目にするのもおぞましい動物の形に象形化されたものだと素直に思ってきた。また、実感もする。
「越」というのは、古代では新潟はおろか、山形県の南から福井県、さらには出雲地方に跨る巨大な王国だったらしいが、その地の河川の多くは、洪水と無縁ではなく、つい近年まで暴れ川と呼称されてきた。
河川の改修工事を幾度も重ね、ようやくめったに氾濫などの被害に見舞われることはなくなってきたのである。
恐らく、梅雨の時期などの雨と(ここまでなら「越」だけでなく、他の地方も事情は同じだろう)、(豪雪地帯である「越」地方特有の豊かな、時に豊か過ぎる…)雪解けの水とが相俟って一気に川の水が増加し(春先になると、北陸などの川の流れが雪解け水により早く激しくなるのを実感する)、溢れ出してしまうからなのだろう。
氾濫となると、地形は一変する。河川の周辺の村も町も壊滅するなど珍しくはなかったという。「ヲロチが年毎に来て八人の娘を食べてしまった」というのは、獣類などではなく、文字通り、河川の氾濫のなきよう天に祈るための人間の犠牲者、もっと言うと、人柱的な慣習が古代(だけかどうか)にあったことを暗示しているような気もする。
「飛越地震があったとか」より:
「飛越地震」というのは1858年(安政5年)に北陸地方で起きた典型的な内陸直下型の地震で、その規模はM7.0~7.1と推定される大地震である(発生した日付は、新暦では4月9日だが、旧暦だと小生の誕生日に一致する。関係ない話だとは思うが、気になる理由の一つではある)。
名の通り、「飛」というのは飛騨地方であり、「越」というのはこれは越中を意味している。富山県と岐阜県の県境、立山連峰の西の辺りで起きた地震である。が、地震の余波は遠く金沢にまで及んでいる。
この地震についての詳しい説明は、幸いにネットにて見つかったので、下手な小生の説明は不要である(助かった!):
「日本地震学会:なゐふる:vol.29 (5-8) 絵図から情報を汲む 第4回 飛越地震と大鳶崩れ」実は小生は富山の生まれなのだが、迂闊なことに近世において郷里も関係するこんな大地震があったことを全く知らなかった。あるいは聞いていたはずなのに、それこそ聞き流していたのかもしれない。
上記のサイトによると、死者の数や倒壊した家屋の数も凄いが、なにしろ、「山岳地帯を走る活断層(「跡津川断層」)の活動による地震だったため、各所で山崩れ」が凄まじかったという。特に、「大規模だったのは、立山連峰の西斜面、通称「立山カルデラ」に面する大鳶山(おおとんびやま)、小鳶山の大崩壊」がひどく、通称「鳶崩れ」と呼ばれて」いるという。
崩れ落ち堆積した岩や土砂の量は膨大で、4億立方メートルとも云われる。そのうち約半分が今日までの140年あまりのうちに流れ出たという。
ということは、まだいつ流出するか知れない土砂が2億立方メートルくらいは残っているということだ。仮にその2億立方メートルの未流出残土が一気に流出したら、富山市全域が2メートルの土砂で埋まる計算になる。
逆に云うと、140年あまりの歳月を掛けてとはいえ、今まで流出した2億立方メートルにしても、相当に凄まじい被害を下流域に齎しただろうということでもある。
実際、大地震が発生するまでは、下流の川にあたる常願寺川は、それまでは比較的大人しい河だったのが、発生以降は暴れ川へと性格を変え、下流域の住民等を苦しめてきたのである。
また、山崩れで発生した大崩れにより上流の川が堰きとめられ、多くのダムモドキを作った。しかし、やがてダムの一部は地震発生二ヵ月後に崩れ、流れ出た土砂は常願寺川下流に当たる富山平野に流れ出し、数百人の死者を出している。
流れ出た岩の中には400トンを超えるものもあったという。地元の人は、その岩を「安政の大転石」と呼んだ:
「第19回歴史地震研究会」ちなみに、まだ記憶に新しい雲仙普賢岳での火山活動の際の「溶岩の総噴出量は2億4千万立方メートル、福岡ドームの136杯分、東京ドームの190杯分」だという:
http://www.city.shimabara.nagasaki.jp/kazan/kasairyu.html(← 既に削除されていた)蝶々が羽を大きく広げたような形をした富山県には、五つの一級河川がある。小生が子供の頃は七つの一級河川があると教えられたものだったが、今日、方々のサイトを調べてみて、いつの間にやら五つに変わっていた。
ちなみに、五つの一級河川というのは、東から順に黒部川、常願寺川、神通川、庄川、小矢部川である。一級河川でなくなったのは、早月川、片貝川である。
いずれにしても七つの大きな河川が流れているということだ(関係ないけど、河と川はどう違うのかね)。
富山県は富山湾に面し周囲を立山連峰など山々に囲まれ、海の幸山の幸に恵まれた風光明媚な地である。富山市の市街地のど真ん中から天を突く純白に輝く巨大な屏風のような立山連峰を眺められるのは、なかなかに恵まれた地勢であると思う。
富山は水の都と言っても、決して地元の人間による贔屓の引き倒しには当たらないと思う。雪融けの水が方々で湧出している。だからだろうか、こんなサイトもあったりして:
「嶋くん(水商売!)」が、容易に想像がつくように、このことは県民が水に悩まされてきたことを意味する。富山は暴れ川との戦いを生きてきた県でもあるのだ。
そしてその代表格の一つが常願寺川なのである。
暴れ川と闘うとは土砂と闘うことだ。「急流河川・常願寺川を視察した外国人技師デ・レーケは「川ではなく、滝だ」と表現している」というのも無理はない。先述した膨大な量の土砂が残る地形を写真で見ることができる。是非、この写真を見ると同時に、このサイト中の説明を読んで欲しい:
http://www.hrr.mlit.go.jp/nyusho/annai/project2.html(← 既に削除されていた)
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