アーサー・C・クラーク死去
「SF小説の大家、アーサー・C・クラーク氏が死去 」(ホビー マイコミジャーナル)というニュースが20日の新聞でもテレビでも流されていた。
「英国人小説家アーサー・C・クラーク氏が19日、移住先のスリランカで死去した。享年90歳、死因は心肺機能不全」という。
小生にとってはアーサー・C・クラーク(Sir Arthur Charles Clarke, 1917年12月16日 - 2008年3月19日)の『2001年宇宙の旅』や『太陽系最後の日』、『銀河帝国の崩壊』なども印象深いが、ノンフィクションものの『未来のプロフィル(Profiles of the Future)』 が彼の著作の中では思い出深い。
SF作家としては、同じく大家のアイザック・アシモフとかハインライン、『スカイラーク』シリーズや『レンズマン』シリーズ等のE.E.スミス、エドガー・ライス・バローズのほうが好きだった。
ジュール・ヴェルヌ、H・G・ウェルズ、アーサー・コナン・ドイル(小生にとってドイルは、『シャーロック・ホームズ』の作家ではなく、恐竜の作家だ)などなど。
メアリー・シェリーが書いた『フランケンシュタイン』はSF小説の先駆け的な作品? 彼女はこれを19歳の時に書いた!
『未来のプロフィル(Profiles of the Future)』を初めて読んだのは中学生になって間もない頃だったような気がする(80年に新装版が出ているようだ)。
別に「高名だが年配の科学者が可能であると言った場合、その主張はほぼ間違いない。また不可能であると言った場合には、その主張はまず間違っているといった内容の」、「後に第一法則と呼ばれることになる」「クラークの法則」に感心したわけでなく、ベルトコンベアーだったか、動く歩道とか、いまから思えば他愛もない話に妙に感激したような…、そんな曖昧な記憶がある。
細かな中味はスッカリ忘れたが、人類の月への挑戦が始まっていた頃で、広大な宇宙の中の人間ってことを考え始める端緒となった本だった。
屋根裏部屋の書棚に残っているかもしれない。
ガキの頃から漫画の本に熱中してきて、活字の多いものは教科書は無論のこと童話の類いも敬遠していたのに、気が付くと一定のジャンルの本は手に取るようになっていた。
海や宇宙や神秘的な生き物への関心を抱くようになってきていたのだ。
科学ものも好きだが、冒険ものやSF小説を読み漁った。小生は以前次のようなことを書いた(「センス・オブ・ワンダー…驚き」より):
小生は推理小説よりSFモノに傾倒したくちだが、それは人間が推理しえる範囲はタカが知れているという尊大な思いもあるが、それ以上に、感じ、思い、想像し、空想し、妄想し、推理し、思惟する人間が土壇場に追い詰められたなら、最早、思惟も推理も通用せず、それどころか逞しく膨らんだ妄想さえも凋んでしまうような現実がある。
というより、そもそも現実がある、存在がある、否定しても否定しきれない何かがあるというそのこと自体の不可思議の念こそが、究極の驚異なのだと、早々と決め付けてしまったのである。
小生の場合、SF小説に凝ったのはせいぜい数年ではなかったか。
高校生になって間もない頃は未だSF小説熱の余じんはあったはずだが、それもシャーロット・ブロンテの『ジェイン・エア』を読んで圧倒され、SF熱は微塵もなく吹き飛ばされてしまった。
宇宙も海底の神秘も地底の謎も、人の心の謎に比べたら何ほどでもない、この世には次元の違う本がある…、なんて思わせられてしまったのだった(今は、いずれも同等に深く広大で且つその謎は拡大深化複雑化しているものと思っている)。
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コメント
トラックハックありがとうございました。
お邪魔して、「あ、ここにもごく近い軌跡を描いて生きておられる方が……」と思いました。同じ作品や文章に打たれた人には特別な感慨がわきます。
そういう思いを誘ってくれたクラークさんに、合掌。
投稿: 森下一仁 | 2008/03/20 20:41
今晩は。故郷へ帰って、柴刈、雪つりはづし、障子貼りと多忙ですね。
若いときは障子貼りも、暮れの年中行事でしたが・・・今は専門家へお任せ。やいっちさんえらい。
雪つりは金沢の兼六園を思い出しますが、富山でもするのですね。
私の故郷は雪つりではなくて、雪かこいだったと記憶。
北陸の雪は北海道と違って湿った重い雪なので枝を折ってしまうのでしょうね。
キュウイ、雌雄の木があればかならず成りますよ。
写真で見た感じではやいっちさん切りすぎだよ。
SF小説大好きですが、読むのはいつもマイケル・クライトンばかり。
初期の『アンドロメタ病原菌』、『ジュラシックパーク』、そして『Next』
最高です。
投稿: さと | 2008/03/20 23:34
森下一仁さん
勝手にトラックハックして失礼しました。
ネットで関連の情報を探していたら、同好の士を見つけて思わず嬉しくなって。
アーサー・C・クラークという作家が、一時期であれ、我々の空想力や想像力を、精神のある部分を刺激してくれた…、そんな稀有な存在だったのです。
同じ頃にはもう戻れないのが淋しい。
投稿: やいっち | 2008/03/21 03:08
さとさん
いろんな記事を読んでくれてありがとう!
嬉しい。書く励みになります。
何をするのも自前なのは、おカネのこともあるし、出来そうだったから。
でも、雪吊り外しでハシゴに登ったのは、かなり怖かったし危なかったと自分で思った。登っていてグラグラ揺れたしね。
雪吊りや雪囲いを外すのは、頑張れば出来そうだけど、設置する作業は出来そうにない!
ちなみに、「雪吊り」と「雪囲い」は別物と思ってました。
「雪吊り」は、金沢が有名な奴ですね(小生の「初めての雪吊り外し 」でも画像を載せている)。
「雪囲い」は、板や木、竹、乃至は鉄のパイプで木の周りを囲うもの、という認識です。
でも、地方によって理解は違うのかな?
北陸の雪は北海道とは違って湿っぽいのか、やや重たい。「雪吊り」と「雪囲い」は必要です。
> キュウイ、雌雄の木があればかならず成りますよ。
写真で見た感じではやいっちさん切りすぎだよ。
キュウイ、雌雄の木があるってこと、カットしたあとで知りました。
仲を引き裂いてしまったのか。ヤバイな。
こうなったら、手を貸すかな。
マイケル・クライトンは読んでない!
今、初めて知ったんだけど、『ER緊急救命室』の製作総指揮や脚本を書いていたんですね。
好きな番組でよく見てたのに、知らなかった。
投稿: やいっち | 2008/03/21 03:31