キジも鳴かずば打たれまい
先週末、トイレの窓を開けて用を足していたら(出すのに、どうして用を足すなのか)、隣の家の庭木の枝に不思議な鳥が止まるのを見た。
左やや上方から、真っ白なものがふわーと飛んできて、枝先に止まったのである。
← 「セキセイインコ」(by Kei)
なんだ、あの純白の鳥は?!
図鑑や写真でならともかく、肉眼では観たことのない種類の鳥のようだった。
色は白地にやや青味がかっている。大きさはツバメほどだったか。
枝先に止まったのだが、曇天なのに、その白さが眩しいほどに鮮やかなのである。
飛び立つ瞬間だったか、ギギッと鳴いたような気がしたが、定かではない。
野鳥に詳しければ、すぐに名が分かるのだろうが、生憎、そんな風流な知識は持ち合わせていない。
急いで用を足したらデジカメを持ってこようと思っていたが、グズグズしているうちに飛び去っていってしまった(どうも、切れが悪い…)。
珍しい鳥を見かけたと、夕食のあとの話題に出してみた。
父母にしても詳しくはない。キジとかヒヨドリとかツグミとか思いつく限りの鳥の名を思い浮かべるが、ピンと来ない。
その内に父が、近所で飼っているインコが逃げ出して騒動になったことが二度、三度とあったという。
小生、インコという名を聞いた瞬間、えー、インコ、そんなことないよって思った。
実は小生、インコという名前で脳裏にはオウムの姿を思い浮かべてしまったのである。
でも、あとで冷静になって考えてみると、インコはインコである。オウムではない。
例えば、「セキセイインコ - Wikipedia」を覗いてみると、そう、まさしく、この頁の中の白地に淡く青色の差す色合いの鳥だったのである。
しかし、嘴の形が違うようだし、何よりも尾っぽの形に特徴があった。
そんな印象が残っているのだが、じっくり観察する暇もなく(用を足している最中でやや注意散漫でもあったし)、あの幻の華麗な鳥は飛び去ってしまったのである。
用を済ませて外に出て様子を窺っていたが、やはり舞い戻ってくることはなかった。
せめてシャッターチャンスが欲しかった。鳴き声を楽しみたかった。
野鳥であんなに鮮やかな、輝くような白で淡く青色の混じった鳥なんているのだろうか。
それにしても、小生、キジなんて名前がどうして出てくるんだろう。
もしかして、小生は鳥というと、スズメにカラスにツバメに白鳥にキジにと、片手の指で足りるほどの数の種類名しか知らない…ってこと?
「キジ - Wikipedia」なる頁を覗いてみても、似ても似つかぬ外観である。
形や大きさもだが、色合いがまるで違う。
話がここから急カーブを描いて変わっていく。
「キジ(雉子、雉、学名:Phasianus versicolor)とは、キジ目キジ科の鳥。日本の国鳥」だって。そういえばそうだったっけ。
それより驚いたのが、以下の記述:
キジやコウライキジは、世界中で主要な狩猟鳥となっている。なお、国鳥が狩猟対象となっているのは、日本だけという。国鳥に選ばれた理由の一つに「狩猟対象として最適であり、肉が美味」というものが含まれる。
何がどうってわけではないが、とにかく、何故か驚いた。
ところで、小生が何故、目の覚めるような鮮やかな色合いの鳥の話題から、無理無体にもキジの話に移ったかというと、「キジ - Wikipedia」の末尾に、「トリビア」なる項目があり、その記述が面白かったから:
・日本銀行券D壱万円券の裏面に描かれていた。
・キジは飛ぶのは苦手だが、走るのは速い。スピードガン測定では時速32Kmを記録した。[1]
・繁殖期のオスは赤い肉腫が肥大し、なわばり争いのために赤いものに対して攻撃的になる。
・「ケーン」と鳴くが、「けんもほろろ」という言葉は、この鳴き声に由来している。
・「頭隠して尻隠さず」ということわざは、草むらに隠れたつもりになったキジの様子に由来している。
・「キジを撃つ」は、山中で大便や小便をする意味の隠語として登山者の間で使われている。物陰に隠れて用を足す姿勢がキジ猟を思わせることに由来するという。
・きしめんの語源には諸説あるが、キジ肉を平打ちの麺の具にして藩主に献上したという説もある。
そして、そこまで頭が良くない。
個人的にはキジに纏わる思い出は特にない。
ただ、ガキの頃、小学校の高学年になった頃だったろうか、何かの絵か漫画でキジが描かれているのを見て、せっせとキジの絵を描いたことを覚えている。
その頃は、とにかく模写するのが好きだったこともあり、何でも真似て描くのが好きだったのだ。狼王ロボ、エイトマン、ゼロ戦、戦艦大和、お化けのQ太郎……。
手当たり次第。
鳥に付いてはあまり描いた記憶はないが、キジだけははっきり覚えている。
「日本銀行券D壱万円券の裏面に描かれていた」という事実からすると、もしや、カネへの執着心の現れであろうか?
「きしめんの語源には諸説あるが、キジ肉を平打ちの麺の具にして藩主に献上したという説もある」ってのは、駄洒落好きな小生からしても、やや強引に思えるが、国鳥なのだから、こんなところにも顔を出すということか。
せっかくなので、「きしめん - Wikipedia」の中の、「語源」の項を覗くと:
「きしめん」の語源は、「原型は麺でなく碁石型だった(あるいは帯状の麺を巻いた状態が中国将棋の駒に似ている)故に、"碁子麺"が転じて"きしめん"となった」という説や、「紀州の者が作った"紀州めん(きしゅうめん)"がなまって"きしめん"となった」という説、「キジの肉をめんの具にして藩主に献上したから」など、諸説ある。
なんだか、名古屋名物のきしめん、食べたくなった。
それにしても、「「ケーン」と鳴くが、「けんもほろろ」という頭隠して尻隠さず言葉は、この鳴き声に由来している」ってのはともかく(「けん」も「ほろろ」も雉(きじ)の声だという説もあるが…)、「「頭隠して尻隠さず」ということわざは、草むらに隠れたつもりになったキジの様子に由来している」ってのは、国鳥たるキジに失礼ではないか。
そんなふうに見える野鳥は他にもいろいろあるだろうに。
それにも増してあんまりだと思えるのは、「キジを撃つ」は、山中で大便や小便をする意味の隠語として登山者の間で使われている」という項。
この項も、「物陰に隠れて用を足す姿勢がキジ猟を思わせることに由来するという」って、キジにどうしてこんなにも辛く当たるのだろう。
そういえば、「キジも鳴かずば打たれまい」って諺があったっけ。
これも、「頭隠して尻隠さず」に類するようで、キジの生態に由来するということなのか。
ご丁寧にも、「トリビア」の末尾には、「そこまで頭が良くない」とまで!!
何かキジに恨みでもあるのだろうか。仮にも国鳥なのに!
まあ、ものは考えようで、キジがそれだけ日本人の多くに馴染みの鳥、親近感の湧く鳥だからということなのだろう。
可愛くて目に入れても痛くないって表現があるけど、キジの場合は、可愛くて、口にしても美味しいほどだってことなのだろう?!
→ 「セキセイインコ」 (画像は、「セキセイインコ - Wikipedia」より) 中でも白地に青味がかったインコに注目。でも、先週末に見たあの鳥の正体は分からないままである。
名誉回復というか汚名返上というわけではないが、下記のサイトを参照に、「なぜキジが国鳥となったの」か、その理由を見ておこう:
「第10回「国鳥・キジ」」(ホームページ:「野鳥と教育 ~鳥を学ぼう~」)
上掲サイトによると、「高島春雄氏(当時山階鳥類研究所員)によると,次の6点があげられています。 〈日本野鳥の会会報 1999年3/4月号より〉」として、以下の諸点が示されている:
1 日本固有種であり,日本の象徴になっている。
2 留鳥で1年中姿を見ることができ,また人里近くに生息する。
3 姿態優美,羽色鮮やかで,鳥に関心を持つ人が好きになれる。
4 大型で肉味が良い。狩猟の対象として日本では好適で,その狩猟はスポーツとして楽しめる。
5 古事記・日本書紀といった古文献に,すでにキジの名で登場し,また桃太郎に登場する動物として子どもたちも知っている。
6 オスの飛び立つ姿は力強く男性的,メスは「焼け野のきぎす」のたとえにあるように非常に母性愛が強い。
そう、こうでなくっちゃ、国鳥たるキジも立つ瀬がないというもの(やはり、4の「大型で肉味が良い。狩猟の対象として日本では好適で,その狩猟はスポーツとして楽しめる」ってのが気になるが)。
小生、今の6つの理由のうち、5番目の桃太郎で、ガキの頃、どうしてキジの絵を熱心に描いたか、そして今もそんなことがあったかを覚えているかの訳が分かった。
そう、昔話の「桃太郎」が面白かったからだ。
なーんだ。分かってみたら、大した理由はなかったのだ。でも、どうしてキジを描いたことだけ今も記憶に鮮やかなのか、その理由は分からず仕舞いだ…。
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コメント
あはは~私も鳥の名前はサッパリ判りません。
庭に、スズメ・メジロ・ヒヨドリは来ますから
見て判りますが。後は。。カラスにツバメくらい。
田んぼのサギとか、川のセキレイ・ユリカモメ
数えると結構ありますね??
キジは動物園でしか見たことがありません。
(あと、お札と。笑)
投稿: ちゃり | 2008/02/12 23:25
ちゃりさん
植物の名前も苦手ですが、鳥など動物の名前もほとんど分からない。
生き物を大切にって思うわりには、愛情が乏しいのか、実は無関心なのか。
ま、名前ではなく、生き物の自然な姿を愛でることが出来ればそれでいいのですが。
そうそう、キジって、国鳥でよく見かける鳥だ(った)というのですが、実際に見たことは皆無のような。
地味な鳥なので、あるいは気づかないだけなのかもしれないけど。
投稿: やいっち | 2008/02/13 01:29