飛行機雲は陽炎の如く?(前篇)
ギャヴィン・プレイター=ピニー 著『「雲」の楽しみ方』(桃井 緑美子 訳 河出書房新社)を昨日、読了した。
実に楽しい本。内容紹介によると:
大空にさまざまな表情を与えてくれる雲。来る日も来る日も青一色の空を見せられたら人生は退屈だ。本書は、英国でベストセラーになった、豊富な写真入りの愉快でへんてこな雲一族を真面目に紹介する世界初の科学ガイドブック。

← 国府弘子『ピアノ・タペストリー/PIANO TAPESTRY』 (画像は、「国府弘子オフィシャルホームページ」より)「一枚の布を織り上げるように音の響きを紡いで生まれた珠玉のソロピアノ即興演奏集」だって。掛けっ放し!「ひろこダイアリー 国府弘子オフィシャルブログ」がある。「アルバムデビュー20周年を迎える2007年は9月末に20枚目になるニューアルバムのリリースとシーズンベスト「オータム・コレクション」の同時リリースを予定」だとか。(以下、CDジャケット画像の形で5日現在で借りているCDを順不同で列挙する)
本書の著者ギャヴィン・プレイター=ピニー (プレイター=ピニー,G)は:
「雲を愛でる会」を2004年に設立。ウェブサイトを公開後、1年で世界25カ国の1800人が会員となり、多くの珍しい雲の写真などが寄せられている。イギリスの雑誌「アイドラー」の発行人、デザイナーでもある。
「雲を愛でる会(The Cloud Appreciation Society)」
→ 寺井尚子『ベスト』 (画像は、「CD DVD 通販 オンラインショップ Neowing」より)「情熱のジャズ・ヴァイオリニスト、寺井尚子の軌跡を辿るベスト・アルバム」だって。繰り返し繰り返し聴いている。今は、「ジェラシー - 寺井尚子」が売り出し中!「寺井尚子 公式ウエブサイト t-naoko.com」
この会には、下記のような声明書(マニフェスト)がある:
雲を愛でる会 声明書
われら雲を愛でる会は、雲が不当にも悪者扱いされていると考える。雲がなければ人生は果てしなく味気ないのである。われら雲を愛でる会は、雲は自然のうたう詩だと思っている。万人にひらかれた雲は、自然が誰にも分け隔てなくその姿を見せてくれるものである。
われら雲を愛でる会は、「青空一辺倒思考」と戦うことを誓う。くる日もくる日も雲のない単調な空を眺めなくてはならなかったら、人生は退屈きわまりない。
われら雲を愛でる会は、人々が雲は大気の気分を表したものだと気づいてくれることを願う。表情から人の気持ちを読みとるように、雲から大気の気分を読みとれるのである。
われら雲を愛でる会は、雲が夢を追う人のものであり、雲を眺めることが魂の癒しになると信じる。雲に何かの形を見出す人は精神分析医にかかる費用を節約できる。
よってわれら雲を愛でる会は耳を傾けてくれる人にかならずこう勧める。
空を見上げ、あの一瞬の美に驚嘆なさい。そして雲のなかに頭を突っこみ、空想にふけって遅らしなさい。

← 中村紘子『グランド・リサイタル』(AVCL-25020 2004/10/06) (画像は、「新・オンガク生活 mu-mo ミュゥモ 音楽配信・着うた(R)・CD-DVD-アーティストグッズショッピング」より) 一体、何度、図書館から借り出したことだろう。来年、二月には「中村紘子 ピアノ・リサイタル」がある。
著者(ら)は、決して雲や気象学などの専門家ではない。だからといって、空想や詩的な想像に耽ることを楽しむだけの本ではない。ちゃんと雲の分類や見分け方、発生のメカニズムなどを専門書に当りつつ、一通りの研究を踏まえつつ、しかし、退屈になることなく、理論や分析の記述の中で路頭に迷わせることなく、楽しく雲学を、というより、雲楽を伝授してくれる。
小生としては、最近のブログのマイブームテーマである、「空」「雲」「霧」「水」「海」「川」などなどの一環で読んだ本だった。
その中でも、リチャード・ハンブリン著『雲の「発明」 気象学を創ったアマチュア科学者』(小田川佳子訳、扶桑社)は、まさに思いもよらぬ発見の本となったが(拙稿「水、海、と来ると、次は雲である!」参照)、本書も実に嬉しい本だったのである。
余談だが、最近、風景画関連の記事が増えている。
それは、風景画の素晴らしさを再認識していることもあるが、風景、特に空の雲がどのように描かれているのかに関心があるからでもある。
本書からは幾つも話題を拾うことができるが、今回は、ちょっとシビアーな話、小生にとっても意外な話を採り上げる。
その話題は表題にもあるように、「飛行機雲」である。
→『ひこうき雲』
アーティスト: 荒井由実
出版社/メーカー: 東芝EMI
発売日: 2000/04/26
メディア: CD
「飛行機雲」というと、ユーミン(この歌がヒットした当時は荒井由美)の「ひこうき雲」を思い浮かべる人も少なからずいるだろう:
「ひこうき雲」 (作詞作曲:荒井由美)白い坂道が 空まで続いていた
ゆらゆら陽炎が あの子を包む
誰も気づかず ただ一人あの子は昇ってゆく
何も恐れない そして舞い上がる
空にあこがれて 空を駆けてゆく
あの子の命は ひこうき雲
この歌は、「高いあの窓で あの子は死ぬ前も 空を見ていたの 今はわからない」と続くことを知らなくとも、歌詞のイメージやメロディ、曲調から、あの子が若くして死んでいったこと、そのはかなさをひこうき雲の、あの青空に眩しいほど真っ直ぐな白いライン、同時にやがて青い空に飲み込まれ消えていく、そういった現象とダブらせている。
まあ、そんな野暮な説明など無用だろう。
大人になってからは、なかかな飛行機雲をぼんやり眺めるなんて機会はない。
幸いにして(?)、小生は仕事柄、待機する時間が長いので、そんな折に幸運にも飛行機雲を見つけたなら、小生は路上を過ぎ行く素敵な人に気を奪われつつも、ボンヤリ眺め入ることができる。
「飛行機雲は陽炎の如く?(後篇)」へ続く。ここから本題に入る!
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