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2007/12/06

飛行機雲は陽炎の如く?(後篇)

[本稿は、「飛行機雲は陽炎の如く?(前篇)」の続編です。]

 でも、曲がりなりにも大人となった今、子供の頃のようなわけにはいかない。
 子供の頃は、郷里(富山)にあっては、飛行機雲を見る機会自体が稀だったこともあるのだろう(か)。

 段々、自分なりに飛行機雲なんて珍しくもなんともないし、要するに、寒い朝、息を吐いたら息が白くなる、その原理と基本的に同じだと分かってくると、神秘性も幻想味も薄らいできてしまった…のだろう。
 それとも、感じる心が荒んできてしまったのか。心のゆとりがなくなっているのか。

Flyer

← 「中村紘子 ピアノ・リサイタル」 2008年2月16日(土) 18時開演 サントリーホール

 さて、以下の話はもっと野暮な話。

 本書を読んで、飛行機雲は地球温暖化(小生はこの表現は大袈裟だと思う。あくまで大気や大地(の表面)の温暖化であって、地球自体が温暖化しているわけじゃないのだし。まあ、事態の生物や環境にとっての深刻さを思うと、地球温暖化という表現のほうが警告を喚起する意味でも、相応しいということなのだろうけど)と深い関連があることを知らされたのである。
 環境問題や科学、そして気象学などに関心のある方には、3年ほど前にも若干世上を賑わせたことでもあるし、常識なのかもしれないが、まあ、自分のためにもメモしておきたい。
 当初は、関連頁を本書から転記しようと思ったが、転記すべき頁が十頁ほどにもなるので断念。
 ネットで関連サイトを物色し、明示することにした。

「飛行機雲 温暖化」をキーワードにネット検索すると、冒頭に以下の頁が浮上する:
NASA、飛行機雲と地球温暖化の関連を指摘 2004年06月04日」(ホームページ: WIRED VISION

NASA、飛行機雲と地球温暖化の関連を指摘」から一部、転記する:

 ジェット旅客機の後ろをたなびき、空に広がるかすかな航跡は、一見無害に見えるが、実際のところはそうではないのかもしれない。

 米航空宇宙局(NASA)の最新調査は、民間ジェット機のエンジン排気によって形成される、人工的な巻雲(けんうん)、つまり飛行機雲が、米国で1975年から1994年までに観測された地上の気温上昇の要因かもしれないと報告している。

 データは、米国上空を覆う巻雲(写真)の面積が10年に1%の割合で増加してきたことを示している。NASAの報告書によると、巻雲増加の原因は民間航空便だった可能性が高いという。

 自然のものであれ、人工のものであれ、巻雲(絹雲、すじ雲とも言う)は気候学的に重要な役割を果たしている。地球表面から発せられる赤外線放射を反射することで、熱を宇宙に逃がさず、大気中にとどめておく働きをするのだ。

 今回の研究は、『気候ジャーナル』誌の4月15日号に掲載された。論文によると、ジェットエンジンの航跡雲が形成した巻雲は、大気下層の温度を、10年に0.2〜0.3℃の割合で上昇させたという。この結果は、地表と大気下層の温度が1975〜94年の期間、10年に0.27℃の割合で上昇したという米気象庁のデータと重なる。
(中略)
 航空機エンジンの排気は熱く、湿気を含んでいる。排気中に含まれる水蒸気の大部分は、航空燃料の水素が燃焼してできたものだ。排気が冷め、周囲の空気と混ざるまで多少の時間がかかるため、通常は飛行機の後方に50〜100メートルのすきまが空き、それから飛行機雲が出現する。

 形成されたあと、飛行機雲は高層風によって形が崩れ、広がる。飛行機雲から氷の結晶がカーテン状に降る現象が観測されることもある。

 飛行機雲が大気中にとどまる時間は、大気中の湿度によって決定される。長時間にわたって消えない航跡は時として、自然の巻雲や巻積雲や巻層雲と区別がつかないような、繊維状の雲の大きな斑点を形成することがある、と英国王立気象学会のマルコム・ウォーカー氏は説明する。

 気候に影響をおよぼす可能性が最も高いのは、長期間にわたって消えない飛行機雲だろう。ミニス氏の試算によると、はじめは空にかかる薄い繊細な糸のような飛行機雲も、ほんの数時間のうちに2万平方キロメートル以上に広がることがあるという(日本語版記事)。


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→  Shakira 『Fijacion Oral Vol.1 (CD+DVD)』 (画像は、「Amazon.co.jp 通販サイト」より) コロンビアのスーパースター、シェキーラ。ひょんなことから、歌って踊るシェキーラ(シャキーラという表記のほうが一般的な気がする)というロック歌手の存在を知った。ベリーダンスしつつ歌うビデオが良かったのか、歌が良かったのか分からない。Shakira's Official Websiteは、「SHAKIRA-シャキーラ」やっと借りることができた。極め付けは、「SHAKIRA - Ojos Asi」。必見! 必聴!!

 但し、この研究に対しては異論もある。相関関係までは認める研究者が多いが、因果関係は必ずしも認知に到っているわけではない。
 また、言うまでもないが、飛行機雲が温暖化の主原因だと研究者らが主張しているわけではない。
(関心が湧いた方は、上掲のサイト頁を覗いて全文を読んでもらいたい。長くはない。リンクも豊富に貼ってある。簡潔に読みたい人は、「ウィークリートピックス NASA、「飛行機雲が地球温暖化を加速」と発表 資料:4/28 朝日新聞ニュース速報」参照)

 もう少し新しい情報を探す。
航空機と地球温暖化 2006年7月11日」(ホームページ:「Science Web」)
 一部、転記する:

イギリスの経済誌『エコノミスト』の6月10日号で「汚染される空」というタイトルの特集が組まれました。これは航空機の排出ガスが地球温暖化にもたらす影響について取り上げたものです。国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)によると、世界の二酸化炭素排出量に占める航空機の割合は約3%とされています。『エコノミスト』誌の特集では、航空機の場合、二酸化炭素が排出されるのが高空であるため、地球温暖化に与える影響がきわめて大きくなる可能性があるとしています。航空機の排出ガスでは窒素酸化物も問題になっているほか、飛行機雲も地球温暖化に影響をおよぼすと考えられています。
(中略)
この影響は航空機の飛ぶ時間帯や季節によって変動があるとのことです。現在、夜間の飛行は全体の4分の1に過ぎませんが、その影響は飛行機雲が地球温暖化に与える影響の80%に達しているとのことです。また、1年分の影響の半分は冬期の3か月に集中しています。これらのことから、今後、地球温暖化への影響に配慮したフライトプランが必要になるかも知れません。

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← 薬師丸ひろ子『ツイン・ベスト』(東芝イーエムアイ株式会社) (画像は、「楽天ブックス」より) 「『セーラー服と機関銃』以来、女優と歌手との二足の草鞋を履く薬師丸ひろ子の2枚組ベスト。筒美京平やユーミン、竹内まりや、大瀧詠一といった作家陣の豪華さもさることながら、彼女の表現者としての魅力も再確認」だって。役者としては、最近、「オールウエイズ(3丁目の夕日)」などに出演している。でも、小生には彼女の歌、その声にしびれている。やっと借りることできて、返却期限を更新したばかり。

 本稿では採り上げないが、ギャヴィン・プレイター=ピニー 著『「雲」の楽しみ方』には、飛行機雲に関連して、雲(雨雲)を意図的に作り出すことで軍事的目的に使うという話も載っている。
 有名な話なのだろうが、アメリカ軍は、ベトナム戦争当時、既に軍事目的で雨雲を人工的に作り出し、一定の成果があったものと評価しているようだ。

 軍事関連の話は、下記を参照:
Soopllofeiv の日常 飛行機雲

 近年は、楽しみとして、あるいは癒しとして空や空の雲を眺めるに留まらず、環境問題との絡みで雲や空を眺める人が増えている。「クラウドウォッチング」は、癒しの元とばかりは言っておられなくなったようである:
So-net blog革工房 Nori-Haru つなぐろぐクラウドウォッチング(2)

 あるいは、その名も「ひこうきとかんきょう」というホームページを発見(最近は更新されていないが…)。

 温暖化問題という視点からの「飛行機雲」にどれほどの関心が集まっているのか。
bp special ECOマネジメント/キーワード 航空機による影響」(ホームページ:「bp special ECOマネジメント」)なるサイトが参考になる。
 この冒頭に、下記の説明が載っている:

 航空機からの排気ガスが地球温暖化に影響を与えている。航空機の燃料消費による温室効果ガス(GHG)は、世界の総排出量の約3%であるが、現在、航空市場はかつてないほどの成長を遂げており、排出量は大幅に増加する傾向にある。こうしたなかで、2006年には、EU(欧州連合)が、欧州に乗り入れるすべての航空機を欧州排出権取引制度(EU-ETS)に組み入れると発表している。一方で、燃費効率に優れた新型機の開発も加速している。航空産業の地球温暖化への影響や対策は、今後、一層注目を集めそうだ。

「燃費効率に優れた新型機の開発も加速している」というが、「世界の航空機需要が成長を続けているが、EU(欧州連合)は、国際運航による航空機からの2004年のGHG排出量が1990年比で87%増という大幅な増加をみせたとのデータを報告した」のであって、飛ぶ飛行機の数が急増しているという現実があるのでは、温室効果ガスの排出量は増えると思うしかないのではないか。

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→ 『三橋美智也全曲集(オリジナル録音による)』(演奏:豊吉  キング ) (画像は、「セブンアンドワイ - インターネットでショッピング!」より) 三橋美智也春日八郎村田英雄辺りが小生にとっての日本の男性歌手の三巨頭か。以上の6人(荒井由実(現在、松任谷由実)を除く)のCDを現在、借りている最中。

 注目すべきは、「EUと航空機メーカーの対応」という項:

欧州委員会は2006年12月、航空機によるGHGをEU-ETSの対象にするという「温室効果ガス排出取引指令」を発表した。欧州議会およびEU理事会で承認されれば、機体ごとにCO2排出枠が設定され、それを超過した航空会社には排出権の購入が義務付けられることとなる。EU域内を運航する航空機は2011年から、域外からを含め域内の空港に離発着する航空機は2012年からの適用が予定されている。

 驚いたのは、「航空機をめぐる国際的な動向」なる項の中の一節で、「京都議定書では、航空機が排出するCO2についてはICAOで議論することとしており、京都議定書では扱わない方針を採っている」んだって。
 これでいいのか!

 子供の頃のようにナイーブな気持ちだけでは空は眺められないということ。ちょっと悲しい現実。自業自得とでも思って受けとめるべき現実なのだろう。
 それにしても、いつかまた子供の頃のように、飛行機雲をナイーブな気持ちで見入ってしまうような時が来るだろうか。

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