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2007/12/14

ベクシンスキー:廃墟の美学(後篇)

[本稿は、「ベクシンスキー:廃墟の美学(前篇)」の続編です。前篇でも書いたけど、本稿は翌日(正確には日付上、当日になっていたが)に試験を控えているというのに、ついついネット散策に夢中になり、あれこれ調べつつ書いたもの。内容に、というわけではないが、書いたり画像に眺め入ったりしていたその夜の自分の胸中などがちょっと懐かしい。滅びの美学。廃墟の美学。こうしたものにどうして人は囚われるのか。ベクシンスキーの場合は、ナチ下という過酷な体験がある。なんたってポーランドの人だからね。日本だって、ほんの数十年前、多くの都市が廃墟と化した。高層ビルが林立していても高速道路や地下鉄が縦横に走っていても、ちょっとした事件で美麗なビル群が廃墟と化してしまう。天国と地獄は常に背中合わせなのだ…が、そうしたことを忘れやすい、目を背けたいと思うのも人の慣わし。……と言いつつ、この数日、訳の分からないものが詰まったダンボール類を片付ける作業に没頭していた。見えなかった壁が多少なりとも見えてきて、感激。日常にあっては、こんなことも嬉しい。天と地もあるが、極大もあれば極小もある。崇高なる美もあれば、卑近な癒えもある。その両端に股裂きなのが人間なのか…な?(14日(アップ当日)追記)]

Zdzislaw_beksinski_1978_2

→ ズジスワフ・ベクシンスキー Zdzislaw Beksinski 『??』(画像は、「Zdzislaw Beksinski」より) 何処かフリードリッヒを想わせるかのよう。けれど、徹底して乾いた絶望という名の詩情が漂うのみ。

 ズジスワフ・ベクシンスキーは、「私の絵に定義づけ、意味を問う行為は無意味だ。私自身意味は分からないしね。そのうえ、理屈にはサッパリ興味が無いんだ」と言う。
 だからなのか、彼の作品のほとんど(あるいは全て?)は、「無題」のようである。

 末尾でも示すが、「editions treville - from é.t.art lab - エディシオン・トレヴィル - アート ラボ - ベクシンスキー アーカイブ」は、覗くだけの値打ちはある。

Zdzislaw_beksinski_1980

← ズジスワフ・ベクシンスキー Zdzislaw Beksinski 『??』(画像は、「Zdzislaw Beksinski」より)

 冒頭で画像を示したズジスワフ・ベクシンスキー著の『ベクシンスキー』(エディシオン・トレヴィル;河出書房新社〔発売〕)。
 その頁から、本書についての商品説明を重複を厭わず、再度、転記する:

死、腐敗、損壊。
言い知れぬ寂寥感と恐怖に支配され永遠の廃墟と化した時空。
そこにはただエロスの魂だけが虚ろに木霊している。
エルンスト・フックス、H.R.ギーガーと並び称されるファンタスティック・リアリズムの画家、写真家、彫刻家。
その夢魔的な画風で世界中のファンを魅了し圧倒的な支持を得たが、自らは幻想画家であることを否定し、ポーランドで隠者のように暮らし、先頃ワルシャワの自宅において刺殺体で発見されたポーランド現代絵画孤高の巨人ベクシンスキー日本唯一の作品集。

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→ ズジスワフ・ベクシンスキー Zdzislaw Beksinski 『??』(画像は、「Zdzislaw Beksinski」より) あまりにも凄惨で哀れ。でも、この美しさはどうだろう ? !

 H.R.ギーガー(Giger')は映画「エイリアン」などであまりに有名で、小生も知らないではない(ホームページ:「H.R.GIGER」がいい。いつか、小生なりにクローズアップしてみたい。)。
 が、エルンスト・フックスって?
Welcome to the official Webpage of Ernst Fuchs」という恰好のサイトがある。覗いてみると、これは凄い!
 なんとしても、近いうちに特集を試みたい!
 今は、「茜画廊/フックス・エルンスト」や「シモンの『我楽多日乗』 神秘的秘儀と甘美なエロス・・エルンスト・フックス」なる頁があることをメモしておくに留める。

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← ズジスワフ・ベクシンスキー Zdzislaw Beksinski 『??』(画像は、「Zdzislaw Beksinski」より) 溶解する顔面。でも、心はもっと荒み乾ききっている。魂だけがかろうじて末期の息を吐いているのか。

 念のため、「茜画廊/フックス・エルンスト」(ホームページ:「茜画廊」)から、一部、転記させてもらう:

 富裕なユダヤ系古物商を父にウィーンに生まれるが、8歳の時ナチスが侵攻、親族.縁者の多くが監禁・虐殺される体験をもつ。13歳で彫刻を学ぶが、翌年絵画に転じ終戦とともにウィーン美術アカデミーに入学。ここでのちの〈幻想的レアリズムのウィーン派〉の育ての親、ギュータースロー教授に師事し(1946~50)、ウッチェロら15世紀のルネッサンス絵画やマニエリスムを研究、すでに精緻な細密技法をマスターして神童と謳われる。やがて彼は「間近いカタストローフを分析する人、錬金術師や魔術師を思わせる密房内の制作者」(プリオン)と評され、古色蒼然たる旧式の幻想世界を今日の頽廃した世界像と重ね合わせる「悪魔的作風」が注目を集める。

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→ レオナルド・ダ・ヴィンチによる顔の素描。(画像は、「Museum of Rainbow FIGURE Ⅱ in rainbow  レオナルドダビンチは何を与えたのだろうか」より) 直上のベクシンスキーの顔の絵を観たとき、誰かの絵か素描がボンヤリ浮んでいた。このダ・ヴィンチの顔の素描だったろうか。あるいはフランシス・ベーコンの描き示した人物像が思い浮かんできたのだったろうか。

 最後に、ベクシンスキーのHPである「Zdzislaw Beksinski 」(Official web site presented by Belvedere Gallery)を是非、覗いてみてほしい。
 せめてトップ頁(表紙)を。
 ベクシンスキーの極め付けの画が望めるはずだ。

Beksinski

← 『BEKSINSKI ベクシンスキー画集』(画像は、「古書ドリス>BEKSINSKI ベクシンスキー画集 古本の買取・販売」より) 帯には、「損壊(ディスフィギュア―)の世界、損壊(ディスフィギュア―)の身体。現代のマニエリスム画家として伝説的な評価を得ながら、ポーランドに隠者のように暮らすベクシンスキーの、ディスフィギュア―につかれたイメージを密葬する、美しくも戦慄すべき作品群を日本初紹介」とあるとか。

『ベクシンスキー』(1997)出版をめぐって」の編集サイドの興味深い裏話を読むことが出来る:
editions treville - from é.t.art lab - エディシオン・トレヴィル - アート ラボ - ベクシンスキー アーカイブ

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