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2007/12/13

ライスダール…さりげなく劇的に(前篇)

[本稿は、7日(木)に書いたもの。ようやくアップに扱ぎつけた。風景画となると、ロイスダール(ライスダール)を逸するわけには行かない。ライスダールの特徴は、(本文に示しているけれど)風景画に必ずのように雲が描かれている点にあると思える。雲の様子の変幻で光と影の織りなすドラマ、そして瞑想を誘う時の移ろいまでもが示されているようだ。ところで、ケネス・クラーク著の『風景画論』がなかなか読み応えがあったので、久しくその存在を気には掛けていたが今ひとつ手が伸びなかった、同氏著の『ザ・ヌード ―理想的形態の研究』(高階 秀爾 翻訳 , 佐々木 英也 翻訳 ちくま学芸文庫 筑摩書房刊 但し小生は単行本である美術出版社版で読む。ヌード画を大きな写真で観たいから!)を読み始めた。来年辺り、ブログ記事のメインの題材を風景画論から人物画へ、じゃなく、一気にヌード画に移るかどうするか思案中。深みに嵌まりそう!]

9784480088581

← ケネス・クラーク 著『ザ・ヌード ―理想的形態の研究』(高階 秀爾 翻訳 , 佐々木 英也 翻訳 ちくま学芸文庫 筑摩書房) 「本書は、裸体像をテーマとした理想的な造形表現が、西欧美術の中でどのように変貌しながら生き続けていったかを跡づけたもので、該博な知識と鋭い観察に支えられたユニークな芸術論」だとか。

オランダ風景画の巨匠アルベルト・カイプ」なる記事の末尾で、ヤーコプ・ファン・ロイスダール(あるいはライスダールと表記)というやはりオランダの画家が気になると書いている。
 上の下書きは、11月19日頃に書いたもの。
 そのうち忘れちゃうかなと思っていたが、アルベルト・カイプ関連情報をネットで集めている過程で何作か観たロイスダールの絵の風景画の印象が脳裏に残っているようで、やはり、多少なりとも特集を組んでおきたくなった。

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→ ヤゴブ・ファン・ライスダール(ヤーコプ・ファン・ロイスダール)作『オートマルスムの眺め (View of Ootmarsum)』 (1660年以降 59.1×73.2cm | 油彩・画布 | アルテ・ピナコテーク) (画像は、「ヤゴブ・ファン・ライスダール(ヤーコプ・ファン・ロイスダール)」より) 「画面中央にはシント・シモン・エン・ユダス教会、左部分にはベッケルの風車、右部分にはかすかにベントハイム城がほぼ平行直線上に配されており、残りの画面2/3を占めるのは雄大な積乱雲の空である」という。大胆な構図。壮観!

 といっても、少しでも西欧の絵画に関心を持った人なら彼の世界は常識に属する類いのものらしい。
 例えば、「ヤゴブ・ファン・ライスダール(ヤーコプ・ファン・ロイスダール)」(ホームページ:「Welcome to Salvastyle.com サルヴァスタイル美術館 ~西洋絵画、西洋美術と主題解説~」)なる頁を覗くなら、きちんとした説明と共に幾つかの画像を見ることができる。

 が、ここはあくまで自分のためのメモ書きのサイト。自分の関心の赴くがままに関連情報を綴っていく。
ヤーコプ・ファン・ロイスダール - Wikipedia」が素人にも頼りになるので、まずはここから一部を転記する:

ヤーコプ・ファン・ロイスダール(Jacob Izaaksz van Ruisdael, 1628年頃 - 1682年3月14日)は、17世紀のオランダの画家。最近は、姓をライスダールと表記する場合も多い。

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← ヤーコプ・ファン・ロイスダール(Jacob Izaaksz van Ruisdael 『ワイク・バイ・ドゥールステーデの風車』(1670頃 アムステルダム国立美術館) (画像は、「ヤーコプ・ファン・ロイスダール - Wikipedia」より)

 まず、日本語における表記からチェックしておかないといけないのか。
 概説の項の冒頭に以下のようにある:

レンブラントやフェルメールが活躍した17世紀は、オランダ絵画の黄金時代と言われ、他にも多くの優れた画家が輩出した。 こうしたオランダ絵画の黄金時代において、もっとも重要な風景画家と見なされるのがヤーコプ・ファン・ロイスダールである。
(中略)
ロイスダールは森林、海岸、田舎道などさまざまな風景を描いているが、国土が平坦で起伏の少ないオランダの風景においては、必然的に空と雲が重要な要素になる。彼の風景画は、地平線を低めにとって、さまざまな空と雲の表情を描写し、光と大気の効果を追求したものが多い。

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→ ヤーコプ・ファン・ロイスダール(Jacob Izaaksz van Ruisdael 『ベルトハイム城』(1653年 ダブリン、ナショナル・ギャラリー(アイルランド)) (画像は、「ヤーコプ・ファン・ロイスダール - Wikipedia」より) この「ベントハイム城のある風景 (Scene with Bentheim Castle)」については、「ヤゴブ・ファン・ライスダール(ヤーコプ・ファン・ロイスダール)」に詳しい説明がある。「画面の前面にはベントハイム城へ続く林道が非常に緻密な写実的描写で描かれている。この前景の圧倒的な描写によってまず観る者を本作の世界へ惹き込み、遠景にそびえるベントハイム城や中腹部に描かれる村へと眼を向けさせているのである。また本作で用いられる画家独特の輝きを帯びた大気的な光の描写や深みのある陰影の表現は、後の画家の様式の大きな特徴となる心地よい緊張感と理想に溢れた劇的な表現を予感させる」…風景画はライスダールによって既にここまでの完成度を見ていたのだ。

 まさに、小生の大きくは空や雲、水などといったブログ上のマイブームテーマに適う画家なのだ。
 その意味で、「17世紀オランダ風景画成立の背景」なる項が小生の関心事に深く関わる記述を与えてくれる。

ライスダール…さりげなく劇的に(後篇)」に続く。

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