ネットでインド現代美術を散歩する(後篇)
本稿は、「ネットでインド現代美術を散歩する(前篇)」の続篇。
その前篇の冒頭に、「事情があって外出が憚られる。好きな画廊や美術展巡りも今は自制。でも、あれこれ観たいという欲求まで抑えるわけにはいかない。なので、ネットで画廊・美術展めぐりをする」なんて書いているけど、自宅では音楽(と居眠り)三昧なのは言うまでもない!
数日前からは特に、中村紘子さんのCD『GRAND RECITAL』を流しっ放し!
← 中村紘子『GRAND RECITAL』(エイベックス・マーケティング・コミュニケーションズ) 「2007年12月6日(土)12:57~16:00 文化放送「吉田照美のやる気MAN MAN!」 13:20~13:40のコーナーに出演」するとか。
バッハやショパンを中村紘子さんの演奏で聴く。贅沢な気分だ。
2004年秋の収録らしいが、この年、デビュー45周年を迎え、翌年までデビュー45周年記念リサイタル・ツアーを行なったという。
但し、このCDはリサイタルの模様を収録したのではなく、エイベックス移籍後の最初のソロを、ベルリンのテルデックス・スタジオで録音したものである。
だから、音が違う? 生憎、小生にはそこまで聞き分ける耳は持ち合わせていない。
でも、心地いい!
さて、本題に入ろう!
→ シャンティ・ダヴェ Shanti Dave 『Depths, 1964』 (画像は、「Shanti Dave on artnet」より)
ただ、そうはいっても、ネット時代というのは、過去の在り方から交流や影響関係というものを根底から揺さぶりつつあるように思える。
海を越えて海外の文化や技術が数百年、数十年、あるいはそれが次第に早まって数年、否、数ヶ月で日本に及び、あるいは逆もあるに違いないけれど、それが今は可能性の上では(既に現実となっていると思うが)秒の速度で影響関係が生じている。
← シャンティ・ダヴェ Shanti Dave 『Untitled』 (画像は、「Shanti Dave on artnet」より)
小生が今、何人かのインドの作家の作品を容易に眺められるのも(実物というわけには無論、なかなかいかないが)、ネットを通じてだからこそである。
恐らくは、自分の営為に真剣に取り組んでいる人なら、その分野ごとに、各自の関心に従って、誰よりも早く内外の情報を摂取しようとしているだろう。
→ バル・チャブダ Bal Chhabda 『人体?』 (画像は、「TamarindART」より)
いや、摂取しようとするだけじゃなく、ネットという武器があれば、言語として英語を使って説明を施しておくなら、自らが海外に、世界中に情報発信できる。
自分に何かを発信したいエネルギーがあるなら、あとはやる気の問題であり、工夫の問題なのだろう。
← ラーメシュワール・ブルータ Rameshwar Broota 『Man -I』 (画像は、「Palette art Gallery」より) 何処となく、アイルランド生まれの画家フランシス・ベーコンを連想するが、もっと土臭いか。「アトリエ9 フランシス・ベーコン 「実存的」ピンク」参照。
まあ、こういった大上段に振りかぶったような話はこれくらいにして、では、比較的最近のインドで有名な画家というと、どういった人たちがいるのか。
恰好のサイトが見つかった:
「Incredible !ndia|Culture|芸術」(ホームページ:「Incredible !ndia-インド政府観光局」)
まずは、「インドで最も有名な画家」であるマクブール・フィダ・フセインの名を逸するわけにはいかない。
→ ラーメシュワール・ブルータ Rameshwar Broota 『Metamorphosis (detail)』 (画像は、「Palette art Gallery」より)
そう、ほんの数ヶ月前(2007年5月)、下記の話題がネットを通じて世界を駆け巡った:
「ヒンズー教の女神の裸身を描けば犯罪? インドで論議」(asahi.com)
なんでも「 ヒンズー教の女神の裸身を描いたのは犯罪に当たるとの訴えを受け、インドの地方裁判所が同国の代表的画家マクブール・フィダ・フセイン氏(91)に召喚状を出し、論議を呼んでいる。インドでは4月、公衆の面前で女優にキスした米映画俳優リチャード・ギアさんに公然わいせつ容疑で逮捕状が出たばかり」で、「出頭を命じたのは北部のハリドワール地裁。ヒンズー至上主義の弁護士が昨年3月、「女神の裸身をわいせつに描き、信仰心を傷つけた」として提訴した。地裁はフセイン氏に数回、出頭を命じたが、同氏が応じなかったため、6日、ムンバイの同氏宅を差し押さえた」というもの。
これも世界的な画家だからこそインド内外で、日本でも話題に上ったのだろう。
← ジャイ・ザロティア Jai Zarotia 『??』 (画像は、「Gallery Freedom Catalogue」より)
以下、「Incredible !ndia|Culture|芸術」には、ビレン・デ、G.R.サントッシュ、マンジト・バワ、パラムジト・シンやラム・クマール、サンジャイ・バタチャルヤなどが挙げられ、さらに、「有名な画家には、ブーペン・カッカル、アクバル・パダムシー、ジェハンギル・サバヴァラ、ラクスマン・シュレシュタ、ラメシュワル・ブルータ、ラクスマン・パイなどが挙げられます。インド南部からは、K.マダヴァ・メノン、ガネーッシュ・ピネ、A.ラムチャンドランといったインドの最も有名な画家が生まれてい」るし、「アンジョリ・エラメノン、アルパナ・カウル、カマラ・ダス、レカ・クリシュナンなどは、現代インド美術シーンに適した地位を確立したインド人女性画家」だという。
→ ジャイ・ザロティア Jai Zarotia 『Untitled』 (画像は、「Ishat Art」より)
「Incredible !ndia|Culture|芸術」にはまた、「インドの絵画は、現代と伝統をブレンドし世界中で認められるようになりました。インドの絵画は、最高の技術と色を使用しますが、イメージはインドの実態や環境を基にしてい」るとある。
機会を見つけて、これまで名前の挙がった作家たち全部とはいかなくても、その一部でもネットなどを通じて情報を拾って特集してみたい。
← ジャイ・ザロティア Jai Zarotia 『A PEEK』 (画像は、「The Hindu Metro Plus Delhi - Citylife Branding art」より)
ちなみに、インドの(現代)美術展はこれまでも行なわれてきたが、タイムリーなことに、来年の秋から(会期:2008/11/15(土) → 2009/3/1(日))「インド現代美術展」が「森美術館」で催される予定だとか。
その謳い文句によると:
今、インドが熱い注目を集めています。近年のインドの急速な経済発展と、それにともなう社会・文化の変革、そして急速に進む都市化などが人びとの興味の対象となっているからです。特に現代美術の分野では、この数年間にこれまでとは異なった、新しい感覚を持つ若手アーティストが台頭してきています。そこで森美術館では世界に先駆けてインドの現代美術を取り上げ、その魅力を存分に紹介します。
彼らの作品は、絵画や彫刻にとどまらず、大型のインスタレーションや映像、さらにインタラクティブなメディア・アートなど、さまざまな要素で構成され、観る人を驚かせ、魅きつけます。そうした作品からは、長い歴史をもつインドの伝統文化の影響や現代のポップ・カルチャー、そして急速な発展がもたらす矛盾やそれに対する批判など、さまざまな意味が込められています。私たちはインドの現代美術を通して、今日のインド社会の現状をも垣間見ることができるでしょう。
21世紀の半ばは中国。半ばから後半はインドの時代かもしれない。そんな予感をITのみならず美術の世界にも感じる。
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