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2007/11/24

「むしむしパワーが地球を救う!」だってさ(後篇その2)

 本稿は、「「むしむしパワーが地球を救う!」だってさ (前篇)」や「「むしむしパワーが地球を救う!」だってさ(後篇その1)」に続くもので、「むしむしパワーが地球を救う!」関連の記事はこれでお終い!
 11月13日のラジオ番組で聞きかじった話をメモするつもりが意外と手間取ってしまった。
 それでも、小一時間だったかの間に聴いた話の半分もメモできていない。

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→ 昨日23日(金・祝日)、秋晴れの中、明大内の会場で試験を受けてきた。多分、合格はしていると思うけれど、正式な通知は三週間前後先だとか。画像は試験前、落ち葉の散り敷き詰められたキャンパス内を散策していてのもの。試験勉強があって、通常のブログが書けず、本はほとんど読めず、自分の嗜好もあって、美術関連の記事が多くなったのである。試験のことなどは後日、別に記事にする(多分)。

目次:
●番組出演者紹介
●1.蜘蛛の糸パワー
(以上は、「「むしむしパワーが地球を救う!」だってさ (前篇)」にて)
●2.アリのエコパワー
●3.ヤモリの忍者パワー
(以上は、「「むしむしパワーが地球を救う!」だってさ(後篇その1)」にて)
▲.追記24日、アップに際し追記
●4.割れないアワビの貝殻の秘密
●5.カタツムリは綺麗好き ? !
●番外.鮫肌の水着 ? !
(項目の追記、4、5、番外は今回)

▲.追記24日、アップに際し追記

 前回、扱った「ヤモリの忍者パワー」だけど、ヤモリや特にイモリには失った尻尾や腕など肉体の一部の再生力があることは知られている。
 数日前、「大人の皮膚から万能細胞…京大教授ら成功、再生医療期待」(ホームページ:「CNET Japan」)といったニュースが流れた。
 冒頭の一節だけ転記する:

 大人の皮膚細胞に4種類の遺伝子を導入するだけで、ほぼ無限に増殖し、神経や筋肉、骨などのあらゆる細胞に変わる胚(はい)性幹(ES)細胞(万能細胞)に似た「人工多能性幹(iPS)細胞」が作り出された。京都大再生医科学研究所の山中伸弥教授らが21日、米科学誌セルの電子版に発表した。新薬開発に役立つほか、再生医療を実現する最有力手段になると期待される。

 さらにこのニュースを追いかけるように、以下の関連ニュースが昨日、流れた:
「万能細胞」国が支援、再生医療実用化へ5年で70億円」(ホームページ:「YOMIURI ONLINE(読売新聞)」)

 これも、冒頭部分を転記しておく:

 文部科学省は、京都大のグループが、あらゆる臓器・組織の細胞に変化する能力を持つ「ヒト人工多能性幹細胞(iPS細胞)」の作製に世界で初めて成功したのを受け、iPS細胞利用を中心に据えた再生医療の実用化研究に本格的に乗り出すことを決めた。

 内閣府も早期の臨床応用のための枠組みを早急に策定し、国内での研究を加速する「オールジャパン」体制を構築する方針だ。米国でもブッシュ大統領が、同様にiPS細胞を作製した米大学の研究を支援する意向で、再生医療の実用化を巡って、国際競争が激化するのは必至だ。

 文科省の計画は、今後5年間に70億円を投入し、〈1〉ヒトiPS細胞などの万能細胞の大量培養法の開発〈2〉サルなどの動物を使った再生医療研究〈3〉研究用ヒトiPS細胞バンクの整備――などを重点的に進める。


「文科省の計画は、今後5年間に70億円を投入」というもので、動きの素早さは感じたが、この額が大きいのか小さいのか、小生には判断が付かない。
 要は結果である(できれば日本の研究グループで出してほしいが)。


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← 大場俊雄/著『あわび文化と日本人』(成山堂書店 ベルソーブックス 002) 「ベルソーブックス」の「「ベルソー」とはフランス語で星座の水瓶座(verseau)のこと」だとか。「フランスには“La mer est la berceau de la vie”(海は生命のゆりかご)と言う海洋生物学者モーリス フォンテーヌ教授の有名な言葉があります。この「ベルソー」の中にはverseauと良く似た発音のberceau(ゆりかご)の意も込めています」とのこと。

●4.割れないアワビの貝殻の秘密

 13日の話の中に出たかどうか分からないが、「ネイチャーテック すごい自然のショールーム」から話題を一つ:
ネイチャーテック すごい自然トピックス 割れないアワビの貝殻の秘密
「陶器や磁器は、金属でもプラスチックでもない「セラミックス」という材料でできています。軽くて、硬くて、熱にも強く、さびないという特徴をもったセラミックスですが、割れやすいのが弱点」である。
「実はアワビの貝殻も、体積の95%が「炭酸カルシウム」というセラミックスでできています。しかし、アワビの貝殻は、落としたくらいでは絶対に割れません。ハンマーで何度もたたいてもなかなか割れないほどです。人間が作ったセラミックスは少しでもヒビが入ると簡単に割れてしまいますが、貝殻はヒビが入っても穴があいても、それ以上は壊れません。」
 この謎!
「アワビの貝殻は真珠と同じように薄いセラミックスの板を何枚も重ねた「積層構造(せきそうこうぞう)」になってい」て、「このセラミックスの板は軟らかくてよく伸びる接着剤で貼り合わされています。貝殻にヒビが入って薄い板が何枚か壊れても、次の板との貼り合せ面でヒビの進行方向をそらしたり、軟らかい接着層がヒビが進むエネルギーを吸収したりして、ヒビが止まってしまいます。板の貼り合せ面でエネルギーを消費させながら薄板が少しずつ壊れるので、なかなかお皿が割れるようには壊れないの」だとか。
 これも、相当に応用が効きそう。
 既に実用段階に入っているのだろうか。

 ネットで関連情報を探したら、下記が見つかった:
へこむセラミックス アワビをヒントに 東大など開発」(2007年06月11日15時23分 ホームページ:「asahi.com:朝日新聞の速報ニュースサイト」):

 陶器やガラスなどに代表されるセラミックスを特殊加工すると、力を加えた際に表面が金属のようにへこむことが、物質・材料研究機構と東京大学先端科学技術研究センターの香川豊教授(材料工学)らの研究でわかった。セラミックスは一定以上の力が加わると割れるのが常識だが、2種類の成分を微細な層状に重ねると金属のような柔軟性を示すようだ。割れにくい新材料の開発につながる可能性がある。

 やっぱり、アワビって凄い。大好き!

手に取るが からに忘ると 海人(あま)の言ひし 恋忘れ貝 言(こと)にしありけり

                        (作者不明 万葉集 巻七 一一九七


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→ 大垣内 宏【著】『カタツムリの生活』(築地書館)

●5.カタツムリは綺麗好き ? !

 かたつむり…。そう、唱歌で「でんでん虫々 かたつむり、 お前のあたまは どこにある。 角だせ槍(やり)だせ あたまだせ♪」って歌われている、あの虫さんである。
 実は、カタツムリには謎がある。その一つは、「カタツムリはいつもきれい」という謎。
カタツムリ - Wikipedia」の中の、「殻皮」という項に注目:

カタツムリの表面には厚さ約0.01mm前後のキチン質で構成された殻皮と呼ばれる薄膜があり、石灰質で出来た殻の表面をスッポリと覆っている。殻皮は石灰質の殻を腐食から保護する役目や汚れが付き難くする役目、彩色することにより殻を背景にとけ込ませる保護色の役目等がある。この薄膜の殻皮によってカタツムリは殻表をいつも美しく清潔に保っている。殻皮の表面には細かい凹凸や規則正しいディンプルが無数に存在し、接着面積を少なくすることによって、殻皮に付着したゴミや汚れなどを雨で洗い落とす効果がある。殻皮の色や模様を調整することによって、鳥などの外敵から見つかり難くすることや、派手に彩ることにより婚姻色の効果を得る種類なども知られている。

「殻皮の表面には細かい凹凸や規則正しいディンプルが無数に存在し、接着面積を少なくすることによって、殻皮に付着したゴミや汚れなどを雨で洗い落とす効果がある」、だから、いつも表面が綺麗なのである。
 雨のシャワーさえ、時折浴びればいい。シャンプーは不要だ。
 この原理を応用したビルの外壁や歩道のタイル張りが実現できたら、掃除するのに洗剤が不要になる。雨に流してもらえば油と埃の汚れは流れ落ちるわけ。煙草の吸殻などはダメだが。
 ビルだって、外壁を洗うのに化学薬品は使わなくていいし、そもそも掃除も不要になる ? !

カタツムリの防汚メカニズムに学ぶ ~外壁材の「ナノ親水」防汚技術誕生アイデア」(ホームページ:「INAX eショールーム [新築,リフォーム,増改築]住まいづくりの提案サイト」)が参考になる。
 上掲の転記文に「殻皮の表面には細かい凹凸や規則正しいディンプルが無数に存在し、接着面積を少なくすることによって、殻皮に付着したゴミや汚れなどを雨で洗い落とす効果がある」とされている。
カタツムリの防汚メカニズムに学ぶ ~外壁材の「ナノ親水」防汚技術誕生アイデア」を読むと、やや舌足らずなのかと思えてくる:

殻の表面構造を解析すると、数百ナノ(1ナノ=10億分の1m)からミリサイズまでの広範囲な階層でフラクタル組織、つまり『溝』がつくられていることがわかりました。

とてつもなく細かい溝。これがカタツムリの汚れ防止機構でした。つまり、殻表面にあるこの溝に常に水がたまっている状態なのです。ここに油をたらしても、水と油は反発し合うのでくっつかない。だから、上から水をかけるだけで、浮いている油が流れ落ちてしまうというわけです。


「ブラシでこすらなくても『雨が降ったら汚れが落ちる』カタツムリを目指し」、「実に防汚実験を繰り返すこと数百回。ついにINAXならではの「ナノ親水」基準の防汚技術が完成したのは、着想から数年後のことでした」という話は当該頁でどうぞ!

 既に実用段階にあるようだ。外壁。路面のタイル。きっと、トイレの便器にも。

 
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← 「ヴァーチャルボディデザイン」(画像は、「MIZUNOSWIM|MIZUNO」より)

●番外.鮫肌の水着 ? !

 競泳用の水着開発はメーカー間で鎬を削っていることは周知のことだろう。
 以下、「競泳用水着開発の流れ」(ホームページ:「日本機械学会流体工学部門」)なる頁を参照させてもらう。

 一時期は、「できる限り抵抗の少ない水着の開発」ということで、「大胆なカットを取り入れ,水着で覆う面積を小さくし,水着の中に入り込む水をいかに排出するかに重点が置かれ」、あともう少しの努力でHな男の夢が実現する一歩手前まで行った。
 となると、小生のこと、「あわや布地不使用の水着の登場か ? ! 」というレポートを書く事態に到っていたかもしれない。

 が、残念ながら、その後、流れが変わり、「水着素材や表面加工を工夫し,抵抗低減と着心地を両立させる新たな水着の開発」へと向かっていった。
 ついには、「開発はさらに進む.2000年のシドニーオリンピックでは,これまでの水着の概念を大きく変え,ほぼ全身を覆うフルボディースーツが水泳ファンの目を釘付けにした」のだった(心無い研究者もいたものである)。

 つまり、「第1は,水着の布地として,表面に鮫の皮膚のようにV字型の微細な溝を体長方向に施した新素材を用い,さらに鱗のような撥水処理加工をしたこと」などの特徴があったわけである。
 13日の話では、何かの虫の体表の研究成果が水着に応用されたということだったが、何の虫か聴きそびれた(忘れた)。
 話が思いっきり半端で申し訳ない。いつか、思い出すかもしれない。


▲意味のない結語

 あああ、話の大半は忘れた。
 一番、印象的なのは、女優の中嶋朋子さんの聡明さを感じさせる受け答え。そして石田秀輝教授の明快で歯切れのいい語り口。
 実に分かりやすかった(なのに、話の大半を忘れたのは小生の不徳の致すところ)。

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コメント

あのー、カタツムリをガラスの上におくと、割れるって、、本当ですか教えてください

投稿: 倉敷 貫菜 | 2009/01/10 19:10

倉敷貫菜さん

「カタツムリをガラスの上におくと、割れる」という話は、小生、聞いたことがありません。
別に間違いだというつもりもないけど、ちょっと理解し難いね。

ちなみに、カタツムリなど小動物の飼い方は下記参照:
http://www.geocities.co.jp/AnimalPark/2102/kaikata.htm

投稿: やいっち | 2009/01/10 19:47

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