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2007/09/28

琥珀を生み出した古代の森…いのち溢れて

 アンドリュー・ロス著『琥珀―永遠のタイムカプセル』(城田 安幸【訳】、文一総合出版)を読了した(今日は、リサ・ランドール著『ワープする宇宙 5次元時空の謎を解く』(向山信治/監訳 塩原通緒/訳、日本放送出版協会)も読了。こちらに付いては、改めて感想を書くかどうか未定)。

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← アンドリュー・ロス著『琥珀―永遠のタイムカプセル』(城田 安幸【訳】、文一総合出版)

 本書『琥珀―永遠のタイムカプセル』については、「植物由来の宝石・琥珀の魅力」で若干のことを書いている。
 今日は違う趣向でメモしておきたいことがある。

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→ 9月24日、都内某所にて。何艘もの屋形船が係留されている。画像で見ると、なんだか不思議な雰囲気が漂ってくる。…こんな絵を描けたらいいな……。

 小生は数年前、誰もいない森についてやや叙情的というか、むしろ感傷的な文を綴ったことがある(「石橋睦美「朝の森」に寄せて」より):

 森の奥の人跡未踏の地にも雨が降る。誰も見たことのない雨。流されなかった涙のような雨滴。誰の肩にも触れることのない雨の雫。雨滴の一粒一粒に宇宙が見える。誰も見ていなくても、透明な雫には宇宙が映っている。数千年の時を超えて生き延びてきた木々の森。その木の肌に、いつか耳を押し当ててみたい。
 きっと、遠い昔に忘れ去った、それとも、生れ落ちた瞬間に迷子になり、誰一人、道を導いてくれる人のいない世界に迷い続けていた自分の心に、遠い懐かしい無音の響きを直接に与えてくれるに違いないと思う。
 その響きはちっぽけな心を揺るがす。心が震える。生きるのが怖いほどに震えて止まない。大地が揺れる。世界が揺れる。不安に押し潰される。世界が洪水となって一切を押し流す。
 その後には、何が残るのだろうか。それとも、残るものなど、ない?
 何も残らなくても構わないのかもしれない。 きっと、森の中に音無き木霊が鳴り続けるように、自分が震えつづけて生きた、その名残が、何もないはずの世界に<何か>として揺れ響き震えつづけるに違いない。 それだけで、きっと、十分に有り難きことなのだ。

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← 同じく9月24日、増上寺脇を通りかかったので…。

 実は、アンドリュー・ロス著の『琥珀―永遠のタイムカプセル』を読んでいて、どうにも気になる頁に出くわした。
 といって、別に感心するほど名文というわけではない。
 ただ、その頁の記述を読んで小生は、上掲の小生の過度に感傷的な文章は少々視野が狭すぎるんじゃないの、誰もいない森は動植物などの生命に満ちていることにもっと思い至らないと、せっかくの森の命の豊穣さを見過ごすことになり、勿体無いんじゃないと、やんわり窘められているような気がしたのだった。

 せっかくなので、その頁を自戒(?)の念を篭め、書き写しておきたい(文中にある「内包物」とは、「植物や昆虫や気泡など、琥珀の中に含まれるもの」で、通常の宝石だとキズ扱いされる。が、本書では内包物があるが故に琥珀は古代の生態研究などの点で貴重なのである):

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→ 琥珀の内包物…「琥珀の中に閉じこめられたクジムカシホソナガコバチ」 (画像は、「琥珀 ~永遠のタイムカプセル~」より)

琥珀を生み出した古代の森

 琥珀から発見される昆虫はほかの内包物から、古代の森の生物たちの生態がどのようなものであったかがわかります。このような研究を古生態学と呼びます。バルティックやドミニカの琥珀を作り出した森の古生態については、おかのものよもよりくわしく研究されています。図87に示したように、現在知ることができる事実をもとに、私たちは、古代の森がどのようなものであったかを想像することができます。
 亜熱帯のバルティックの森には、針葉樹と顕花植物が入り混じって生息していました。マツの木からは豊富な樹脂が分泌され、幹を伝って流れ落ち、鍾乳石のように連なり、樹皮の上に固まりました。オークの木は花を咲かせ、花の花粉や毛がそよ風に乗って漂っていきます。森の中には、動物たちや昆虫たちが忙しそうに動き回っています。チョウやガの幼虫やコオロギやナナフシが、葉っぱをむしゃむしゃ食べています。雄のコオロギが結婚相手を求めて鳴いています。一列に並んだアリマキたちが小枝にいます。樹液を吸うために、長い口吻を木の皮に突き刺しています。アリたちが来て、アリマキの蜜を集めます。アリたちは、アリマキがクサカゲロウから攻撃されるのを防ぎます。アリたちが隊列を組んで、森の木の上を行ったり来たりしているのが想像できるでしょう。
 森には、とてもたくさんの生き物たちがすんでいます。古い木が倒れて、そこが開け、古い木が朽ち始め、その周りには日光を求めてほかの植物たちが競争し合いながら生育しています。ワラジムシやハサミムシ、甲虫たちやシロアリやアリ、ゴキブリ、ダニ、コナチャタテ、ヤスデ、トビムシ、シミやイシノミなど、多くの分解者たちが朽木の周りに集まり、林床で樹皮や積もった葉を食べています。ある種の甲虫たちは、朽木の中に入りこみ、穴をあけています。その甲虫たちを見つけようと、ヒメバチが触角を動かしながら、幼虫たちの居場所を確かめています。木の中の幼虫たちに卵を産もうとしているのです。
 朽木や林床に生えているキノコや菌は、キノコバエの幼虫の絶好のエサとなります。ハエやアブは交尾のために群れて飛び、ハナアブは降り注ぐ光の中を飛んでいます。ハナバチやカリバチは花粉を集めるため、花の周りを音を立てながら動き回っています。クモたちは、次の獲物を巣網の上で待ちかまえています。一方、ムカデやイトトンボやザトウムシやカマキリや、大きなアブなど捕食者たちは、次のエサを求めて活発に動き回っています。
 鳥やトカゲやカエル、ほ乳類もおそらくいたと思われます。彼らセキツイ動物たちは、さまざまな昆虫や植物を餌にしていましたが、反対にカやブユ、ヌカカ、アブ、サシチョウバエ、ノミやシラミには血を吸われていました。一時的にできる水たまりや森の中の小川には、イトトンボの幼虫がすんでいました。イトトンボの幼虫は、ほかの水生昆虫の幼虫を食べていたことでしょう。それらの池や小川にはトビケラやカゲロウやカワゲラの幼虫がすんでいて、流れの中の植物やゴミで、移動できるすみ家を作っていました。カゲロウが羽化し、その池の周りで群飛し、交配し、卵を産み、死んだ一日もあったことでしょう。
 ドミニカの琥珀を作り出した森にすんでいた動物や植物は、バルティックの森にすんでいたものとは種類は異なりますが、同じようなことが起きていたと思われます。最も異なる点は、ドミニカは熱帯で、より暑く、湿度が高いため、より多くの生物の種が繁栄していたということです。主な植物たちは顕花植物で、それらにはコケなどの着生植物が生えていたと思われます。バルティックの森に比べて、ドミニカの森ではアリやシロアリがたぶんずっと多かったと思われます。バルティックに比べて少なかったのは、アリマキのような昆虫たちです。 (p.36-37)
 


 本書には、この頁に「バルティックの琥珀を作り出した森の想像図」が付せられているのだが、さすがに転記は小生にはできかねる。

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← 『生態学が語る不思議な世界−生物の多様性ってなんだろう?』のチラシ。チラシの頁の隅っこに、「人間活動は生態系に大きく影響してきました。「人間活動と多様性」は展示テーマの一つです。トンボなどの生物が暮らしていけるような河川がありつづけることを願います」とある。

 古代の森というわけにはいかないが、代わりに、「CERの森の生き物たち」(「CERの森」より。「CER」とは、「京都大学 生態学研究センター Center for Ecological Research, Kyoto University」の略称)を覗くのもいいだろう。

京都大学 生態学研究センター Center for Ecological Research, Kyoto University」では、下記の企画展を開催中だ:
生態学が語る不思議な世界−生物の多様性ってなんだろう?

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コメント

ご無沙汰しております。
毎日精力的にブログを更新すごいですね。
今日の琥珀に関する記事を読み、マイクル・クライトンの「ジュラシック・パーク」を思い出しています。
古代、松脂の中に閉じ込められた蚊(モスキート)の入っている琥珀から、その蚊が当時の恐竜の血液も吸っていると考えた科学者が血液を分析、恐竜のDNA配列を推測して復元させるというとてつもないお話ですが、読んでいてありうるような気持ちに当時なりました。
琥珀の内包物の古代のハチの画像から同じようなことができるのかしらと。
夢があります。

投稿: さと | 2007/09/28 19:14

さとさん、コメント、ありがとう。
さとさんのブログ、折々、覗かせてもらっています。

マイクル・クライトンの「ジュラシック・パーク」は映画が上映された当時(も今も)、話題になりましたね。今も人気はあるようで、今でも話題にしているブログが少なからず見受けられるようです。

「古代、松脂の中に閉じ込められた蚊(モスキート)の入っている琥珀から、その蚊が当時の恐竜の血液も吸っていると考えた科学者が血液を分析、恐竜のDNA配列を推測して復元させるというとてつもないお話」というか試みですが、夢を壊すようで、本文の中では採り上げることができませんでした。

琥珀の内包物の古代のハチに限らず、琥珀の中に閉じ込められている昆虫の胃から恐竜の血液を取りだせる可能性はあるのかというと、現実的には絶望的に望みがないと言うのが公式見解のようです。

まず、恐竜の血液が昆虫の胃の中で分解されるのに数分を要するかどうかという点(胃酸の消化作用の強烈さ)。
仮に胃の中の恐竜の血液が胃酸に消化される前、つまり、昆虫が恐竜の血液を吸った直後に樹液に捉われたとしても、やはり、樹液の中でもがいている間に胃酸に消化されてしまうわけです。

では、昆虫に吸われた恐竜の血から恐竜を、ということは差し置いて、琥珀の中の昆虫から遺伝子を取り出し、遺伝子配列を分析し尽くし、昆虫を復元するという試みには可能性があるのでは? 
悲しいかなこの点もやはり可能性は絶望的に難しいというのが公式見解のようです。
琥珀の中の昆虫は、最初は樹液の中に囚われている。樹液は成分としての水分が抜け出していったりして長い時間の中で徐々に琥珀に変化する。
問題は最初の樹液という状態が非常に長いということ。
この間には樹液の中の昆虫には(その体の内部にも外部にも)細菌が付着していたりして、いずれにしても、樹液に浸されている間に腐敗してしまうのです。
昆虫の体の形が崩れてしまうほどには腐敗は進行しないので、琥珀の中の昆虫は生きた時のままに<保存>されているように見えるけれど、昆虫の体は基本的に樹液の中で力尽きた時点から徐々に腐敗が始まっていて、当然ながらDNAを取り囲んでいる細胞質と呼ばれる液が毀損され、結果として中の遺伝子も破損してしまうというわけです。
まあ、遺伝子情報のごく部分的(断片的)な破片は奇跡的に温存されていて取り出される可能性はなきにしもあらずですが、そんな断片から昆虫の遺伝子情報の全体を復元するなど無理。

夢は夢に終わりそうです。

今の所、琥珀の中の生物ということではなく、凍土から発見されたマンモスの遺体を使って(但し、現存の象を母体にして)のマンモスモドキの復元は可能性があるらしいという程度です。

投稿: やいっち | 2007/09/29 12:24

遅ればせながらつい最近「琥珀-永遠のタイムカプセル」を目にしました。

内包物を持つ琥珀に興味がわいて画像検索していてこちらに辿り着きました。

本をパラッとめくって目に飛び込んできたのが図76の「一匹のアリが他方の腹部を大アゴでつかまえ、樹脂から引きずり出そうとしている」でした。
アリが身を危険に晒して仲間を助けようとしたのかっ!としばらくページをめくれないほど感じ入ってしまったのです。

内包物のサイズの小ささにもビックリです。
図135の「ネジレバネ」など体長1ミリ以下にもかかわらず、翅があって触角が雄鹿の角のように枝分かれしているなんて!

何度繰り返し見ていても見飽きることがなく、お宝本になりました。

ショックだったのは11Pの「琥珀に似せたプラスチックに埋められるため、ドミニカではトカゲの数が危機的なほど減少している」という事実。
「動物は死ぬことでしかヒトに警告できない」という言葉を思い出して胸が痛くなりました。

内容の浅いコメントでごめんなさいです。
ではまた。

投稿: ひらりんこ | 2009/09/22 18:02

ひらりんこさん

旧稿にアクセスし、コメントまで戴いて、とても嬉しいです。
ちょっと久しぶりに読み返す機会を得ました。

紹介した本は、興味深い図版がたくさん、載ってますね。
この本をこそ、読み返したい気持ちです。

琥珀の中に封じられたからこそ、半永久的に残された、遠い過去に演じられた、小動物たちの大小のドラマ。
眺めれば眺めるほど、思いは募りますね。

投稿: やいっち | 2009/09/23 09:59

画像検索で行き当たったとはいえ、2年も前の記事に書いたコメントに
お返事いただきありがとうございます^^。

この本に巡り合うまで、特に琥珀に関心があるわけではなかったのですが、
関心を持ってみると、琥珀は奥が深いのに化石モノに比べて
専門の本やサイトがすっごく少ないのがわかりました。
画像検索でも宝石としての扱いがほとんどで
内包物があっても、その説明がないものばかりで…。

それでもいくつか琥珀関連のページを見つけたのでよかったら見てみてくださいネ。

http://www.nationalgeographic.co.jp/news/news_article.php?file_id=2008121702&expand

http://www.afpbb.com/article/environment-science-it/science-technology/2423973/3172043

http://www.kuji.co.jp/amber/rekisi.html

内包物がある、ないに関わらず、琥珀を持っている人はホント琥珀の価値を知って大切にしてもらいたいものです。

投稿: ひらりんこ | 2009/09/24 15:56

ひらりんこさん

新しく書いた記事(日記)へのコメントも嬉しいけれど、旧稿へのコメントというのは、感慨一入(ひとしお)なものがあります。
上でも書いたけど、古い日記ってなかなか読み返す機会はないから、ちょっとでも脚光を浴びさせることができて、一層、嬉しいのです。

世界最古のクモの巣、琥珀から発見
http://www.nationalgeographic.co.jp/news/news_article.php?file_id=2008121702&expand

1億1000万年前の昆虫、琥珀から発見 スペイン
http://www.afpbb.com/article/environment-science-it/science-technology/2423973/3172043

琥珀の歴史 久慈琥珀
http://www.kuji.co.jp/amber/rekisi.html

これらの記事はどれも興味深いもの。
特に最後のサイトは、琥珀と賢治なんて項目があったりして、鉱物と賢治というテーマに関心のある小生には、惹かれる内容です。
情報を探る能力は小生よりもずっと上のようです。

ひらりんこさんは、何かサイトを持っておられるのでしょうか。

投稿: やいっち | 2009/09/25 16:21

返事が遅れてすみませんm(_ _)m
PCが一家に一台なので…(>_<)

「HPを持ってオラレルノデスカ?」などと言われるとちょっとこそばゆい、というより
そんな大そうな人間ではありませんのでどうぞ普通に…(^_^;)

HPは持っていません。
そんな文章力もPC操作のスキルもないのでまずムリです^^。
書き込みでサイトを教える時、URLを貼るだけでなく、タイトルをつければわかりやすい!というのも、やいっちさんのご返事で気づくほどでして…。

琥珀の中のクモの巣は拡大し過ぎて、もはやクモの糸かどうか実感も感慨もわきませんが、
琥珀と宮沢賢治の件は確かに興味深いですよネ。
琥珀の日記を書いて2年、いまだに琥珀に関心があるかどうかもわからないのに
琥珀のサイトを見てみてください、なんてどうなのかな、と思っていましたが
興味を持って見てくれてこちらも嬉しいです(^▽^)。

家康と琥珀のことも書いてありましたよね。
私の知識内では江戸時代というとベッコウのイメージしかなかったのでこれもおもしろかったです。

琥珀は鉱物ではないのに静電気を起こし、植物由来にしては珍しく宝石でもあります。不思議です!
琥珀がエレクトリックの語源となったそうですが、琥珀は電気のイメージとは程遠い、と思うのは私だけでしょうか(*_*)。

海から流れ着く貴重なものとしては、この琥珀と竜涎香(りゅうぜんこう)があったそうです。
竜涎香はお香や香料の原料としては最高ランクに入るそうですが、私は全く名前も知りませんでした。

琥珀の話題からはずれてて、知ってる人も多いようですが(やいっちさんも)よかったらこちらもどうぞ↓。

竜涎香・浮かぶ金塊"を探そう!
http://chikyu-to-umi.com/kaito/ryuzenko2.htm

投稿: ひらりんこ | 2009/09/30 14:55

ひらりんこさん

こちらこそ、戴いたコメントにレスが遅れてすみません。
昨年からPCが不調で、キーボードの不具合は直したものの、老朽化か使い方の拙さで、とにかく動作がのろくなっています。
頁の切り替えが遅いのです(多分、仮想メモリーの不足が主因)。


琥珀は、眺めて興味深く、手にして不思議で、しかも、ひらりんこさんが調べておられるように、想像を超える性質をも持っている。

折を見て、新規に拙稿を作れたらいいなって感じてます。


「竜涎香・浮かぶ金塊"を探そう!」は、興味深い話題でした。
というのも、小生には下記の雑文があるほどなのです:

「白鯨とイカと竜涎香と」
http://atky.cocolog-nifty.com/bushou/2006/04/post_d359.html

投稿: やいっち | 2009/10/07 12:08

返信がなかったのはPCの不具合のせいだったのですか、よかったぁ~、あっ、いえいえ、
私は書き込みの中に何か無神経なことを書いて失礼してしまったのでは、と何度も読み返したりしてました。
取りあえず延命治療が功を奏して息を吹き返して一先ず安心ですね。
ただの箱状態と、のろのろでも通信ができるのとでは雲泥の差がありますものね。

竜涎香、とっくの昔に関心を持っていたのですね!
過去の日記に気づかなかったとは言え、全く釈迦に説法、アニマル浜口に気合入魂、マヌケな話題をフッちゃいました、ハハッ。

「~浮かぶ近海を探そう」の中に、17世紀に竜涎香が鯨の排泄物だと理解した琉球の人はすごい!と書いてありましたが全くそうだと思います。

やいっちさんの鯨関連のページ、読ませていただきましたがどれも興味深く、何だかスペシャルなドキュメント番組を観たような気分になりました。
吉村昭氏の本のことが書いてありましたが、私は吉村ファンなんですヨ。
私は長崎に住んでいるんですが、氏は長崎を気に入ってて70回以上訪長していました。
感情を抑え、緻密な取材や調査に基づく文章がとても好きだったので、もう新作を読むことが叶わないことが残念です。

鯨に関心のあるやいっちさんが、[江戸時代〕の鯨漁にまで興味があるかどうかわかりませんが、
最近、イルカやクジラの追い込み漁や郷土料理で海外からバッシングされている和歌山県・太地を舞台にした吉村氏の著書があります。
「鯨の絵巻」
http://www.paburi.com/paburi/publisher/sc/sc861367.shtml

鯨の絵巻といえばCWニコル氏も、江戸時代の太地をモデルにした素晴らしい鯨小説があります。
和歌山での捕鯨の様子を描いた「古座浦捕鯨絵巻(享保10年)」 の一部分を本の表紙に使うという念の入りようです。
ニコル氏は元はカナダ政府の捕鯨監視員、日本の捕鯨船に乗った時、その捕鯨方法と鯨信仰に感銘し、その背後にある日本文化にも興味を持ち、ついには日本国籍を取得し長野黒姫山に住むに至っています。すんごいつながりですね。
「勇魚」を紹介したブログ(絶版なので…)
http://katyan4.exblog.jp/3018872/

全くの余談ですが、長崎では今日まで、秋の大祭「おくんち」があっていました。祭では鯨漁を模した神事や山車が奉納されます。
「3年前(+o+)の鯨曳き」
http://www.e-kujira.or.jp/topic/tra/06/100709/index.html

やいっちさんは、「白鯨」を原語で読んだのですか?

投稿: ひらりんこ | 2009/10/09 22:57

ひらりんこさん

琥珀にも竜涎香についても関心を抱きましたが、小生の性癖で他の話題に移ってしまい、探求も中途半端なままに終わっています。
いただいたコメントでの情報で、ここを読まれる方も一層、興味を持ってもらえたらと思います。

それにしても、ひらりんこさんは、吉村昭氏やCWニコル氏とか、(クジラを巡ってなのか)幅広く関心を持たれ読んでおられるようですね。
ひらりんこさんは、きっと、話題豊富な方なのでしょう。

琥珀も竜涎香も、ロマンがあって、興味が尽きないですね。
自然の造形の凄さを感じます。


『白鯨』は、翻訳でしか読んだことがありません。
ただ、数年前、二度目となる『白鯨』を読んだとき初めて、ああ、これはやはり第一級の文学だと痛感したのです。

投稿: やいっち | 2009/10/10 13:05

「白鯨と蝋とspermと」の中に
<『白鯨』を読んでいたら、「sperm whale」という名称が出てくるので、もしやとは思っていたけれど、やはりそうだったんだ!>
という件があったので原語で読んだのかなぁと思ってました。

私は外国語で小説を読むなど到底かないませんが、ヒエログリフや日本の古文書などがわかれば
すごくおもしろそうだなぁと思うことがあります。
それがわかれば公表されないような日記や大福帳、メモや落書きなどわかるからです。
そういうものにこそ何かおもしろい、興味を引きそうなことや本音が隠れているような気がして…。
吉村昭氏は歴史小説を書いていて、ある特定の場所の特定の日の天気がどうしても知りたい時は
当時その場所を旅していた人物の旅日記や商人の大福帳を探し出して天気を特定していたそうです。
しかし、図書館で初心者向けの「やさしい古文書入門」的な本を見ると、例えば「新」という一字でも
20種類くらい表記の仕方(書き癖)があるし、何と言ってもまずカナ書きの部分さえ解読できず…。

ヒエログリフの方は、というと、数年前「ヒエログリフを書こう!」という本を買いました。
この本で、私は初めてヒエログリフには母音がないことを知りました。
母音どころか、句読点も疑問符も接続詞もなく、単語と単語の間の空白もないのです。
"Is this your pen?" " Yes! " "Really?"は sthsyrpnysrll となります。
何じゃコリャーーーッ!/
例題もわかりにくい。
「文章の組み立て」で出てくる例題が<コブラはブタを聞く>です。
おいおい、という感じですが、まあ、、象形文字だし何とか雰囲気くらいわかるようになるだろうと思っていたところが
<絵と意味が全く無関係のことが多々ある>とのことOnz。

そもそもこの本の冒頭には<この本を読破してもヒエログリフの専門家にはなれません>との一文が。
専門家になろうなんてハナから思っていませんがそれにしてもヤル気が削がれます。
そして同じく冒頭の<この本を出すにあたってお世話になった方々へのお礼>のところで
<ビーズのような小さな目で草稿を読んでくださった大英博物館のベンバートン女史へ心より感謝を捧げます>
とありました。これは「お礼」でしょーか!?
一体どんだけ小さな目をしてるんだっ!
私はベンバートン女史への関心が一気に高まりました。

私がこの本を買ったのは初版から半年後でしたがすでに2刷目でした。
きっと本の帯にある吉村作先生の言葉が効いたのではないでしょうか^^。

「ヒエログリフを書こう!」
http://bookweb.kinokuniya.co.jp/imgdata/large/488135888X.jpg

ちょっとおもしろい書評を見つけました。
http://booklog.kinokuniya.co.jp/kato/archives/2008/09/post_122.html

投稿: ひらりんこ | 2009/10/11 15:18

ひらりんこさん

原書で読んだのは、モームの「人間の絆」とか、カフカの「変身」とか、まあ、数えるほどです。

それより、ひらりんこさん同様、古文書が読めたらいいなとはかねがね思っています。
一昨日も、たまたまあるブログで関連の話題が出ていたので、書棚から「古文書 はじめの一歩」(油井宏子著)を引っ張り出して、眺めてました(読んでました、とは到底、言えない)。
日本の古い文献(古文書)は、今も、各地の旧家(の蔵)などに少なからず残っていると思えるので、そういったものを読めたら楽しいと思うのです。


ヒエログリフに限らず、母音のない言語って昔は結構、あったのかな。
神(の名)を呼ぶのは、不敬だということで、ユダヤ教でも神の名は子音での呼称(?)しかなかったり。


甲骨文字も、これは日本人なら親近感が抱かれるので、漢字好きや言葉の由来探索好きには、たまらない魅力の源泉(対象)ですね。

投稿: やいっち | 2009/10/12 10:09

気を落ち着けて考えてみると母音を表記しないといえば、例えば漢文もそうなのですかね。
滅ぼされてしまったマヤの人たちが使っていたマヤ文字が難解なのはわかりますが、
同じ土地で脈々と生き続けて字を書き続けてきたエジプト人が、
いくら時代とともに文字を変化、発展させてきたとはいえ、
先祖の使っていた文字の意味が全くわからなくなっていったのはどうしてでしょうね。
なんて言ってる私も、ほんの数年前流行っていたギャル文字、全く読めませんがネ。

難しい本を原書で読んだのですネ。
私は、授業で読んだのを除けば「かもめのジョナサン」くらいですネ。
単語や文章はやさしかったですが、内容が哲学っぽいというか、
思想的というか、宗教がかってるというか、何だか難しかったです。
難しいといえば「禅とオートバイ修理技術」という本を見かけました。
「禅とオートバイ」だけでも充分難解そうですが、
「禅とオートバイ修理技術」ですからね。
何でこんな難しそうな本が‘伝説的な名著’になり‘全世界で500万部’(本の帯に書いてありました)も売れてるのか、
カスタマーレビューを読めば何かわかるかも知れないと思って読んでみましたが…
カスタマレビューも難しかった(>_<)
(本を紹介したAmazonのURLを貼ろうと思いましたがとてつもなく長かったので止めました)
書店のPOPには「解かるヒトにだけ解かればいい」と書かれてあったそうです。

ところで今日、10月17日は私の誕生日、ガックシです、ハハ(^_^;)
いらない情報でしたネ、すみません。

投稿: ひらりんこ | 2009/10/17 23:02

ひらりんこさん

返事が遅れてごめんなさい。

10月17日が誕生日だったとか。
おめでとうございます。

そういう大切な時にネットの上であれ、交流を持てることを幸いに思います。

ロバート・パーシグ著の『禅とオートバイ修理技術』は、ずっと以前から注目していた本です。
http://www.isis.ne.jp/mnn/senya/senya0469.html

何と言っても小生、74年からのライダーで、三年前にバイクを手放すまで、ずっと乗ってきたのです。
オートバイに関係する本だと片っ端から読んできた。
が、とうとうこの本には手が出なかった。
何度も書店で、あるいは図書館でパラパラ捲ったのに。

やはり、90年代半ば頃からオートバイじゃなく、スクーターのライダーになったので、オートバイにはちょっと敷居が高くなったみたい。

でも、マンディアルグの『オートバイ』などは再読したりしました:
http://atky.cocolog-nifty.com/bushou/2008/06/post_f308.html
http://atky.cocolog-nifty.com/bushou/2006/12/post_4d83.html

母音(のない)言語の話題は、興味深いので、後日、じっくり扱ってみたいです。

投稿: やいっち | 2009/10/18 18:11

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