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2007/09/27

時津風部屋傷害致死事件と朝青龍バッシング騒動と

 昨日の記事では、最近ラジオで聞いた音楽関係のアーティスト(の演奏や歌)や曲を幾つかアトランダムにピックアップし列挙してみた:
姜小青を聴き心地いい…今はただそれだけ

 今日は水曜日の営業中に飛び込んできた社会や文化などの一般的なニュースを幾つか(コメントする力はないので)メモだけしておきたい(結果的に二つだけで容量を超えた! → 一つの記事を「日本最古の木製仮面発見!」と題して独立させた。あまりにジャンルが違いすぎた!(07/09/29))。

Dohyo2

← 某料亭の中の土俵。神聖な土俵のはずだけど、一歩、土俵を割ると、そこは奈落の底? (画像は、昨年の梅雨時、某人らとの会食の際に利用した料亭で撮ったもの)


時津風部屋傷害致死事件と朝青龍バッシング騒動
 一つは、びっくりというべきか、ある意味、公然の秘密が露見したに過ぎないというべきなのか。このニュースは一般的な話題性があるようで、既にテレビでもワイドショーを含め報じられれている。
「かわいがってやれ」金属バットやビール瓶で殴打 時津風部屋傷害致死事件」(ホームページは、「iza:イザ!」):

 大相撲の時津風部屋の序ノ口力士、時太山(ときたいざん)=当時(17)、本名・斉藤俊(たかし)さん=が6月、愛知県犬山市でけいこ後に急死した事件で、同県警は26日、制裁目的の暴行があったとして、時津風親方(57)=元小結双津竜、本名・山本順一=と部屋の兄弟子ら数人を、傷害致死容疑などで立件する方針を固めた。親方は斉藤さんを「ビール瓶で殴った」、兄弟子の1人は「金属バットで殴った」などと供述している。

 「かわいがってやれ」
 角界を激震させた17歳新弟子の死亡事件で、兄弟子らに制裁を指示したのは、親方だった。
 県警捜査1課と犬山署は26日、時津風親方を傷害容疑で、部屋の兄弟子ら数人を傷害致死容疑で立件する方針だ。
(中略)
実家に戻った斉藤さんの遺体を見た遺族は「顔は赤く腫れ、体はアザと擦り傷だらけ。太ももにはたばこの火を押しつけた跡が3カ所あった」。
 真相究明を求める遺族の声に促される形で県警が動き、行政解剖の結果、死因は多発外傷性ショック死と判明。親方や部屋の全力士から事情を聴いていた。

 リンチでの(結果的には)殺人事件があったのではという噂は世上を相当に賑わせていたのだが、「真相究明を求める遺族の声に促される形で県警が動き」とあるのが情けない。
 何故、マスコミでは報道が一切控えられていたのだろう?
 横綱審議会や相撲協会への遠慮? 角界では、ごく常識的な光景なので立件するに価しないと思っていた?
 遺族が大人しかったら、闇から闇へ葬り去られていた?
 闇から闇へというと、なんと、関連して「時津風部屋 無断で火葬準備 遺族「隠ぺい」批判」(ホームページは、「中日新聞(CHUNICHI Web)」)というニュースが続報として流れてきた:

(前略)斉藤さんが急死した直後の6月26日夕、時津風部屋が遺族に無断で斉藤さんを火葬する準備をしていたことが分かった。遺族の同意を得ずに火葬することは異例で、新潟県に住む遺族からは「暴行の痕跡を隠そうとしたのではないか」と批判の声が上がっている。

 遺族によると、同月26日午後4時ごろ、愛知県の葬儀業者から斉藤さんの実家に電話があり「現地で火葬して新潟へ届けたい」などと言われたという。遺族が抗議したため、火葬は見送られた。時津風親方が翌27日に、斉藤さんの実家を訪れた際は「(火葬の手配は)隠すわけでやったのではない」と、暴行問題の隠ぺいについては否定していた。
(中略)
 「放っておいたらうやむやになる」と感じた正人さんらは、自ら行政解剖を依頼。愛知県警による真相解明が動きだす端緒となった。


時津風部屋 無断で火葬準備 遺族「隠ぺい」批判」には、「時津風部屋」についての説明があった:
 時津風一門のトップで、角界屈指の名門。史上最多69連勝の不滅の記録をつくり「角聖」と呼ばれた第35代横綱双葉山が現役時代の1941年、「双葉山相撲道場」として設立。引退後、年寄「時津風」を襲名した。元大関豊山の跡を継ぎ、2002年8月から現親方の元小結双津竜が4代目として部屋を率いている。

 第42代横綱鏡里のほか、大内山、北葉山、豊山らの大関を輩出した。現在は時天空、豊ノ島、時津海が幕内で活躍するなど、力士15人を抱えている。

 さて、「「かわいがってやれ」金属バットやビール瓶で殴打 時津風部屋傷害致死事件」なる記事に載っている下記の点:

 6月26日深夜、自宅に運ばれた斉藤さんの傷だらけの遺体を前に、親方は遺族に「通常のけいこだった」と説明。28日の会見でも、暴行やけいこの行き過ぎを否定した上で「ぶつかりけいこの直後に息が荒くなった。申し訳ないとしかいえない」などと話していた。
 大相撲のけいこや師弟関係の厳しさは伝統だが、県警は“聖域”といわれるけいこ場にメスを入れる。日大大学院の板倉宏教授は親方らについて「傷害致死は凶悪犯罪。親方も共犯として逮捕は免れない」と指摘。同容疑で現役力士と師匠の逮捕となれば、角界は権威喪失だけでは止まらない、最悪の事態に発展するのは必至だ。

 小生はあの異常な朝青龍バッシング騒動のことを連想せざるをえない。
(小生の拙稿:「朝青龍バッシングはやっぱり異常だ!」「朝青龍バッシングは異常じゃないの?」)

 日頃、品位だ品格だとお題目のように唱えている角界の指導層やテレビなどで活躍する有識者、一部の昔気質というか熱烈な古くからの相撲ファンなどは、この事件をどう見ているのだろう。
 小生は、時津風部屋傷害致死事件とあの陰湿極まる朝青龍バッシング騒動と、構造は似ているように思えてならない(案外、根っこは同じかもしれないと推察される点があり、その点については下記する)。

 時津風部屋は言うことを聞かない若い弟子を親方を先頭に(少なくとも結果的に)リンチ殺人に至らしめた。
 兄弟子(先輩)らによる「通常のけいこ」ぶりがこうした結果に至る。稽古ぶりが偲ばれる。

 朝青龍も、チャリティだということで故障した体でサッカーに出てパフォーマンスしてみせたのは、そんなに頑張らなくてもいいのに…。でも、さすが朝青龍だ日本とモンゴルの親善のためにも、角界のイメージアップのためにもよくやってくれたと、朝青龍ファンのみならず、また角界のみならず日本の相撲ファンも朝青龍を労(ねぎら)ってやっていいほどのパフォーマンスのはず。

 なのに、仮病疑惑をさんざん書き立て、日本の人々に朝青龍の負の面を印象付け、地方巡業を休んで(サボって)サッカーで遊んでいるという悪印象のみをこれまた朝青龍のニュースを流すたびにこれでもかというほどに塗り重ね続ける。

 この報道ぶりには異常さを感じるし、むしろ意図的なものさえ感じる。

 今回の秋場所を見て、多くの上位陣が生き生き相撲していたのが印象的だった。
 なるほど、このために朝青龍をいびり倒し追い出したのか(ある女性評論家は朝青龍に廃業を勧告している。愚か者よ!)。

 圧倒的に強い、品格や人格だって歴代の関取に見劣りしない朝青龍が不在になることで、相撲がレベルダウンしたのはさておいて(どんぐりの背比べ状態になった)、これまでは朝青龍の前に萎縮していた関取陣が息を吹き返した感があったのは確かだろう(NHKさんも、秋場所を盛り上げようとニュースでも頑張っていたね)。
 確かに、上位陣に限らずかなりの関取に優勝の望みが出てきたのだから、朝青龍がいなくなってせいせいしたのだろう。

 それでも、日本の角界や相撲ファンと自称する人たち、有識者と自負する人たちが、品格を錦の御旗にして(他に難癖のタネが見つからないってことだろうけれど)、モンゴルの英雄でもある傑出したアスリートを、いびり倒し責め立てた事実は消えないし(友好国であるモンゴルの国民に日本の朝青龍バッシングの加熱ぶりや異常さ不当さがどう思われるか、何も考えない外交音痴ぶり)、日本の陰湿ないじめ体質が如実に現われたことは否定しようがない。
 朝青龍バッシングと時津風部屋の親方を先頭とする稽古ぶりとはどうしても重なって見えざるを得ないのである。

[朝青龍バッシングと時津風部屋傷害致死事件とが重なって見えるのは、単なる印象だけではない。実は前段がある。「朝青龍出入り禁止も、時津風親方怒った」(ホームページは、「nikkansports.com」)という事件は相撲ファンなら知らないはずのない事件である:

横綱朝青龍(26=高砂)が6日、時津風親方(57=元小結双津竜)から、部屋への「出入り禁止予告」を突き付けられた。4月30日に出げいこした際、激しい相撲で新小結豊ノ島(23)を病院送りにしたことが原因だ。看板横綱の「出禁」となれば前代未聞のことで、既に時津風一門の伊勢ノ海理事(元関脇藤ノ川)が、高砂親方に抗議している。21度目の優勝を狙う夏場所(13日初日、両国国技館)を前に、出げいこで調整する朝青龍がピンチに立たされた。

 先ごろの日本の角界からの朝青龍の締め出し(追い出し)劇は、朝青龍にはまるで敵わない若手関取しか居ない部屋を率いる時津風部屋の時津風親方による、陰湿な策謀(意趣返し)の匂いが嗅ぎ取れないでもない。弱いのは時津風や日本の関取の自業自得ではないか。それを、難癖をつけて、圧倒的に強い関取を追い出して、あとはどんぐりの背比べ的な関取たち、親方の言うことは何でも聞く大人しい関取立ちだけで、お友達内閣ならぬお友達相撲をしようということだったのだろうか。今度の秋場所を見ると、見事、思惑は成功した…けど、天に唾した事件は隠し切れなかったようだ。
 いずれにしても、朝青龍バッシングという日本的な内向きないじめ体質の現われという病根の直接の淵源は、時津風親方の朝青龍関への個人的恨み(むしろ嫉妬)や時津風一門の斜陽(衰退)ぶり、そして角界の陰湿な体質にあるのではという憶測が信憑性を帯びてきたようである。角界は明らかに曲がり角にある。横綱審議会の新議員も含め有識者も総入れ替えの時期に差し掛かっているのだろう。]


 朝青龍バッシングで日本の角界や日本の良識において失ったものはあまりに大きい(あるいは最初から良識など無かった? 内輪の傷の舐め合いだけだった? そうは思いたくないのだが…)。
 自浄する能力も反省や朝青龍への謝罪の意志もない点からして、日本の角界(やそれを主導する指導層、一部の有識者、そしてマスコミも含めて)が失ったものは時津風部屋の権威の失墜以上かもしれない。

07/09/29 追記
 いずれにしても、段々、過日の異常とも思える朝青龍バッシング騒動の発端が実は、時津風部屋傷害致死事件や、その事実を隠蔽しようとした時津風親方ら仲間の画策という端緒が見えてきたような:
時津風親方、週明け解雇へ!」(ホームページは、「livedoor スポーツ」)
 監督官庁の文部科学省も日本相撲協会(の北の湖理事長)も、時津風部屋傷害致死事件を単に時津風親方らの不始末・不祥事で探求を終らせることなく、この火種が朝青龍バッシング騒動に繋がったのではなかったかという疑念(今は疑念としておくが)を徹底して糾明して、朝青龍関への不当なバッシングをNHKなどの放送局やマスコミ(さらには有識者と他称・自称される方)も含め詫びると共に、猛省につなげ、よって朝青龍関の汚名返上・名誉回復を期してもらいたいものである。
 そして晴れて朝青龍関が改めてその実力を日本の土俵や相撲界で発揮し、品格を示してもらいたいものである。

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コメント

トラックバックありがとうございます。想像をはるかにこえる酷さに唖然としてしまいました。

投稿: 金港人 | 2007/09/27 22:18

金港人さん
TBだけして失礼しました。

角界は古くはハワイ、そしてロシア、昨今のモンゴルと外国勢で持っている。
日本人力士が弱くなったのかと思っていた、ハングリー精神が若い人に薄まったとか。
でも、違っている。
角界の体質が若い人たちを遠ざける、若い人たちを育てない、そんな情けない環境があったのだと露見したようです。
有望な人材が育たない、来ない。強すぎる外国人力士は追い出す、いじめる。
これじゃ、角界が盛況となるわけがないね。

投稿: やいっち | 2007/09/28 01:11

まったくです!ただ唯一の救いは日本人が大相撲を好きだということです。今改革すればまだ復活の可能性があると思います。

投稿: 金港人 | 2007/09/29 11:07

金港人さん
今回の不祥事の原因の追究、さらには朝青龍バッシング騒動の異常さの検証を試みることは、マスコミや有識者らは是非、行なうべきだと思います。
相撲が好きだったら、尚更、基本に立ち返って反省し、将来への希望を持てる状況を作るよう、頑張るべきでしょう。

時津風部屋傷害致死事件ですが、当初は時津風親方に対しての処分については、警察の捜査を待ってからとしていたのが、文科相らの注意(指導要請)もあり、「警察の立件を待たずに臨時理事会で厳しい処分を下す意向だ」という:
http://news.livedoor.com/article/detail/3325359/
うやむやにせず、古い体質を改め、将来ある有望な若者がドンドン入ってくる角界となってほしいものだ。

投稿: やいっち | 2007/09/29 12:30

<力士急死>「愛知県警の初動にミス」 新潟大解剖医が指摘:
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071014-00000005-mai-soci
 大相撲時津風部屋の序ノ口力士、斉藤俊(たかし)さん(当時17歳)=時太山(ときたいざん)=が急死した問題で、遺体を解剖した新潟大大学院の出羽厚二准教授(法医学)が毎日新聞の取材に応じ、「初動に問題があった。家族に指摘されて解剖する事態になったのは大失態」と愛知県警の不手際を指摘した。遺体には全身に激しい打撲の跡などがあったが、県警は事件性が疑われる際に行う司法解剖をせず部屋側に返した。遺族が解剖を求めなければ問題が表面化しなかった可能性があり、初動捜査のあり方が問われそうだ。【岡田英】
 斉藤さんは6月25日、愛知県犬山市の寺にあった部屋から逃げ出し、兄弟子らに連れ戻された。26日午前11時10分ごろからぶつかりげいこを始め、約30分後に倒れ、同日午後2時ごろ死亡が確認された。愛知県警は捜査員を派遣し検視を行ったが、遺体が運ばれた犬山市の病院が死因について「心不全」と判断したこともあり、事件性は薄いとみて遺体を部屋側に返した。
 関係者によると、26日深夜に遺体を引き取った新潟市の遺族が傷を不審に思い、新潟県警に解剖を要請。同県警は検視の結果、「普通の傷ではない」と判断、愛知県警に連絡した。死後1日以上経過した27日夜に出羽准教授に愛知県警から解剖の要請があった。
 解剖の結果、死因は「多発外傷による外傷性ショック死」で、出羽准教授は、当初の死因とされた心不全・虚血性心疾患について「これは解剖結果ではないし、違う」と否定した。そのうえで、「『激しいぶつかりげいこで亡くなった』という部屋側の話をうのみにして事件性がないと判断した可能性がある」と愛知県警の検視を疑問視した。さらに「家族に連絡もせずに遺体を親方に返してしまった。結果的に加害者(の疑いがある部屋)側に返したことになり、常識的に考えておかしい」と批判した。
 出羽准教授は、解剖は当初発表のあった監察医による行政解剖ではなく、遺族の了承を得て公費で行う「公費承諾解剖」と呼ばれる方式で行われたことを明らかにしたうえで、「私に連絡がつかず解剖が行われなければ、『事件性がない』で終わったかもしれない」とも指摘している。
 ◇「批判仕方ない」…愛知県警幹部
 出羽准教授の指摘に対し、愛知県警幹部は「しかるべき(初動)捜査を行ったが、(遺体の扱いなどについて)批判を受けても仕方ない部分もある。真相の解明に向け、さらに必要な捜査を進めたい」などと話している。
  (以上、転記)

単なる捜査の初動ミスなのだろうか。相撲協会との暗黙の了解や癒着ってことはないのだろうか。
何故、こんな疑念を抱くかというと、過去に少なからぬ暴行(リンチ)の事例があったのに、ほとんど(あるいは全く?)立件されていないからだ。
それとも、相撲界では当たり前のこととして放置するのが警察でも<常識>だったってこと?

いずれにしても、あの異常でヒステリックな朝青龍バッシング騒動の反省をそろそろ何処かのマスコミかテレビ界が開始するべきではないのか。朝青龍が気持ちよく戻れるように、そして角界に発展の余地が生れるように。

投稿: やいっち | 2007/10/15 09:06

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