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2007/08/29

月探査機「かぐや」 打ち上げ迫る

 月曜日は営業の日、なのでラジオ聴取の日、というわけではないが、空車の時は耳はついラジオに。
 あれこれ話題はあったが、今日は、月の話を。
 火曜日は6年ぶりの皆既月食が東京を初め、全国的に見られるはずだった。
 が、東京に関しては生憎の天気で、都心からでもビルの蔭に隠れないような場所を確保することができれば、肉眼で十分、皆既月食が眺められるはずだった。
 場合によっては、皆既月食画像もゲットできたかもしれなかった。

Img_about_001

← 『「かぐや」ミッションマーク』 「「かぐや」のミッションマークは、私たちの暮らす「地球」(右側)から探査対象である「月」(左側)へと辿る一筋の「SELENEの軌道」を「SELENE」のSをモチーフにシンボリックに描いたもので、筑波大学芸術学系の学生によってデザインされ」たもの(詳しくは、「月周回衛星「かぐや(SELENE)」 - 「かぐや」ミッションマークについて」にて)。ちなみに、「「かぐや」を打ち上げるH-IIAロケット13号機の機体に、MHI打上げサービスのロゴマーク、「JAXAクラブ」のロゴマーク、キャラクターとともに、かぐやのミッションマークが掲載され」たとか。

 その場合、今日は「月についての二題話」として記事を仕立てるつもりだった。
 念のために断っておくと、「太陽、地球、月が一直線に並び、月が地球の影にすっぽりと入ってしまう皆既月食は18時52分から20時23分まで。その前後は月の一部が欠けてしまったかのように見える部分食が見られます」という天体現象である。

 で、残る一つは、「かぐや-H-IIA13号機」の話である。
 月曜日の夕方、NHK第一にて、加藤 學氏(宇宙航空研究開発機構 宇宙科学研究本部 教授 理学博士)へのインタビュー番組があったのである。

かぐや」については今年の四月、宇宙航空研究開発機構が主体となり、「月周回衛星SELENE(セレーネ)の愛称募集について」というイベントがあった。
 そう、当初の仮称(?)は、「SELENE(セレーネ)」だったのだ(今も有効)。
 小生、愛称募集に応募した。
 その名前は、(誰でも思いつくのだろうが)少々長いかなと思いつつも「かぐやひめ」だった。
 が、結果は「かぐや」。
 妥当なのだろうけど、「ひめ」のない「かぐや」って、どうなんだろう。
 少々疑問が湧かないではないが、今は、「竹取物語 - Wikipedia」のことは脇に置いておく。
(いつでも、手の届かない人に恋する傾向のある小生(今も!)、「竹取物語」は好きな物語というより、身につまされる話でもある! 機会を設け、「竹取物語」や「かぐや姫」の周辺について書き連ねてみたいと思っている。)

「かぐや-H-IIA13号機」プロジェクトについては、「JAXA|かぐや-H-IIA13号機 打上げ特設サイト」などを覗くのがいいだろう。

 あるいは、「月周回衛星「かぐや(SELENE)」 - ミッション プロファイル」なる頁が覗いて楽しい。↓

Img_profile_002_j_2

↑ 「月周回衛星「かぐや(SELENE)」 - ミッション プロファイル」参照

 さて、何ゆえ、「かぐや」の話題が飛び出してきたかというと、上記したように赤みを帯びた「皆既月食」を昨夕、眺められるかもという、絶好の機会だったからということもあるが、下記するように、「かぐや」打上げ日が決定しており、その打上げ日が迫ってきているのだ:
asahi.com: 月探査機「かぐや」 9月13日に打ち上げ - サイエンス」:

宇宙航空研究開発機構と三菱重工は15日、月探査機「かぐや」を、H2Aロケット13号機で9月13日午前10時35分47秒に打ち上げる予定だと発表した。

 ネットで探してみたら、「イベント報告 展示の前で研究者に会おう! セレーネ、さあ皆で月へ行こう(9月9日開催) - 日本科学未来館 イベント」という格好の頁が見つかった。インタビュー記事。
 話し手は、先述した加藤 學氏(宇宙航空研究開発機構 宇宙科学研究本部 教授 理学博士)で、聞き手は、楢崎 純一氏(日本科学未来館長期研修教員 埼玉県立大宮高等学校 教諭)。

 そもそも何ゆえ月探査するのか。月の石を持ち帰って、相当程度に研究が進んでいたのではなかったのか…。
 上掲のペイジに拠ると、「月は近くの天体ではありますが、月のことは意外に分かっていないのです。月がどのようにしてできたかについてもジャイアントインパクト説(火星サイズの惑星が地球に衝突して、飛び散った破片が集まり月になった)をはじめ、いくつかの説があ」るとのこと。
 案外と分かっていないのだという。

 しかも、小生は情報を聞き漏らしていたのだが、「98年にアメリカで打ち上げられたルナプロスペクターという衛星が月表面の組成を調べたところ、極付近のくぼ地に大量の水(氷)があるのを確認しました。水が確保できることが分かれば容易に月面に基地が作れる可能性も広が」るというのだ。
「極付近に常に陽の当たらない低温の部分があるので、彗星がぶつかってもたらされた氷が蒸発せずに残っているのでしょう」という話が印象的だった。

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→ 『地球の物語 痙攣する青い惑星』(C・オフィサー 著 J・ペイジ著 中島 健訳、青土社)

 上掲の頁にはさらに詳しく月探査の目的が書いてある。
 個人的には、「ハイビジョンTVカメラを搭載して月や地球を撮影します。月の地平線を登ってくる地球(地球の出)を撮影し、NHKでの放映も予定されてい」るというので、臨場感溢れるだろう映像をじっくり見てみたい。
 月見ならぬ地球見。乙だろうし、月見より遥かに眩しく且つ美しいのではと期待される。

 また、「何を解明しようとしているのか?」という項目も興味深い。
「セレーネ計画では、月を調べることで、月のでき方や出来てからの進化を解明し、そこから地球の歴史、さらには太陽系全体の起源を知る手がかりを得ようと考えています。
また、月に天文台を作れば、大気に影響されずに地球や遠くの星を観測することが出来ます。このような月の利用が考えられていて、そのための様々なデータも収集します」とのこと。

 だからというわけではないが、火曜日の夕方近く、借りていて返却期限の来たCDを返しに行った時、特設コーナーに宇宙関係の本が並んでいる中、『地球の物語 痙攣する青い惑星』(C・オフィサー 著 J・ペイジ著 中島 健訳、青土社)を借りてきた。
「環境汚染と人類の未来 地球は、われわれにとって必ずしも、永遠の安定した場所ではない。異常気象・温暖化・洪水・噴火・地震・オゾンホールなど、さまざまな異変の要因を、それらを加速化させている現代の人類文明と重ね合わせ、問題の所在を明快に分析する」という本。
 1994年の刊行だが、夏の終わりに宇宙に月に地球に思いを馳せてみるのもいいのではないか。
 拙稿「<降格>した冥王星、新たな主役に!」でも書いているが、太陽系にもまだまだ謎が多いのである。


 関連する拙稿:
地球照より地球ショー
<降格>した冥王星、新たな主役に!

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コメント

「Yahoo!ニュース - 毎日新聞 - <H2Aロケット>「かぐや」搭載し打ち上げ成功 種子島」
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070914-00000038-mai-soci
(9月14日11時37分配信 毎日新聞)
 宇宙航空研究開発機構(JAXA)と三菱重工は14日午前10時31分、月周回衛星「かぐや」を搭載したH2Aロケット13号機を鹿児島県の種子島宇宙センターから打ち上げた。45分後、高度約390キロで衛星を分離し、打ち上げは成功した。本格的な月探査は60~70年代の米のアポロ計画以来約40年ぶりとなる。
 今回から打ち上げ業務が三菱重工に移管された。H2Aは7号機(05年2月)以降、7機連続の成功で、日本のロケット技術の高さ、安定度を国際的にもアピールする形となった。
 予定では、かぐやは約40日かけて月の上空100キロに到達。南北を回る軌道に乗り、3カ月後から本格的な探査を始める。約1年かけて周回しながら、搭載した15種の観測機器で月表面の元素や鉱物の分布状況、地形や地下構造などを調べる。
 月の誕生は地球と同じ約45億年前と判明しているが、形成過程については天体衝突や地球の一部分離など諸説があり、謎の解明が期待されている。重力分布の調査などの観測結果は将来、月面基地をつくるためにも役立つという。また、公募で寄せられた41万人の月への思いを極小の文字で印字した特殊フィルムも搭載した。かぐやは観測終了後、月の引力で自然落下させる。
 衛星とロケット、地上設備を含む総開発費は約550億円。かぐやは縦、横2.1メートル、高さ4.8メートル、重量約3トン。8年かけて開発された。H2Aロケット13号機は2段式で全長53メートル、直径4メートル、重量321トン。発射時に強力な推進力を得るため、固体燃料を使った大小の補助ブースターを計4本搭載している。【松谷譲二】

「予定では、かぐやは約40日かけて月の上空100キロに到達。南北を回る軌道に乗り、3カ月後から本格的な探査を始める。約1年かけて周回しながら、搭載した15種の観測機器で月表面の元素や鉱物の分布状況、地形や地下構造などを調べる」だって、凄い。
まずは、打ち上げ成功、目出度い!

投稿: やいっち | 2007/09/14 12:52

「月周回衛星「かぐや(SELENE)」のリレー衛星(Rstar)の分離 及び主衛星搭載カメラによる月撮像について」
http://www.jaxa.jp/press/2007/10/20071009_kaguya_j.html
「宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、平成19年9月14日(日本時間)に種子島宇宙センターから打ち上げた月周回衛星「かぐや(SELENE)」の、リレー衛星の分離運用を行い、10月9日9時36分にリレー衛星の分離を正常に行いました。現在、主衛星及びリレー衛星の状態は正常です。」

「リレー衛星(Rstar)の分離及び主衛星搭載カメラによる月撮像」
http://www.kaguya.jaxa.jp/ja/communication/com_information_j.htm

「月周回衛星「かぐや(SELENE)」のハイビジョンカメラ(HDTV)動画撮影成功について」
http://www.jaxa.jp/press/2007/10/20071001_kaguya_j.html
↑ 「「かぐや(SELENE)」からハイビジョンカメラ(HDTV)により撮影された地球」なる画像が凄い。

投稿: やいっち | 2007/10/10 12:06

「かぐや」ハイビジョンカメラによる映像「地球の入り(Earth-set)」
http://space.jaxa.jp/movie/20071113_kaguya_movie02_j.html

地球没の最後の最後まで地球の像がくっきりしているのが印象的。
下手な比喩、野暮な喩えになるけれど、CGみたいに(あやうく人為的な画像と思えるほどに)鮮明。

  === === === === === ===

以下、関連のニュース記事:
「NIKKEI NET(日経ネット):社会ニュース 「地球の出」、「かぐや」が撮影に成功」
http://www.nikkei.co.jp/news/shakai/20071114AT1G1302W13112007.html
 宇宙航空研究開発機構とNHKは13日、月を周回中の衛星「かぐや」が約38万キロメートル離れた地球をハイビジョンカメラで撮影することに成功した、と発表した。公開した動画には、月面越しに地球が昇る「地球の出」や「地球の入り」の様子が写っている。宇宙機構によると、月から昇る地球を動画で撮影したのは、1969年のアポロ11号以来約38年ぶり。

 かぐやは月の上空100キロメートルを約2時間で周回している。今回は、ハイビジョンカメラの「望遠」と「広角」の2つのモードで動画撮影に成功した。望遠モードの映像には、月の南極付近から望んだ地球のオーストラリア大陸やアジア大陸が写っている。

 月は常に同じ面を地球に向けているため、月面からは地球の出や入りを観測することができない。かぐや、アポロなどの周回衛星ならではの現象という。(20:07)
                           (以上、転記)

投稿: やいっち | 2007/11/15 14:33

月探査機:「かぐや」月面落下--観測1年半
http://mainichi.jp/select/science/news/20090611dde041040013000c.html

 各国の月探査機の先陣を切って約1年半、月を周回しながら観測を続けていた日本の無人探査機「かぐや」が11日午前3時25分、月面に落下し役割を終えた。(略)
 かぐやは落下の45分前、月の北極上空約80キロでエンジンを噴射して減速。月の表側の南東の縁付近に落下した。周回衛星を狙った場所に落とすには、精密な地形図や軌道の正確な制御技術が必要で、将来の月面着陸に不可欠。JAXAは「貴重な技術習得の機会」として落下させた。
(略)
 かぐやは月の起源や進化過程の解明を目指し、JAXAが07年9月に打ち上げた。同12月から本格観測を開始し、月全体の精密な地形や地下構造を調べた。月の裏側での火山活動が予想より最近まで続いていたことなどを明らかにした。かぐやの後、中国やインドが月に探査機を送ったほか、米国も18日(日本時間)に月探査機を打ち上げる。

=== === === === === ===
(以上、部分転記)

ポイント(の一つ)は、「周回衛星を狙った場所に落とすには、精密な地形図や軌道の正確な制御技術が必要で、将来の月面着陸に不可欠。JAXAは「貴重な技術習得の機会」として落下させた」という点。

「かぐや」死して将来への技術習得の機会を遺した!

…でも、宇宙ゴミならぬ、月面ゴミも増えつつあるってことなのか?

投稿: やいっち | 2009/06/11 19:44

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» 2007年8月 相模原市 JAXA(宇宙航空研究開発機構) 相模原キャンパス(宇宙科学研究本部) [マイ・つるかわ・生活〜鶴川住人日記、東京近郊おでかけメモ、キャンプのメモ]
 ちょっと前の話になりますが、奥さんと子供たちだけで、JAXA 相模原キャンパス へ見学に行って来ました。施設内部まで見せてくれる、大規模な一般公開 もあるのですが、その日には大勢の見学者(延べ1万人を超えるそうです)が訪れ、大混雑となります。?それでも、平日は見学も可能な場所で、もちろん制限はありますが、それなりに楽しめるスポットです。  野外には、ロケットの模型が展示されている。大規模なもので、子供たちの大きさからすると、その大きさがわかると思います。 ... [続きを読む]

受信: 2007/08/31 00:12

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