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2007/07/04

何か忘れてやしませんか…ホントだ!

 ここ最近の日記をざっと眺めてみたら、何か足りない。
「国見弥一の季語随筆読書創作愚痴日記…富山情報」と銘打ってる中で、最近、書いていないのは何か。
「読書」関係の話題だ。
 先月辺りから、あれこれあったし(何と言っても日射病による二週間の低迷が大きいが、勉強会への参加、当然ながらそのための準備もある)、なかなか読書には手が回らない…。
 ってことはない。

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← デイヴィッド・R.ウォレス著『哺乳類天国―恐竜絶滅以後、進化の主役たち』(桃井 緑美子・小畠 郁生訳、早川書房) 哺乳類の遠い先祖にもっと光を!

 勉強はしなくちゃいけないと思いつつ、つい、手が出るのは本。自宅にいる時にはCDを聞きながら読書というパターンに何の変化もない。

 昨年の夏に自転車を買ったので、近所の用事(図書館通いも含め)に自転車を使うことが増え、増えただけじゃなく、増やしているような傾向も見られるのが僅かな違いかもしれない。
 でも、基本線は、タクシーの仕事が明けた日は、自宅でゴロ寝なのである。ただ、ベッドではなく、ロッキングチェアーでゴロゴロしている、ロッキングチェアーに埋もれてしまっているのが我が特徴かもしれない。

 さて、6月の10日にジョージ・エリオットの『集英社版世界文学全集 40 ロモラ』(工藤昭雄訳)を借りてきて、思いっきり断続的な読み進めながら、ようやく500頁あまりの本の300頁ほどを読んだところ。
 多少、中断があっても、いざ、本を手に取れば、一気に物語の世界に引きこまれていく。
 個人的には、ジョージ・エリオットの中の最高傑作だと思っている。
 まあ、来月の半ばまでには読み終えればいいと、鷹揚に構えている。それほどの大作であり大河なのだ。ゆったり流れに身(と心)を任せておけばいいのだ。

 6月18日に借りてきたデイヴィッド・R.ウォレス著の『哺乳類天国―恐竜絶滅以後、進化の主役たち』(桃井 緑美子・小畠 郁生訳、早川書房)を昨夜、読了。
「イェール大学のピーボディ自然史博物館に掲げられた壁画『哺乳類の時代』から着想を得て、驚くべき哺乳類の進化史・研究史をジョン・バロウズ賞受賞の著者が壮大に描き出す」という本だが、同じ博物館の壁画には「恐竜の時代」のコーナーもある。
 当然ながら(!)、一般的には「恐竜の時代」の壁画に人気が集まる。本にしても、世に出回っていて売れる本というと、圧倒的に恐竜の本だろう。
 まあ、あの巨大さと迫力は凄まじいし、それが突然、絶滅したその謎も、誰しもが興味を抱くのは分かりやすい。

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→ ルイス・ウォルパート/アリスン・リチャーズ著『科学者の熱い心―その知られざる素顔』(青木 薫・近藤 修訳、講談社ブルーバックス) 若い人に読んでもらいたい。文科系の人にも、抵抗なく読める。

 一方、「哺乳類の時代」については、我が人類の近しい仲間であり先祖なのに、一向に人気が出ない。せいぜい、人類との絡みで人類の先祖としての哺乳類に関心が集まる程度か。
 そんな中、本書は敢えて哺乳類の歴史を古生物学者らの人間ドラマや研究の試行錯誤を交え、濃厚な物語として示した稀有な本。
 哺乳類でも恐竜と同時代に生きていた遠い先祖の研究者やその研究は、あまり馴染みのない人々や研究内容ばかりで、ドラマの中に感情移入するのはやや難しい。
 でも、人類(も含めた現今の哺乳類)の先祖の物語なのだ。もっと脚光を浴びていい。
 ジュラシックパークの物語も面白かろうけれど、恐竜が跋扈していた時代に哺乳類はどう生きたのか、どんな生息環境だったのかを描き出すような、歴史の実相に迫るドラマを作ってみるのも面白いかも。

 6月25日には、ルイス・ウォルパート/アリスン・リチャーズ著の『科学者の熱い心―その知られざる素顔』(青木 薫・近藤 修訳、講談社ブルーバックス)を借りてきて、これも昨夜、読了した。
「何が彼らを衝き動かしたか!?ノーベル賞受賞者をはじめとする一流研究者23人の内面に迫るインタビュー」というもので、電車の中で、あるいは寝床で就寝前に読むために借りてきた。
 多くの傑出した科学者が閃きもその営為も芸術家の創造と似たようなものだと強調していたのが印象的。
 この手の本を読むのが大好きなのである。

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← 副島弘道著の『運慶 その人と芸術』(吉川弘文館)

 ルイス・ウォルパート/アリスン・リチャーズ著の『科学者の熱い心―その知られざる素顔』(青木 薫・近藤 修訳、講談社ブルーバックス)をそろそろ読了するだろうことを見越して、6月30日に、副島弘道著の『運慶 その人と芸術』(吉川弘文館)を借りてきてある。
 電車での移動の機会が増えているし、寝床では重めの単行本は辛い。新書版の本書は内容も興味深いので、図書館の美術書のコーナーに埋もれるように並んでいたのが、パッと小生のハートに飛び込んできた。
 小生、絵画や版画などの平面アートは大好き。
 けれど、彫刻やインスタレーションアートは、結構、見てきたはずなのに、一向に気を惹く作品と出会えない。 
 無論、優れた作品は数々見てきたのに感じるものがインパクトに欠けるのは、小生の感受性に問題があるのだろう。
 あるいは、三次元のアートを受け入れる素地自体がないのだろうか。

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→ 藤代 幸一訳著『聖ブランダン航海譚―中世のベストセラーを読む』(法政大学出版局) この日記を書く過程で偶然知った本。面白そう!

 そんな中、数少ない例外もある。円空であり、この運慶(の東大寺南大門金剛力士(仁王)像)なのである(あとは、方々で見かけるお地蔵さん!)。
 鎌倉仏教が勃興した時代にほぼ併行してこうした仏師が出るというのは、やはり時代なのだろうか。
 運慶というと、「2007年3月、神奈川・称名寺 の大威徳明王像が運慶の真作であると新聞、テレビで報道された」とか、「2007年3月、奈良・興福寺の木造仏頭(重要文化財)が運慶作と判明したと一部新聞で報道された」といった話題が最近、あったばかり。
 実物を見たのは、多分、中学の時の修学旅行で、覚えているような、それともその後に見た写真とダブっているようなで、心もとない。
 とにかく、鈍感な小生さえも圧倒する鎌倉の仏師像を少しでも知りたいのである。

 デイヴィッド・R.ウォレス著の『哺乳類天国―恐竜絶滅以後、進化の主役たち』(桃井 緑美子・小畠 郁生訳、早川書房)を読了するだろうことを見越して、過日、予約してあった、下記の二冊が届いていたので、引き取ってきた。
 鶴岡真弓著『聖パトリック祭の夜―ケルト航海譚とジョイス変幻』(岩波書店)
 鶴岡真弓著『黄金と生命―時間と練金の人類史』(講談社)

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← 鶴岡真弓著『黄金と生命―時間と練金の人類史』(講談社)  ケルトに関心があってケルト研究者である彼女の本を読み始めたのだが、今じゃ、小生はすっかり鶴岡真弓さんの本のファンである!

 前者の『聖パトリック祭の夜―ケルト航海譚とジョイス変幻』(岩波書店)は、「叡智の禁書図書館<情報と書評> 「聖パトリック祭の夜」鶴岡 真弓 岩波書店」では、本書は酷評に近い評をされている。で、「あらゆる「物語」の転生の、豊かな祖型のひとつがここにある」という、藤代 幸一訳著の『聖ブランダン航海譚―中世のベストセラーを読む』(法政大学出版局)が推奨されていた。
 ちなみに、本書『聖パトリック祭の夜』は、「平凡社からは「ジョイスとケルト世界」というタイトルで改題」されて刊行されている。小生は、こちらで予約したら、司書の方に同じ本ですからと、『聖パトリック祭の夜』を渡されたのだった。
 なるほど、である。

 後者の鶴岡真弓著『黄金と生命―時間と練金の人類史』(講談社)は、「農耕、神話、宗教、哲学、科学、国家、貨幣…限りある命を乗り越えるための技と知=錬金術の軌跡を追い、一万年以上、魂を突き動かした光源=「万物の王」の正体に迫る。人類史を読み解く壮大なオデッセイ」というものらしい。
 この四月に出たばかりの本。小生、ひたすら鶴岡真弓さんの本を読みたい一心で借り出したのだ。
 とにかく、読むのが楽しみ。

 って、いつになったら肝心の勉強をするのやら……。

 なお、音楽については、書く余裕がなくなったが、今は、エンヤのCDを二枚、ジャン・シャオチンを一枚(『悠 BREATHING SPACES』)、上原ひろみを一枚(『スパイラル』)と、四枚のCDをとっかえひっかえ聞いている。
 曲を聴きながら本を読んだり、ぼんやりしていると、なんだか不思議な空間に迷い込んでいく。異界? 

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コメント

TB有り難うございました。叡智の禁書図書館のalice-roomです。私の場合、完全に自分の知りたいことが書かれているか否かで、好き嫌い、良し悪しを書いてしまっているので相当個人的なバイアス、というか偏見が入ってしまっています。ただ、一つの見方として少しでも参考になれば嬉しいです。勿論、私とは全然違った感想の場合もたくさんあると思います。そんな時も、もし宜しければ、TBやコメントを頂けると嬉しいです♪ いろんな見方や感想があった方が、きっとこれから読まれる人には役に立つような気がします。

もっとも、私自身一回目読んだ時には、つまんなくて、いろいろ他の本を読んでから再読したら、面白かったりなんてこともしばしばあって、我が身のあてのならなさに途方にくれています(苦笑)。それでは、お邪魔致しました。

投稿: alice-room | 2007/07/04 21:46

alice-roomさん、こんにちは。
TBだけして失礼しました。

本を読むのは専門家だろうが誰だろうが、趣味性が高いのは別にしても、人が人(のもの)を読む営為なので、自分本位になるのは当然なのでしょうね。小生など、時に独断性が高くなったりして。その時の自分の関心やバイオリズムもその本を読む際の意欲に関係するようだし。

本を読むのはその本だけじゃなく、著者、関連する著者や文献への広がりへの期待もあります。
まして、本を扱うブログとなると、楽しみも増すわけです。
その意味でalice-roomさんのところであれこれ知見が得られて嬉しく思います。
今回、借りてきた二冊の本は未だ読んでいないので、鶴岡真弓ファンの小生としては、今はただ、楽しみにしているとしか言えない。
今週末辺りから、ゆっくりじっくり読むつもりです。

投稿: やいっち | 2007/07/05 11:34

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» 「聖パトリック祭の夜」鶴岡 真弓 岩波書店 [叡智の禁書図書館<情報と書評>]
いやあ~騙された&騙された。先日、著者の鶴岡氏のケルト関係の本が結構良かったので、更にケルトのことを知りたくて購入したけど、思いっきり外されました。これ、ケルトの本じゃないジャン!! サブタイトルでジョイスのことに触れていたから、一抹の不安があったんだけど..... [続きを読む]

受信: 2007/07/04 21:50

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