誰も皆踊る姿にしびれます
「車内はラジオ三昧です!」で硲伊之助の話題を持ち出している。
その中で、「フランスでの旅の最中、列車に乗っていて、マチスと偶然、出会ったらしい。硲伊之助の作品をマチスが見て、アトリエか何処かへ誘ったらしいのである(この辺り、裏付け資料を物色中)」と書いている。
→ 硲伊之助「プリクセンとムカイ氏の会話」(80×99cm) (「アンリ・マチスに師事中の作品」だという。「洋画分野所蔵作品紹介」より)
硲伊之助がマチスに師事することになったのは事実としても、それ以上の裏付けが取れたわけではない。ただ、ネット上で関連情報を物色していたところ、硲伊之助やマチス、あるいは彼らの周辺に関するエピソードその他を見つけたので、いくつかをメモしておく。
(尤も、彼らのファンや絵画の事情や歴史に詳しい人には常識に属することが多いだろうが。)
「作品制作のエピソードなど」なる頁に、興味深いエピソードを見つけた(ホームページは、「水彩画~印象派が愛した風景 」のようである)。
「エピソード6 「南仏 ヴァンス村 マチスのロザリオ礼拝堂 宇宙の光」」は、マチスファン(や池田満寿夫のファン)に読んでもらうだけにする(「エピソード8 「パリ マチス サンミッシェルのアトリエ」」も覗いてみてね)。
「エピソード7 「マチスの友達 マダム アデリア ハザマの思い出」」が今の小生には興味深い。
← アンリ・マチス「なわとび」(リトグラフ 1958年) (「アンリ・マチス:Henri Matisse - 翠波画廊 [作品一覧]」より)
なんたって、知る人ぞ知る、かの「日本人画家硲伊之助の婦人、アデリア ハザマ」のエピソードなのである。
「二人は画学生のころからの付き合いで結婚し、学生のころからマチスのアトリエに出入りすることが多かったという。戦後、マチスが病床にあったとき、彼を説得して、日本初のマチス展(昭和26年)を企画したのが彼女であった」など、興味津々の話は当該の頁で読んでもらいたい。
→ アンリ・マチス「ジャズ:ピエロの葬式」(リトグラフ 複製 2005年)(「アンリ・マチス:Henri Matisse - 翠波画廊 [作品一覧]」より)
硲伊之助夫人だったことのあるアデリア・ハザマさんについては、下記でも話題を拾うことができた:
「回想「硲伊之助夫人/アデリア・ハザマ」|マダム侑加のロハスライフ」
「アデリア・ハザマ は若き日に、マチスやピカソのモデルをしていた。マチスやピカソの絵の中にこれは若き日の彼女かな・・・と思える作品がある。特にマチスの作品に多いと感じた」など、エピソードは当該の頁で。
← アンリ・マチスというと、やはり、この「ダンス」だ。(画像は「アンリ・マティス - Wikipedia」より)
アンリ・マチス(1869年12月31日 - 1954年11月3日)については、彼の色彩感覚や造形感覚もさることながら、彼の没年が小生の生年だということで、勝手な思い入れをしてきた。
「アンリ・マティス - Wikipedia」参照。
あまり意味のない偶然に過ぎないのだが、そんな瑣末なところで奇縁を感じ、関心を抱くこともある(小生の場合、特に?)。
「野獣派(フォーヴィスム)のリーダ-的存在」だったこともあるらしいが、彼の絵には野獣派という冠から受ける印象とは随分と違うものを感じる。ミロやクレーとは違った意味で躍動的で音楽的なもの、リズム感を感じる。
→ ドガ「Dance School」(Oil and tempera on canvas 43 x 57 cm) (画像は、「アート at ドリアン 西洋絵画史」より)
欧米の画家にはダンサーをモデルにした絵画作品が多い。画家にしても、ドガ、ゴッホ、アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレックなどと、踊り子を描いた事例は少なからず居る。踊り子にインスピレーションを受けるからなのだろうか。
小生にしても、遅まきながら四年前にサンバに出会ってから、自分が踊ることはないが、踊る人への関心は思いっきり掻き立てられた(自分ができなから尚更なのか)。
サンバ、サルサ、レゲエ、ベリー、フラメンコ…。クラシックでもバレー音楽が多いが、作曲家の作曲のそもそもの発想の源泉はバレーなどの踊りにあるのだろう(これって、常識?)。
絵画、彫刻、小説、劇、詩、映画などといろいろあっても、つまるところ、一個の人間がそこに生きている、踊っている、生きる喜びや悲しみを表現している、その際に言葉など無用、ありきたりな表現や修飾など超越している。
というか、圧倒される。
← フレッチャー・シブソープ「ザ・テンプトレス」 (画像は、「フレッチャー・シブソープインタビュー」より)
「フレッチャー・シブソープインタビュー」から、若干、転記する:
フラメンコが持つ色にはダンスから放射される強烈なエネルギーが大きく反映されている。踊り手の動き、特に手の動きも芸術的で美しい。画家として、芸術を見る目で人間の姿や動きを観察しますが、ダンサーはみな、とても繊細な手の動きをしています。それが、ビジュアル的にフラメンコダンサーに魅了され、いろいろと描いてみたいと思った理由です。
繊細な手の動きに限らず、ダンサーの動きの繊細さや躍動感、リズム感(音感)というおは、ある程度は、いや、相当程度に、他のジャンルのダンスにも共通すると思うのだが。
いずれにしても、踊ることは人間の、それとも生き物の根源に関わる、いい意味で狂的な営為なのだろう。
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