都心の地下は穴がいっぱい謎だらけ
火曜日は営業の日だった。午後の三時前だったか、NHKラジオを聴いていたら、下記のような速報が番組を中断する形で入ってきた。
「19日午後2時半ごろ、東京都渋谷区松濤(しょうとう)1丁目の温泉施設「渋谷松濤温泉シエスパ」の従業員用施設で爆発が起きた。建物は全壊し、従業員の女性3人が死亡し、通行人を含む3人が重軽傷を負った」という事故があったことは縷々報道されている(「asahi.com:東京・渋谷の温泉施設で爆発、3人死亡 天然ガス引火か - 社会」より)
← 午後の二時過ぎから三時過ぎは、南青山の公園脇で休憩していた。すると、「松濤温泉シエスパ」でのガス爆発事故の一報が。
「施設の地下には温泉水を地中からくみ上げる設備がある。警視庁は、くみ上げの際に混入する天然ガスが充満し、何らかの原因で引火した疑いが強いと判断」しているとか。
「asahi.com:渋谷「まるで戦場」、ひざにガラス破片 温泉施設爆発 - 社会」など参照。
「爆発事故があった東京都渋谷区のスパのように、温泉をくみ上げ利用する施設は、近年の温泉ブームに乗り、都心部でも急増している。一方、首都圏の地下にはメタン成分の多いガス田があることが知られている。2005年、北区で温泉掘削中に天然ガスが噴出し、20時間以上にわたって燃え続ける事故が起きた」(「Yahoo!ニュース - 時事通信 - 都心の温泉、ブームで急増=地下にガス田、掘削で炎上事故も」より)
→ 夕方近く、二重橋近辺で信号待ちしている最中、何気なく皇居のほうを眺めたら、僅かに茜色になりかけた空に不思議な雲が。竜巻のような不穏な形の雲。画面中央のタワー右に注目。
「首都圏の地下にはメタン成分の多いガス田があることが知られている」というのは、小生は知らなかった。
なんと、「千葉を中心として茨城、埼玉、東京、神奈川には「南関東ガス田」があり、メタン成分が約99%だという」のである。
「松濤温泉シエスパ」の中の様子を画像と共に知りたい方は、「渋谷の女性専門温泉「シエスパ」でお昼寝 - [東京]All About」
東京、とりわけ首都圏に限ると、地下は穴だらけのように感じる。
超高層のビルを建てるには、固い岩盤に杭を打ち込むため、地下数十メートルは掘り下げる。
温泉のための温泉水を地中からくみ上げるには地下千メートル以上も穴を掘る。
首都高速道でも、一部は都心の地下を走っている。その上には普通の道路があり、日常を送る町の光景がある。
「神田川・環状七号線地下調節池」は、しばしばテレビなどで紹介されている。これも巨大な地下施設だ。
← 直後に撮った同じ方向の空の画像にややコントラストを付してみた。画像を拡大すると、タワー付近に<竜巻>状の雲が見えるはず。あの方向の空というと、渋谷…。あの雲は、事故現場から舞い上がった埃の余燼なのではなかろうか。肉眼にはもっとはっきりと見えたのだが。
なんたって地下の穴というと、複雑極まる地下鉄路線網。昨年辺りからJRのみならず地下鉄を利用する機会の増えた小生、縦横無尽に巡っている地下鉄網を乗りこなせないでいる。
幾つかの路線を乗り継いで目的地へ向う場合も、個別の路線ごとに切符を買っている。
何故なら、どうやって乗り継いだらいいのか分からず、つい、乗り継ぎの駅で改札を出てしまい、あれ、あっちだったのねと、また新たに切符を買うという羽目に幾度も陥っているからである。
↑ 「東京メトロ|電車・駅のご利用案内|路線図」 多少は地上を走る部分もあるのだろうけど、なんたって地下鉄ってくらいだから、ほとんどが地下を走っているのだろう。
地下鉄ほどではないにしても縦横に地下路線が通じつつある巨大地下網がある。
それは、「共同溝」である。
「東京ジオサイトプロジェクト 共同溝とは!?」によると、「共同溝」とは、「ライフラインを収容するために作られる、コンクリートのトンネル状の施設」だとのこと。「ライフライン」とは、「電話・電気・ガス・上下水道」などを指す(電線は入らないのか…→「CCBOX(電線共同溝)とは?」参照)。
↑ 「東京都区内の共同溝」(「共同溝の概要」より)
小生など、今日動向は、比較的近年、整備され始めたものと思っていたら、「東京の場合、後藤新平の発案で整備が始められた」という。後藤新平、恐るべし!
尤も、「ヨーロッパの都市では数百年の古くより共同溝が存在」したというから、驚く小生が今更、なのだろう。パリの地下道は有名だし。
というより、パリは穴だらけなのだ:「パリの下水道」
→ 秋庭俊著『大東京の地下99の謎』(二見書房)
「麻布・日比谷共同溝は、シールド工法により工事が進められています」という。
これについては、「日比谷共同溝を見に行こう! 東京ジオサイト地下潜入レポート」という絶好のサイトがあった。
地下の横穴の作りの立派なこと。その一角にでも住まわせてもらえないものか…。
「東京ジオサイトプロジェクト 映像アーカイブ集」なる頁もある。
東京の地下には秘密や謎が一杯、あるみたい。秋庭俊著『大東京の地下99の謎』(二見書房)なんて本もあるほど。
この本の案内頁を覗くと、謎を列挙するのも大変なほど:
「ジャングルマートJMBooks|商品詳細|大東京の地下99の謎」
ほんの一例だけを挙げると、サンシャインビルの地下の巨大駐車場。でっかい! しかも、謎が…。
核の問題もあるし、地上が熱波で暮らしづらくなりつつある。近い将来、地下での生活が当たり前になるかも。で、週末などに地上へのバカンスに出かけるようになるとか?!
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コメント
今晩は~
ガス田の存在、全然知りませんでした。
地下鉄も網の目のように有るし。
穴を掘ってる人々は危険を十分知ってるはず。
防げた事故ではないでしょうか。
ご冥福をお祈りします。
京都の地下は地下水の宝庫です。
以前TVで「琵琶湖相当の水を湛えている」と言ってました。
でも地下を掘るのは色々意見が交わされます。
一旦掘ると地下水の流れが変わり、産業に深刻な影響があるので。
自然の力は凄いです。
投稿: ちゃり | 2007/06/23 21:31
ちゃりさん、本文にあるように小生も「首都圏の地下にはメタン成分の多いガス田があることが知られている」というのは、小生は知らなかったのです。
なので、この記事を書くことを思い立ったのでした。
事件の関係者がガスの噴出があることを知らなかったはずはない。あの女性の経営者やメーターの点検業者も含め。
無責任なのは、こんな温泉を許可しておきながら、なんの対策を打たなかった国や都などの当局。
民間の業者の中にはあのような無責任な奴らが一杯いるってことは分かっているのに、民活かどうか知らないけれど、とにかく開発などをさせてしまう。で、問題が発生したら(正確には露見したら)遅ればせながら、法的整備を進める。
民営化路線や民活の如何に杜撰な性格のものかがつくづく思い知らされる(痛い思いをするのは一般国民なのが悲しい)。
そう、まさに防げた事故なのです。業者や当局を含めての人災です。
今、流行っているからと、見かけの美麗さに乗っかるのは如何に危ないか、利用する我々が勉強しないといけない。しんどいけれど。
(岩盤浴だって、ばい菌が一杯なんだけどね。)
>京都の地下は地下水の宝庫です。
なるほど!
十数年前、琵琶湖疏水の講演会を聞いたことがある。昔から苦労と工夫を重ねてきたのです。琵琶湖も段々綺麗になってきたらしいし。
やはり、地元の人が我が事として(地下を含めての)土地の利用に関心を払わないといけないですね。
業者任せの危なさ。当局の無責任さ。東京の場合、日々、風景・光景が変貌するのが当たり前になっているけれど、多くの人がただの映像だと思っているのではと心配になる。自分の町だと感じていない。面倒になったら引越しすればいい。汚いものは壁紙を貼って(蓋をして)、見かけだけは都会ですって装いにする。
住人が自分の土地なのだ。東京を含め関東の地下にだって、縄文時代以来の歴史があるってこと、もっと自覚したほうがいいのでしょうね。
ところで、ちゃりさん、ミクシィ、来ない?
投稿: やいっち | 2007/06/24 07:02