祈り込め「明日の神話」これからも
今週の火曜日、車中で長らく幻の存在だった岡本太郎作の作品「明日の神話」の話題に接することができた(「明日の記憶」のことじゃなく!)。
といっても、営業中の車中だったこともあり、ほんの断片的なことだけしか聞けなかったし覚えていない。
↑ 岡本太郎『明日の神話』
岡本太郎作の作品「明日の神話」については、昨年の汐留(日本テレビ)で一般公開されていたことなどは、テレビなどのマスコミ情報などで聞き知っていた。
ただ、現在(2007年4月27日(金)15:30~2008年4月13日(日))、「東京都現代美術館MOT [『明日の神話』特別公開]」という話は、知らなかっただけに耳寄りの情報だった。
「明日の神話 - Wikipedia」によると、「明日の神話(あすのしんわ)は岡本太郎が原爆の炸裂の瞬間をテーマに制作した巨大壁画(縦5.5メートル、横30メートル)。悲惨な体験を乗り越え、再生する人々のたくましさを描いたとされる。大阪万博のシンボルタワー「太陽の塔」に次ぐ、岡本の代表作」だという。
「岡本太郎 - 明日の神話オフィシャルページ [Hobo Nikkan Itoi Shinbun Partnership]」の中の、「『明日の神話』とは」なる頁を覗くと、「『明日の神話』再生プロジェクト」を初め、「「壁画について」岡本敏子」というメッセージを読むことが出来る。
その「「壁画について」岡本敏子」で絵が描かれた背景や意図、篭められてたメッセージなどを窺い知ることができる。
冒頭付近だけを転記する:
『明日の神話』は原爆の炸裂する瞬間を描いた、岡本太郎の最大、最高の傑作である。猛烈な破壊力を持つ凶悪なきのこ雲はむくむくと増殖し、その下で骸骨が燃えあがっている。悲惨な残酷な瞬間。逃げまどう無辜の生きものたち。虫も魚も動物も、わらわらと画面の外に逃げ出そうと、健気に力をふりしぼっている。
けれど、大事なのは、転記していない「だがこれはいわゆる原爆図のように、ただ惨めな、酷い、被害者の絵ではない」といった後段の部分。
長くはないので、是非、当該頁を覗いてみてほしい。
「「明日の神話」再生プロジェクトの詳細」を示す画像群なども興味深い。
↑ パブロ・ピカソ『ゲルニカ』 (画像は、「【パブロ・ピカソ】」より)
アメリカ軍による原爆投下については、「原爆とアメリカと日本と」など、この数年だけでも幾つか雑文を綴ってきた。
また、小生には原爆をテーマとした虚構作品を幾つか書いてきた:
「日蔭ノナクナツタ広島ノ上空ヲトビガ舞ツテヰル」
「闇に祈る」
「闇に降る雨/黒い雨の降る夜」
(岡本太郎については、「岡本太郎著『今日の芸術』」など)
そんな中、小生は、数年前、ある小文の中で下記のようことを書いたことがある:
何故、アメリカは平気で日本に原爆を投下できたのか。そしてそのことを世界の人々 は何故、論難しないのか。私は、日本の戦中の軍部官僚主導の下でのアジアなどでの行 いのひどさ、そして戦後のけじめのなさにもまして、原爆を投下された悲惨極まる現 実を描ききる絵画も映画も論著も、そして文学作品もなかったことにも一因があると思う。世界に通用する、『ゲルニカ』に比するような普遍性を持った作品をそろそろ期待してもいいのではなかろうか。

↑ 丸木位里/丸木俊『原爆の図 火 (1950年)』 (「原爆の図 丸木美術館」より)
不明な発言だったと思う。
そう、日本には『明日の神話』という岡本太郎の作品があったじゃないか。
いや、その前に、丸木位里/丸木俊ご夫妻の偉業を忘れちゃいけない。
「原爆の図 丸木美術館」の中の、「原爆の図」をどれでも一つ、見てみればいい。
原爆の悲惨と野蛮のことは、どんな形にしろ描ききれるものでもなければ表現し切れるものでもなかろう。ただ、誰かがその悲惨と残虐、蛮行、その中での人間ドラマを描こうとするし、訴え続けようとする。
岡本太郎の作品「明日の神話」には、その強い意志があったことを誰しも感じるのではなかろうか。
岡本太郎らの後に続く人の居ることを切に願う。
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