ウィーンの森のツィター物語?!
先週の金曜日は営業の日。例によって空車の時の車中の友はラジオ。
が、先週から小生の担当となった車にはFMがなくてAMのみ。
音楽を聴く選択の幅が極めて狭くなった。寂しい限りである。
AMしか聴けないし、民放はつまらないので、結果的にNHKラジオのみの聴取となる。その代わりというわけではないが、その時間帯は以前ならFMを聴いていたはずだったのが、NHK第一を聴いていて、久々の音色に出会った。
それは、ツィター(Zither)である。
「タクシーは社会の縮図多事多難?!」や「音楽と本を両手に夢の中」で紹介したハープのCDの数々に見られるように、このところ、何故か弦楽器に妙に惹かれている。
↑ 「ZitherYasuto & Naoto Kono Official Web Site」 詳細は下記。
その切っ掛けは、「夢路にて古筝(こそう)から胡弓へと川下り」で紹介した、「悠 Breathing Spaces ジャン・シャオチン」(パシフィック・ムーン・レコード)だった(その前に若林美智子さんの胡弓が伏線としてあったのだが:「今日は宮澤賢治忌…それとも…お絵描き記念日?!」参照)。
ツィターという楽器については、「ツィター - Wikipedia」に大よその説明が施されている。
「日本の箏(琴)に似た形状をしているが、長さは短い。約30本の伴奏用弦と5、6本の旋律用のフレット付き弦が張られている。これを親指につけたプレクトラムと呼ばれる爪を使って弾く」などと説明されているが、音楽好き、そして映画好きなら、「映画「第三の男」のテーマソングをアントーン・カラスが弾いた楽器としても知られている」で、ああ、あの楽器かとなる(言われなくても分かっているって声が聞こえてきそう)。
小生も、キャロル・リード監督で、オーソン・ウェルズらが出演したこの映画(グレアム・グリーン原作)は一度ならず見ている。
音楽的センスは皆無に近い小生だが、この映画でのアントーン・カラスが弾いたツィターの音色はとても印象的で耳に残っている。「主にドイツ南部、オーストリア、スイスなどでよく使用される弦楽器」というが、妙に東洋的な響きというか哀愁が漂ってくるような気がする。
敢えて言うと、中東辺りを思わせるような異国情緒(無論、ヨーロッパから見ると、の意だが)を感じさせるのだ(そう思ってしまうのは小生のヨーロッパ音楽事情に疎いからなのだろう)。
ところで、「ツィター - Wikipedia」によると、「ビートルズのジョージ・ハリソンが使用したことで有名になった」とある。
「ジョージ・ハリソンが使用したことで有名になった」というと、シタール(sitar)じゃなかったっけ。
「週刊誌タイム記事 ジョージ・ハリソン死去 ラビ・シャンカールの追悼の詞(NYT記事)」(ホームページは、「高橋啓三の部屋」)を覗くと、ジョージハリソンにシタール(sitar)を教えたRavi Shankarの、「ジョージハリソンを偲んで、愛と喜びに満ちて」と題された追悼の辞が載っている。
また、作曲家のPhilip Glassによる、「ジョージハリソンは、我々の知らなかった文化への門戸を開けた」といった追悼の辞も載っている。
その中に、「彼のRavi Shankarとの生涯を通じた友情が新しい窓を開いた。彼らはロンドンで1966年に出会い、その後インドに6週間の旅に出た。彼はデリーでsitarを買い、それがNorwegian Wood, Rubber Soul, Within you Without you,Sgt.Pepperに使われた。私はラビと1965年にパリで出会った。ジョージがラビと会ったときはラビは46歳であった」などとある。
ここまで書いてきて、ツィターとシタールの関係はどうなのかが気になってきた。語感(音感)的に近いみたいだし、何処かで繋がっているか、あるいは本来は同じものを違う表記で呼んでいるだけ?
「シタール - Wikipedia」を覗く。
「シタール(ヒンディー語:सितार、英語:Sitar)は、北インド発祥の弦楽器。民族楽器の一つ。シタールという言葉の語源はペルシア語のセタール(سهتار :三弦)とされている」などとあるし、「伝統的なインド音楽やインド・ポップスに使用されるが、60年代半ばヤードバーズのジミー・ペイジやビートルズのジョージ・ハリソン、ローリング・ストーンズのブライアン・ジョーンズらが使用したため欧米のロックファンにも良く知られる楽器になった」とあるが、「ツィター」という楽器名はまるで出てこない。
小生、お手上げ。誰か縺れた糸を解して欲しい。
← 指揮:大町陽一郎「シュトラウス・ファミリー名曲集〈九響シリーズ3〉」 この中に、ツィター演奏が河野直人だという、ヨハン・シュトラウスII世/ワルツ「ウィーンの森の物語」が収録されている。
さて、小生が聴いた番組は、NHKラジオ第一の「ラジオほっとタイム」という番組の「ビュッフェ131」というコーナーだった。
出演者というか、演奏者は、ツィター奏者の河野 直人氏であり、聞き手は、音楽評論家の黒田 恭一氏だった。
この河野 直人氏には彼の父である河野保人氏と一緒のOfficial Web Siteがある:
「ZitherYasuto & Naoto Kono Official Web Site」
先に進む前に、「河野直人ツィターコンサート」の案内を:
「河野直人ツィターコンサート」2007年7月19日(木)午後6:30開場 午後7:00開演
武蔵野芸能劇場(JR中央線三鷹駅北口徒歩30秒)
お問合せ:042-322-0675 コンサート事務局
「ZitherYasuto & Naoto Kono Official Web Site」によると、「ツィター(Zither)の文献として名高いブランデルマイヤーの説によれば、ツィターの由来を探究すると、「古代聖なる道」に行き当たると記されています。現代のツィターは、ギターとハープを合わせたような性能を持ち、メロディーを弾く旋律弦と、リズム、ハーモニーを作る伴奏弦の両方が一台になった撥弦楽器で、テーブルや膝の上に置いて演奏します」とある。
「ギターとハープを合わせたような性能を持ち」、「メロディーを弾く旋律弦と、リズム、ハーモニーを作る伴奏弦の両方が一台になった撥弦楽器」というから、楽器として極めつけな魅力を有するのも無理はない。
その分、演奏もかなり難しいらしい。
→ 「ウィーン・フィル世界の名曲 Vol.31」 ここには、「ワルツ・ポルカ名曲集 シュトラウス・ファミリー(2)」や「《ウィーンの森の物語》 《春の声》《酒・女・歌》ほか全12曲」などが収められている。ツィターはアントン・カラスだ。
ところで、「ZitherYasuto & Naoto Kono Official Web Site」の中でちょっと驚きの記述を見つけた(但し、驚く小生が無知だというに過ぎないのだが)。
つまり、「ツィターの魅力は第一に音色にあります」、「第二に、複雑な演奏ができることです」、「第三に、オリジナル曲に恵まれていることです」などとツィターの魅力について語ってくれている。
逐一、尤もだと小生は拝聴するばかりだ。
問題はその続きで、「第三に、オリジナル曲に恵まれていることです」の例として、映画「第三の男」は小生でも知っているとして、「シュトラウスの「ウィーンの森の物語」は有名ですが」という記述がある!
ええ、そうだったの?!
ガキの頃から映画などでこのワルツの曲の演奏は踊る光景と共に聴いている。ラジオでも演奏を聴いている。
でも、小生、ツィターのことは気付いていない! ちっとは気づけよ、だよね。
ネットで調べてみると、アントン・カラスなどが、ヨーロッパのオケに混じって「ウィーンの森の物語」のソロの部分をよく弾いていたという記述が見つかったりする。
なるほど、本来はシュトラウスの「ウィーンの森の物語」にはツィターのソロの部分があるはずなのだ。ただ、ヴァイオリン(など)で代用することが間々あるらしいのである。
うむ。ツィター演奏のあるシュトラウス作曲の「ウィーンの森の物語」をなんとか聴いてみたい。
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コメント
ツィターの音色、いいですね。
明るいようでいて、
その背後には陰翳や哀切があって。
(ところでジョージ・ハリスンがツィターを弾いたなんて話、
私も聞いたことがありません。
執筆者の錯誤ですな。
まあツィターもシタールも、
源流を辿れば原始的な弦楽器に行き着くのかも知れないけれど、
ちょっと調べたところでは接点がないような。。)
投稿: ゲイリー | 2007/06/19 08:49
ゲイリーさん、コメント、ありがとう。
ツィターの音色、響き、素敵ですね。
演奏は大変そうだけど。
ジョージ・ハリスンのインドへの傾倒、そしてシタール好みというのは、ビートルズファン、ハリソンファンならずとも有名な話。
それだけに、「ツィター - Wikipedia」にジョージ・ハリソンによって云々という記述を見つけた時は、???でした。
遠い昔は、琴などとツィターやギター、シタールの共通のご先祖的楽器があるのかもしれないけれど(全く、不明)。
投稿: やいっち | 2007/06/19 09:31