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2007/05/19

ハープのことギリシャからエジプトへ

 昨日の記事「弦の音共鳴するは宇宙かも」は弦楽器、特にハープ(リラ)をイメージしつつ、瞑想(迷走?)風に書き綴ったもの。
 無論、ギターやヴァイオリン、ベースそのほかも好きである。

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→ 「テーベ 王家の谷にある彩色壁画の一部」(「通称「竪琴の間」といわれる部屋の一部で、皆ハープを弾いてい」るという。「荒俣 宏 氏講演録「発見された古代エジプト」3」より。)

 ただ、上掲の記事に書いたように、たまたま偶然借りて聴いたジャン・シャオチン(姜小青)さんの「悠 Breathing Spaces」(パシフィック・ムーン・レコード)や、ラジオで話と演奏を聴く機会があって図書館で借り出して聴いた内田奈織さんの『HARP TO HEART~Love&Favorite Songs~』(TEICHIKU ENTERTAINMENT,INC)なるCDが契機で、筝やハープの魅力に改めて気付かされたのである。

 琴については、高校時代のちょっとした思い出があるし、機会を別に設けて採り上げてみたい。
 今日は、ハープという楽器を、歴史に焦点を合わせる形で、主に画像を紹介することで、ちょっとだけ触れてみたい。

 ちょっとだけというのは、下記のような本格的なサイトがあり、概要を目次風に紹介するだけでも、相当な長さになるだろうからである:
ハープとチターとオートハープ Harp & Zither
 この頁の目次というかメニューを見るだけで、目が眩みそう!

 言うまでもないが、ちゃんとした歴史などについては、リンク先などの文章を読んでもらうことで確かめてもらいたい。小生がここで試みるのは、あくまで周辺のそのまた周辺である。

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← クラハナ(CRANACH, Lucas the Elder) Apollo and Diana Courtesy of Web Gallary of Art. 「アート at ドリアン 西洋絵画史」より。「アポロンは、『神託・音楽・弓矢の神』」だった。「ハープの起源は狩人の弓ではないか…」という説を髣髴とさせる画。

ハープ - Wikipedia」の説明が取りあえずは素人にも手っ取り早いかもしれない。奥は深いのだが。
「ハープ (Harp) は、西洋音楽で用いられる弦鳴楽器。弦鳴楽器の5分類の内ハープ属に属する。楽器用法としては弦楽器に属し、弓を使わずにもっぱらはじいて音を出すため、撥弦楽器に分類される。日本語では竪琴(たてごと)と呼ばれる楽器群に含まれる」以下の説明は、読んでいるだけでも興味深い。

ハープの起源」の項に、「ハープの起源は狩人の弓ではないかと考えられている。最も古いハープの記録は紀元前4000年のエジプトと紀元前3000年のメソポタミアのものではないかと言われている。 古代の叙事詩やエジプトの壁画に現れ、世界中の多くの音楽文化で発展し独自の展開を遂げた。聖書にもハープは登場し、ダビデ王が最も著名なミュージシャンであるが、実際にはその「ハープ」はkinnorと呼ばれる、十弦の一種のリラであった」などと書いてある。

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→ Belvedere Apollo(Greek/Twelve/Apollo) Courtesy of MarkHarden's Artchive. 「アート at ドリアン 西洋絵画史」より。ギリシャで最も神聖な楽器だとされていたリラ(たて琴)の名人だったというアポロンの左手には何が握られていたのだろう。弓? 背負っているのは、何なのか?

「ダブル・アクション・ペダル・ハープ」の項に、「現代の西洋音楽の独奏やオーケストラなどの合奏で広く用いられているハープは、ダブル・アクション・ペダル・ハープである。これは、主に47本の弦を変ハ長調全音階で張り(半音低く調律された白鍵のみのピアノのイメージ)、7本のペダルを足で操作することにより、各オクターブのハ、ニ、ホ、ヘ、ト、イ、ロそれぞれの弦を同時に半音上げたり、全音上げたりできるようになっているハープである」とある。
 恥ずかしながら、小生、いつだったか、小生の記事へのメッセージでハープにはペダルがあり、「7本のペダルを足で操作すること」などまるで知らなかった。
 アヒルというか白鳥なのか知らないが、水面上は優雅に泳いでいる(演奏している)ように見えるが、実は水面下で足をバタバタ(失礼! 粗忽で無教養な人間なもので)させていたなんて、全く知らないし、気付いてもいない。
 ハープを白いドレスの袂から延びる白い腕と手と指で演奏する素敵な女性に見惚れるばかりで、ドレスの長い裾の内側のことなど、気が及ばないのだ。
 これでは、演奏を聴いているのか、女性(演奏者)に気が奪われているのか、分からない!

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← Parnassus or Apollo and the Muses 1635-40(ヴーエ VOUET, Simon) 「アート at ドリアン 西洋絵画史」より。「アポロンは、『神託・音楽・弓矢の神』であると同時に『太陽(光明)の神』であり、地上に生まれ落ちたその時から、目映いばかりの高貴な黄金の光を、全身から放ち神としての地位と能力の高さを示してい」たという。

 ところで、ハープの演奏者というと、女性をイメージする、女性が演奏者だという印象があると書いたら、それは偏見だと鋭く指摘された。
 
 ハープの演奏者は女性という印象は偏見と指摘され、念のため、ネットでハープ演奏者を無作為に(つまり、ネット検索で浮上するがままに)列挙してみた(若干、戴いた情報での名前も加えてある。また、全部の方の名前を挙げているわけではない。また、ハープの演奏を専門の仕事とされているかは、必ずしも分からない。たまたまハープを演奏しているという記事をヒットした可能性もある。何故かネット検索では日本人の名前ばかりが浮上する。どこかに国内外を問わず、ハープ演奏者の名簿があるのなら助かるのだが):

高山聖子内田奈織西山まりえ小倉知香子涌井純子、坂上真澄、堤祥作(訃報)、木村彩久保 直子平野花子福本しのぶ 毛利沙織今尾淑代木村直子妹尾隆一郎(*コメント欄参照!)、竹松舞吉野直子みつゆき摩寿意 英子三浦由美子西村光世安楽真理子長沢真澄早川りさこ神藤雅子菊地恵子伊藤かおり朝川朋之……。
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→ 琴を奏でている像(キクラデス諸島の美術) 「B.C.2600年~B.C.2000年頃、キクラデス諸島で作られ」たという(平成19年4月から休校となった「アテネ日本人学校」の中の、「ギリシャの文化」についての頁より)。

 やはり、こうなると、小生のように音楽に素養のない、たまに映画やテレビでハープを演奏する女性の(!)光景を目にするばかりの人間だと、ハープの演奏者というと女性という偏見が頑固に根付かされていても、仕方がないような気がする(という弁解・釈明)。

 といっても、そういった偏見の元の映像は比較的近年のもの。中世や近世・近代のヨーロッパや、古代ギリシャ、さらにはもっと昔へと歴史を遡れば、事情は違ってくる(に違いない)。

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← 竪琴でオルフェウスの首を運ぶトラキアの少女(モロー Gustave Moreau) 「アート at ドリアン 西洋絵画史」より。

 さて、上で「ハープの起源は狩人の弓ではないかと考えられている。最も古いハープの記録は紀元前4000年のエジプトと紀元前3000年のメソポタミアのものではないかと言われている」という一文を転記している。
ハープについてのお話と演奏」によると、「200種類あるいは、それ以上あるといわれているハープは、歴史的に一番古い楽器と思われます。一万年前のメソポタミアで、すでに生まれていたという説もありますが、前3000~5000年にエジプトとシュメール地方で知られていたと言われています」という。
「歴史的に一番古い楽器」というのは凄い。文献や歴史資料的裏付けをネットなどで発見できたら、紹介したいものである。

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→ Orpheus in the Underworld(ジャン・デルヴィル Jean Delville) 「アート at ドリアン 西洋絵画史」より。

 さらに同上の頁には、「ハープは弓型、鋭角型、枠型の三つの基本型がありますが、その時代のハープは鋭角型と弓型ハープでした。枠型ハープは中世のヨーロッパで発展し、最も初期のものは小さくて武骨な形でしたが次第に改良されて演奏面でいろいろな表現ができるようになりました」とある。
 特にこのハープは「弓型」というのがミソというか歴史上の起源を探るヒントになりそうである。

 上にもあるように、「ハープの起源は狩人の弓ではないかと考えられている」のである。
 狩人が弓を引いたとき、矢が風を切り裂く音と同時に、弓の弦が手元でビュンかビョンかボヨーンとでも鳴ったのであろうか。

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← 死せるオルフェウス(ジャン・デルヴィル Jean Delville) 「アート at ドリアン 西洋絵画史」より。そう、このベルギー象徴派の、あまりに官能的な画。オルフェウスのデスマスクの神々しさに目が眩むが、たて琴が描かれていることに注目。さらに、「青色が非常に美しい絵です。オルフェウスの首と竪琴が一体化したようなものが川の底に。川の底には巻貝がそれを囲むように落ちており、川面は静かに波を打っています。川面は奥から光が差し、まるで川自体が宇宙の中にあるのかのように星が輝いています。非常に幻想的です。青を基調とした画面ですが竪琴の一番下の部分の宝石が淡く赤く光っています」という説明が素晴らしい。やがて「こと座」となるのも分かるような。この記述を見出したサイトのURLを示せないのがもどかしい。伝説に付いては、「天文 blog ☆星のかなでる音色☆」などを参照のこと。

 このことがやがて弓からハープが生まれる端緒になったのだとすれば、ハープの演奏者は女性という小生の思い込みというか偏見はそもそもの起源からして間違っているということになる(無論、狩りで女性が活躍したってことも考えられないではない。狩りの最中に、一休みしている間に、何気なく弓の弦を爪弾いて心身の疲れを癒すひと時を持ったのか、あるいは、男たちが狩りから帰ったら、弓の手入れは女性や子供の役目であって、その際に、弓の弦を悪戯していたら、遥かな山の呼び声のような、とても癒される音が聞こえてくるという事実を発見したってことも考えられなくもない。この辺りは想像を逞しくするしかないのか、あるいは図像的典拠が見出せるのかどうか)。

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→ 映画「ビルマの竪琴」(出演: 中井貴一, 石坂浩二 監督: 市川崑、ポニーキャニオン) (画像は、「Amazon.co.jp 通販サイト」より)

 ここには画像は載せられないが、「エジプトハープの復元と演奏」でのハープの画像が興味深い。「ルーブル美術館にある古代エジプトのハープが復元され」たのだとか(「京都芸術劇場  正倉院の楽器群や古代エジプトのハープなどを復元して蘇った始原楽器が繰り展げる現代の音楽冒険」参照)。

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← ハープと演奏者を表したササン朝ペルシア時代のモザイク。インド、ビシャプール発掘。ルーブル美術館

 さて、たて琴というと、「ビルマの竪琴」(竹山道雄作品)などを思い浮かべる方も多いだろう。文学そのほかでハープやリラの話題を触れたかったが、また機会があったらということにする。


参考文献3-古代メソポタミア・エジプトの音楽
虹の咲く場所 -- ハープ -- リンク
斑尾高原紫音ハープミュージアム公式サイト

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コメント

ハープ奏者にあがっている妹尾さんは、ブルースハープ(ハーモニカ)の方だと思います。

投稿: 小太郎 | 2007/07/14 20:43

小太郎さん、ご指摘、ありがとう。

妹尾隆一郎さんについては、リンクを貼ってありますね。
ハーモニカ奏者!
「妹尾隆一郎ハープ塾」とか、「Weeping Harp Senoh」などのハープ(Harp)という言葉で検索の網に掛かったのだろうと思います。

本文は(恥を晒す意味でも)弄らず、コメントではっきりさせるようにします。

投稿: やいっち | 2007/07/14 22:20

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