レイチェル・カーソン生誕百周年!
NHKラジオ(第一)の「ラジオ深夜便」でこの月曜日の深夜から4日間に渡って(今夜が最後!)、下記の番組が流されている:
自然と共に生きること~生物学者レイチェル・カーソンの贈り物
レイチェル・カーソン日本協会理事長 上遠恵子

← リンダ・リア著『レイチェル―レイチェル・カーソン『沈黙の春』の生涯』(上遠 恵子訳、2002/08東京書籍刊) 秀逸! レイチェル・カーソンを知らない人も、本書を読むことで身近に感じられる。生物学者であると同時に一人の女性として病を抱えつつ(『沈黙の春』を執筆中に癌宣告された!)、信念に生き抜いた方だったのだ。
どうやら、今週末の5月27日(日)はレイチェル・カーソンの生誕百周年となることにちなんでの特集のようだ。さすがにテレビで扱うにはもう過去の人になりつつあるということなのか。
これほどに社会に警鐘を鳴らした人もなかったように思うのだが。
小生は、彼女の生誕40周年である2004年に一年遅れる一昨年、彼女の本、彼女についての本を纏めて読む機会を持ったので、今、改めて繰り返すつもりはない:
「沈黙の春」(2005/05/23)
「センス・オブ・ワンダー…驚き」(2005/06/04)
「レイチェル…島尾敏雄…デュ・モーリア」(2006/05/04)
[沈黙の春]
環境問題に少しでも関心のある方なら、「沈黙の春」という書を、その著者名を知らない人は少ないかもしれない。
アメリカ(ブッシュ政権)が環境問題に徹底して後ろ向きだというのは、これこそ、地球環境の危機であり脅威といえるのではなかろうか。
その実、世界はエネルギー資源の獲得に狂奔している。日本も。繁栄、成長と裏腹の環境危機。
新しい京都議定書が今こそ必要なのだが。
[コスモ石油|TERRE]から一部を転記させてもらう:
レイチェル・カーソンはこの不安な現象を知っていました。そして、ある1通の友人からの便りが彼女の心を大きく揺さぶったのです。この手紙は、友人が所有する森の上空を、農薬散布用の飛行機が飛びかい、大量の殺虫剤をまいたため、たくさんの鳥が死んでしまったことを伝えていました。殺虫剤はこの地方に多い沼から発生する蚊を駆除する目的で撒かれたのですが、無差別に散布したためにこのような結果を招いてしまったのです。

→ レイチェル・カーソン著『センス・オブ・ワンダー』(上遠恵子訳、新潮社) 数十頁の本。まずは、これから親しむのもいい。
[センス・オブ・ワンダー]
レイチェル・カーソンが残した(あるいは有名にした)言葉で「センス・オブ・ワンダー」ほど素晴らしい言葉はない。ちなみに、「センス・オブ・ワンダーとは、レイチェル自身の言葉によると「神秘さや不思議さに目を見はる感性」のことをいう」(「松岡正剛の千夜千冊 『センス・オブ・ワンダー』レイチェル・カーソン」より)。
彼女のしなやかで柔らかな感性、それは、やはり有名な彼女自身の言葉「『知る』ことは『感じる』ことの半分も重要ではない(It is not half so important to know as to feel)」でも示されている(「センス・オブ・ワンダーについて 上遠恵子」参照)。
「センス・オブ・ワンダーについて 上遠恵子」から一部を転記させてもらう:
「知る」ことは「感じる」ことの半分も重要ではないと固く信じています。
子どもたちがであう事実のひとつひとつが、やがて知識や知恵を生みだす種子だとしたら、さまざまな情緒やゆたかな感受性は、この種子をはぐくむ肥沃な土壌です。幼い子ども時代は、この土壌を耕すときです。美しいものを美しいと感じる感覚、新しいものや未知なものにふれたときの感激、思いやり、憐れみ、賛嘆や愛情などのさまざまな形の感情がひとたびよびさまされると、次はその対象となるものについてもっとよく知りたいと思うようになります。そのようにして見つけだした知識は、しっかりと身につきます。消化する能力がまだそなわっていない子どもに、事実をうのみにさせるよりも、むしろ子どもが知りたがるような道を切りひらいてやることのほうがどんなにたいせつであるかわかりません。

← 「平成18年版 環境白書」 小生には到底、読みきれない! でも、拾い読みするのもいいかもね。
空前のベストセラーとなった『沈黙の春』を初め、レイチェル・カーソンその人の著作を読むのもいいが(今の時代の人が読むと辛いものがあるかもしれない)、小生が呼んで面白かったのは、リンダ・リア著の『レイチェル―レイチェル・カーソン『沈黙の春』の生涯』(上遠 恵子訳、2002/08東京書籍刊)だった。
700頁という大部の本だが、小説のように面白く読める。また、カーソン自身の言葉も随所から引用する形で掲出されているので、本書一冊を読むとカーソンの短めの本一冊をも同時に読んだ手応えもあったりする。
参考のため、拙稿でも紹介済だが、下記の頁を紹介する:
「世界を変えた海を愛する詩人 レイチェル・カーソン」(ホームページは、「POP MUSIC」)
「レイチェルカーソン日本協会」
「シャーミンのエコインタビュー:第45回 上遠 恵子さん」
「センス・オブ・ワンダー自然学校」(上遠 恵子氏の講演予定などを知ることもできる)
「平成18年版 環境白書」(読みきれない!)
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コメント
「センス・オブ・ワンダー」は私の大好きな書物の一つ。
十年ほど前に日本語版が出てすぐに買いました。
著者とロジャー少年が森へ行って会話を交わすシーンは、
何度読んでも素晴らしい!
我が子とはこんな親子の関係を結びたいと思ったものです。。
投稿: 石清水ゲイリー | 2007/05/24 21:42
石清水ゲイリーさん、「センス・オブ・ワンダー」はいいですよね。
有名な「沈黙の春」などは、ベストセラーではあるけれど、今、読み返すと辛いものがあるけど、「センス・オブ・ワンダー」は親しみやすいし、しかも、深い!
環境への関心が高まる中、さて、レイチェル・カーソンへの関心も喚起されるかどうか分かりませんが、彼女の果たした役割や意義の大きさは、ますます認識されていくものと思います。
投稿: やいっち | 2007/05/24 22:56
環境問題解決方法はなかなかでないですね
投稿: (^-^; | 2007/05/26 01:44
アメリカを初め、ロシアや中国など、大国が元凶だし、経済的繁栄を維持しつつ環境対策をすることを考えているので、難しい。
でも、日本はやるべきことを徹底してやれば、環境立国となり、いい意味で輝けるかも。
投稿: やいっち | 2007/05/27 07:41
今晩は。
よい本を紹介してくださり有難うございます。
『沈黙の春』を読んでから随分たちます。
当時の私はDDTをはじめ、その後色々問題になった化学物質の化学構造、どんな風に人や、環境へ影響を与えるのかの方へ目が向いており、興味がありました。
あれからずいぶん月日が流れ化学物質はダイオキシンをはじめ環境からは少なくなり、最近は話題にもなりません。
『沈黙の春』の警鐘は、私たちに合成された化学物質の怖さを教えてくれたバイブルです。
しかし、一方では、多くの感染症で苦しむ人たちを救ったと評価もしています。
『Sense OF Wonder』
早速、購入して読みました。
自然に親しみ、自然を畏敬する幼い子供の驚きを、レイチェル・カーソンの生涯の思いを次世代の感性へ託したとても素敵な一冊でした。
歳のせいかしら、ほっとして読みました(笑)
しかし、地球環境は悪化していきますね。
投稿: さと | 2007/05/31 00:07
さとさん、コメント、メッセージ、ありがとう。
環境汚染は、時代と共にあり方が違ってきている。一層、ややっこしい。部屋(新居)の壁紙とか、気密性の高い部屋、過度な清潔志向、洗剤、シャンプーの使いすぎ、しかも、国内どころか、黄砂を初めとする国を越えての化学物質の飛散(日本は、産業廃棄物をアジア各国へ<輸出>している!)、新エネルギー需要の高まり(=エネルギー資源獲得戦争の勃発)、アメリカや中国・ロシアの環境対策への後ろ向きの姿勢……。
要は、何かの対策を施したからそれでいいというのではなく、常に常に環境への目配りとアクションが大事だということだと思います。
だからこそ、センス・オブ・ワンダーの心を訴えたレイチェル・カーソンは今の時代も忘れられてはならないのだろうと思うのです。
投稿: やいっち | 2007/06/01 12:46