こぶし咲き…白き花に目も眩(くら)む!
[注意!! この記事には後日談があります。「この木なんの木、気になる木、機、器」の後半を読んでください。]
仕事柄、都内を車で彷徨う。休憩は、大概、何処かの公園の脇。車などの通行の障害にならない場所を選ぶ。 トイレへ向おうとしたら、名前も知らない白い花が咲いているのに気付いた。
青い空を背に風にゆらゆら揺れている。
せっかくなので、車へ戻るすがら、携帯のカメラで撮ってみた。
→ 4月12日、都内某公園で撮った「辛夷」?
白木蓮? 違う…。辛夷だろうか。
「辛夷 (こぶし)」なる頁を開いてみる。
白木蓮と辛夷とは花びらの色や形、清楚な雰囲気などが似ているが、白木蓮は花が全開しないが、辛夷はまさに全開する。
「辛夷 (こぶし)」によると、そろそろ開花の時期の終わりごろとなる。見れたのは幸運だったというべきか。
「「北国の春」(千昌夫)の歌詞にでてくる」という(作詞:いではく、作曲:遠藤実・編曲:京健輔)。
小生の好きな歌だ。サラリーマン時代には、カラオケで歌う際には、松村 和子が歌ってヒットした「帰ってこいよ」(平山忠夫作詞 一代のぼる作曲)か、千昌夫のヒット曲のこの「北国の春」をよく選んだものだった。
ちなみに、「こぶし」の出てくる歌詞など:
白樺 青空 南風
こぶし咲く あの丘 北国の
ああ 北国の春
季節が都会では 分からないだろと
届いたおふくろの小さな包み
あの故郷(フルサト)へ帰ろかな 帰ろかな
小生は今では間違っても人前では歌わない。その意味で嘗て小生の歌を聴いた人は貴重な機会に恵まれたと言えるかもしれない(音痴な歌に迷惑したというべきか)。
この歌が好きだといいつつ、小生、歌詞の「こぶし」がどんな花か調べようとしたことは(記憶を辿る限り)なかったと思う。
ただ、イメージの上では、白い花と勝手に思い込んでいたから不思議だ。
また、「辛夷 (こぶし)」によると、「昔の人はこの花の開花時期から農作業のタイミングを判断したり、花の向きから豊作になるか否かを占ったりした。(種まき桜と呼ぶ地方もある)」とも。
「辛夷(こぶし)」という頁を見つけることができた(ホームは、「妹尾(せのお)小児科」)。
この頁にも書いてあるが、「辛夷が咲くと田の仕事にかかる準備をするという意味で田内(打ち)桜」とも呼ばれたという。
← 上掲の<辛夷>の全体像。
さて、どうしても、気になるのは、その名称である「辛夷(こぶし)」の由来であろう。
「辛夷 (こぶし)」によると、「つぼみが開く直前の形が子供のにぎりこぶしに似ているところからこの名前になったらしい。また、辛夷の実はゴツゴツしており、その実の具合から「こぶし」と命名されたのでは、との説もある」とか。
花(の名前)に鈍感だった(今も似たようなものだが)昔は、「こぶし」という名の語感にちょっと抵抗というわけではないが、もっと他の名前もありえたのではないかと思ったりしていたことを思い出す。
無論、「こぶし」から、「拳(こぶし」の形に似ているんだろうな、なんて勝手に決め付けていたのも事実である。
その「こぶし」、今は、慣れもあるのか、これはこれでいいなと感じて納得しているから不思議だ。馴れ? 辛夷という花の人徳ならぬ花徳のゆえなのだろうか。
改めて、「辛夷(こぶし) 写真集 1」や「辛夷(こぶし) 写真集 2」を覗いてみる。
眩しすぎるほどに白い花。晴れた空には一層、白さが際立つ。
ネット検索していたら、「熊本県には、この花にまつわる哀しい物語が伝えられているそうです」というサイトに遭遇した。
「コブシ(辛夷)」(ホームは、「とんび岩通信」)によると、以下のようである:
壇ノ浦で敗れ、山奥に逃れた平家の落人たちが、早春のある朝、目を覚ますと、なんとまわりの山々に無数の源氏(追手)の白旗がはためいていたのです。これを見て落人たちは、もはやこれまでと自刃して果てました。しかし、源氏の白旗に見えたのは、実はコブシの花だったというのです。
何処となく、会津の白虎隊の飯盛山での悲話を連想させる話のような。
この話に関する限りは、「細長い花びらが10数枚あって垂れ下がるさまが、神前に供える玉串の「四手」に似ている」、「四手辛夷(しでこぶし)」のほうが似つかわしいかもしれない。
「辛夷(こぶし)」という頁には、興味深い話が載っていた。
「先日、2000年前の辛夷の種子が見事に花をつけたという記事がでていた。2000年前というと縄文時代である。その種子が生きて今日花を開くなんてなんて素晴らしいことだろう」というのだ(尤も、今から2000年前といと、弥生時代のはずだが…)。
→ 古代ハス。この画像そのほかについては、「「蓮と睡蓮」の周辺」参照願いたい。
2000年前の花が現代になって咲いたというと、小生は、何年か前、話題にしたことのある古代ハス(大賀ハス)を思い出す:
「大賀ハス 2000年前の古代ハス」
「2000年前の辛夷の種子が見事に花をつけたという記事」のことは小生、初耳である。
「コブシ(辛夷)」を覗くと(「面白いことに、コブシの莟の先端は北の方角を指し示す(コンパスプラント)」とあるのも興味深い記述なのだが)、以下のような説明を得た:
花のつき方がらせん状である植物は起原の古い植物で、花を訪れるのも原始的な昆虫(甲虫)という。弥生時代の住居跡(約2000年前)から発掘された種子が発芽したという例も報告されていて、なにか神秘的な植物である。
残念ながら、「2000年前の辛夷の種子が見事に花をつけたという記事」の典拠をネットで見つけることができなかった。
いつか、見つけたら情報の裏書きの意味もあり、追記したいものである。
「こぶし」が歌詞に出てくる歌を冒頭近くで紹介した。
となると、「こぶし」に絡む小説などあるなら知りたい。
幸い、「辛夷の花盛り 季節の花だより-ウェブリブログ」にて、「堀 辰雄氏の随筆「辛夷の花」は、木曾谷の辛夷の花を汽車の窓から眺めるという話ですが、春浅い山に咲く辛夷の花の雪かと紛う白が印象的な小品です」という記述を見つけた。
随筆であり小説ではないのがちょっと惜しいが。
「堀辰雄 大和路・信濃路 辛夷の花」(「青空文庫」所収)で読むことができる。短いが、夫婦のちょっと味のある会話がいい。
小生などは、この随筆を見つけ、読めただけで満足である。せっせと書き綴った甲斐があったというもの。
(ここまで書いてきて、冒頭の花が「辛夷」でなかったらどうしようという不安が拭えないのは困る! そのときは、流れる涙をこぶしで拭うかな!)
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コメント
国見弥一さん、はじめまして。TBありがとうございました。画像の花を拝見しましたが、コブシではなく、ハナミズキの白い花のようですね。
新田次郎氏の随筆、「白い花が好きだ」とか、宮沢賢治氏の「マグノリアの木」という童話などもありますね。
投稿: なおさん | 2007/04/14 09:25
今日は!
今日の日記は、私にも理解できて~「ホッ.。o○」しています。
でも~読めば読むほどに、内容が濃いので、私的には、、
「やっぱり~難しい○o。.」
どうして、このような長い文章に繋げていけるのか~~これは、凄いことですね。
私とは、レベルが違うと思いながらも~ついつい、遊びに来てしまします!?!?
http://tsunnchan.at.webry.info/
投稿: つんちゃん | 2007/04/14 18:21
なおさん、来訪、コメント、ありがとう。
TBだけして失礼しました。
辛夷と花水木、白木蓮…。花に弱い人間には悩んでしまう。
ご指摘、ありがとうござました。
これって花水木なのでしょうか、ちょっと自信がない:
http://atky.cocolog-nifty.com/bushou/2006/04/post_5273.html
花水木のことも、改めて調べてみないといけないですね。
投稿: やいっち | 2007/04/15 05:17
つんちゃんさん、世の中、分からないことだらけ。調べること、その行為は体験の一種でもあると思ってやっています。
知らない世界との出会い、現実の世界とネットの世界との相互を旅するような気分です。
長い文章ですが、来訪される方はツマミ食い、大歓迎。画像だけにコメントくれるのも大歓迎です。
投稿: やいっち | 2007/04/15 05:19
今晩は~
ん~これは花水木でしょう。花芯が特徴的。
なかなかの大木。近所の庭に咲くのは細いのばかりです。
白木蓮は花の付け根には、葉がありませんが
辛夷は付け根に葉があるそうです。
今度みつけたら確認してみてください
って、そろそろ花も終わりかなぁ(^_^;)
投稿: ちゃり | 2007/04/15 20:56
ちゃりさん、教えていただき、ありがとうございます。
小生、花(の名前)には特に弱い。
白木蓮か辛夷しか思い浮かばなかったけれど、花水木という名前には思い至らなかった。
なるほど、花芯を見ると、花水木ですね。少なくとも辛夷じゃないみたい。
次にこの木を見る機会に恵まれるか分からないけど、なんとか確認してみたいです。花水木なら、見る機会はこれからもありそうですし。
投稿: やいっち | 2007/04/15 23:39