リンゴ酒やケルトの文化育みし
小生は一昨年の末から(縄文文化との相関も感じられて)ケルト文化に関心を抱くようになった。
その大きな要因は、鶴岡真弓氏という研究者の存在を知ったことが多い。爾来、図書館で見つかる限りではあるが、同氏の著作を読んできた。
今日は、過日(多分、木曜日の深夜?)、ラジオでケルトとサイダー(リンゴ酒)との関係に付いての話を聞きかじったので、忘れないうちにメモしておく。
ケルト文化に通暁している方なら、あるいは、酒好きな方なら、それとも、イギリスなどの文化に詳しい人なら、こうした事情についても常識に属することなのだろうが。
ラジオでケルトとサイダーとの関係に付いての話題を聞いたといっても、生憎(!)仕事中だったので、聞き入るわけにもいかないし、ほとんど聞き逃してしまった(忘れてしまったし)。
まず、「サイダー - Wikipedia」を覗いてみる。
「サイダーとは、甘味と酸味で味付けされたノンアルコールの炭酸飲料のこと。ラムネ。日本でサイダーと呼ばれるものは、日本独自のものである。有馬温泉が日本のサイダーの発祥の地といわれている」とあり、さらに、ここからが肝心なのだが、「本来の意味は、リンゴ酒(仏:シードル cidre 、英:サイダー cider )のこと。リンゴの果汁を発酵して作られた酒で、6%前後のアルコールを含む」と続いている。
なお、今日は眼を通しただけだが、「シードル - Wikipedia」の記述も興味深い。
(参考になるかどうか、小生には、拙稿「ラムネ…サイダー…アイスコーヒー」がある! が、この小文を書いた際には、ケルトとの関係にまるで気付いていない。なお、小生にはさらに、旧稿となるが、「富山とトンボのこと」があって、トンボ飲料のラムネを扱っている!)
「三ツ矢サイダー - Wikipedia」は、小生の大好きな飲料なのだが、今日はケルトに絡めたいので、日本の飲料としてのサイダーは後ろ髪を引かれつつも、素通りする。
尤も、拙稿「ラムネ…サイダー…アイスコーヒー」の中で若干だが触れている。
それにしても、小生にしては迂闊なことだが、何ゆえに「サイダー」という名称なのか、という疑問を探求していない! でなかったら、もう忘れてしまった。
「ノルマンディー歴史紀行 モン・サン・ミッシェル大修道院(1)」が、ケルト文化との絡みで面白いが、その文末に、「飲み物は名物のリンゴ酒シードル(英名サイダー)、日本のサイダーは誰かがどこかで間違ってつけたジャパニーズ・イングリッシュである」とある。
なるほど、シードル(cider)を勝手な読み方したわけだ!
「Luck & Luck NEW YEAR エマ007:イギリスの人気リンゴ酒のサイダー(cider)」(ホームは、「イギリス ウェールズ 思い出し笑い」)を覗かせていただくと、その冒頭に以下の記述がある(全文を興味深く読ませてもらった):
イギリスではビールよりこのサイダー酒の歴史が古いです。
ケルト時代から作っているらしくて、ローマ人がイギリスに来た時このサイダーをとても好きになったという歴史があります。
中世にこのサイダーは修道院で多く作られたらしく、今までもこの修道院のレシピからサイダーを作っています。
「幻想資料館 リンゴ Apple」がリンゴについて詳しく、その関連でケルトとリンゴの歴史を教えてくれている。
この頁の中の、【シードル】の項が小生の今の関心事に応えてくれる。
この項で、上記した(あるいは引用させてもらった)「日本のサイダーは誰かがどこかで間違ってつけたジャパニーズ・イングリッシュである」に幾分なりとも訂正の余地があることを知った。
つまり、「このシードルは、アメリカでは英語読みされて「サイダー」となる。やがて、酒ばかりでなく、リンゴを使った飲料すべてが「サイダー」と呼ばれるようになり、やがて炭酸の入ったリンゴジュースが、最終的にこの名前をものにした」というのだ。
何も、日本人の誰かが勝手に勘違いしたわけではなかったのだ。
下手すると名誉毀損にも当りそうなので、「シードル(cider)を勝手な読み方したわけだ!」という小生の言明を急いで撤回しておく(恥を晒す意味で、一旦、書いた事実は事実として残しておく)。
さて、「リンゴから作られる飲料の一つに「シードルCider」がある。これは「リンゴ酒」という訳語からも分かるように、リンゴを材料として作られるが、すべてのリンゴがこのシードル作りに適しているわけではない。
シードルに適したリンゴは糖分が多く含まれなければならない。また、強い酸味・渋味も、良質のシードルを作り上げるのに必要不可欠である」という。
どうやら、ここにケルトとシードル(サイダー)との関係を読み解く鍵がありそうだ。
上掲の頁の【リンゴが象徴するもの】なる項目に、下記の記述がある:
ケルトの神話ではキュロア王の魂はリンゴの中に隠されており、そのリンゴは「七年に一度しか姿を現さない鮭」の腹の中に隠されている。英雄ク・ホリンがそのリンゴを割ったとき、中央には「不滅」を意味する五芒の星(★)が輝いていた。
北欧神話によれば、「ヘスペリデスのリンゴ」と呼ばれる果物はそれを食べた者を不死身にする。北欧の神々はこのリンゴを食べているので不死とされた。
また、【リンゴの歴史】には、以下の記述が見出される:
リンゴはのちにアングロ・サクソン人の移動に従ってイギリスや北欧にも伝えられる。これらの土地ではオリーブやブドウといった南方系の植物が育ちにくいため、寒冷地でもよく育ち、しかも実が長期保存に耐えるこの植物を特に重用したようである。19世紀に入るまでイギリスはリンゴの一大産地として君臨し続けた。この土地にはリンゴにまつわる伝承が多く、先住民族のケルト人たちはリンゴの木を神聖視した。アーサー王伝説で有名なアヴァロンという地名もリンゴを意味する古語アヴァロAvalloに由来するものである。
なるほど、厳しい風土であったからこそ、リンゴが神の賜物だったわけだ。
もう一度、「イギリス ウェールズ 思い出し笑い」の中の「サイダーはイギリスのリンゴ酒」に戻る。
「今でも昔ながらのサイダーを作っている"秘密"の農家があ」るとかで、その秘密の製法ぶりが書いてある。
イギリスには今も昔年の風習が残っているわけである。
なお、小生は、いずれもメモというかデッサン風だが、ケルトについて下記の小文を折に触れ書いてきた:
「ケルト…エッシャー…少年マガジン」(2006/10/18)
「ケルトとはウロボロスの輪の積み重ね?」(2006/10/27)
「枯木立からケルト音楽を想う」(2005/12/03)
「「ケルト文化」補筆」(2005/12/04)
「蛍光で浮ぶケルトと縄文か」(2006/11/06)
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